(6)  パルス電解の実験



 電解質をパルス状の電流で電気分解すると、発生する水素ガスや酸素ガスが直流によるよりも多くなるという記事を読んだことがあるので、それが本当なのか確認する実験をしてみた。

 1. 実験装置の緒元;
 方形波電源と直流電源を並列に接続し、ガス量の測定をしながら途中でパルスとDCを切り替えることが出来るようにした。
 電解液は2%NaOH200ml+水で1lとしたもの(測定時の液温は18〜20℃)。
 電極はニッケル陽極、白金陰極で、逆さにしたメスシリンダ−によって発生した水素ガスを捕集しその量を測定した。(電極間距離は約20mm)





 2. 実験結果;
 10から30分間アイドリング電解をした後、30分おきにパルスとDCを切り換え10分おきに測定した。
 電解電流を0.10Aに固定した所、電解電圧はパルスで5.7〜6.0V、直流で3.0〜3.6Vであり、電解質の濃度によってかなり影響を受けた。(電極間に電池反応により発生する電圧は1.2Vであるが、電解には影響しない。)
 また、電源の性能の為、方形波率を10%にした場合は平均電流を0.07A(パルス5.6V・DC2.2V)、および導電性を上げる為にNaOH1%に設定して実験を行なった。





 結果は、とりあえず1k〜10kHz・方形波率10〜50%ぐらいでは、直流も方形波も平均電流を固定すれば発生するガス量は変わらない、というごくあたりまえのものだった。発生した水素も、ブラウンガスというような特殊なものにはなっておらず、通常通り空気と混ぜると爆鳴気となる普通の水素であった。


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