2) 宇宙論に関する傍証
宇宙論において、その起源を説明する為の中心的な構成理論となっているものは”ビッグバン”説である。すなわち、宇宙は初めの大きな爆発によって始まり、それが四方八方に散ばり現在の膨張宇宙になっているというものである。 その証拠として、遠くにある星ほど発光スペクトルが長波長側にずれている(赤方偏位)、つまり、速い速度で遠ざかっている事が理由として挙げられている。 また、宇宙の起源の大爆発を説明する為の理論として、全く物理的根拠が乏しくきわめて純粋数学的な量子理論である”超弦理論”が用いられている。
以下に、ビッグバンの反証となるものを列挙しよう。
- 星・星雲までの距離・・・・・この距離と赤方変位すなわちハッブル定数により逆算して宇宙の年齢を出す。地球の公転を利用した”視差”により近くの星に限り距離を測定できる。しかし、それ以遠の星については”ケフェウス型変光星の振動周期”を未だ用いるしかないのである。近くにある(視差により距離が測定できる)変光星の周期と光量を測定した結果による周期と放射量の”経験則”を用いて、遠くにあるケフェウス型変光星(と思われる星、しかも何十億年も昔であるはずの)の周期と光量を測定し、この星、またこれを含む星雲までの距離を算出するのである。このように距離の測定が全く信頼性に欠けるものであり、進化論の年代測定と同様にいくらでも人為的に設定する事ができるものであることが分かる。(ちなみに、アンドロメダ星雲までの距離・・200万光年(1923)、宇宙の年齢・・140億
年とされている)
- 星雲の形と星雲群の分布・・・・・多くの星雲は渦巻き構造をしている。ところが、この生成過程の数値シミュレ−ションが行われた所、1回転で解体してしまったのである。その後、いくつかのモデルが考案されたがいずれもうまくいかないか、不自然なモデルであった。また、星雲群の空間分布は、石鹸の泡状あるいは発泡スチロ−ル状の分布をしていて、それぞれ直径1億光年ほどの巨大な真空群のまわりに集まっている。 そして、これはビッグバン説では決して説明できない。すなわちこの説を用いてシミュレ−ションを行うと重力不安定のメカニズムによりいずれも小さな凝塊群(銀河団)のパタ−ンになるのである。
- 宇宙内の元素の起源・・・・・超弦理論によるインフレ−ションの結果、重力、強い力、弱い力と電磁力の順に力が分離し、電子、陽子などの素粒子が生成し、ついに最も簡単な原子である水素が生成すると、これが重力により集まって星になったとされている。B2FH理論によると、星の内部における元素転換による燃焼反応により、原料である水素から始まって逐次ヘリウム、炭素、・・・鉄までの軽元素の生成がなされる。より大きな星になると、超新星爆発を起こし中性子捕獲反応により鉄以降ウラニウムまでの重元素が生成し、さらに陽子捕獲反応によりもっと重い陽子過剰元素が出来るとされている。しかし、リチウム、ベリリウム、ホウ素という原子番号が3から5の軽元素は、星の内部では合成できない事が知られている。この事は、これらの元素が宇宙の中に多量に存在するという観測事実と異なるものであり、説明がつかないものである。
- 最近算出された宇宙の年齢・・・・・最新のハッブル宇宙望遠鏡の観測(1994−95・1995ネイチャ−誌)による、4800万−5500万光年にある星雲中のケフェウス型変光星の光量と変光周期から、前述の”経験則”及びハッブル定数を用いて、宇宙の年齢は80−100億年と算出された。 これは、このように算出された宇宙の年齢は、その内部にある古い星の年齢よりも若いという矛盾した結果であった。
- 暗黒物質の想定・・・・・重力によるバランスの計算を行うと、 銀河内の星をつなぎとめておく為の質量は必要量の1/10しかなく、
星雲全体については1/100しかないことが知られている。膨張宇宙論において今の宇宙の形状を保持する為に、星以外の大部分の質量をになう”暗黒物質”というものを導入せざるを得なかったのである。ところが最近、素粒子のひとつであるニュ−トリノに質量があるという観測結果が発表された。(東大宇宙研究所・byス-パ-カミオカンデ・1997)このニュ−トリノに電子の1/20000程度の質量があれば、膨張宇宙モデルの質量バランスを説明できるそうである。(さらに、遠くにあるクェ−サ−などの重力蜃気楼も説明する。)しかし、では一体、宇宙の9割以上もの質量をになうほどの膨大なニュ−トリノはいかにして生成したの
であろうか。素粒子反応のバランスからは非常に考えにくい事である。
- ブラックホ−ルの実在・・・・・一般相対性理論のシュバルツシルド解などによって予言されていたブラックホ−ルは、ごく最近相次いで発見されている。たとえば、射手座にある銀河系の中心部に巨大な(太陽の250万倍の質量)ブラックホ−ルがある事が報告された。(1997・独マックスプランク研と米カリフォルニア大が独立に)ビッグバン説のように、もし膨大な質量が一個所に集まると、それは爆発ではなくて爆縮して一個の非常に大きなブラックホ−ルが出来るはずである。ニュ−トリノにさえ質量があるとすれば、光以外の素粒子が生成した瞬間に潰れる事になる。 ちなみに、ホワイトホ−ルのような物質の再生機構は未だ発見されていない。
- 超弦理論について・・・・・超弦理論(超ひも理論)こそ、宇宙の起源とされるビッグバン説を裏付ける唯一の理論である。ところが、この理論は非常に風変わりな理論である。なぜなら、数学的にはトポロジ−を用いたエレガントな理論ではあるが、通常の物理変数を全く用いず、実在しない高次元の超対称性(26次元または10次元で無矛盾)のみから出発する理論である。すなわち、初め何も無い所から、”量子論的ゆらぎ”によって高次元の超弦が発生し、それが壊れて各種の力(重力など)が分離し、さらに各素粒子が生成してビッグバンが起こったというのである。(各素粒子は弦のそれぞれの振動モ−ドで表現される。この理論は、実証不可能な量子物理を使用しており、その証明の為にはエネルギ−のオ−ダ−として銀河系程度の大きさの加速器が必要となるのだそうである。) ここで、問題となるのは”量子論的ゆらぎ”という概念である。前述の2つのEPR実験の結果及び町田・並木理論により、量子論の世界においてもすべてが摂理に
よって動かされ、”偶然”というものがすでに否定されてしまったのである。それゆえ、”量子論的ゆらぎ”という概念は存在し得ないのである!。したがって、超弦理論によるインフレ−ションの展開はまちがいであり、ビッグバン説はその支持理論を失ったのである。
以上の検討結果からビッグバン説は崩壊し、代わりに、”創造主による瞬間的な大創造”の理論的可能性が強く出てきたのである。”大人の宇宙として外部から瞬間的に創造された”とする方が、論理的に妥当なのである。