めっきの実験;


 1. 簡単なめっきの実験;

 1) ニッケルめっきの実験;

 めっき液(普通ニッケルめっき浴)を調整する。
 硫酸ニッケル7水塩(NiSO4・7H2O)15g、塩化アンモニウム(NH4Cl)1.5g、ホウ酸(H3BO3)1.5gを温水に溶かして100mlとする。この溶液50mlを100mlビ−カ−に入れて、陰極にめっきしたい金属板(銅板3×4cmなど)、陽極にニッケル板(短時間ならば黒鉛棒、乾電池の芯など)を吊るし、1.4〜3V程度の電圧をかける。電源装置が無ければ、乾電池2個直列でもよい。被めっき板にマジックなどで模様を書いておくとその模様以外の所のめっきができる。(使用した溶液は何回か使えるのでポリ瓶などに入れ取って置く。)
        
 さらに簡単には、電解漕のかわりに、図のような塗布型の陽極を用いても良い。
        

 2) 亜鉛めっき(酸性浴)の実験;

 めっき浴は、酸化亜鉛(ZnO)8〜10gを10%硫酸約100mlに溶かし、カリみょうばん3g、塩化アンモニウム1.5gを加えて作る。(ジンケート浴の場合、ZnOは希薄なNaOHには溶けにくい。)
 陽極:亜鉛板、陰極:銅板、3VDCで5〜15秒電解すると、銅板に白っぽい色の亜鉛めっきが施される。さらに、これをバーナーで赤熱すると簡単に表面の亜鉛が銅と合金を作り真鍮めっきに変わる。
     


 3) 銀鏡の実験;
 別々のビ−カ−に、硝酸銀(AgNO3)*2g、ホルマリン20mlを入れそれぞれ純水を加え溶かし100mlとし、銀鏡を付けたい容器に入れる直前に混合し、流し入れ静かに放置すると、容器の底や側面に銀鏡が出来る。(* 劇物・・・体や衣服に付かないように注意。)


  2.主なめっき処方について(水1l中の含量);

 Cu: CuSO4・5H2O  200g       浴温度:   25〜35゜C
     H2SO4        50g       電流密度: 2〜5A/dm2

 Cu(無電解):
     CuSO4・5H2O   10g                室温
     ロッシェル塩     50g             (1〜2μm/h)
     ホルマリン37%   10g
     NaOH         10g

 Cu(無電解・高速浴・・・プリント基板用):
     CuSO4・5H2O   15g                75℃
     EDTA-4Na     28g             (5〜7μm/h)
     HCHO(アルデヒドとして) 3g
    ポリオキシエチレンドデシルチオエ−テル 0.06%

 Zn(ジンケ−ト浴):
     ZnO    15〜30g(Zn12〜24g)         15〜35゜C
     NaOH    160〜240g            0.5〜5A/dm2

 Zn(酸性亜鉛浴):
    ZnSO4       240g               20〜30゜C
    NH4Cl        15g               1〜3A/dm2
    Al2(SO4)3・18H2O  30g
    CH3COONa・3H2O  15g
    甘草エキス      1g

 Ni(普通浴):
    NiSO4・7H2O   150g               20〜30゜C
    H3BO3        15g              0.8〜1A/dm2
    NH4Cl         15g

 Ni(ワット浴):
    NiSO4・7H2O   300g               45〜70゜C
    NiCl2・6H2O    45g               2〜8A/dm2
    H3BO3        30g           ph   4.5〜5.5 

 Ni-P(無電解・P10〜14%含む硬い膜):
    NiSO4・6H2O   25g               65〜75℃
    次亜リン酸Na    25g           ph   10〜11
    ピロリン酸Na     50g               (15μm/h)

 Ni(電鋳・・・厚付け・緻密な膜)
    前処理; 銀鏡 ・・・ 剥離を容易にする+導電性
          A液: AgNO3 20g/l アンモニア性 
          B液: ホルマリン(40%HCHO) 200ml/l
            ・・・   A液、B液を直前に混合
    電鋳;  NiSO4・7H2O  240〜330g      45〜60゜C
          NiCl2・6H2O   38〜53g     2.5〜10A/dm2
          H3BO3       30〜45g     ph 1.5〜4.0

 Fe(電鋳):
    電鋳;  FeCl2       225〜450g      85〜95゜C
          CaCl2       110〜150g      2〜8A/dm2
                                ph 0.15〜1.5

 Sn: SnSO4      100g               20〜30゜C
     H2SO4      100g              1〜2A/dm2
    クレゾ−ルスルホン酸 102g
    ゼラチン         2g
    β-ナフト−ル     1g

 Sn-Ni(Sn70-Ni30合金めっき・・・光沢良、Niめっきの改良):
     SnCl2・2H2O   28g              50〜60゜C
     NiCl2・6H2O   30g             0.5〜1.5A/dm2
     K4P2O7(ピロリン酸カリ) 200g
     クエン酸アンモニウム  20g
     NH2CH2COOH     20g

 Fe-Ni(パ−マロイ):
     NiSO4・7H2O   200g              21±2℃
     NiCl2・6H2O     5g             0.8A/dm2
     FeSO4・7H2O    8g             ph 2.3
     H3BO3        25g
     サッカリン(硬化剤)  3g

 Fe-Co:
     FeSO4・7H2O     140g         16℃・・・Fe 62%
     CoSO4・7H2O    140g         90℃・・・Fe 30%
     CH3COONa・3H2O  40g           2A/dm2
                                  ph 4.0

 Co(無電解・P2〜4%含む):
     CoSO4・7H2O   0.07mol/l          90℃
     次亜リン酸Na     0.2mol          ph 9〜10
     クエン酸Na      0.2mol           15μm/h
     (NH4)2SO4     0.5mol
               (Bs10kG、角形比0.8、Hc1〜1000Oe)

 Ag(無電解):
     A液: AgNO3    6.7g/l           ph  8.2
         NH3 28%  6.4ml
         ホルムアミド  50ml
     B液: ホルマリン37%(メタノ−ル12%含有)  65ml/l
           直前にA液、B液を 9:1で混合する   25℃
                                  0.4μm/h

 Ag: AgCN*     36g              20〜30℃
     KCN*      60g           0.5〜1.5A/dm2
     K2CO3    15g
 (* 金・銀めっきはシアン化合物(毒物)を使用するので実験はお勧めできない。廃液の処理は多量の第一鉄塩を加えて無毒化して行う。決して酸性にしない事。)

 Pt: Pt 5〜10g(ジアミノ亜硝酸白金Pt(NO2)2(NH3)2として)
    NaNO2      10g                90〜95℃
    NH4NO3    100g                2〜8A/dm2
    NH3(28%)   50ml


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