低融点合金


 1.低融点合金

  (1) はんだ:
 はんだは錫(Sn)と鉛(Pb)との合金(Sn 62 : Pb 38 wt%の共晶合金*)で、それぞれ単独の金属よりも融点が低い。(mp : Sn 232℃、 Pb 327.5℃、 はんだ 183℃)
 はんだは融点が低い為酸化させずに扱いやすいので、その成分である錫との合金ができやすい銅やそれを用いた電子部品やトタン(亜鉛めっき部)などの接合に多く用いられる。
 また、はんだに銀などを添加して耐酸化性や接合強度を改善したり、アルミ用のはんだが開発されたりしている。(アルミ用:錫91-亜鉛9、錫60-カドミウム40など)

 (2) 易融合金:
 はんだに、ビスマス(Bi、mp271.4℃)、カドミウム(Cd、mp321.1℃)、インジウム(In、mp156.63℃)、ガリウム(Ga、mp29.78℃)などを添加したものの中にはさらに融点の低い共晶合金があって、水の沸点以下で溶融するので、スプリンクラ−や防火扉の接合に用いられる。また、インジウムとガリウムとの合金は常温で液体かつ無毒なので、水銀の代用になり、また真空機器の一時的接着に用いられる。

mp(℃) Bi Pb Sn Cd In 合金組織
  46.7 44.7 22.6  8.3  5.3 19.1  共晶
  60.0 53.5  17  19  − 10.5  共晶  
  70.0  50 26.7 13.3  10  − 四元共晶 エルハ−ト
  60.5  50 25.0 12.5 12.5  −     ウッド
 100.0  50 28.0 22.0  −  −    ロ−ズ


 2.低融点合金の実験

 1) 共晶はんだの作成;
 錫31gと鉛19gを量り取り、試験管に入れ、(できれば酸素を断って)加熱融解するとできる。

 2) はんだの融点(共晶温度)の測定;
 はんだ(6:4はんだ)約50gを量り取り、太い試験管またはアルミナ管(タンマン管)に入れ加熱融解し、熱電対または保護管に入れた棒温度計(200℃用)を中まで差込み、空冷時の温度の時間変化を測定する。凝固時に曲線が水平になる温度がはんだの融点として読み取れる。この場合、はんだが あたかも純粋な金属の融点のような一定の凝固温度(=共晶温度)を持つようにふるまい、このとき、液相も固相もすべての温度範囲で同じ共晶組成になっている。
 はんだの組成が共晶組成からずれている場合(例えば、1:1はんだ(Sn50-Pb50wt%))は、凝固時に固相と液相が同時に組成変化するので、温度変化は一定値にならず なだらかになる。
   ((注) はんだは凝固時膨張するので直接温度計を入れると破損する。水銀を用いた温度計は使用しないこと。)

 3) 易融合金の作成;
 *  ウッド合金(mp=60.5℃、共晶) ・・・ 
 ビスマス16.0g、鉛8.0g、錫4.0g、カドミウム4.0gを量り取り、試験管に入れ加熱融解する。
 出来た鋳塊は、熱湯に入れると溶融する。


 


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