ヘブル人への手紙*
第1章
1 神は、昔は、預言者たちにより、多くの部分に分け、また多くの方法で、先祖たちに語られましたが、
2 この終りの時*には、御子にあって、私たちに語られました。 神は、御子を万物の相続者*と定められ、また、御子を通して世界を造られました*。
3 そして御子は、神の栄光の輝きであり、神の実体*の真の現われ*であって、その力の言葉*によって万物を保っておられます。そしてご自身を通して私たちの罪のきよめを成し遂げられ、いと高き所の大能者の右の座に着かれました。
4 御子は、どの御使いたちよりも優れた御名*を相続され、それと同じほど*、彼らよりもはるかに優れた方となられました。
5 神は、かつて、どの御使いに対して、こう言われたでしょう。 「あなたは、わたしの子。きょう、わたしがあなたを生んだ。」* さらにまた、「わたしは彼の父となり、彼はわたしの子となる。」*
6 さらにもう一度*言います。神は、この長子を人の住む地に導かれ、こう言われました。 「神の御使いたちはみな、彼を拝め。」*
7 また、御使いたちについては、「神は、御使たちを風とし、仕える者たちを炎とされる。」*と言われていますが、
8 御子については、こう言われています。 「神よ、あなたの御座は、世々限りなく続き、あなたの御国の杖は、まっすぐな*杖です。
9 あなたは義を愛し、不正を憎まれます。それゆえ、神よ。あなたの神は、あふれるばかりの喜びの油を、あなたと共に立つ者よりも多く、あなたに注がれました。」*
10 さらに、こう言われます。 「主よ、あなたは初めに、地*の基を据えられました。諸天*も、あなたの御手のわざです。
11 これらのものは滅びます。しかし、あなたは、いつまでもおられる方です。すべてのものは衣のように古びます。
12 それらをあなたは、外套のように巻かれます。これらのものを、衣のように取り替えられます。しかし、あなたは、変わることがなく、あなたの年は尽きることがありません。」*
13 神は、どの御使いに対して、 「あなたの敵を、あなたの足台とするときまでは、わたしの右の座に着いていなさい。」*と言われたでしょうか。
14 御使たちはすべて奉仕の実行に関わる*霊であって、救いの相続者たちに仕えるために、遣わされたのではありませんか。
* ヘブル人への手紙は、当初、ヘレニスト(異邦に住むユダヤ人で、七十人ギリシャ語訳の旧約聖書を読む)の改宗者向けに、おそらくパウロ書簡がまとめられた後のAD95年頃の著作といわれる。引用は初めから七十人訳を用いている。(著者は現在も不明。
少なくとも第一期の器たち(バルナバ、ヤコブ、ルカ等)ではなく、その弟子が書いた。 ex) アポロ(by.ルター)、シルワノ、プリスキラ等)
§ 著者は特定できないが、七十人訳聖書の形で旧約聖書を知る改宗者であり、都市生活者(13:14等)、イタリアに向けて書かれたらしいこと(13:24)、当初はエビオン派(エルサレム陥落(AD70年)の直前に、AD67年エルサレムからペラに脱出した、ユダヤ教の習慣をすべて保っていたグループ。後に異端になった)や、再びユダヤ教へ戻ることを考えているキリスト者、に対する批判として書いた人物と考えられる。 著者の手元には参考・引用のため、ローマ人への手紙、ガラテヤ人への手紙、レビ記の解説書やエルサレム神殿の礼拝の手引き、等があったと思われる。
§ 引用が七十人訳なので、随所に間違いがある。(一部、マソラ訳に直した。 特に6:14)
§ 内容は、パウロ書簡が「霊的経験」(復活、肉と霊、律法から恵みへ、信仰による義、御霊の賜物の働き、良い礼拝など)をテーマとしていたのに対し、 「大祭司のキリスト」論: ユダヤ教の犠牲はキリストの十字架の予型となった、福音はモーセの律法を更新するものでなく廃止するもの、レビ族の祭司職はキリストの祭司職の「予型(よけい)」である、ユダヤ教の動物の犠牲はキリストの十字架での犠牲の後では意味を持たず「幕屋の外で」(ユダヤ教を離れて)キリストに従うこと、等を語っている。 11章では特に、ユダヤ人にとって信仰が弱点であることに対応して、旧約の人々にも共通していた「信仰」について語っている。 ヘブル人への手紙は、手紙の体裁でありながら、実質は、ローマ書に次ぐ神学論文といえる。
*2 (直訳) これらの終わりの日々(複数): (※ 創造〜ノアの洪水までを第1周期、 ノアの洪水〜キリストの十字架までを第2周期(旧約時代)、 キリストの復活〜終末の時までを第3周期(新約時代) = 「終わりの時」、 残りの1000年王国の時代は第4周期、 全部で約7000年)、 クレロノーモス(ギ) (直訳)(割り当て地の)くじを引く者、相続人: 「万物の相続者」 (詩2:8)、 コロ1:16「万物を造られた」
*2(後半)、3 § 比類なき神の子、御子についての、7つの事実を列挙
*3 ヒュポスタシス(ギ) (物事の)根底にあるもの、実体、本質、保証、(3:14、11:1)、 カラクテール 彫刻の道具、刻印、正確な表現、 cf. コロ1:15(エイコーン、形)、 トー レーマティ(単数) テース デュナメオース(単数、属格) the word of power、力の言葉(レーマ) : 創1:3、イザ55:11
*4 「御子」という御名、 § ユダヤ人の天使礼拝を念頭において、旧約時代は御使いによって律法が与えられる(使徒7:53、ガラ3:19)、国を守る(ダニ10:13、12:1)などの権威を有していたが、新約時代は「御子」がはるかに優って支配する の意、 ホソス as great as、how much
*5 詩篇2:7、使徒13:33、 Uサム7:14 (ダビデの子孫について)
*6 パリン(ギ) 再び (別訳: 御子をもう一度送る×) 御子は神としてすでに来られ、御使いたちは仕えていた(マタ4:11、ルカ22:43等)、 申命32:43(70人訳△)
*7 詩篇104:4
*8 詩篇45:6、 ミイショール(ヘ) 平原、平坦、uprightness、まっすぐ、正直 (マソラ訳)
*9 詩篇45:7、(イザ61:1、3)
*10 詩篇102:25、 ゲー 地(単・女)、 ウーラノイ
<ウーラノス 天(複・男)
*11、12 詩篇102:26、27
*13 詩篇110:1、マタ22:44
*14 レイトゥールギコース(ギ、形容詞) relating to the performance of service、employed in ministering、働きのために雇われた (ここだけ)
第2章
1 ですから、私たちは聞いたことを、さらに強く心に留め、滑り去ってしまわないようにしなければなりません。
2 もし、御使いたちを通して語られたみことばが、堅く立てられて成立し、あらゆる罪過と不従順に対して相応の*報い*が加えられたとすれば、
3 私たちは、これほど偉大な救いをないがしろにしたなら、どうして逃れることができるでしょうか。この救いは、初めに主を通して語られたもので、それを聞いた人々によって私たちの中に堅く立てられたのです。
4 さらに神も、しるしと、奇跡と、さまざまな力のわざにより、また、みこころに従って聖霊の分け与えたものによって、そのようにされたのです。
5 それは、神は、私たちが語っているところの来たるべき世界を、御使たちの支配下に置くようにはされなかったからです。
6 むしろ、聖書はある箇所である人が、こうあかししています。 「人間が何者だというので、これをみこころに留められるのでしょう。人の子が何者だというので、これを顧みられるのでしょう。*
7 あなたは、彼を、御使いたちよりもいくらか低いものとされました。そして、彼に栄光と誉れの冠を与え、彼をあなたの御手のわざの上に置かれました。*
8 万物を彼の足の下に服従させられました。」* 万物を彼に服従させたとき、服従しないものは一つも残されていないはずです。しかし、今でもなお、万物が彼に服従している事実を、私たちは見ていません。
9 ただ、御使いたちよりもいくらか低い者とされたイエスのことは、見ています。イエスは、死の苦しみのゆえに、栄光と誉れの冠を受けられました。その死は、神の大いなる恵みによって、すべての人の身代わりに味わわれたものです。
10 それは、多くの子らを栄光に導くのに、彼らの救いの創始者*を、苦難を通して全うされたのは、万物がその方のために造られ、またその方を通して造られたところの、その方*にふさわしいことであったからです。
11 聖とする方も、聖とされる者たちも、どちらもすべて一人の方から出ています。* それゆえ、主は、彼らを兄弟たちと呼ぶことを恥としないで、
12 こう言われます。 「わたしは、御名をわたしの兄弟たちに告げ知らせ、会衆*の中で、あなたを賛美しよう。」と言い、
13 また、 「わたしは、彼を信頼する。」* さらに、「見よ、わたしと、神がわたしに賜わった子たちは、」*と言われます。
14 そこで、子たちは皆、血と肉を共有して*いるので、イエスもまた同様に、それらと共にされました*。それは、ご自分の死を通して、死の力を持つ者すなわち悪魔の、その力を終わらせ、
15 死の恐怖のために一生涯、奴隷となっていた人々を、解放してくださるためでした。
16 主は、御使いたちを助けるのではなく、アブラハムの子孫*を助けてくださるのです。
17 それゆえ、イエスは、神ののための、あわれみ深い忠実な*大祭司となられるために、あらゆる点で兄弟たちと同じようにならなければなりませんでした。それは、民の罪のために、なだめ*がなされるためです。
18 主ご自身が、試錬を受けて苦しまれたので、試練の中にある人々を助けることがおできになるのです。
* 2、3 § 本書では、ラビの軽重の論法(小から大へ)をよく用いる: 御使いたちによって立てられた律法 → まして、主が語られ、神がしるしと奇跡をもって堅く立てられた「救い」、 エンディコス(ギ) according to right、righteous、just、正しい、義による、 ミスサポドシーア payment of wages due、recompence、報償、報い
*6 詩篇8:4
*7 詩篇8:5、6
*8 詩篇8:6
*9 ヒューペル(ギ) の上に; ために、身代わりに
*10 アルケゴース(ギ) chief leader、prince、predecessor in a matter、pioneer、指導者、王子; 創始者(12:2)、先駆者、開拓者 ディ ホン(対格) タ パンタ カイ ディ フー(属格) タ パンタ because of whom the all and through whom the all、(直訳) その方のゆえに万物がある、また、その方を通して万物がある、 = 「父なる神」のこと (cf. コロ1:16後半では、「御子」)
*11 御子も、御子を信じる者たちも、元々、父なる神から出ている の意
*12 詩篇22:22、 エクレシア(ギ) 会衆、議会; 教会
*13 イザ8:17 「私はこの方に望みをかける」、 イザ8:18 「見よ。私と、主が私に下さった子たちとは、」
*14 コイノネオー(ギ) fellowship with、be made a partner、join one's self to an associate、make one's self a sharer、自分を共有者とする、 メテコー become partaker、partake、参加する、共にする
*16 (直訳) 種(単数)、子孫
*17 ピストース(ギ) trusty、faithful; worthy of trust、believing、信頼すべき、忠実な、 ヒラスコマイ be propitious、be gracious、be merciful; expiate、make propitiation for、なだめる、贖罪する、 あわれむ(ルカ18:13)
第3章
1 それゆえ、天の召しにあずかっている聖なる兄弟たち。あなたがたは、私たちが告白する信仰の使者*、また大祭司であるイエスのことを、よく考えなさい。
2 彼は、モーセが神の家の全体に対して忠実であったのと同様に、自分を立てられた方に対して忠実な存在です。
3 家を建てる者がその家よりも尊ばれるように、彼は、モーセ以上に、大いなる光栄を受けるにふさわしいとされました。
4 それは、家はすべて誰かが建てるものですが、すべてのものを建造された方は、神だからです。
5 さて、モーセは、神に仕える者*として、神の家の全体に対して忠実でしたが、それは、後に語られるはずの事がらについてあかしをするためでした。
6 一方、キリストは御子として、神の家を忠実に治められるのです。 もし私たちが、大胆、率直であり*、希望による心からの喜び*を、終わりまで堅く持ち続けるなら、私たちが神の家なのです。
7 ですから、聖霊が言われる通りです。 「きょう、もし御声を聞くならば、
8 荒野での試み*の日に、神に反抗した*時のように、あなたがたの心をかたくなに*してはいけない。
9 あなたがたの先祖たちは、そこでわたしを試みて証拠を求め、
10 四十年の間、わたしのわざを見た上で。 だから、わたしはその時代の人々に対して、憤って言った。彼らの心はいつも迷い、彼らはわたしの道を悟らなかった。
11 わたしは憤りをもって誓った通りに、決して彼らを私の安息に入らせない。」*
12* 兄弟たちよ。あなたがたの中に誰も不信仰な悪い心になって、生ける神から離反する*ことのないように、気をつけなさい。
13 あなたがたの中に、罪の惑わしに陥って、誰も心をかたくなにしないように、「きょう。」*と言われている間に、日々、互いに励まし合いなさい。
14 もし最初の確信*を、最後まで堅く守るならば、私たちはキリストと共に立つ者*となるのです。
15 それは、こう言われているからです。 「きょう、御声を聞くならば、神にそむいた時のように、あなたがたの心を、かたくなにしてはいけない。」*
16 すると、聞いたのに挑発したのは、誰だったのでしょうか。モーセに率いられて、エジプトから出て行ったすべての人々ではありませんか。
17 また、四十年の間、神が憤られたのは誰に対してだったのでしょうか。罪を犯して、そのしかばねを荒野にさらしたあの者たちではありませんか。
18 また、神が、わたしの安息に入らせない、と誓われたのは、誰に対してでしたか。不信仰な者たち*にではありませんか。
19 こうして、彼らが入ることができなかったのは、不信仰*のゆえであることが分かります。
*1 アポストロス(ギ) 使徒、(ここでは)使者
*5 セラーポン(ギ) attendant、servant(of God)、(神の)しもべ (新約でここだけ) (出14:51、民12:7等)
*6 パレーシア(ギ、形容詞) freedom in speaking、free and fearless confidence、boldness、(語り、告白するのに)大胆・率直・オープンな、 公然と語る(ヨハ7:13)、 カーフキマ(名詞) glory、心から喜ぶこと、誇ること cf. ロマ5:2 カフカーホマイ(動詞) 心から喜ぶ
*8、16 パラピクラスモス(ギ) (ピクロース:苦い) provocation、挑発、怒らせること (△) → メリバー(ヘ) そむくこと、反抗すること(○)、 スクレリューノー(ギ)、クァシャー(ヘ) harden; render obstinate、stubborn、硬くする; かたくなにする
*7−11 詩篇95:7−11 メリバー(ヘ): 争う、反抗する (70人訳:御怒りを引き起こす△)、 マサー(ヘ): 試みる の意
*12 アポステーナイ(ギ) (反抗的になって)離れる、 (アポスタシア: 背教) § モーセへの反抗よりも、(一度救いを味わっているゆえに、)キリストから背教することははるかに重大な罪 (※ エルサレムから脱出したエビオン派も、2世紀にはイエスの神性を否定する異端になった)
*13 きょう = 御声を聞く、試験の日
*14 ヒュポスタシス(ギ) thing put under、substructure、foundation; confidence、firm trust、assurance、根底にあるもの、土台、実体(1:3、「御子は神の実体」); 信用、保証(11:1 (=あるいは)実体)、 メトコス partaker、partner、共に立つ者(1:9)、あずかる者
*15 詩篇95:7、8
*18 アペイセオー(ギ、動詞) refuse belief、refuse belief and obedience、自身を説得させない、言うことを聞かない、信じることを拒絶する、(自動的に、従うことも含めて拒絶) ((形容詞)ヨハ3:36、ロマ15:31、Uテモ3:2等)
*19 アピスティア(ギ、名詞) faithless、unbelief、信仰がないこと、信じないこと → それゆえ、11章では「信仰」について語る
第4章
1 それゆえ、神の安息に入るための約束が、まだ残っているのですから、万一にも、これに入れない者が出ないように、恐れる心を私たちは持とうではありませんか。
2 福音が伝えられているのは、私たちも彼らと同じです。しかし、その聞いたみことば、彼らには益となりませんでした。それは、みことばが、それを聞いた者たちに、信仰によって調和させられ*なかったからです。
3 ところが、私たち信じている者は、安息に入ることができるのです。それは、 「わたしが憤りをもって誓った通りに、彼らをわたしの安息に入らせない。」と、神が言われた通りです。みわざは、創世の初め*に、終わっているのです。
4 すなわち、聖書のある箇所で、七日目のことについて、「神は、すべてのみわざを終えて七日目に休まれた。」*と言われました。
5 そして、ここでは、「彼らをわたしの安息に入らせない。」と言われています。
6 そこで、その安息に入る人々がまだ残されているのであり、しかも、初めに福音を伝えられた人々は、不信仰のゆえに入れなかったのですから、
7 神は、再びある日を、「きょう。」と定め、長い年月が経ってから先に言われたのと同じように、 「きょう、もし御声を聞くなら、あなたがたの心をかたくなにしてはならない。」*と、ダビデを通して言われたのです。
8* もしヨシュアが彼らに安息を与えたのであったら、神は後になって、別の日のことについて語られなかったはずです。
9 こういうわけで、安息に入ること*は、神の民のためにまだ残されているのです。
10* なぜなら、神の安息に入った者は誰でも、神がみわざを終えて休まれたように、自分も働きを休むからです。
11 したがって、私たちは、この安息に入るように努力し*、そしてあの不信仰の例にならって落伍する者が一人もいないようにしようではありませんか。
12 というのは、神のみことば*は生きていて、力があり*、両刃(もろは)の剣よりも鋭く、それぞれ、たましいと霊*、また、関節と骨髄を、分割するまで刺し通し、心の考えやはかりごとを判定することができます。
13 そして、神の御前に隠しおおせる被造物は一つもなく、神の目にはすべてが裸であり、あらわにされている*のです。この神に対して、私たちは申し開きをしなくてはならないのです。
14 さて、私たちには、もろもろの天*を通って行かれた偉大な大祭司*、神の子イエスがおられるのですから、私たちの告白する信仰を堅く守ろうではありませんか。
15 この大祭司*は、私たちの弱さに同情できない方ではありません。罪は犯されませんでしたが、すべてのことについて、私たちと同じように試みに会われたのです。
16 それゆえ、私たちは、あわれみを受け、また、大いなる恵みをいただき、時期にかなった助けを受けるために、大胆に大いなる恵みの御座*に近づこうではありませんか。
*2 シンケランヌミ(ギ、動詞) 混ぜる、組成とする(Tコリ12:24)、調和させる、(有機的に)結合させる、 § みことばと信仰との調和
*3 カタボレー(ギ) 初め、基礎、種まき
*4 創世2:2 § 七日目に休まれ、それからずっと休んでおられる の意 (”夕があり朝があった。第七日” とは書いていない)
*7 詩篇95:7、8
*8 § ヨシュアによってカナンの地に入った時、主が民に安息(安住)を与えられた。(ヨシュ23:1) しかしこの安息は、救い主イエス(=ヨシュア(同じ名前))が与える天上のものとは異なり、外敵から守られる程度のものだった
*9 サバティスモス(ギ) sabbatism、(律法の)安息日順守の日×、(ここでは)安息に入ること○
*10 = 黙示14:13 「労苦から解き放たれて休むことができる」
*11 スプーダゾー(ギ) hasten、endeavour、急ぐ、努力する
*12 ロゴス(ギ) the word(単数) 、で みことば(=聖書)、 生きていて、力がある = みことばに人格(聖霊)が宿り、語った目的を必ず成し遂げる の意(イザ55:11)
*13 あらわにされる: レスリングの技でのどを絞めて相手の力を無力化する の意
*14 もろもろの天: 7層(ハシャマイム(ヘ)は複数形、ヘブル思想)、3層(Uコリ12:2、第3の天)という議論ではなく、「(すべての)天よりも高くされた大祭司」(7:26) の意、 大祭司 = 偉大な祭司(コーヘン ガドル(ヘ))より、直訳で、 「偉大な、偉大な祭司」
*15 § あわれみ深い、忠実な大祭司 (2:17)、 同情できるのは、(罪を犯したからではなく、罪の無い方があえて、)罪の誘惑の力を経験されたから
*16 § 御座: 地上の聖所の奥にある至聖所の贖いの蓋の上に、父なる神の御座があり、その右に御子が座しておられる。地上の大祭司は、年に一度だけ至聖所に入り、民のために贖いをした。 しかし、新約時代は、キリストは「影」としての聖所ではなく、天の「実体」そのものに座を占められ、御座に近づく者は誰でも(万民祭司)、時機にかなった助けを受けることができるようになった
第5章
1 大祭司はみな、人々の中から選ばれ、神に仕える事がらについて、人々に代わって罪のための捧げものといけにえとをささげるために、任命された者です。
2* 彼は、自分自身も弱さを身に負っているので、無知な迷っている人々を、思いやる*ことができると共に、
3 その弱さのゆえに、民のためだけではなく自分自身のためにも、罪のための捧げものをしなければならないのです。
4* まただれもがこの栄誉を自分で得るのではなく*、アロンのように、神によって召されて受けるのです。
5 同様に、キリストもまた、大祭司の栄誉を自分で得たのではなく、 「あなたは、わたしの子。きょう、わたしはあなたを生んだ。」*と言われた方が、それをお与えになったのです。
6 また、他の箇所でもこう言われています。 「あなたは、永遠に至るまで、メルキゼデク*の位に*等しい*祭司である。」*
7 キリストは、彼の肉の日々にあって、ご自分を死から救う*力のある方に、大きな叫びと涙とをもって求める祈り*と嘆願*とをささげ、そして、その深い畏れ*のゆえに聞き入れられました。
8* 御子である方*にもかかわらず、さまざまな苦しみによって従順を学ばれ、
9 完全な者とされ*、彼に聞き従うすべての人々に対して、永遠の救いの根源*となられ、
10 神によって、メルキゼデクに等しい大祭司と、となられたのです。
11 この方について、言うべきことがたくさんありますが、あなたがたの耳が鈍くなっているので、それを説き明かすことは困難です。
12 また、あなたがたは、年数からはすでに教師になっているべきなのに、もう一度神のみことばの初歩*を、誰かに教えてもらう必要があるのです。あなたがたは堅い食物ではなく、乳を必要としています。
13 乳ばかり飲んでいるすべての者は、幼子(おさなご)であり、義の教え*に対し経験不足だからです。
14* しかし、堅い食物は成人たちのものであり、良いものと悪いものを見分ける*ための感じ取る能力が、訓練されて熟練した人々のものです。
*2 大祭司の資格の第一: メトゥリオパセオー(ギ) (無知な迷っている人々に対して、)自制心と共にある寛大さ、(怒ったり嘆いたりせず、)同情の中にも節度があること、人の心を理解すること (ここだけ、哲学用語) (※ 歴史上、ふさわしくない者も立った。ハスモン家のヤナイオス(BC104−78)は、自分のいけにえの捧げ方に抗議した600人を軍隊を送って殺した)
*4 大祭司の資格の第二: 神に召されて受ける職務であること 民数16:40、18:7、U歴26:18、 (※ ツァドクの系統(エルアザルの子ピネハスの系統、帰還の大祭司ヨシュアの系統(ネヘ12:11、12)の最後の大祭司オニアス3世が、シリアの卑劣な王アンティオコス4世・エピファネスによって暗殺(BC171)されてから、勝手に任命され聖所が汚された。 ダニエルの預言の通り、大祭司オニアス殺害から、「2300日後」(ダニ8:14)
の、BC165年 12/25 エルサレムを奪還した(12月25日はハヌカ祭となる))
*5 詩篇2:7
*6 詩篇110:4 § 詩110篇は、ダビデの即位式が背景にあるが、ダビデ(ユダ族)が祭司(レビ族アロン系)なのではなく、将来のメシヤ的祭司への期待として歌われたもの、 創世14:18 (サレム(詩76:2では=シオン、すなわち=エルサレム)の「王」かつ「祭司」、 メルキゼデク = 「義の王」の意)、 カタ according to、による、 タクシス(ギ) arrangement; post、rank、position; character、配列、地位、位置、本質
*7 死から救う: (ゲッセマネの祈りにおいて、苦き杯を進んで受けられたうえで、)復活させられること の意、 デエーシス(ギ) need、indigence、asking、貧困、必要、(個別の)願い (エペ6:18等、cf.プロシューケー(ギ) prayer、(一般の)祈り)、 ヒケテリア olive branch、supplication、オリーブの枝; (身を低くしての)嘆願、哀願、懇願、 ユーラベイア(ギ) reverence toward God、godly fear (神への)深い畏れ、(=12:28 「恐れる」)、神を恐れる(人)(ルカ2:25、使徒2:5、8:2、22:12)
*8 オーン ヒュイオス(ギ) being Son(冠詞無し、主格) 御子という存在、御子たる方、 § 御子は初めから御父に聞き従い(ヨハ5:19)、律法への服従としてヨハネからバプテスマを受けられた。(マタ3:15 「すべての義を成就すること」)、 その御子が、全く不条理な、律法の違反者としての刑罰を身代わりに受けられたことが、神のみこころだったこと (マコ10:38、39、ルカ12:50)
*9 § 2:10より、苦難を通して救いを全うされ、そして、よみがえられたこと、 アイティオス(ギ) author of a cause、原因となる創始者
*12 ストイケイア(ギ) アルファベット、元素、基本、初歩の教え
*13 ログー(<ロゴス) ディカイオスネース 義の教え: § 義についての教え(義認の教理)ではなく、神と人との正しい関係の法、すなわち契約を正しく理解して実践すること
*14 § 良し悪しの見分けの力(ディアクリシス(ギ)、さばきを通して見ること、識別力、Tコリ12:10、ロマ14:1)は、神との正しい関係の契約にのとって、霊的なことだけでなくすべての事について訓練されるべきもの、熟練していくものであること。これが霊的成人であることの条件。 (ただし、霊の良し悪しに特化した、御霊の賜物の「霊の見分け」(Tコリ12:10)には、及ばない)
第6章
1 それゆえ、私たちは、キリストの教えの基礎*を後にして、完成を目ざして進もうではありませんか。* すなわち、死んだ行ないの悔改め、神への信仰、
2 きよめの洗い*についての教え、手を置く儀式*、死人の復活、永遠のさばき、などの教えの基礎を再びやり直すのをやめましょう。
3 神が許されるならば、これを行なうことにしましょう。*
4 一度、光を受けて天からの賜物を味わい、聖霊にあずかる者となり、
5 また、神の優れたみことばと、来たるべき世の力とを味わった者たちが、
6 その後で堕落した場合には、悔改めて再び新しくされることは不可能です。彼らは自分で、神の御子をもう一度十字架につけて恥辱を与えることになるからです。
7 たとえば、土地が、その上にたびたび降る雨を吸い込んで、耕す人々に役立つ作物を育てるなら、神の祝福にあずかります。
8 しかしその土地が、いばらやあざみを生えさせるなら、無用なものなり、やがてのろいを受け、ついには焼かれてしまいます。
9 しかし、愛する人たち。私たちはこのように言ってはいますが、あなたがたについては、もっと良いことを確信しています。それは、救いにかかわることです。
10 神は正しい方でおられ、あなたがたの行ないや、あなたがたがかつて聖徒たちに仕え、今もなお仕えて御名のために示してくれた、あの愛を、お忘れにならないからです。
11 私たちは、あなたがたが一人一人が、最初と*同じ熱心*をもって、最後まで*、私たちの希望についての確信を持ち続けることを願っています。
12* それはあなたがたの心が鈍くなる*ことがなく、信仰と、忍耐強く待つ*ことを通して、約束のものを相続するあの人々*にならう者となるためです。
13 さて、神がアブラハムに対して約束されたとき、ご自分よりも上にさして誓うことがあり得ないので、ご自分をさして誓われ、
14* 「わたしは、必ずあなたを祝福し、あなたの子孫を*大いに増やす。」と、言われました。
15 このようにして、アブラハムは忍耐強く待った*ので、約束のものを得ました。
16 確かに、人間は自分より上のものをさして誓います。そして、確証*に至る誓いはすべての反対論を終わらせます。
17 そこで、神は、約束のものを相続する人々に、ご計画が変わらないことを、よりはっきりと示そうと思われ、誓いによって保証人となられた*のです。
18 それは、偽ることのできない神によって立てられた、この二つの不変の事がら*を通して、前に置かれている望みを捕えるために逃れてきた私たちが、力強い励ましを受けるためです。
19 この望みは、私たちのたましいにとって、安全で確かな錨であり、また、この望みは幕の内側に入るのです。
20 その幕の内側に、イエスは、永遠にメルキゼデクに等しい大祭司として、私たちのために先駆け*となって入られたのです。
*1 テース アルケース トゥー クリストゥー ロゴン(ギ) キリストの教えの基礎(アルケー)、 § 本書の読者は Tコリ3:2 と同様「幼子」、しかしコリントと違ってさらに進んでいこうと励ましている。 この場合、キリストが大祭司であることを教えられることによって、霊的未熟さが癒される。(大祭司論: 7−10章) 長期間基本にとどまり続けることは、(特にユダヤ人信者の場合、)背教に陥る危険がある
*2 教えの基礎: 6つ。ユダヤ教と共通するものばかり。これから福音を聞こうとする人々向け、 きよめの洗い(バプティスモイ(複数)): キリスト教で「バプテスマ」を表す普通の語、 手を置く儀式: (任職、 民27:18、申34:9)、特に聖霊を受ける時(= タッチ、聖霊のバプテスマを祈る 使徒8:17、9:12、19:6)、 cf. 按手礼(使徒6:6、13:3、Uテモ1:6等)ではない
*3 § 異邦人が背教から悔い改める場合と違って、ユダヤ人信者が元のユダヤ教に戻る背教の罪は、罪の意識があいまいであり、悔い改めが困難
*11 最初と は補足、 スプーデー(ギ) haste、earnestness、diligence、急ぐこと、迅速さ; 熱心、勤勉、 § 最初の「熱心・迅速さ」を、最後まで持ち続けるように ≒ 黙示2:4、5 「初めの愛」
*12 ノスロス(ギ) slow; indolent、dull、遅い; 怠惰な、鈍い、 =5:11
*12、15 マクロシュミア(ギ) マクロス(遠く・長く)+シュモス(怒り・憤り) steadfastness、forbearance、longsuffering、忍耐して待つ (=6:15、Tコリ13:4)、 あの人々: 11章の「信仰」の先人たち: § 信仰: 神の言葉(語りかけ) → 信仰の立場に立つ → (主との愛の交わりによって)忍耐して待つ → 主の時に成就
*14 創世22:16、17、 あなたを(70人訳、×) → あなたの子孫を(種(ゼラァ(ヘ))、単数)(マソラ訳、○)、 § イスラエルの民ではなく、キリストの(信仰の)子孫を大いに増やすこと
*16 ベバイオシス(ギ) confirmation、(取り決めの)確認、確証
*17 メシテューオ(ギ) act as a mediator; act as a sponsor、仲介者(調停者)となる(名詞: 仲介者); 保証人となる (※ 言葉だけでなく行為による誓い: 創15:9−、17− 「裂かれたものの間を通り過ぎられた」 古代中東の慣習を用いて、神に、契約違反があれば、神は、このいけにえのように切り裂かれてもよい、という、実にへりくだった意思表示 → 7:21には、キリストについて、同様の誓いをされた)
*18 二つの不変の事がら: 約束と 誓い
*20 プロドゥロモス(ギ) forerunner、先駆け
第7章
1* このメルキゼデクはサレムの王であり、いと高き*神の祭司でしたが、王たちを打ち破って戻るアブラハムを出迎えて祝福し、
2 それに対して、アブラハムは彼にすべての物の十分の一を与えたのです。 その名を訳すと、第一に義の王、次にまたサレムの王、すなわち平和の王です。
3 彼には父もなく、母もなく、系図もなく、生涯の初めもなく、いのちの終りもなく、神の子の生き写し*であって、いつまでも祭司なのです。
4 そこで、族長のアブラハムが最も良い戦利品の十分の一を与えたのだから、この人がどんなに偉大であるかをよく考えてみましょう。
5* レビの子らの中で祭司職を受ける者たちは、同じアブラハムの子孫であるにもかかわらず、民、すなわち彼らの兄弟から、十分の一を徴集するように、律法によって命じられています。*
6 ところが、彼らの血統に属さないこの人が、アブラハムから十分の一を受け取り、約束を受けている者を祝福したのです。
7 言うまでもなく、下位の者が、より優れた者から祝福を受けるのです。
8* その上、一方では死ぬべき人間が十分の一を受けていますが、もう一方では、「彼は生きている者」とあかしされている人が受けるのです。
9 また、このようにも言えるのです*。 十分の一を受けるべきレビでさえも、アブラハムを通して、彼に十分の一を納めています。
10 なぜなら、メルキゼデクがアブラハムを出迎えた時には、レビはまだこの父祖の腰の中にいたからです。
11 また、もし、レビ系の祭司職を通して全うされることが可能だったなら ・・・ 民は祭司制を基礎として律法が与えられたのですが ・・・ さらに何の必要があって、アロンの位に等しい、ではなく、メルキゼデクの位に等しい、と呼ばれる別の祭司が立てられたのですか。
12 祭司職に変更があれば、律法にも必ず変更があるはずですが、
13 さて、今までこのように述べてきたその方は、祭壇に仕える者を出したことのない、他の部族に属しているのです。
14 それは、私たちの主がユダ族の中から出られたことは明らかですが、モーセは、この部族について、祭司に関することを何も言っていません。
15 もし、メルキゼデクに似た*、別の祭司が立てられるならば、以上のことはますます明らかになります。
16 彼は、肉についての戒めである律法にはよらないで、朽ちることのない、いのちの力によって、祭司に立てられたのです。
17 その方については、「あなたは、永遠に、メルキゼデクの位に等しい祭司である。」*と、あかしされています。
18 このようにして、一方では、前の戒めが弱くかつ無益であったために、完全に無効にされましたが、
19 ・・・ 律法は、何事をも全うしなかったからです。 ・・・ もう一方では、さらに優れた希望が別にやって来て*、それを通して私たちは神に近づくのです。
20 その上、このためには、はっきりと誓いがなされています。 ・・・ 人々は、誓いをしないで祭司とされますが、
21 この方の場合には、次のように誓われた方の誓いがあります。 「主は誓ってこう言われ、みこころを変えることはない。『あなたは、永遠に祭司である。』」* ・・・
22 このようにして、更にすぐれた契約の保証人*となられた方、この方がイエスなのです。*
23 また、人々の場合には死ということがあるために、務めに留まり続けることができないので、大ぜいの人々が祭司に立てられました。*
24 しかしこの方は、永遠に生き続けられる方なので、変わらない祭司の務めを持っておられます。
25 そのため、ご自分を通して神に近づいて来る人々を、完全に救うことがおできになります。 この方はいつも生きて、彼らのためにとりなしておられるからです。
26 このように、聖く、悪も汚れもなく、罪人と離れ、かつ、諸天よりも高くされた大祭司こそ、私たちにとって本当に必要な*方なのです。
27 他の大祭司のように、まず自分の罪のために、次に民の罪のために、毎日いけにえをささげる必要はありません。なぜなら、キリストはご自身をささげられ、ただ一度だけでそれを成し遂げられたからです。
28 律法は、弱さを持つ人間を立てて大祭司としますが、律法の後から来た誓いのみことばは、永遠に全うされた御子を大祭司に立てたのです。
*1 創世14:18−20 ヒュプシストス(ギ) highest、most high、いと高き (マコ11:10、ルカ2:14、使徒16:17等)
*2 義のわが王(マレキー ツェデク(ヘ))、 平和のわが王(マレキー シャローム)
*3 アフォモイオー(ギ) image or shape like it、copy、produce a facsimile、似た像、複写
*5 民数18:21、26
*5、8 § レビ族の祭司と、メルキゼデクの比較: メルキゼデクはアブラハムよりも上位、 永遠に生きる者。 考古学的には確かに実在した、東方4王に敗北したカナン(ヨルダン低地)の王たちの一人。 しかし、キリストの「型」である
*9 (直訳) 言われたことを言うならば、 いうならば (ここだけ、ギリシャの慣用句)
*15 ホモイオーテス(ギ) likeness、類似したもの
*17 詩篇110:4
*19 エピサゴゲー(ギ) bringing in besides、come in besides; come upon by entering、の他に来ること; 入って来ること
*21 詩篇110:4、民数23:19 § 6:13、14のアブラハムとの契約に加えられた、神の、実にへりくだった誓いが、ここでそのまま当てはまる。 神のみこころが不変であること、永遠の祭司、の誓いとなっている
*22 エンギュオス(ギ) surety、sponsor、保証人 (ここだけ) (20−22節は一つの文で、その最後にイエスが初めて出て来て強調)
*23 アロン→エルアザル(民20:28)、→ピネハス(ヨシュ24:33)、・・・、 AD70年までに83人の大祭司(by.ヨセフォス)
*26 プレーポー(ギ) stand out、be conspicuous; be becoming、seemly、fit、人目をひく、異彩を放つ; 適当な、ふさわしい
第8章
1 以上述べたことの要点はこうです。すなわち、私たちには、天の大能者の御座の、右に座っておられる大祭司がおられ、
2 人間によらず、主によって設けられた、実体の*幕屋なる聖所で仕えておられる、ということです。
3 すべて、大祭司が立てられるのは、供え物やいけにえをささげるためです。したがって、この大祭司もまた、何か捧げる物を持っておられるはずです。
4 そこで、もし彼が地上におられたなら、律法に従って捧げものをささげる祭司たちがいるので、彼は祭司ではあり得なかったでしょう。
5 彼らは、天にある聖所の模型*と影*とに仕えている者にすぎません。それについては、モーセが幕屋を建てようとしたとき、神から御告げを受け、「よく注意すなさい。山で示された形状*のとおりに、すべてのものを作りなさい。」*と言われたのです。
6 ところが今や、キリストは、もっと種類の異なる*務めを獲得されました。それは彼が、より優れた*約束に基いて立てられた、より優れた契約の仲介者であられるからです。
7 もし、初めの契約に欠陥が無かったならば、後のものが捜し求められる余地も無かったでしょう。
8 ところが、神は、これに間違いがあるとして彼らに言われました。 「主は言われる。見よ。わたしがイスラエルの家およびユダの家と、新しい契約を結ぶ日が来る。
9 それは、わたしが彼らの先祖たちの手をとって、エジプトの地から導き出した日に、彼らと結んだ契約のようなものではない。わたしは彼らの主であったのに、彼らがわたしの契約を守り通さなかったからだ、と主が言われる。
10 わたしが、それらの日の後、イスラエルの家と結ぶ契約はこれである、と主が言われる。すなわち、わたしの律法を彼らの思いの中に置き、彼らの心に書きしるす。* こうして、わたしは彼らの神となり、彼らはわたしの民となる。
11 人々は、それぞれ、その同胞に、主を知れ、と言って互いに教えることはなくなる。それは、低い者から高い者に至るまで、彼らはみな、わたしを知るようになるからである、と主は言われる。
12 わたしは、彼らの咎を赦し、もはや彼らの罪を思い出すことはしないからである。」
13 神は、「新しい契約」と言われたときには、初めのものを古いとされたのです。年を経て古びたものは、すぐに消えて無くなります。
*2 アレシノス(ギ、形容詞) real、true、(架空の、想像上の、型の; 外見上の、見せかけの に対して、) 本物の、実体の; 真理の(ヨハ7:28、黙19:11)、まことの(ヨハ1:9) cf. アレーセース (偽りに対して、)真理の (アレーセイア 真理(ヨハ14:6))
*5 出エジ25:40、 ヒュポーデイグマ(ギ) figure、copy; example、imitation、形、写し; 模範、模倣、模型、 スキア(ギ) shadow、sketch、outline、 タブニース(ヘ) construction、structure、pattern、figure、image、構造、模様、形、像
*6 ディアフォロス(ギ) different、varying in kind; excellent、異なる; 優れた、 クレイントン more useful、more advantageous; more excellent、より有益な、より優れた
*8−12 エレ31:31−34 § エレミヤはヨシヤ王の時代に活躍した。 神殿の修理の際に「律法の書(申命記)」が発見され、おごそかな契約更新の儀式が行われ(U列23:3)、偶像を処分したが、エレミヤはそれが真の契約更新ではないことを見抜いていた
*10 エゼ11:19、20 「石の心を取り除き、肉の心を与える」、 エペ4:24 「(人にも神にも正しい行動をする、神の形に造られた、)新しい人を着ること」
*13 「新しい契約」: マタ26:28、マコ14:24、Tコリ11:25 にあるイエスの血の契約。この最後の晩餐の時に、「新しい契約」が結ばれた、 また 神殿の破壊と祭儀の廃止(マコ13:2、ヨハ2:19、使徒6:14等)
第9章
1 さて、初めの契約にも、礼拝の規定と、地上の聖所とがありました。
2 すなわち、まず幕屋*が設けられ、その前部には燭台と机と供えのパン*とが置かれていました。これが、聖所と呼ばれる所です。
3 また第二の幕の向こう側には、至聖所*と呼ばれる幕屋があり、
4 そこには金の香壇と、全面金でおおわれた契約の箱*とが置かれ、その中にはマナの入った金のつぼと、芽を出したアロンの杖と、契約の石の板とが入れてあり、*
5 箱の上には栄光に輝くケルビムがあって、贖罪蓋(しょくざいがい)*を覆っていました。これらのことについては、今ここで、いちいち述べることはできません。
6 これらのものが、以上のように整えられた上で、祭司たちは幕屋の前の部分*に入って礼拝を行なうのですが、
7 第二の幕屋には大祭司だけが年に一度だけ入ります。* その際、自分自身のために、また民が知らずに犯した罪*のためにささげる血を、携えないで行くことはありません。
8* それによって聖霊はこのことを示されています。すなわち、幕屋の前の部分が存在している限り、その聖所に入る道は未だ明らかにされていないのです。
9 この幕屋というのは今の時代に至るまでの比喩です。すなわち、供え物やいけにえはささげられるが、儀式に携わる者の良心*を全うすることはできないのです。*
10 それらは、ただ食物と、飲み物と、各種のバプテスマに関することであって、新しい制度の時まで課せられていた肉の規定にすぎないのです。
11 しかし、キリストは、来たるべきすばらしい事がらの大祭司として来られたとき、手で作られたものでない、すなわち、この世の被造物に属さない、さらに大いなる、より完全な幕屋を通られ、
12 やぎと子牛との血ではなく、ご自身の血を通して、ただ一度だけその聖所に入られ、永遠の贖い(あがない)を獲得されたのです。
13 もし、やぎや雄牛の血や雌牛の灰が、汚れた人たち*の上に振りかけられて、それが聖めの働きをして肉体をきよくするとすれば、
14 永遠の聖霊によって、傷の無いものとして、ご自身を神に捧げられたキリストの血は、尚のこと、私たちの良心をきよめ、死んだ行ないを取り除き、生ける神に仕える者とすることでしょう。
15 それゆえ、キリストは新しい契約の仲介者*です。それは、彼が初めの契約のときの違反*を贖う(あがなう)ための死が実現したので、召された者たちが永遠の相続財産の約束を受けるためなのです。
16 一方で、遺言には、遺言者の死亡証明が必要です。
17 遺言は死によってのみその効力を生じ、遺言者が生きている間は、全く効力がありません。
18 したがって、初めの契約も、血を流すことなしに成立したのではありません。
19 すなわち、モーセが、律法に従ってすべての戒めを民全体に宣言したとき、水と、赤色の羊毛*と、ヒソプ*とのほかに、雄牛*とやぎ*との血を取って、契約書と民全体とに振りかけ*、
20 そして、「これは、主があなたがたに対して立てられた契約の血である。」*と言いました。
21 彼はまた、幕屋と礼拝用のすべての器具にも、同様に血を振りかけました。
22 律法によれば、ほぼすべての物は、血によってきよめられます。血を注ぎ出すことなしには、罪の赦しはありません。
23 このように、天にあるもののひな型*は、これらのものできよめられる必要がありましたが、天にあるもの自体は、これらのものよりも更に優れたいけにえで、きよめられなければなりません。
24 ところが、キリストは、実体の*模型*にすぎない手で作った聖所にではなく、天そのものに入られました。そして、今、私たちのために神の御前に現われてくださるのです。
25 大祭司は、毎年、自分以外のものの血を携えて聖所に入りますが、キリストは、そのように、何度もご自身を捧げられることはされませんでした。
26 もしそうだとすれば、世の初めから、何度も苦難を受けなければならなかったでしょう。しかし、今やキリストは、ご自身のいけにえを通して罪を完全に取り消すために、世々の終わりに一度だけ現れてくださいました。
27 人は、一度死ぬことと、死後にさばきを受けることとが定められています。
28 このように、キリストもまた、多くの人の罪を負うために、一度だけご自身を捧げられましたが、二度目は罪のためではなく*、彼の救いを待ち望んでいる人々に現われてくださいます。
*2 スケーネー(ギ、単・女) tabernacle、幕屋
*3 ハギア(ギ、形容詞、単・女) ハギオーン(形容詞、属格、複・中) (直訳) holy of holies、 the Holiest of all、至聖所
*4 出30:1−5、25:18−、25:31−36等、 テーン キボートン(ギ、対格)
<キボートース テース ディアセーケース(属格) <ディアセーケ the ark of the covenant、契約の箱、 § 7枝の燭台(メノラー(6枝に7つの火皿)、聖霊を表す)、6重2列の12枚のパン(みことばを表す)、 § マナ: 出16:33、 杖: 民17:10、 2枚の石の板: (再度、神によって書かれ、出34:1) 出40:20 砕かれた最初の石の板と、新しい板の両方入れた → U歴5:10 ソロモン王の時には2枚の石の板以外入っていなかった → U歴35:3 ヨシヤ王による、実物の契約の箱の最後の記述
*5 出25:19、20 2つのケルビムは、贖罪蓋(贖いの蓋、贖罪所(KJV))の左右の端に、向かい合って翼で蓋を覆うように、この蓋と一体に作られていた
*6 幕屋の前の部分: すなわち聖所
*7 レビ16:2− 年一回 = 贖いの日(第7月(チスリ)の10日)に、 アグノエマ(ギ) 知らずに犯した罪 (ここだけ)
*8 § 至聖所に行くためには非常に厳しい条件を満たす必要があることから、古い幕屋が存在する限り、神が臨在される至聖所、すなわち、天にある実体の聖所に、誰もが簡単に出て行くことはできない の意
*9 § たとえ大祭司が至聖所で贖いの祭儀をしても、民は完全に神のもとに至ることはできない の意、 シュネイーデシス(ギ) 意識、善悪を決定するたましい、良心 (10:2 「(罪の)意識」、 10:22 自分の方で何かやろうとする”罪滅ぼし”という「(邪悪な)良心」、 13:18 (正しい)良心)
*13 (直訳) 普通の; 聖められていない
*15 メシーテス(ギ) mediator、medium of communication、仲介者 (12:24、ガラ3:19、Tテモ2:5)、 パラーバシス going over、disregarding、(律法)違反
*19 民数19:6、あるいは、アザゼルの頭につけた赤い布の言い伝え、といわれる (出エジには出てこない)、 ヒソプ 出12:22、レビ14:4−、49−、民19:18、 子牛(△) マソラ訳で 雄牛、 やぎの記述は無い、 出エジ24章では 「祭壇」と民に振りかけた
*20 出エジ24:8
*23 ヒュポーデイグマ(ギ) figure、copy、example、像、写し、模型、例 (4:11、8:5、ヨハ13:15等)
*24 アレシノス(ギ) (型の に対する)実体の、本物の (8:2)、 アンティテュポス thing resembling another、counterpart、似ている別のもの、片割れ、型 (Tペテ3:21)
*28 (直訳) 罪から離れて、罪無しで § 罪の贖いは一度目で完全になされ、二度目の再臨では罪の贖いはなされず、選びの民を救うために来られる
第10章
1 律法は、来たるべきすばらしいことの影を有しているだけで、その実体*ではないので、年ごとに絶えず捧げられる同じいけにえによって御前に来る人々を、完全にすることはできないのです。
2 もしそれができたとすれば、礼拝する人々は、一度きよめられた以上もはや罪の意識*を持たなかったはずであり、捧げものをすることは終わったはずです。
3* しかし、これらのものにあって、年ごとに、神が*罪を思い起こされるのです。
4 なぜなら、雄牛ややぎなどの血は、罪を除き去ることが不可能だからです。
5* それゆえ、キリストがこの世に来られたとき、次のように言われました。 「あなたは、いけにえや捧げものを望まれないで、わたしのために体を造ってくださいました*。
6 あなたは、全焼のいけにえと罪のためのいけにえを、良しと認め*られませんでした。
7 その時、わたしは言った。『神よ、わたしについて聖書の巻に書いてあるとおり、さあ、わたしはみこころを行なうために来ました。』」
8 すなわち、初めには、「あなたは、いけにえと、捧げものと、全焼のいけにえと、罪のためのいけにえ(すなわち、律法に従って捧げられるもの)を望まれず、良しと認められなかった。」とあり、
9 次に、「さあ、わたしはみこころを行なうために来ました。」とあります。すなわち、彼は、後者を立てるために、前者を廃止されるのです。
10 このみこころにあって、ただ一度、イエス・キリストの御体が捧げられたことによって、私たちは聖なる者とされている*のです。
11 そして、すべての祭司は毎日立って礼拝を行ない、何度も同じいけにえを捧げますが、それらは決して罪を除き去ることができません。
12 しかし、キリストは、多くの罪の身代わりに、ただ一度だけ、永遠に至るまでも有効な*いけにえを捧げられた後、神の右の座に着かれ*、
13 それから、敵をその足台となるのを待っておられるのです。*
14 彼は、一つの捧げものによって、聖なる者とされる人たちを永遠に全うされたのです。
15 聖霊もまた、次のように私たちにあかしをしています。
16 「わたしが、それらの日の後、彼らに対して結ぼうとする契約はこれであると、主は言われる。わたしは、わたしの律法を彼らの心に置き、彼らの思いに書きつける。」*
17 また、「もはや決して、彼らの罪と不法とを思い出すことはしない。」*と言っておられます。
18 これらの赦しがある所では、罪のための捧げものはもはや不要です。
19 それゆえ、兄弟たち。私たちはイエスの血にあって、大胆に*聖所の入り口*から入ることができ、
20 彼の肉体というこの垂れ幕を通して、私たちのために、新鮮で*生きている道へと更新してくださったのです。
21 また、神の家を治められるこの偉大な祭司*がおられるのですから、
22 心に血の*注ぎかけを受け、邪悪な良心*がきよめられ、体をきよい水で洗われたのですから、偽りのない*心で、信仰の絶対的確信*をもって、御前に近づこうではありませんか。
23 また、約束をして下さったのは信頼すべき方*ですから、私たちは動揺せずに希望をしっかりと告白し続け、
24 愛と良い行ないへと奮い立たせる*ように、互いに気づいたことを言い*合おうではありませんか。
25 ある人たちの例のように、私たちがいっしょに集まること*をやめないで、互いに励まし合い、かの日*が近づいているのを見て、ますますそうしようではありませんか。
26 もし私たちが、真理の知識を受けた後で、故意に*に罪を犯しているなら、罪のためのいけにえは、もはや残されていません。
27 ただ、さばきと、逆らう者たちを焼きつくす激しい火とを、恐れながら待つしかありません。
28 誰でもモーセの律法を無視する者は、あわれみを受けることなしに、二、三人の証言に基いて*死刑に処せられるのであれば、尚のこと、
29 神の御子を踏みつけ、自分を聖なる者とした契約の血を汚れたもの*とし、さらに大いなる恵みの御霊を侮辱する者*は、どんなに重い刑罰に値するか、よく考えてみることです。
30 「復讐はわたしのすることである。わたし自身が報復する。」*と言われ、また、「主はその民をさばかれる。」*と言われた方を、私たちは知っています。
31 生ける神の御手のうちに陥るのは、恐ろしいことです。
32* あなたがたは、光に照された後、苦難に遭いながら大きな戦いに耐えた、初めの頃のことを思い出してほしいのです。
33 そしられ苦しめられて見せ物になった者もあれば、このような目に遭った人々の仲間になった者もありました。*
34* さらに牢に入れられた人々を思いやり、また、より優れたいつまでも続く財産を持っていることを知っていたので、自分の持ち物が奪われても喜んでそれを忍びました。
35 それゆえ、あなたがたは自分の持っている大胆な告白*を放棄してはいけません。その信仰告白*には大いなる報酬が伴っているからです。
36 神のみこころを行なって約束のものを受けるために、あなたがたに必要なのは、忍耐して待つこと*です。
37 「もうしばらくすれば、来るべき方が来られる。遅くなることはない。*
38 わたしの義人は、信仰によって生きる。もし恐れて信仰を捨てるなら、わたしのこころはこれを喜ばない。」*
39 しかし私たちは、ひそかに恐れ退く、滅びに至る者ではなく、信仰の人、いのちの所有に至る者*です。
*1 エイコーン(ギ) image、figure、likeness、像、外形、似たもの; 真の像、形をとったもの(「影」に対する「実体」)
*2 シュネイーデシス(ギ) 意識、 善悪を決定するたましい、良心 (9:9 「良心(を全うする)」、 10:22 自分の方で何かやろうとする”罪滅ぼし”という「(邪悪な)良心」、 13:18 (正しい)良心)
*3 神が は補足、 アナムネーシス(ギ) remembering、recollection、(行為が伴って)思い起こす § 神の側で罪を思い起こす、神が罪を覚えられる の意。 神への畏れと信仰なしに、形だけの礼拝をするならば、このようになる(詩51:16、17、Tサム15:22、イザ1:11−、等) 罪の赦しは、罪がもはや(神によって)思い起こされることがないこと(8:12、詩25:7)、 (姦淫で捕らえられた女の個所で、)イエスは知恵・知識の賜物により、「年長者の罪から順に」地面に書いておられた(ヨハ8:9)
*5−7 詩篇40:6−8、 5節の最後は、マソラ訳では、「あなたはわたしの耳を開いてくださった。」となっている (この詩篇の個所では、ご自身をささげられることは書いていない。 聞き従いのしもべとなられること)
*6 ユードケオー(ギ) seems good to one、think it good; do willingly、be well pleased with、良しと認める; を喜ぶ
*10 ヘギアスメノイ(ギ、完了、受、複・男) <ハギアゾー 聖なる者とされた (完了形): 罪が贖われ、今度は神に仕える者とされた の意
*12 有効な は補足、 § ただ一度で、大祭司の職務をなし終えられ、神の右の座に着いておられる
*13 詩篇110:1
*16 エレ31:33
*17 エレ31:34、 § 「罪を思い起こすことはしない」は、3節との対比
*19 4:16、 エイソドス(ギ) entrance、入口 § 19節から、「信仰」の道について
*20 プロスファトス(ギ) (直訳) 屠られたばかりの新鮮な
*21 § アロンが、イスラエルの家を司る(ヘブライ語の直訳で)「偉大な祭司」(=大祭司、レビ21:10)、 神の家は「私たち」 3:6
*22 血の は補足 (祭儀的な血の振りかけ(9:13、14)の類推より)、 シュネイーデシス(ギ) (良し悪しを規定する)良心、意識 (9:9、10:2、13:18) § 「邪悪な良心」、自分の方で何かやろうとする”罪滅ぼし” = 原罪の性質、 アレシノス true、real、(虚構、想像に対して)本物の、まことの、 プレロフォリーア full assurance、most certain confidence、十分な保証
*23 ピストス(ギ、形容詞) trusty、faithful、worthy of trust; easily persuaded believing、信頼すべき、誠実な(=語ったことを成し遂げる、約束を守る)(Tコリ10:13、Tテサ5:24、黙19:11)、 信じるべき、頼れる; (信じるよう)説得されやすい (cf. ピスティス faithfulness、(人が)誠実なこと、約束を守ること ガラ5:22) § 主は語ったことを成し遂げられる聖なる神 (イザ55:11)
*24 パロクシュモス(ギ) 奮い立たせる、激しく反目する(使徒15:39)、 カタノエーオ(ギ) perceive、remark、observe、よく考える、注意する (3:1、マタ7:3、ルカ12:27、等、 ≒ 「互いに教え戒め」(コロ3:16))
*25 エソース(ギ) 習慣、慣例、実例: 怠惰、優越感、世への遠慮、特別な事情があるが、詳細は不明、 エピシュナゴーゲー (エピ(加えて)+シナゴーグ(会堂)) 集会に加わる、Uテサ2:1、 かの日: キリストの再臨の日
*26 ヘクーシオス(副詞) voluntarily、willingly、故意に、意図的に(=民15:30)、 自分から進んで(Tペテ5:2) § 弱さや無知によるものは除く。 救われて、洗礼を受けてからは、一度も罪を犯してはならない という意味ではない。 弱さによる罪は、そのつど悔い改める。(救われた者にとって「律法」は罪を映し出し鏡になった) しかし罪の根を除く根本対策、きよめ、聖化は、引き続き求め続けていかなければならない
*28 申命17:6
*29 コイノス(ギ) 普通の、聖別されていない、 § 聖霊を汚す罪は、当時も、後の世にも(今の時代も)、永遠に赦されない罪 (マタ12:32、マコ3:29 ・・・ (ねたみによって)聖霊のみわざを悪霊扱いにすること)
*30 申命32:35、 申命32:36 → 「主は御民をかばい、主のしもべらをあわれむ。」(マソラ訳)
*32 § この手紙のあて先がローマのユダヤ人キリスト者であるとすれば、かなり以前から迫害があり、クラウディオ帝のAD49年ユダヤ人追放(プリスキラ、アクラ夫妻も出た、使徒18:2)、、さらにAD64年暴君ネロ帝による大迫害、さらに、66年のユダヤ人のローマへの抗争勃発によるシリヤ、パレスチナでのユダヤ人虐殺などが挙げられる。 ただしここでは、迫害はあっても、殉教者は出ていない (→ 12:4)
*34 § 獄に入れられれば、友人たちによる見舞がなければ、餓死した
*35 パレーシア(ギ) freedom in speaking、free and fearless confidence、boldness、語る自由、公然と語ること(ヨハ7:13)、告白を堅持すること、信頼、大胆さ(使徒28:31)
*36 ヒュポモネー(ギ) (原義:下に留まる) steadfastness、endurance、steadfast waiting for、堅く留まること、忍耐して待つこと § 神の語りかけ → 信仰告白 → 待つ期間 → 成就、 次節の「遅くなることはない」にかかる
*37、38 ハバ2:3、4 :38 → ハバ2:4 「見よ。心のまっすぐでない者は、心高ぶる。 しかし、正しい人はその信仰によって生きる。」(マソラ訳)
*39 ペリポイエシス(ギ) preserving、possession、obtaining、保存・貯蔵、所有物、得ること (Tテサ5:9、エペ1:14、Tペテ2:9)
第11章
1 さて、信仰とは、望んでいる事がら*の実体*であり、まだ見ていないことの証明*です。
2 先人たち*は、この信仰にあって、良きあかしをした*からです。
3* 信仰によって*、この世界が神の語る言葉*によって造られ、見えるものは、現れているものから出たのではないことを、私たちは悟るのです。
4* 信仰によって、アベルはカインよりも優れたいけにえを神にささげ、その信仰を通して、彼は義人であることがあかしされました。神が、彼の捧げものを良しとされたからです。信仰を通して、彼は死んでしまっても、今なお語っています。
5* 信仰によって、エノクは死を見ないように天に移されました。神が移されたので、彼は見えなくなりました。彼が移される前に、神に喜ばれた者であるとあかしされていたからです。*
6 信仰がなくては、神に喜ばれることはできません。なぜなら、神のところに来る者たちは、神がおられることと、ご自分を捜し出す者たちには褒賞を与えられる方であることとを、信じなければならないからです。
7* 信仰によって、ノアはまだ見ていない事がらについて神の御告げを受け、恐れかしこんで、彼の家族の救いのために箱舟を造り、そのこと*を通して世を罪に定め、そして、信仰による義を相続する者となりました。
8* 信仰によって、アブラハムは、相続財産として受け取るべき地に出て行けとの召しを受けた時、それに従い、行き先を知らないで出て行きました。
9* 信仰によって、彼は他国人のようにして約束の地に住み、共に約束を受け継ぐイサク、ヤコブと共に、天幕生活をしました。
10 彼は、堅い土台の上に建てられた都を、待ち望んでいたからです。その都を設計し、建設された方は、神です。
11* 信仰によって、サラもまた、年老いていましが、子孫*を宿す力が与えられました。約束をされた方は信頼すべき方*であると、みなしていたからです。
12 このようにして、一人の死んだも同然の人から、天の星のように、海べの数えがたい砂のように、非常に多くの人々が生まれてきたのです。*
13 これらの人は皆、信仰を持ったまま死にました。まだ約束のものは受けてはいませんでしたが、はるか遠くからそれを見て、喜び迎え*、そして、地上では旅人であり寄留者であることを公言していたのです。
14 このように言うのは、彼らが自分の故郷を捜し求めていることを示しているからです。
15 もし彼らが出てきた所のことを思い出していたのなら、帰る機会はあったでしょう。
16 しかし今や、彼らが追い求めて*いたのは、さらに優れたもの、すなわち天にある故郷でした。それゆえ神は、彼らの神と呼ばれることを恥とはされず、神は彼らのために都を用意しておられました。
17* 信仰によって、アブラハムは、試錬を受けたとき、イサクを捧げました。すなわち、約束を受けていましたが、彼のただ一人の子*を捧げたのです。
18 この子については、「イサクから出る者が、あなたの子孫と呼ばれる。」*と言われていました。
19 彼は、神には、死人たちの中から人をよみがえらせることができる、と信じていました。そして、予型(よけい)として*、イサクをそこから*取り戻したのです。
20* 信仰によって、イサクは、将来のことについて、ヤコブとエサウとを祝福しました。
21* 信仰によって、ヤコブは死に際し、ヨセフの子らを一人一人祝福し、そしてその杖のかしらに寄りかかって礼拝しました。
22* 信仰によって、ヨセフは臨終のときに、イスラエルの子孫の脱出*について言及し、自分の骨について指示しました。
23* 信仰によって、モーセが生まれたとき、三か月の間、両親は彼を隠しました。それは、彼らが子供のかわいらしいのを見たからです。彼らは王の命令を恐れませんでした。
24* 信仰によって、モーセは、成人したとき、パロの娘の子と呼ばれることを拒み、
25 罪のはかない歓楽にふけるよりは、むしろ神の民と共に苦しむことを選び、
26 キリストが受けられたような*そしりを、エジプトの宝にまさる富と考えました。それは、彼がその報酬からずっと目を離さないでいたからです。
27* 信仰によって、彼は王の怒りをも恐れず、エジプトを立ち去りました。彼は、見えない方を見るようにして、堅く立っていたからです。
28* 信仰によって、初子を滅ぼす者が、彼らの初子に触れることのないように、彼は過越しを行なわせ、血を注ぎかけをさせました。
29* 信仰によって、人々は紅海を、かわいた陸地を通るように渡り、同じようにしようとしたエジプト人は、溺れて死にました。
30* 信仰によって、エリコの城壁は、七日にわたって周囲を回ったために、崩れ落ちました。
31* 信仰によって、遊女ラハブは、偵察に来た人々を穏やかに迎えたので、不信仰な*者たちと一緒に滅びることはありませんでした。
32 この他に、何を言いましょうか。もしギデオン、バラク*、サムソン、エフタ、またダビデ、サムエル、預言者たちについて語るなら、時間が足りないでしょう。
33 彼らは信仰によって、国々を征服し、義を行い*、約束のものを受け*、ししの口をふさぎ*、
34 火の勢いを消し*、剣の刃を逃れ、弱いものは強くされ、戦いの勇者となり、他国の軍を退かせました。
35 女たちは、死んだ者たちをよみがえらさせていただきました*。 他の人々は、更に優れたよみがえりを受けるために、釈放されることを願わずに拷問を受けました。
36 また他の人たちは、あざけられ、むち打たれ、鎖でつながれ、牢に入れられる目に遭い、
37 あるいは、石で打たれ*、のこぎりで引かれ*、試みを受け、剣で切り殺され*、羊の皮ややぎの皮を着て歩きまわり*、貧しくなり、悩まされ、苦しめられ、
38 ・・・ この世は彼らの住む所ではありませんでした。 ・・・ 荒野と、山の中と、岩の穴*と、地の穴とをさまよい続けました。
39 さて、これらの人々は皆、信仰によってあかしされましたが、約束のものは受けませんでした*。
40* 神は私たちのために、さらに優れたものをあらかじめ備えて下さった*ので、私たちを除いて彼らが全うされるということはなかったのです。
*1 プラグマトーン(属格、複・中) <プラグマ that which has been done、deed、matter、thing、成されたこと、事がら、 ヒュポスタシス(ギ、単・女) foundation、substance、confidence、土台・基礎、実体、信頼、 § 実体・本質(or 保証): = 必ず成就(実現)するもの (神からの言葉が信仰の土台となり、必ずことを成し遂げる、イザ55:11)、 エレグコス(単・男) proof、conviction、(客観的に試験された後の)証明(○)、(主観的な)確信△)、 § 信仰: まだ見ていないものを、あたかも既に現実として存在しているように呼ぶこと
*2 (直訳) 長老、旧約時代の人々、 マルテュレオー(ギ) bear witness、give testimony、give a good report、あかしを与える、証明する
§ 旧約時代は、キリストの十字架による贖いは、はるか遠くの未来に垣間見るのみだったので、特に「信仰の歩み」によって「義」が与えられた。 この信仰の歩みは、われわれ新約時代の者にとっては、「救い」の信仰の上に建て上げられる「召しの信仰の歩み」であり、天に宝を積むことになる
§ 信仰についてのみことば: マコ11:22 「神の(与える)信仰を持ちなさい。」、
マコ11:24 「すでに受けたと信じるならば、そのとおりになる。」、 マタ8:10「イスラエルの中にも、これほど偉大な信仰を見たことがありません。」、 ルカ18:8「しかし、人の子が来るとき、地上にその信仰が見られるでしょうか。」、 創世1:2、3
「神の霊は水の上を舞いかけていた。そのとき、神が、「光よ。あれ。」と仰せられた。すると
光があった。」、 ロマ10:17 「信仰は聞くことから、聞くことは、神の語りかけの言葉を通して来るのです」、 イザ55:11
「わたしの口から出るわたしのことばも、むなしく、わたしのところに帰ってはこない。必ず、わたしの望むことを成し遂げ、わたしの言い送った事を成功させる。」
*3 創世1:3、6、9、11、14、15、20、24、26、 ピスティー(ギ、与格、単・女) (through) faith、信仰によって、 レーマティ(与格、単・中) <レーマ (by) decralation、語る言葉によって
*4 創世4:4
*5 創世5:21−24、 70人訳による、「エノクは神に喜ばれていた。神が彼を移したので見えなくなった。」(△) → 「エノクは神と共に歩んだ。神が彼を取られたので彼はいなくなった。」(マソラ訳 ○)
*6 § (「救い」の信仰の上の、)信仰の歩みをすることによって、神に喜ばれる (再臨信仰だけとは限らない)
*7 創世6:13−22、 そのこと: 神の命令に従って、丘の上に大きな舟を造ったこと (それをあざ笑ったことが人々の不信仰の罪であり、実際に大洪水が起こって人々はさばかれた)
*8 創世12:1−4
*9 創世12:8、13:3等
*11 創世17:19等、 スペルマ(ギ、単・中) (直訳) 種、 ピストス(形容詞) 信頼すべき
*12 § 創世15:5より、「あなたの子孫(単数)は、(空の星のように数えきれないほど増える)」なので、イスラエルの民ではなく、キリストの(信仰の)子孫が大いに増える の意 (→ 6:14 70人訳は間違い×)
*13 ヨハ8:56、 創世17:17 § この「笑う」は不信仰ではなく、喜びの笑い
*16 オレゴマイ(ギ) (直訳) 体を伸ばして触る・つかむ、追い求める(Tテモ3:1、Tテモ6:10)
*17 創世22:1−、 モノゲネー(ギ) only-begotton (son)、ただ一人の(子) (ヨハ3:16)
*18 創世21:12
*19 エン パラボレー(ギ) in parable、比喩、予型(よけい)として、 ホセン whence、どこから、そこから (=死人たちの中から)
*20 創世27:27−
*21 創世48:1−
*22 創世50:24、25、 エクソドス(ギ) 出発、出て行くこと; 死
*23 出エジ2:2
*24 出エジ2:10−
*26 (直訳) キリストの侮辱(単数)
*27 出エジ10:28、29、 カルテレーオ(ギ) be steadfast、不動である
*28 出エジ14:22−29
*30 ヨシュ6:15、16
*31 ヨシュ2:9−、 アペイセオー(ギ) refuse belief (and obedience)、説得されない、不信仰な(ヨハ3:36)、 § ヨシュ2:18の「赤いひも」は、将来のキリストの血の型 → ラハブは、ダビデ、キリストの家系に入っている(マタ1:5)
*32 士師4:8、9
*33 Uサム8:15等、 Uサム7:11、12、 ダニ6:22
*34 ダニ3:23−
*35 T列17:23、U列4:33−35
*37 U歴24:21、T列21:14、 Uサム12:31、 (のこぎり: 伝説(2世紀の偽典)によると、預言者イザヤがマナセ王によって殺された殺され方といわれる)、 T列19:10、エレ26:23、ダニ11:33、 U列1:8、ゼカ13:4、マコ1:6 (預言者たちの服装、毛衣(けごろも))、黙示11:3(荒布の喪服)
*38 T列18:4、19:9
*39 § 約束の成就を目撃する光栄は与えられなかった の意
*40 § キリストによる成就の祝福にあずかっていること、 プロブレポー(ギ) foresee、provide、予知する、用意する、 コーリス(ギ) without any、besides、を除いて
第12章
1 そして、それゆえに、このように多くの証人たち*が雲のように私たちを取り巻いているのだから、一切の重荷と、からみつく罪とを捨てて、私たちの参加すべき競走を、耐え忍んで走り抜こうではありませんか。
2 信仰の創始者であり、またその完成者であるイエスから目を離さないでいなさい。彼は、自分の前に置かれている喜びのゆえに、恥*を恥とも思わず*十字架上に留まられ*、神の御座の右に座られるに至ったのです。
3 あなたがたのたましいが、弱り果て、疲れ果ててしまわないために、罪人らのこのような反抗を耐え続けられた*方のことを、よく考えなさい。
4* あなたがたはまだ、罪と戦って、血を流すまでに抵抗をしたことがありません。
5 そして子供たちへのように、あなたがたに対して語られたこの勧めの言葉を忘れています。 「わが子よ。主の訓練*を軽んじてはいけない。主の叱責のとき、弱り果ててはならない。
6 主は愛する者を訓練し、受け入れるすべての子に、むちを加えられるからである。」*
7 もし*、あなたがたが訓練に留まっているならば、神はあなたがたを子として取り扱って*おられるのです。父に訓練されない子がいるでしょうか。
8 もし、誰でも受ける訓練を、あなたがたが共にするようにならないとすれば、すなわち、あなたがたは私生子であって、本当の子供ではありません。
9 その上、肉親の父が私たちを訓練して、それでも父を尊敬していたとすれば、尚のこと、私たちは、霊の父に服従して生きることになるのではありませんか。
10 肉親の父は、ほんのしばらくの間、自分が良しとする訓練を与えますが、霊の父は、私たちの益のため、ご自分の聖さにあずからせるために、そうされるのです。
11 すべての訓練は、その時は喜ばしいものではなく、むしろ悲しいものと思われるものです。しかし、後になれば、それによって鍛錬される*人々に、平安な義の実を結ばせるようになるのです。
12 それゆえ、あなたがたの緩んだ手と、衰えたひざとを、まっすぐにしなさい。*
13 また、足の不自由な人が脱臼することがなく、むしろいやされるように、あなたがたの足のために、まっすぐな道を作りなさい。*
14 すべての人との平和を熱心に求めなさい。* また、聖められることを追い求めなさい*。 聖くならなければ、だれも主を見ることはできません。*
15 そのために、よく気をつけて、神の大いなる恵みから落ちることがないように、また、苦い根*が生え出てあなたがたを悩まし、それによって多くの人が汚されることのないようにしなさい。
16 また、不品行な者や、一杯の食物と引き換えに長子の権利を売ったエサウ*のような俗悪な者がいないようにしなさい。*
17 あなたがたが知っているように、彼は後になって祝福を相続しようと思いましたが、涙を流してそれを求めても、心を変えてもらう余地なく、退けられました。
18 あなたがたは、手で触れることができる山、燃える火、黒雲、暗やみ、あらし、
19 また、ラッパの響き、言葉のとどろき、に近づいているのではありません。このとどろきは、聞いた者たちが、それ以上一言も加えてほしくないと願ったものです。*
20 そこでは、彼らは、「たとえ野の獣であっても、山に触れたら、石で打ち殺されなければならない。」*というその命令に耐えることができなかったのです。
21 その光景が恐ろしかったので、モーセさえも、「私は恐ろしさで、震える。」*と言ったほどです。
22 しかし、あなたがたは、シオンの山*、生ける神の都、天にあるエルサレム、無数の御使いたちの大祝会*、
23 天に登録されている長子たちの教会*、万民の審判者なる神、全うされた義人たちの霊、
24 新しい契約の仲介者イエス、そしてアベルの血*よりも力強く語る注ぎかけの血*、に近づいています。
25 あなたがたは、語っておられる方を拒まないように注意しなさい。もし地上で神のみ告げを語った者*を拒んだ彼らが罰を逃れることができなかったとすれば、私たちが、天から語っておられる方を退けるならば、尚のことではありませんか。
26 あの時には、御声が地を揺り動かしましたが、今は、約束してこう言われています。 「わたしは、もう一度、地だけではなく、天をも揺り動かす。」*
27 この「もう一度」という言葉は、揺り動かされないものが残るために、すべての造られた、揺り動かされるものが取り除かれることを示しています。
28 このように、私たちは揺り動かされない御国を受けているのですから、感謝をしようではありませんか。そして畏れ*と尊敬*とをもって、神に喜ばれるように奉仕することができるのです。
29 私たちの神は、焼き尽くす火です。*
*1 マルテュス(ギ) witness、martyr、証人、殉教者
*2 アイスキューネ(ギ) shame; ignominy、disgrace、dishonour、恥、不名誉、(§ 十字架のことを、ユダヤでは”恥”、ローマでは”愚か”と言った)、 カタフロネオー(ギ) contemn、despise、軽蔑する、見下げる
*2、3 ヒュポメノー remain、tarry behind; endure、(下に・留まる)、忍耐して留まる
*4 § それゆえ、この書が書かれたのが一連の大迫害以前、という説がある (→ 10:32注記)
*5、6 箴言3:11、12、 パイデイア(ギ) training and education of children; chastisement、訓練、(子供の)訓練と教育; 懲罰
*7 エイ(ギ) if、もし、 プロスフェーロー 誘導する、取り扱う
*11 ギュムナゾー(ギ) 練習、訓練
*12 イザ35:3
*13 (70人訳)△ → 「あなたの足の道筋に心を配り、」(箴言4:26、マソラ訳)○
*14 ロマ12:18、マタ5:9、 レビ11:45、19:2、Tペテ1:16、 マタ5:8
*15 苦い根: 不信仰になること (「毒草や苦よもぎを生ずる根」 申命29:18)
*16 創世25:33、34
*18、19 出エジ19:16−、 申命4:11−(回想)
*20 出エジ19:12、13
*21 申命9:19 (場面は異なる)
*22 シオンの山: (Uサム5:6−9、T列14:21、詩篇78:68−、122:3−)、 御使いの祝会: 黙示5:11、12、ダニ7:10、(黙14:2、3?)
*23 約束の相続者は皆、長子。いのちの書に名が記されている: ルカ10:20、黙示21:27
*24 § アベルの血: 自分だけの身の潔白を主張する(創世4:10)、 キリストの血: 信じるすべての人の罪の赦しと贖いの宣言を叫んでいる
*25 モーセのこと
*26 ハガ2:6、 黙示6:12−14、マタ24:29
*28 ユーラベイア(ギ) caution、avoidance、reasonable shunning; reverence、godly fear、piety、合理的に避けること、畏敬の念、(5:7)、 デオス 敬虔 (ここだけ)
*29 さばきとして: 「焼き尽くす火、ねたむ神」 申命4:24、イザ33:14、Uペテ3:10、 祝福として: 「アベルの捧げもの」 創世4:4
第13章
1 兄弟愛*を持ち続けなさい。
2 旅人をもてなすことを忘れてはいけません。* このようにして、ある人々は、気づかないで御使いたちをもてなしました。*
3 牢につながれている人たちを、自分も一緒に牢につながれている気持ちで思いやりなさい。* また、自分も肉体を持っている者なので、苦しめられている人々を思いやりなさい。
4 すべての人にあって、結婚が尊ばれるものであるようにしなさい。寝床を汚してはいけません。神は、不品行な者たちや不倫をする者たちをさばかれます。
5 金銭を愛することをしないで*、自分の持っているもので満足する生活をしなさい*。それは、 「わたしは、決してあなたを離れず、あなたを捨てない。」*と、主が言っておられるからです。
6 だから、私たちは大胆にこう言います。 「主は私の助け主です。私には恐れません。人は、私に何ができるでしょうか。」*
7 神のみことばをあなたがたに語った指導者たちのことを、思い出しなさい。彼らの日々の行動*の結果を注意深く見て、その信仰を見習いなさい。
8* イエス・キリストは、きのうも、きょうも、いつまでも変ることがありません。
9 さまざまな異なる教えによって、迷わされてはいけません。それは、食物*によってではなく、大いなる恵みによって、心が堅く建て上げられる*からです。食物によって歩んだ者は、益を得ませんでした。
10 私たちには一つの祭壇がありますが、幕屋で仕える者たちは、その祭壇の食物を食べる権利はありません。*
11 なぜなら、大祭司によって罪のためにささげられる動物の血は、聖所の中まで携えて行かれますが、その体は宿営の外で焼かれてしまうからです。*
12* それゆえ、イエスもまた、ご自分の血で民を聖なるものにするために、城門の外で*苦難を受けられたのです。
13 ですから、私たちも、キリストのはずかしめを身に負い、営所の外に出て、みもとに行こうではありませんか。
14 私たちはこの地上に永遠の都を持っているのではなく、来たるべき都こそ、私たちの求めているものだからです。
15 だから、私たちはキリストを通して、賛美のいけにえ*、すなわち、御名を告白する*くちびるの雄牛*を、たえず神に捧げようではありませんか。
16 そして、善を行うことと、施しをすることとを怠ってはいけません。神は、このようないけにえを喜ばれるからです。
17 あなたがたの指導者たちの言うことを聞いて、従いなさい。彼らは、神に弁明する者として、あなたがたのたましいのために見張りをしているのです。彼らが嘆かないで、喜んでこのことをするようにしなさい。そうでないと、あなたがたの益にならないからです。
18 私たちのために、祈ってください。私たちは優れた良心*を持っていると確信し、何事についても良い願いをもって行動しようとしているからです。
19 もっと祈ってくださるように、特にお願いします。それは、私があなたがたの所に、より早く帰れるようになるためです。
20 永遠の契約の血による、羊たちの大牧者である私たちの主イエスを、死人の中から引き上げられた平和の神が、
21 イエス・キリストを通して、御前でみこころにかなう*ことを私たちにして下さり、あなたがたがみこころを行うために、すべての良いことについて完全な者にしてくださいますように。どうか、キリストに、栄光が世々限りなくありますように。アーメン。
22 兄弟たちよ。どうか私の勧めの言葉を我慢して受け入れてください。私は、ただ手短かに書きました。
23* 私たちの兄弟テモテが釈放されたことをお知らせします。もし彼が早く来れば、私は彼と一緒にあなたがたに会えるでしょう。
24 すべてのあなたがたの指導者たちと、すべての聖徒たちに、よろしく言ってください。イタリヤから来た人々*が、あなたがたによろしくと言っています。
25 大いなる恵みが、あなたがたすべてと共ににありますように。アーメン。
(ヘブル人たちへ。イタリヤから、テモテが記す。)
*1 フィラデルフィア(ギ) brotherly love、兄弟愛 (ロマ12:10、Tテサ4:9、Tペテ1:22、 詩篇133:1、 兄弟を愛する(アガパオー)ことが信仰の本質であること Tヨハ3:10−、 (cf. 黙3:7のフィラデルフィアの町の名は
人名より付けられた))
*2 マタ25:35−、ロマ12:13、Tペテ4:9、 § アブラハムはよくもてなす人としてユダヤ人に尊敬されている (創18:4−8、 この時現われた3人のうち、2人は御使い、一人は主(ヤハウエ)ご自身だった。その後2人の御使いはロトのところへ行った)
*3 10:34
*5 Tテモ6:10、 マタ6:31−33、 申命31:6、ヨシュ1:5
*6 詩篇118:6
*7 アナストロフェー(ギ) manner of life、conduct、behaviour、生活様式、(日々の)行動、 エクバシス 出口、終点、結果
*8 (= Tペテ1:24、25、 イザ40:8) § 前節の指導者たちで召されて死んだ人たちと異なり、永遠に変わることのないキリスト。 「大きな叫びと涙とをもって求める祈りと嘆願とをささげ」(5:7)られた方が、よみがえられた今、「永遠の贖いを獲得され」(9:12)、「永遠に生き続けられる方なので、変わらない祭司の務めを」(7:24)行われ、天において「大祭司」として神の右の座に着き、試みを受けられてわれわれの弱さに同情されるゆえに、ご自分によって神に近づく者たちのとりなしをしておられる
*9 食物規定のこと、(エッセネ派(BC2世紀−AD1世紀、パリサイ、サドカイと並ぶ)のような)禁欲的縛りに陥らせること ⇔ 「(大いなる)恵み」、 ベバイオオー(ギ) make firm、establish、堅くする、設立する
*10、11 § 大贖罪の日に動物が屠られ、大祭司はその血を至聖所に持っていき、皮と肉と汚物は宿営の外で焼かれ(レビ16:27)、食べる所は無い (罪のためのいけにえは、祭司たちが聖所で食べることができる レビ10:16−)
*12 プレー(ギ) gate、(城や町、寺院、ハデスなどの大きな)門、 ヨハ19:17のゴルゴタ、 § ゴルゴタ(アラム語のgulg th '): 城壁北側の外のいわゆる”ゴルドンのゴルゴタ”(崖の岩の形が今でも頭蓋骨に見える)が最も有望。この場所の地下にはエレミヤの洞窟と
地下の石切り場がある。 隣には「園の墓」がある。 「いけにえは宿営の外で焼かれた」事と一致(ヘブル13:11、12、出エジ29:14) (cf. 聖墳墓教会は城壁の中なので異なる)
*15 感謝のいけにえ(+輪型のパン、和解のいけにえの一つ) レビ7:12、詩篇50:12−15、 ホモロゲオー(ギ) agree with、assent; concede; confess、declare、同意する; 譲歩(しぶしぶ)する; 告白する、 ホセ14:2 ((唇の)「果実」は70人訳×) → (唇の、言葉の)「雄牛を」 (マソラ訳○) ・・・ 主にまみえる時は何らかの犠牲が伴う(皮の衣(創4:21))
*18 シュネイーデシス(ギ) 意識、善悪を決定するたましい、良心(9:9、10:2、10:22) § カレーン シュネイーデシン 優れた良心: 恵みによって、人に対する義務に忠実 (Uコリ1:12)
*21 ユーアレシトス(ギ) well pleasing、acceptable、みこころにかなう、受け入れられる、喜ばれる (ロマ12:1、2、エペ5:10)
*23 § テモテが拘束された箇所はここだけ、 Uテモ4:9、13、21より、テモテはパウロにローマに呼び出されているので、この時もエペソにいた可能性がある
*24 § イタリヤでない場所で書かれた、ローマかイタリヤに対して差し出された手紙、ととれる (イタリヤから来た人々も共に、同じイタリヤの人たちにあいさつする の意)