コロサイ人への手紙



  第1章


 1 神のみこころによるキリスト・イエスの使徒パウロと、兄弟テモテから、
 2 コロサイにいる、キリストにある、聖徒たちであり忠実な兄弟たちへ。私たちの父なる神から、また主イエス・キリストから、大いなる恵みと平安とが、あなたがたにありますように

 3 私たちは、私たちの主イエス・キリストの父なる神に感謝し、いつもあなたがたについて祈っています。
 4 それは、キリスト・イエスにあるあなたがたの信仰と、すべての聖徒へのあなたがたの愛のことを聞いたからです。
 5 あなたがたのために天に包んで置かれている望みに基いて、この信仰と愛があるのです。その望みについては、あなたがたはすでに、福音の真理のみことばによって聞いています。
 6 そして、この福音は、世界中のあらゆる所でそうであるように、あなたがたのところまでも届けられました。あなたがたは、真理のうちにある神の大いなる恵みを、聞いて、よく理解したとき以来、実を結んで成長しているのです。
 7 あなたがたはこの福音を、私たちのしもべ仲間である、愛するエペフラスから学びました。彼はあなたがたのためのキリストの忠実な奉仕者であり、
 8 また、御霊のうちにあるあなたがたの愛を、私たちにはっきり知らせてくれたのです。

 9 このゆえに、この事を聞いた日から、私たちも絶えずあなたがたのために祈り、願い求めています。すなわち、あなたがたがあらゆる霊的な知恵と理解力にあって、神のみこころを深く知り、
10 主にふさわしい歩みをすることにより、すべてにおいて主を喜ばせ、あらゆる良いわざの実を結び、神を知る知識が増し加えられることです。
11 また、あなたがたが、神の栄光の権能に従ってすべての力によって強くされて、すべて、信仰に踏みとどまり忍んで待つときに喜びが共にあるように、
12 また、光のうちにある、聖徒たちの相続の部分にあずかる資格を与えて下さった父なる神に、感謝することを、祈っています。


13 神は、私たちを暗やみの力から救い出して、その愛する御子の支配下に移して下さいました。
14 私たちは、この御子の血潮を通して贖い(あがない)を、また、罪の赦しを受けているのです。

15 御子は、見えない神の形であり、すべての被造物に先立って存在された方です。
16 万物はすべて、御子にあって造られたからです。 天の中にあるものも、地の上にあるものも、見えるものも、見えないものも、王座も、主権も、支配も、権威も、これらすべてのものは、御子を通して造られ、御子のために造られたのです。
17 御子は万物よりも先に存在し、万物は御子にあって成り立っています

18 そして御子は、その御体である教会のかしらです。彼は初めであり、死人たちの中から最初に生まれた方です。それは、ご自身がすべてのことにおいて第一のものでおられるためです。
19 神は、みこころによって、御子のうちに神のすべての満ち満ちた豊かさを住まわせ、
20 そして、その十字架の血を通して平和をつくり、御子を通して、万物、すなわち、地の上にあるもの、天の中にあるものをことごとく、ご自分と和解させて下さったのです。
21 あなたがたも、かつては悪い行いをして神から疎外され考え方において神に敵対し、邪悪な行ないをしていました。 ただし今は、
22 御子の肉の体にあって、その死を通して、あなたがたを神と和解させ、神の御前に、あなたがたを聖く、傷のない、責められるところのない者として、みそばに置いて下さったのです。

23 ただし、あなたがたは、土台の上にしっかりと建てられた信仰にとどまり続け、すでに聞いている福音の希望から離れ去っていくことのないようにしなさい。この福音は、天の下にあるすべての造られたものに宣べ伝えられたものであり、、パウロがその奉仕者なのです。
24 今私は、あなたがたのために苦難の中にいることを喜んでいます。 教会というキリストの御体のために、キリストの苦しみの足りないところを、私の肉にあって満たしているのです。
25 私は、神の摂理的な導きに従って、教会の奉仕者となりました。それは、神のみことばを余すところなく伝えるためです。
26 そのみことばの奥義は、代々に渡ってこの世から隠されていましたが、今や、神の聖徒たちに明らかにされました。
27 神は、彼ら聖徒たちに、異邦人が受けるこの奥義がいかに栄光に富んだものであるかを、知らせたいと思われたのです。 この奥義とは、あなたがたのうちにおられるキリストであり、栄光の望みのことです。
28 私たちはこのキリストを宣べ伝え、知恵を尽くしてすべての人を訓戒し、また、すべての人を教えています。それは、すべての人をキリストにある成人として立たせるためです。
29 私はこのために、私のうちに力をもって働いておられるキリストの働き従って、奮闘しながら労苦しているのです。


   *  コロサイは、小アジア中央西部のフルギヤにあったペルシャ時代からの町(ラオデキヤの近く)で、BC4−5世紀には繁栄した大きな町だったがパウロの時代には衰退していた。かなりのギリシャ人と、BC2−3世紀から移住してきたユダヤ人が多く住んでいた。 パウロが初めて伝道したのは、エペソ伝道の期間中に近隣も伝道した時と考えられている。(使徒19:10) この時に救われたエパフラスを除いて、「直接顔を見たことのない人々」(2:1)とあるように、この地へのパウロの直接的伝道は無かったといわれている。
     § パウロはすでに提出された上訴状のローマ皇帝(ネロ)による判決を待つ間、ローマで借りた家で比較的自由な2年間の軟禁生活(AD60年前後、一人の兵士と軽い鎖でつながれていた)を送っていた。(使徒28章) このとき、コロサイやラオデキヤのあるリュコス川流域の宣教をしていたエパフラスらが、はるばるローマまでやって来て状況を報告したが、あまり芳しくない内容だった。 それは、危険な一つの思弁的な異端思想(グノーシスの霊力(ストイケイア) + ユダヤ教的禁欲主義(肉体の苦行)の、合体したもの)が侵入したことだった。(これはエッセネ派、あるいは、使徒ヨハネが戦ったケリントス異端ともいわれている。 本格的なグノーシス異端は2世紀に最盛期) そこでパウロは、正しい福音理解による信仰生活と、教会形成とを教え諭すために、この手紙を送った。

   *2  § 最初に恵み(カリス、ギリシャ的あいさつ)と平安(エイレーネー(ギ)(シャローム(ヘ))、ユダヤ的あいさつ)を祈るのは、パウロの手紙の特徴
   *3  まず神について明らかにして、イエス・キリストとはっきりと書き出している (当時のギリシャ社会の手紙は、縁起の良い言葉で漠然とした”神々”を書いたのみ)
   *5  アポケイマイ(ギ) be laid away、reserved、(布に包んで)置かれている、  望み = 約束されたもの、 § (人から出たものではなく、)神の確実な約束によって、信仰と愛が支えられている。 そしてその約束は、神の語る言葉(レーマ)、ここでは「福音のみことば(ロゴス)」に基く (ロマ10:17)
   *7  シュンドゥーロス(ギ) fellow servant、雇い人仲間、しもべ仲間 (マタ24:49)、  ディアコノス (王の)召使い、仕える者、執事、給仕者
   *11  ヒュポメノー 留まる(ルカ2:43)、(信仰の立場に)踏みとどまる (Tコリ13:7)、  マクロシュメーオ(ギ) be longsuffering、(時間をかけて)忍耐する (Tコリ13:4)
   *14  ディア トゥー ハイマトス アウトゥー(ギ) through the blood of Him、御子の血潮を通して  (レビ1:5、17:11)  (cf. Tコリ11:24 「裂かれた(わたしの体)」 抜け)
   *15  エイコーン(orイーコーン)(ギ) image、figure、像、形、イコン、(神の完全な)表象・啓示、 (エジプトでは、ツタン(カーメン) = (アメン神の)生ける形 のように用いる)  「御子の神性」 (ヨハ1:18、ヨハ14:9 等)、  プロートートコス firstborn、(直訳) 長子、(時間と関係なく、栄誉の称号としての)「最初に生まれた者」 の意。 御子は神であり、創造されたのではない)  「御子の先在性」 (ヨハ1:1、黙1:17 等)
   *16  エン アウトー(ギ、与格) in Him、御子にあって、  王座〜権威: 御使いのこと、  ディ アフトゥー(属格) by(through) Him、  エイス アフトン(対格) for(into、toward) Him
     § 御子は、御父と、聖霊と共に、天地万物を創造され、また被造物の中に御子のしるしが刻まれている。 神の霊が水の上で孵化させるよう動き(創1:2)、神のことばが「光よあれ」と言葉を発せられた(創1:3)、 天地創造以前に、御子が御父と共に万物を創造された(箴言8:22、マソラ訳)、  また、天と地に御子による創造のしるしが刻まれていることは、Tヨハ5:7、8(ビザンチン型底本、KJV)に類推される ((参考) 数学定数の一つ、自然対数の底 は、あらゆる自然(被造物)を貫いて存在するしるし)
     § コロサイの異端は、天使的諸霊力(王座、主権、支配、権威)が万物を支配し、御使いを拝むよう主張し、キリストがこれらの諸霊力の一つであるかのように唱えていた。しかしここで、キリストがこれらを造ったことを明言することにより、にせ教師らの主張を一蹴した

   *17  シュネステーケン(ギ、完了) place together、set in the same place、stand with、comprehend、同じ場所に置く、共に立つ、含む  § 御子こそが、全宇宙を意義付ける法則であること
   *18  プロートートコス(ギ) firstborn、最初に生まれた者:  「復活」をこのように表現している、  プロテューオ be first、hold the first place、第一である
   *19  プレーローマ(ギ) thing is filled、completeness、fulness、abundance、満ちるもの、完全、豊かさ、  § 御使いが部分的権威であることに対し、御子に神の全存在が満ち溢れていること の意
   *24  § 今の獄中生活のこと。 苦しみ(スリプシス)は、救いのための贖罪やいけにえとは全く関係なく、キリストの十字架ですべて完結している。 みこころに沿って苦しんだ者が天にあって良い報いを受けること の意(ヘブ11:35、黙2:9、マタ5:11、12等)  (※ この箇所から、聖人(ローマ法王等の)が教会のために苦しみを委譲する、というアクィナス等による奇妙な中世カトリックの考えは間違い。後に”免罪符”の発行となった)
   *25  オイコノミーア(ギ) management; administration、dispensation、(家の)管理; 取り扱い、(神の)摂理



  第2章


 1 私が、あなたがたとラオデキヤにいる人たちのために、また、肉にあってまだ私の顔を見ていない人々のために、どんなに苦闘しているか知ってほしいと思います
 2 それは彼らが、心に勇気を再燃させ、愛によって結び合わされ、また、理解力によって豊かな全き確信に到達し、神の奥義と、父なる神と、キリストとを知るに至るためです。
 3 このキリストのうちに、知恵と知識とのすべての宝が、隠されて存在しているのです。
 4 私がこう言うのは、あなたがたが、誰によっても、説得力のある言論によって騙されないためです。
 5 たとい、私は肉体においては離れていても、霊においてはあなたがたと一緒にいて、あなたがたの規律とキリストに対するあなたがたの堅固な信仰とを見て喜んでいます。
 6 このように、あなたがたは主キリスト・イエスを受け継いだのですから、彼にあって歩みなさい。
 7 すなわち、キリストの中に根ざし、建て上げられ、また、教えられたことに従って信仰にあってますます強められていき、信仰にあってあふれるばかりに感謝しなさい。


 8 あなたがたは、あの虚しい騙しごとの哲学によって、誰のとりこにもならないように気をつけなさい。それはキリストから出たのではなく、世の諸霊力に従う人間の言い伝えから出てきたものにすぎないのです。
 9 キリストにこそ、あらゆる神性が、形をとって満ち満ちて宿っています。
10 そしてあなたがたは、キリストにあって、満たされているのです。彼はすべての支配と権威とのかしらです。
11 あなたがたはまた、キリストにあって、手によらない割礼を受けました。すなわち、肉の罪の体を脱ぎ捨て、キリストの割礼を受けたのです
12 あなたがたはバプテスマのうちにキリストと共に墓に葬られ、同時に、キリストを死人たちの中からよみがえらせた神のみわざを信じる信仰を通して、彼と共によみがえらされたのです。
13 あなたがたは、罪の中にあり、肉の割礼がないままで、死んでいた者たちでしたが、神は、あなたがたをキリストと共に生きるようにさせてくださり、私たちのすべての罪過を無罪放免としてくださいました。
14 神は、いろいろな規定によって私たちに対する、いや敵対し続けていた借用証書を帳消しにして、これを上げて、十字架の真中に釘付けにしてしまわれました。
15 そして、キリストにおいて、すべての支配と権威との武装を解除して、さらしものとし、彼らをその行列に加えて凱旋されました。
16 だから、あなたがたは、食物と飲み物について、あるいは祭りや新月や安息日のことについて、誰も批評することのないようにしなさい。
17 これらは、来たるべきものの影であって、その本体はキリストにあるのです。

18 あなたがたは、謙遜するという理由で天使礼拝する人々から、勝利の褒賞をだまし取られないようにしなさい。彼らは幻を見たという密議を受けて聖域に入り、肉の思いによっていたずらに誇るだけで、
19 キリストであるかしらに、しっかりと結びつくことをしません。 このかしらをもとにして御体の全体が、関節や靭帯(じんたい)を通して備え付けられ、互いに結合し、神の備えた成長が展開されていくのです。
20 もしあなたがたが、キリストと共に死んで、この世の諸霊力から離れたのなら、なぜ、まだこの世の生き方をしているかのように、
21 「すがりつくな。味わうな。触れるな。」などという規定に縛られているのですか。
22 これらは皆、一度使えば終わってしまうものに過ぎない、人間たちの規定や教えに従ったものだからです。
23 これらのことは、自ら作り上げた礼拝や、偽りの謙遜や、肉体の苦行などのゆえに、一見、知恵のある者たちのように見えますが、ほしいままな肉欲に対しては何の役にも立たないのです。


   *1  ラオデキヤ: コロサイから16km、ヒエラポリスにも近く、同じリュコス川沿い (4:13)、 黙示録が書かれた時代には、主に対する戸が閉じられ(主との交わりが無い!)、生ぬるい信仰であることが主によって非難されている(黙示3:14、15)、  § 今、皇帝ネロのさばきを待っていること
   *5  知識の賜物による遠隔牧会 (=Tコリ5:3−5)、  規律・配列(タクシス)と 堅固さ(ステレオマ) とは軍隊用語
   *8  フィロソフィーア(ギ) 哲学、(直訳)知の愛、   ストイケイア(ギ、複数) (兵士などの)一列に並べられたもの、アルファベット(=初歩の教え)、元素・原子(Uペテ3:10)、自然界に働く霊力、ストイケイア (ガラ4:3、9)  § 天体などに宿るとされ、運命を支配するとされたこの霊力は、ヘレニズム世界で畏敬され、ユダヤ教では天使礼拝に位置づけられた。 神と人との間に、様々な天使の霊力(キリストもその一つ)を設定して、それらを媒介するという秘儀 (ニューエイジ・汎神論に近いユダヤ教)
   *9  セオーテス(ギ) deity; Godhead、神性、神であること; 神格、(※ 新約聖書中ここだけ)   ソマティコス bodily、corporally、(直訳) 肉体的に、  § キリストの十全たる神性によって、これらの異端を完全に否定する
   *10  支配と権威: 御使い・悪霊のこと  § キリストはあらゆる諸霊力を制圧し、支配している
   *11  心の内面の割礼(エレ4:4)
   *15  アウトー(ギ、与格、単・男) Him、it、 (単・男より) キリスト、あるいは、十字架
   *18  (直訳) 謙遜の中で、しようと欲する、  § 神は人よりもあまりにも高いので、謙遜に、仲介的な諸霊力の助けを借りて神に祈り、それ相応に諸霊力にも礼拝する の意、(マリアにとりなしを祈ることも同様に異端的)   エムバテューオー 密議(入会)によって聖所に踏み込む (※ ここだけの言葉。近年、2世紀の碑文(クラロスのアポロ神殿)の解読により意味が判明)  § にせの幻を見て入り込んできた異端教理が結構ある (艱難期前携挙、セブンスデーなど)
   *19  (直訳) 神の(属格)成長が(対格)成長する
   *21  § にせ教師らが説いていた、低次元の、禁欲的な生き方
   *22  (直訳) 使うことにより朽ち果てる(腐ってしまう)もの、 → 一時的な(汎用性のない)、無価値な禁制 の意
   *23  エセロスレースケイア(ギ) voluntary(arbitrary) worship、(人の)自発的な(自由意思による、勝手な)礼拝



  第3章


 1 それゆえ、もし、あなたがたが、キリストと共によみがえらされたならば、上にあるものを捜し求めなさい。そこでは、キリストが神の右に座しておられます。
 2 あなたがたは、地上のものではなく、天にあるものを思いなさい。
 3 それは、あなたがたはすでに死んだのであり、あなたがたのいのちは、キリストと共に神のうちに隠されているからです。
 4 私たちのいのちであるキリストが現れる時には、あなたがたも、キリストと共に栄光の中に現れます。

 5 だから、地上の体に属する部分、すなわち、不品行、汚れ*、情欲、邪悪な渇望、また、どん欲を殺してしまいなさい。このどん欲がそのまま偶像礼拝なのです。
 6 これらのことのために、不信仰の子らの上に、神の怒りが下るのです。
 7 あなたがたも、以前、これらの中に生きていた時には、そのように歩いていました。
 8 しかし今は、これらすべてのこと、すなわち、怒り、憤り、悪意、誹謗中傷、口から出る卑猥な言葉を、捨ててしまいなさい。
 9 互いにうそを言ってはいけません。あなたがたは、古い人をその行いと共に脱ぎ捨て、
10 新しい人を着たのです。そして、創造主の形に従ってさらに新しくされ、真の知識に至るのです。
11 そこには、もはやギリシヤ人とユダヤ人、割礼と無割礼、未開人、スクテヤ人、奴隷、自由人の差別はありません。キリストがすべてであり、すべての中におられるのです。

12 それゆえ、あなたがたは、神に選ばれた者、聖なる愛されている者として、あわれみの心、親切、謙遜、柔和、忍耐して待つこと、を身に着けなさい。
13 互いに支え合い、もし誰かが他の誰かに苦情があったとしても、互いに赦し合いなさい。キリストがあなたがたを赦して下さったのだから、あなたがたもそのようにしなさい。
14 そして、これらすべてのものの上に、愛を着けなさい。 愛は、それらの完全なものを結ぶ帯です。
15 キリストの平安が、あなたがたの心の中で常に仲裁するようにしなさい。このためにこそ、あなたがたも召されて一体となったのです。 感謝する者となりなさい
16 キリストのみことばを、あなたがたの中に豊かに住まわせなさい。 知恵を尽くして互いに教え、戒めなさい。 詩と、賛美と、霊の歌を、感謝をもって、また心の中で、主に向かって歌いなさい。
17 そして、あなたがたの行なうことはすべて、言葉において、あるいは、わざにおいてによらず、すべて主イエスの名によって行ない、キリストを通して父なる神に感謝しなさい。

18 妻たちよ。主にある者にふさわしく、夫に従いなさい。
19 夫たちよ。妻を愛しなさい。つらく当たってはいけません。
20 子供たちよ。すべてのことについて、両親に従いなさい。これは主に喜ばれることだからです。
21 父たちよ。子供たちをいら立たせてはいけません。彼らを落胆させないためです。
22 奴隷たちよ。すべてのことについて、肉による主人に従いなさい。ご機嫌取りのような、見られている時だけの勤めをするのでなく、一つ心で神を恐れつつ、従いなさい。
23 何をするにも、人にではなく主に仕えるように、心から働きなさい。
24 あなたがたは、主からの報酬として、御国の相続を受けることを知っています。あなたがたは、主キリストに仕えているからです。
25 不正を行う者は、自分の行った不正の報いを受けます。それには不公平な扱いはありません。


   *1  神の右に座す: 詩篇110:1、マタ26:64、ヘブ10:12(さばき)、 使徒2:33(聖霊の注ぎ)、 ロマ8:34(とりなし)、 エペ1:20、Tペテ3:22、黙示3:22(支配)、他
   *5  不品行: 売春等を含む姦淫全般、 汚れ: 同性愛などの性倒錯(ロマ1:24)、 情欲、邪悪な渇望、どん欲: 内側からのもの、具体的な悪徳の動機となるもの
   *11  バルバロイ(ギ、複) 非ギリシャ人、野蛮人、未開人(使徒28:2、ロマ1:14)、  スクテヤ人: 草原地帯の騎馬・遊牧民(スキタイ人、アジア系)
   *14  § 愛: 12節の、5つの品性を束ねる帯として、 (※ 愛とは: キリスト者の最高の品性(Tコリ13:13)、信仰を有効とするもの(ガラ5:6)、律法の要約(ロマ13:8−10)、 (人間的に良かれとすることではなく、)聖霊とのコミュニケーションによる聞き従いのこと(Tコリ13:1−3)、神が「愛」(Tヨハ4:8、9))
   *15  ヨハ14:27  § キリストが遺産として残した「平安」  → 仲裁し  → 一体となる
   *16  § みことばを蓄えておくと、必要な時にそれがレーマ、「みことばの剣」となって、戦いに用いられる (エペ6:17)、   エペ5:19、 エン テー カルディア(ギ) in the heart、心の中で (エペ5:19)
   *17  エルゴン(ギ) business、any thing accomplished by hand、art、industry、act、deed、仕事、働きのわざ、  (祈りだけでなく、)わざにおいても、「イエスの御名」の権威を積極的に用いること (マコ16:17、18)
   *19  = アガペーの愛で愛しなさい
   *21  § エペ6:4には、「主の訓練(行ない)と訓戒(言葉)とによって、彼らを育てなさい」を付ける (参考: 箴言22:6、申命6:6−8)
   *18−25、4:1  ≒ エペ5:22−6:9



  第4章


 1 主人たちよ。奴隷たちに正義と公平を提示しなさい。あなたがた、天に主人がおられることをすでに知っているからです。

 2 感謝のうちに、しつこく粘り強く、目を覚まして、祈り続けなさい。
 3 同時に私たちのためにも、神がみことばのために門を開いて下さって、私たちがキリストの奥義を語れるように、 ・・・ 私は、この奥義ために獄につながれているのです。 ・・・
 4 また、私が語るべきことを、はっきり知らせることができるように、祈って下さい。
 5 機会を十分に生かして用い、外部の人に対して賢く行動しなさい。
 6 あなたがたの言葉が、いつも親切で優しいもの、ただし塩で味付けされたものでありなさい。 そうすれば、一人一人に対して、どのように答えるべきかが分かります。


 7 私の様子については、主にあって愛する兄弟、忠実な奉仕者、しもべ仲間であるテキコが、あなたがたに一切のことを知らせるでしょう。
 8 私が彼をあなたがたのもとに送るのは、あなたがたが私たちの様子を知り、また彼によって心に励ましを受けるためです。
 9 あなたがたの一人、忠実な愛する兄弟オネシモ*も、彼と共に送ります。彼らはあなたがたに、こちらのすべての様子を知らせるはずです。
10 私と囚人仲間となっているアリスタルコと、バルナバのいとこマルコとが、あなたがたによろしくと言っています。このマルコについては、もし彼があなたがたのもとに行くなら、迎えてやるようにとの指示を、あなたがたはすでに受けているはずです。
11 また、ユストと呼ばれているイエスからもよろしくと言っています。割礼の者の中では、この三人だけが神の国のために働く私の同労者です。彼らは、私を激励する者となってくれました。
12 あなたがたのうちのひとり、キリスト・イエスのしもべエパフラスが、よろしくと言っています。彼はいつも、祈りの中であなたがたを覚え、あなたがたが成人として立ち、すべてにおいて神のみこころを成し遂げるように、あなたがたのために祈りにおいて苦闘しています
13 私は、彼が、あなたがたのために、またラオデキヤと、ヒエラポリスの人々のために、非常に情熱を燃やしていることを証言します。
14 愛する医者ルカとデマスとが、あなたがたによろしくと言っています。

15 また、ラオデキヤの兄弟たちに、またヌンパとその家にある教会に、よろしく言ってください。
16 この手紙があなたがたの所で読まれたなら、ラオデキヤの教会でも読まれるようにしてください。またラオデキヤから回って来る手紙を、あなたがたも読んでください。
17 アルキポに、主にあって受けた職務をしっかり見て、それを成し遂げるように、と伝えてください。

18 パウロ自身が、自分の手でこのあいさつを書きます。私が牢につながれていることを、覚えていてください。 大いなる恵みが、あなたがたと共にありますように。アーメン

       (コロサイの人々へ。 ローマにて、テキコと オネシモが記す。)


   *1  § 当時、奴隷解放は失職(下僕になるか貧民街行き)を意味したので、奴隷制の撤廃ではなく、十分な権利を与えるよう勧めている。  この時期、逃亡奴隷オネシモの救いがあった (4:9)

   *2  プロスカルテレオ(ギ) (要塞を包囲するように、)執着して、粘りついて、執拗に、確固たる決心で  § しつこい人は人には嫌われるが、神はしつこく求める人を好まれる (創18:23−33)
   *5  (直訳) 時(機会)を贖い、時を買い上げ(賢く用い)、  (直訳) 知恵の中を歩きなさい
   *6  エン カリティー(ギ) in grace、 カリス(恵み・やさしさ・感謝) § 主の恵みを体験しながら歩く者にふさわしく、親切で優しい言葉を使い、(たましいを腐敗から防ぐ塩とともに、)聞く人が大いに恵みをうけるように (エペ4:29、「腐った言葉は、一切あなたがたの口から出してはいけません。必要に応じて人々を建て上げる良い言葉を用いて、聞く者が大いに恵みを受けるようにしなさい。」)
   *7  1:7、  テキコ (使徒20:4、エペ6:21)
   *9  オネシモ (ピレ:10): コロサイ教会員ピレモンの奴隷だったが逃亡し、ローマでパウロと接触して救われ、テキコが小アジヤに行くときピレモンのもとへ送り返された。手紙の中で彼のことを、奴隷とは呼ばず、「忠実な愛する兄弟」と呼んでいる
   *10  シュナイクマロートス(ギ) fellow prisoner、  アリスタルコ: 使徒20:4、19:29、 27:2 ローマ行きを共にするため、パウロの奴隷として乗船した、  ヨハネ・マルコ: 使徒13:13、 Uテモ4:11、ピレ:24 この時は
パウロの信頼する友人となっていた
   *11  § このパウロの最後の獄中において、ユダヤ人のクリスチャンで積極的に協力したのはこの3人のみ
   *12  アゴニゾマイ(ギ) gymnastic games; contend、struggle、戦う、苦闘する、  テレイオス 成人 あるいは完全なもの (1:28)
   *13  ゼロス(ギ) excitement of mind、zeal; envious、情熱、熱意; ねたみ深い
   *14  ルカが医者であることを知る唯一の箇所、高収入の医者の職を投げうって(テオピロの奴隷から自由人となり: ルカ1:3→使徒1:1)パウロの主治医、兼同労者となった (ピレ:24、Uテモ4:11)、  一方、デマスは、ピレ:24までは同労者だったが、Uテモ4:10では(棄教したのではなく、)要求の厳しいパウロから離れて行った
   *15  ヌンパ(女性): ラオデキヤのいくつかの家の教会の一つ、  § 家の教会(合同の時は屋外で集会): エルサレム: マルコの母マリヤの家(使徒12:12)、 エペソ、ローマ: プリスキラとアクラの家を解放(Tコリ16:19、ロマ16:5)、 コロサイ: ピレモンの家(ピレ:2)、 ピリピ: ルデヤの家(使徒16:15、40)、 コリント: ガイオの家(ロマ16:23)
   *17  アルキポ: 戦友 (ピレ:2)  § おそらく、エパフロスの留守中の牧会を任されていた






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