常温核融合の実験;(経過報告) 


 いろいろなホームページを見ると、水溶液中での電解による電極表面の核融合反応らしきものが認められると言う報告がある。最も反応が起こりやすい(核間のエネルギー障壁の最も小さな)水素でさえも、核融合は相当高温でなければ起こらないとされているので、軽水(普通の純水)を用いてそんなに簡単に起こるならば、いたずら心でちょっとやってみようと思い実験してみた。

   核融合反応: H(水素・p(陽子)1) → D(重水素・p(陽子)1+n(中性子)1)
                      → T(三重水素(トリチウム)・p1+n2)
                      → He(ヘリウム・p2+n2) → ・・・・・

 【実験】;
 ・ チタンボルトによる炭酸カリウム水溶液の電気分解;

 チタンはパラジウムと同様に水素を侵入型元素として吸収しやすく水素どおしが会合しやすくする働きがある。だから電気分解によって積極的に水素(陽子)を押し込めてやると核融合が起こる可能性がある。
 チタンボルトφ8mmを陽極・陰極とし、浸漬部50mm、極間距離(芯間)50mm、炭酸カリウム水溶液(軽水・K2CO3約1mol(7g/100ml))を100mlビーカーに100ml、電解条件:7〜9(初期)V、2.5A、温度55℃(通電安定時)で行なった。
 放射線の測定には、市販のガイガーカウンター・キット(GM管:D3372・L=16mm、β、γ線用)を図の位置で使用した。これは、β線で500KeV以上、X線で60KeV以上あるいはγ線の測定可能である。
       
 ところが、電解スタート後約10分ほどで電流が流れなくなった。これは、陽極に用いたチタンボルトが陽極酸化して不導体の酸化膜ができた為である。

           

 そこで、陽極に使用しても酸化しない白金族のイリジウムをめっきした不溶解性陽極を用い、同様に電解を行った所、電流値はほとんど変化せず安定的に電解できた。チタン陰極は水素を吸収しても導体であった。液量の変化は一時間につき2ml減でほとんど変わらなかった。
 測定した放射線のカウント数は次の通りである。
 

  時間・t(min) 10 20 30 40 50 60 70 80
累積カウント数・n(回)  12  32  52  78 109 126 148 162


   cf.1  電流無し(B.G.+K分)

t(min) 10 20 30 40 50 60
n(回)  15  37  55  77  97 116


   cf.2  B.G.のみ 

t(min) 10 20 30 40 50 60
n(回)  17  39  55  76  95 115


 【考察】; 
 チタン陰極はその表面に水素を吸収して、表面の組成がTiHx(x≦2)となるはずで、チタンボルトが褐色に変色した。そして、実験開始後50分あたりから何となくカウント数が10%くらい増加してくるように見えるのである。
 B.G.(宇宙線や自然界からの放射能によるバックグラウンド)はほぼ一定で、また、カリウム分による放射線(40K→39K+β)もこの場合ほとんど無視でき、あっても一定値である。

 したがって、チタンと水素が反応し飽和しかけたある時点から、常温核融合が起こっている可能性が高いように思われる。

 今後も、さらに電流密度を上げ、追加実験を行なう予定である。


 【参考文献】;
 ・ 核変換−常温核融合の真実 水野忠彦著 工学社


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