周波数カウンターの精度アップ(2)




  3. GPS 校正器の作成


  GPS(Global Positioning System )受信モジュールのうち一部の物は、PPS信号OUT端子(GPS1秒パルス出力端子)を持っている。( 注) PPS端子の無いものもある) 受信器内部にある水晶発振子の精度は 10-6 に過ぎないが、受信器が 4つのGPS衛星を捉えると、その衛星に搭載されている原子時計(精度: 10-11以上 ・・・ 数十MH台で11桁以上・小数3桁の時刻の精度に常に更新するので、(衛星が捉えられている場合に限り、原理的には)このPPS信号の1秒の精度も 10-11 の精度に限りなく近づくはずである。(ただし、衛星が捉えられていない場合もPPS信号を出し続け、速やかにモジュール内の水晶の精度にまで落ちるので注意)
  そこで、この1秒パルス(使用した GM−316 の場合、パルス幅=1μS、出力3.3V、電源3〜6V・約30mA)を、周波数カウンターのゲートタイムに利用して、100回〜1000回の平均化処理を行って、精度が9〜10桁程度の校正器を作成することにする。 GM−316の出力3.3Vを 5Vにするために、TTL IC(74HC00、スレシホールドレベル 2V)を入れたが、無くても問題なく動作する。 モジュールの固定は アンテナにかからないようにワイヤを引っ掛けた。


  さて、この 精度は高いが1秒と決められている信号を用いてゲートタイムにするために、そのまま タイマ0のオーバーフロー値 A と TMR0L を キャプチャー、クリヤ と連続計測して、後で補正計算することにした。(TMR0 は8ビットモード) PIC18なので、T0CKIは タイマ0プリスケーラー無しで 計測できるのは 約6MHzまでである。(1/8プリスケーラーを使うと プリスケーラー内に0〜7のデータを残すので、精度が悪くなって使えない。 PIC24シリーズを用いれば(動作32MHzの高速なので)1/1入力が十数MHzまで可能となる。)
  この補正計算をマイコン内で行うと、double変数に変換して10桁の処理で7桁半くらいに丸められて精度が悪化するので、筆算で(あるいは、パソコンにデータを送って)計算する。

  また、データを別々に時間を空けてキャプチャーするので、(それぞれの時間間隔は正確に1秒であっても)捉えるのに時間差ができて、その演算結果の値がふらつき、段差ができる。このふらつきや段差は、100回〜1000回程度の平均化処理( ・・・ 単純に整数として加算するだけ)で ある程度解消され、9〜10桁程度の校正値を得ることができる。
  したがって、目標としている 8桁カウンターの校正には十分である。

  ただし、測定時間は、100回で100秒(=1.67分)、1000回で1000秒(=16.7分)もかかるので、測定時間中に十分安定している信号源しか測ることができないことになる。

  (* 動作速度が最大32MHzの16ビットマイコン(PIC24FJ64GA002等)を用いて、1/1入力で(プリスケーラ無し)1度でデータ取得するならば、次のクリヤまでの時間差を無視して、10MHz以下の領域ならばそのまま使用可能かもしれない。また、1秒間隔のパルスから 10MHz程度のデジタル波を作る FLL制御やPLL制御については別途検討したい)

 

  GPSモジュール(GM−316)の感度はあまり良くなく、室内では不可で、窓から50cm以上出して 数分で4個の衛星を捉えられる。(* 外部アンテナを付けるならば、MMCXコネクタから、ターンスタイル・アンテナ(φ2.0のホルマル線: 96mm(λ/2より7%長い)と83.8mm(λ/2より7%短い)の2つのダイポールをクロスさせる、真上の指向性が良い)を設ける。マイクロ波の周波数 1.575GHz、波長短縮率94%(線の太さによる))



  キャプチャと クリヤの間が C言語で(実質)1命令分の時間が空いていることに対する補正係数は、上図右のプログラムのように A=0、TMR0L=0 をそれぞれ10個追加して、追加しない場合と比較測定して求めた。(4.9152MHzのクリスタルオシレータ(EPSON、3.3V)を、測定時間中に十分安定していると仮定して使用、測定時の気温:20℃) N=1000回(N=500を2回: unsigned long は 0 〜 4294967295 までで、それ以上はオーバーフローする)測定した結果は、
         A=0、TMR0L=0 ×各1回:  4.195181200(前後2回の平均)、    A=0、TMR0L=0 ×各11回:  4.915177415
であり、その差を10で割った値(= 動作クロック12MHzの1命令あたりのカウント数変化分)は、  0.0000003785  より、

       ∴   補正係数 = (4.9158200 + 0.0000003785) / 4.9158200 = 1.000000077
となった。
  (参考までに、33.0000MHzオシレーターで測定した補正値(ただし8の倍数)は、1.000000092)
  補正係数の掛け算は電卓で計算する。(マイコン内では桁数不足で丸められる) これで、たとえば 100回測定して、

          32.99992500MHz(測定値) × 1.000000077(補正係数) = 32.99992754MHz(補正値)
となり、8桁目から影響を与える数値であることがわかる。

   


  ● ソース




  4. TCVCXO の使用:


  VCXOは電圧可変型、TCXOは温度可変型のそれぞれ水晶発振子で、TCVCXO(略してTVX)はその両方の可変ができる水晶発振器である。 今回、12.8MHzのTCVCXO(LFTVXO CFPT−125、電源3.3V、7mm×5mm、Vc = 1.65±1V、(販売:RSコンポーネンツ))が手に入ったので、前節2.の TTLプリスケーラ付き周波数カウンターの1秒ゲートタイム用発振器に用いて改造した。
  発振側のPIC18F14K50では、出力信号3.3Vを5Vにするための74LS00を基板の下に追加工し、CLKIN(2pin)に入力して、FOSC = ECH(外部クロック・高速)、T1_SOURCE_INT、T1_SYNC_EXT_ON とし、後は同様にタイマ1のオーバーフロー割込みでゲート時間を設定した。(T1OSI に入れるとレゾネータと干渉してふらつく)
  また、上記3.の、GPS校正器と同様に、10回、100回総和スタート/ストップ・ボタンを付け、さらに精度アップできるようにした。

  恒温槽は、前回と同様に組み立て エポキシで固定して作成した。(下と角部には発泡スチロールを置く) また、発熱用セメント抵抗を 2W22Ω×3(直列)とし、電源9Vでもう少し高温側でも使えるようにした。(* TCVCXOに リード線をハンダ付けする際 接着部分を破損しないよう注意)

 


  同時に埋め込んだ温度センサ:LM35DZの温度と、表示される周波数(33MHzオシレータ)でプロットした結果は 下のグラフのとおりである。
  TCVCXOは、それ用に作られた水晶を使用しているので 非常に良好な結果で、全体がなだらか(前回の 1/10)であると共に、50℃付近に平坦領域が現れた。(実際の温度は、3〜4℃高い方にシフトしていると思われる) これによって、サーモスタットICで制御された温度が±1℃ほど変化しても 周波数は8桁目が±1程度におさめることができる。

  


  調整、および、校正は、3.のGPS校正器を用いて 以下の手順で行った。

  (1) 恒温槽の温度設定は、サーモスタットICのコントロールVRにより、センサの出力電圧の数値で、51℃に合わせた。

  (2) ケースの裏に設けた 約12.8MHz信号OUT端子(発振源は同じ)より、同じ信号を GPS校正器(補正計算を入れる)と 分岐して測定し、本機の (割込み繰返し数)、TMR1H、L の数値を設定する。(* このとき、Vc (コントロール電圧)を与える多回転VRを回しても 数値は変わらないことに注意  ・・・・ 犬も歩けば 影も歩く?

  (3) 他の信号源(33.0000MHz、4.9152MHzクリスタルオシレーターなど)の信号を、(2)と同様に GPS校正器と分岐して、Vc調整用多回転VRで合わせる。 この抵抗分割の場合は、たとえば 33MHzで、32.999784〜33.000058のように、フルに回して Δ= 300程度もの調整範囲だった。



     ● ソース         ● ソース(発振器)






     § 時間について:


  今年(2012年)の6月3日から京都で開かれた ニュートリノ・宇宙物理国際会議で、去年、世界中に物議を醸した OPERAグループが、”ニュートリノが光よりも速い”という実験報告を撤回しました。 これは、5月10日〜23日のOPERA自身の再現実験で、光速との差が無いという結果によるものです。そして、以前から疑問視されていた GPS衛星を利用した時間計測システムで、GPS時計につなぐ光ケーブルに接触不良があったことが、その誤差(6×10-8S = 60nS ・・・ 上記の8桁目で 6も違う)の原因だったそうです。
  結局、アインシュタインの相対論は相変わらず正しいという結論で、世界中の物理学者たちは安堵したそうです。(ちょっと がっかりもしたかな?)

  GPS衛星にも搭載されている セシウム原子時計(精度: 1011 〜 1015)は、水晶発振器起源のマイクロ波をセシウム蒸気に当て、セシウムの励起状態が最も多くなるマイクロ波(9.192631770GHz)になるように水晶発振器の周波数を自動調節し、この発振器からのマイクロ波を何度も分周して 一定のゲート時間における波数を数える仕組みです。
  時間計測とは、結局のところ、周波数カウンタそのもので、しかも 相変わらず 水晶発振器の技術がその中心的役割を担っています。 近年、ニューセラミックス技術が発展し、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)などの圧電セラミックを用いた振動子(レゾネーター)が作られていますが、依然として水晶発振子の精度には及びません。(水晶: ○○.○○○○MHz、PZT: ○○.○MHz 等)
  水晶は、宇宙にある素材としては SiO2としてきわめてありふれた存在にもかかわらず、”磨けば”特別な性能をあらわすのは驚くべきことです。水晶は、神様が人類に与えられた最高の素材の一つであると思われます。他の宝石も、そのようなものでしょう。



  さて、「時間」とはいったい何でしょう?

  「神に似せて造られた」(創世記1:26)人間と、そうではない他の動物との決定的な違いは、人間が「霊的存在」であることです。 そして、人間は、「時の流れ」、「永遠」という概念を理解できる存在です。
  生物学的にも、慢性の精神分裂症患者の脳中のグルタミン酸濃度の測定結果から、前頭葉の10野の ”未来についての事柄、予測、計画を担う部分が、ヒト特有であり、サルには無い部分であることが分かっています。(→ (5)人間の脳の特異性


  物理学では、「時間」とは、「量子時間」として、最小の時間単位: プランク時間 というものの繰り返しで成り立っているといわれています。 この、宇宙論でよく議論される プランク時間とは、プランク長を光速で通過するのにかかる時間で定義され、これ以上の短い時間には物理的意味をもたない、という最小の時間単位です。
  神様は、天地万物を、量子力学で扱われるような 不連続体の集まりとして造られました。 そして、この”不連続性の発想”は、DNAや、デジタル回路や、コンピューターのプログラムのステップ・動作クロックにも(規模や次元は大きく違いますが、)同様に適用されているものです。



  聖書的に、「」とは いわば”不完全数”、「創世記」の「第6日」に造られた「人間」と「獣」を類推させ、神様より次元の低いところから ”極限まで近づこうと努力するアプローチ”を表しています。 「6」は、人の領分、被造物の領分です。 終末の「反キリスト」の象徴数は「666」で、あらゆる方面で神に及ばない、不完全な者 という意味もあります。
  時間計測においても、その精度を何桁まで追求する、という、同様のアプローチが行われます。しかしながら、被造物には「不確定性原理」という、どうしても越えられない壁が厳然として存在しています。 精度良く周波数計測をするには、それなりの長い計測時間(ゲートタイム)が必要となってきます。 単純に、1秒のゲートタイムで測定していたものを、10秒かけると測定精度は1桁UPします。 そして、完全にその値を特定するためには 無限の時間(Δt = ∞)を要します。

         Δt ・ Δf > 1 (古典的な周波数測定の限界、 Δt :測定時間(ゲートタイム)、 Δf :測定する周波数の誤差)、

         Δp・Δq > h/4π (量子力学的測定の限界、 Δp:運動量の測定誤差、 Δq:測定することによる位置への擾乱、 h:プランク定数)
                               ・・・ ただし、近年、”小澤の不等式”で数式上一部修正された(不確定性原理の本質は同じ → 3.小澤の不等式


  これに対し、「」は 「完全数」と呼ばれ、創世記の「第7日」に、神様が、創造のわざを完成され、休まれた、「安息の日」をあらわす数です。 この「7」という数は、象徴的に”極限そのもの”であり、神様がわざをなさる方法 ・・・ 現在、「奇跡」と呼ばれるもの ・・・ と同じです。 「7」には、御子イエス様が御生涯に行われたさまざまな不思議としるし、そして、御子イエス様を 十字架の死から復活させた神様の根源的な力を感じさせます。

  奇跡やいやしは、あたかも初めからそうであったように、(全く 途中経過の痕跡すら残さず、)あるとき瞬間的に、しかも完全に、その事がなされます。(実は、永遠の命を受ける「救い」についても同じ)

         「祈って求めることは すでにかなえられたと信じなさい。そうすれば、そのようになります。」 (マルコ11:24)


  そして、奇跡は規模によらずに 神様は語られたことを必ず成就させます。なぜなら、神様は、天地万物をたったの6日間で造られた偉大な方だからです。 神様のわざは単純明快で、まるでマンガのように事を行われます。 「幼子」たちに 主は栄光を見せてくださいます。

         「日は、まる1日ほど、出てくることを急がなかった。」 (ヨシュア10:13)


  極限の思索として、数学の3大分野の一つ、解析学の数学定数 e (自然対数の底)を思い起こさせます。 定数 e は、その名のとおり、”自然”の中のあらゆる部分に見出せます。そして、残りの2つの数学定数 i 、π に関連して、「」 と 「いのち」 を表現します。 主は、死と いのちを さばくお方です。

         「万物は、御子イエスにあって造られた。」 (コロサイ1:17)


  神様は、唯一、時間を超越しているお方です。
  奇跡でも、前もって見た幻を、主の時に成就させます。そして、「預言」、特に、「予告・予知の預言」では、未来のことを現在に持ってきます。
  この 特に、未来の事を持ってくることができるのは「神」以外にはありません。それゆえ、預言の霊によって語ることは、イエス様のあかしそのものです。

         「イエスのあかしは預言の霊です。」 (黙示録19:10)




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