マルコの福音書



  第1章


 1 神の子イエス・キリストの福音のはじめ
 2 預言者の書に、「見よ。わたしはわたしの使いを、あなたが現れる先に遣わし、あなたの前であなたの道を整えさせよう。
 3 荒野で呼ばわる者の声がする。『主の道を整えよ。主の通られるすべての通り道をまっすぐに作れ。』」と書いてあるように、
 4 バプテスマのヨハネが荒野に現れて、罪の赦しを得させる悔改めのバプテスマを宣べ伝えていた。
 5 そこで、ユダヤ全土とエルサレムの全住民とが、彼のもとへ次々と出て行って、ヨルダン川の中で罪を告白し、ヨハネからバプテスマを受けていた。
 6 このヨハネは、らくだの毛ごろもを身にまとい、腰に皮の帯を締め、いなごと野蜜とを食物としていた。
 7 彼は宣べ伝えて言った、「私よりも力のある方が、私のあとから来られる。私はそのくつのひもを解くためにかがむ値うちもありません。
 8 私は確かにの中でバプテスマを授けていますが、この方は、聖霊によってバプテスマをお授けになります。」

 9 そして、ついにその時がやって来た。イエスはガリラヤのナザレから出て来られ、ヨルダン川で、ヨハネからバプテスマをお受けになった。
10 そして、水の中から上がられるとすぐ、天が裂けて、聖霊がはとのように自分に下って来るのを、ご覧になった。
11 すると天から声があった。「あなたはわたしの愛する子。わたしの喜ぶ者である。」
12 それからすぐに、御霊がイエスを荒野に追いやった。
13 イエスは四十日の間、荒野にいて、サタンの試みにあわれた。そして野の獣もそこにいたが、御使いたちはイエスに仕えていた。

14 ヨハネが捕えられた後、イエスはガリラヤに行き、神の御国の福音を宣べ伝えて言われた。
15 「時は満ちた。神の御国は近づいた。悔い改めて福音を信じなさい。」
16 さて、イエスはガリラヤの湖の岸辺を歩いて行かれ、シモンとシモンの兄弟アンデレとが、湖で網を打っているのをご覧になった。彼らは漁師であった。
17 イエスは彼らに言われた。「わたしについて来なさい。あなたがたを、人間をとる漁師にしてあげよう。」
18 すると、彼らはすぐに網を捨てて、イエスについて行った
19 また少し進んで行かれると、ゼベダイの子ヤコブとその兄弟ヨハネとが、舟の中で網を準備しているのをご覧になった。
20 そこで、すぐ彼らをお呼びになると、父ゼベダイを雇人たちと一緒に舟において、イエスの後について行った

21 それから、彼らはカペナウムに行った。そしてイエスはただちに、安息日に会堂に入って教えられた
22 人々は、その教に驚いた。律法学者たちのようにではなく、権威ある者のように、教えられたからである。
23 ちょうどその時、汚れた霊につかれた者が会堂にいて、叫んで、
24 言った。「あなたはわれわれと何かあるのか。ナザレのイエスよ、われわれを滅ぼしに来たのか。あなたが誰であるか分かっている。神の聖者だ。」
25 イエスはこれを叱って、「黙れ。この人から出て行け。」と言われた。
26 すると、汚れた霊は彼を激しく痙攣(けいれん)させ、大声をあげて、その人から出て行った。
27 人々はみな驚きのあまり、互に議論して言った。「これは何事か。これは新しい教えか。権威によって、彼が命じると、汚れた霊さえ彼に服従するのだ。」
28 こうしてイエスのうわさは、たちまちガリラヤの全地方、至る所に広まった。

29 それから会堂を出るとすぐ、ヤコブとヨハネとを連れて、シモンとアンデレとの家に入って行かれた。
30 ところが、シモンのしゅうとめが熱病で床についていたので、人々はさっそく、そのことをイエスに知らせた。
31 イエスは近寄り、その手を取って起されると、ただちに熱が引き、女は彼らに食事のもてなしをした。
32 夕暮になり日が沈むと、人々は病人や悪霊につかれた者を皆、イエスのところに連れてきた。
33 こうして町中の者が、戸口に向かって集まった。
34 イエスは、さまざまの病をわずらっている多くの人々をいやし、また多くの悪霊を追い出された。また、悪霊どもに、ものを言うことをお許しにならなかった。彼らがイエスを知っていたからである。

35 夜明け前のまだ暗いうちに、イエスは起きて、寂しい所へ出て行き、そこで祈っておられた。
36 すると、シモンとその仲間たちが、後になって探しに来た
37 そしてイエスを見つけて、「皆が、あなたを捜しています。」と言った。
38 イエスは彼らに言われた。「他の、近くの町々に皆で行って、そこでも教えを宣べ伝えよう。わたしはこのために出て来たのだから。」
39 そして、ガリラヤ全地を巡り歩いて、諸会堂で教えを宣べ伝え、また悪霊を追い出された。
40 一人のらい病人が、イエスのところにお願いに来て、ひざまずいて言った。「あなたのみこころでしたら、あなたは私をきよめることがおできになります。」
41 イエスは深くあわれみ、手を伸ばして彼に触れ、彼に言われた。「わたしはそうしよう。きよくなれ。」
42 すると、らい病が直ちに去って、その人はきよくなった。
43 イエスは彼をきびしく戒めて、すぐにそこを去らせ、
44 こう言い聞かせた。「何も人に話さないように、注意しなさい。ただ行って、自分の体を祭司に見せ、それから、あなたのきよめのためにモーセが命じた物を捧げて、人々にあかししなさい。」
45 ところが、彼は出て行って、自分の身に起ったことをたくさん語り始め、言い広めたので、イエスはもはや表立っては町に入ることができなくなり、外の寂しい所に留まっておられた。それでも、人々はあらゆるところからイエスのもとへ来た。


   *  マルコ (マルコスはギリシャ名、守り、防衛、の意)は、イエスをほぼ「しもべ」として見ている。 マルコの福音書の著者は、ヨハネ・マルコ(異邦に住むユダヤ人)で、主に使徒ペテロの口伝をまとめたものといわれる。 マルコは「助手」として小アジアに行き、そこでパウロらと別れ帰ってしまったことを非難されている(使徒15:38)が、後に成長して、ローマの獄中のパウロを訪れた時はりっぱな「同労者」になっていた。(ピレモン:24、コロサイ4:11)  ペテロとの間には師弟関係があった。(Tペテ5:13、 「子」は、テクノン(ギ、信仰の子)ではなくフィオス(ギ、弟子)という言葉を用いている) そのため、ペテロの信仰を引き継いだマルコは、「しもべ」としてのイエス・キリストを最もよく表現している。 全体的に、マタイの福音書よりも簡潔.。しかし要所要所でキリストが伝えようとした生きている 信仰の歩みについて、そのプロセスを最も詳しく描いている。
   *1  ユーアンゲリオン(ギ) well message、gospel、福音、良い知らせ、良き訪れ、  アルケー(ギ) beginning、初め、時間的起点、(因果関係の)根源
   *2、3  マラキ3:1 (イザヤとは書いていない)、3節は イザヤ40:3、  (直訳) 顔より先に、(時間的に先に)
   *7  靴(サンダル)を脱がせることは、弟子もしない、奴隷だけがする卑しい仕事。
   *8  メン(ギ) indeed、  エン(ギ) in、by、with の中で、によって
   *15  プレロー(ギ) fill 、fulfil、(旧約におけるご自身の約束が)成就した、の意、  バシレイア(ギ) 王国、神の支配
   *16  マタイ4:18、  (直訳) 海辺、 (直訳) 海
   *17  デューテ オピソー モウ(ギ) come after me
   *18  アコロウセオ(ギ) follow、ついて行く  (obey ではない)
   *20  アペールソン オピソー アフトウ(ギ) went away after Him
   *21  ルカ4:31−37、  カペナウム: ガリラヤ湖北西岸の大きな町   シナゴーグでは、会堂管理者の許可があれば、誰でも教えることができた
   *24  イエスの名はありふれていたので、人々は「ナザレのイエス」と呼んでいた   (直訳) 何か(係わりが、共通なものが)あるのか
   *27  ヒュパコウオー(ギ) obey、服従する
   *32  土曜日の日没で安息日が終わってから
   *40  らい病人(現在のハンセン氏病患者)は律法により、”汚れている”と宣言され、民から隔離された。(レビ記13章) またそのいやしは、死人のよみがえりほど難しいものとされていた。
   *41  セロー(ギ) I will、 desire、wish、  あわれみと共に働く いやしは、みこころであり、主のご意志、主が望まれること
   *44  祭司に見せて、らい病が良くなったことの確認(レビ14:2−4)、 きよめの供え物(レビ14:1−32)



  第2章


 1 幾日かたって、イエスがまたカペナウムに帰られたとき、家におられるといううわさが立ったので、
 2 すぐに多くの人々が集まってきて、もはや戸口のあたりまでも、すきまが無いほどになった。そして、イエスはみことばを彼らに語っておられた。
 3 すると、人々が一人の中風の者を四人の人に運ばせて、イエスのところに連れてきた。
 4 ところが、群衆のために近寄ることができないので、イエスのおられるあたりの屋根をはがし、穴を開けて、中風の者を寝かせたまま、寝床を釣り下ろした。
 5 イエスは彼らの信仰を見て、中風の者に、「子よ。あなたの罪今赦されました。」と言われた。
 6 ところが、そこに幾人かの律法学者が座っていて、心の中で違う理屈を言った
 7 「この人は、なぜあんなことを言うのか。それは神を汚すことだ。神ひとりの他に、誰が罪を赦すことができるだろうか。」
 8 イエスは、彼らが内心このように論じているのを、自分の霊ですぐ見抜いて、「なぜ、あなたがたは心の中でそんなことを論じているのか。
 9 中風の者に、あなたの罪は赦された、と言うのと、起きなさい、床を取りあげて歩きなさい、と言うのと、どちらがたやすいですか。
10 しかし、人の子が地上で罪を赦す権威をもっていることを、あなたがたが知るために。」と彼らに言い、中風の者に、
11 「あなたに命じます。起きなさい。そして、床を取り上げて家に帰りなさい。」と言われた。
12 すると彼は起き上がり、すぐに床を取り上げて、皆の前を出て行ったので、一同は大いに驚き、神をあがめて、「こんな事は、まだ一度も見たことがない。」と言った。

13 イエスはまた岸辺に出て行かれると、多くの人々がみもとに集まってきたので、彼らを教えられた。
14 また道の途中で、アルパヨの子レビが収税所に座っているのをご覧になって、「わたしについて来なさい。」と言われた。すると彼は立ち上がって、イエスについて行った
15 それから彼の家で、食事の席に着いておられたとき、多くの取税人たちや罪人たちも、イエスや弟子たちと共にその席に着いていた。このような人たちが大ぜいいて、イエスについて来たのである。
16 すると律法学者たちとパリサイ人たちは、イエスが罪人や取税人たちと食事を共にしておられるのを見て、弟子たちに言った。「なぜ、彼は取税人たちや罪人たちと食事を共にするのですか。」
17 イエスはこれを聞いて言われた。「丈夫な人には医者は必要ありません。必要なのは病人です。わたしが来たのは、義人を招くためではなく、罪人を悔い改めに招くためです。」
18 ヨハネの弟子たちとパリサイ人たちとは、断食をしていた。そこで人々が来て、イエスに言った。「ヨハネの弟子たちとパリサイ人の弟子たちとが断食をしているのに、あなたの弟子たちは、なぜ断食をしないのですか。」
19 するとイエスは言われた。「婚礼の客は、花婿が一緒にいるのに、断食ができるでしょうか。花婿と一緒にいる間は、断食はできません。
20 しかし、花婿が彼らから取り去られる日々が来ます。それらの日々には断食をします。

21 誰も、真新しい布切れを、古い着物に縫い付けません。もしそうすれば、新しいつぎは古い着物を引き破り、そして、破れがもっとひどくなります。
22 また誰も、新しいぶどう酒を古い皮袋に入れません。もしそうすれば、ぶどう酒は皮袋をはり裂き、そして、ぶどう酒も皮袋もむだになってしまいます。だから、新しいぶどう酒は新しい皮袋に入れるべきです。
23 ある安息日に、イエスは麦畑の中を通って行かれた。そのとき弟子たちが、歩きながら穂を摘み始めた。
24 すると、パリサイ人たちがイエスに言った。「ご覧なさい。彼らはなぜ、安息日にしてはならないことをするのですか。」
25 そこで彼らに言われた。「あなたがたは、ダビデとその供の者たちとが食物がなくて飢えたとき、ダビデが何をしたか、また読んだことがないのですか。
26 すなわち、大祭司アビヤタルの時、神の家に入って、祭司たちの他は食べてはならない供えのパンを、自分も食べ、また供の者たちにも与えたではありませんか。」
27 また彼らに言われた。「安息日は人のためにあるもので、人が安息日のためにあるのではありません。
28 それゆえ、安息日にあっても、人の子は主です。」


   *4  パレスチナの家の多くは一部屋で、屋根は雨期が来る前(毎年、秋)に屋根を葺き替えた。屋根は梁に木の枝を渡し 土を敷いて踏み固めたもので、容易にはがすことができた。
   *5  マタイ9:2、  テクノン(ギ) child、offspring、 子、子孫、  ハマルティアイ(ギ、複) sin、offence 罪、違反、  アフィエンタイ(ギ、現・被・3複) (過去からの継続ではなく)(今のこの瞬間に)赦された → この場にいるイエスが罪を赦す権威を持っていることを示す
   *6  デイアロギゾマイ(ギ) bring together different reasons、異なる理由を持って来る、違う理屈を言う
   *14  マタイ9:9、  レビ = マタイ   cf. アルパヨの子ヤコブも12使徒にいる
   *16  パラシュ(ヘ) 分離する の意
   *17  メタノイア(ギ) repentance、change of mind、悔い改め、心を変えること
   *21  晒していない布: 新しい布は まだ晒していないので、洗濯などで水に漬けると縮んでしまい、古い衣類を破いてしまう
   *22  新しいぶどう酒は、発生するガスのため 古くて硬くなった皮を張り裂く
   *23  マタイ12:1−8
   *26  T歴代24:6、Tサム21:2 アビヤタルは アヒメレク(サウルに殺された)の子
   *28  (あるいは) 安息日にあっても、人の子である主は、あるのです  *エスティン(ギ、3単、vi 自動詞) <エイミ is、 ある、存在する



  第3章


 1 再び、イエスが会堂に入られると、そこに片手のなえた人がいた。
 2 人々はイエスを訴えようと思い、安息日にその人をいやされるかどうかを凝視していた。それはイエスを訴えるためであった。
 3 すると、イエスは片手のなえたその人に、「真中へ行って、立ちなさい。」と言い、
 4 人々に、「安息日に良いことをするのと、悪いことをするのと、いのちを救うのと殺すのと、どちらが良いですか。」と言われた。彼らは黙っていた。
 5 イエスは怒りながら彼らを見回し、その心のかたくななのを嘆いて、その人に、「手を前に伸ばしなさい。」と言われた。そこで彼が手を伸ばすと、その手はもう一方のように健全な形に戻った
 6 パリサイ人たちは出て行って、すぐにヘロデ党の者たちと、何とかしてイエスを殺そうと相談し始めた。

 7 それから、イエスは弟子たちと共に湖の岸辺に退かれたが、ガリラヤからきた非常に多くの群衆がついて行った。またユダヤから、
 8 エルサレムから、イドマヤから、更にヨルダンの向こう*から、ツロ、シドンのあたりからも、おびただしい群衆が、そのなされていることを聞いて、みもとに来た。
 9 イエスは群衆が自分に押し迫るのを避けるために、小舟を待たせておくように弟子たちに命じられた。
10 それは、多くの人をいやされたので、病苦持っている者たちが皆イエスにさわろうとして、押し寄せてきたからである。
11 また、汚れた霊どもはイエスを見るたびに、御前にひれ伏し、叫んで、「あなたこそ神の子です。」と言った。
12 イエスは御自身のことを人に知らせないようにと、彼らを厳しく戒められた。

13 さてイエスは山に登り、ご自分のみこころの者たちを呼び寄せられたので、彼らはみもとにきた。
14 そこで十二人をお立てになった。彼らを自分のそばに置くためであり、さらに宣教に遣わし、
15 また病人たちをいやし、悪霊どもを追い出す権威を持たせるためであった。
16 そして、シモンにペテロという名前をつけ、
17 また、ゼベダイの子ヤコブと、ヤコブの兄弟ヨハネ、彼らにはボアネルゲ、すなわち、雷の子という名前をつけられた。
18 つぎにアンデレ、ピリポ、バルトロマイ、マタイ、トマス、アルパヨの子ヤコブ、タダイ、熱心党のシモン、
19 それからイスカリオテのユダ。このユダがイエスを引き渡したのである。彼らが家に入って来ると、
20 群衆もまた一緒に来たので、一同は食事をすることができないほどであった。

21 周囲の者たちはこの事を聞いて、イエスを連れ戻しに出てきた。イエスが気が違ったと言う人々がいたからである。
22 また、エルサレムから下ってきた律法学者たちも、「彼はベルゼブルに取りつかれている。」と言い、「悪霊どものかしらによって、悪霊どもを追い出しているのだ。」と言った。
23 そこでイエスは彼らを呼び寄せ、たとえによって言われた。「どうして、サタンがサタンを追い出すことができるでしょうか。
24 もし国が内部で分れ争うなら、その国は立ち行きません。
25 また、もし家が内輪で分裂するなら、その家は立ち行きません。
26 もしサタンがサタン自身に対抗して、分裂しているなら、彼は立ち行けず、滅んでしまいます
27 だれでも、まず強い人を縛り上げてからでなければ、その人の家に押し入って財産を奪い取ることはできません。強い人が縛られて、それからその家を略奪することができるのです。
28 まことに、あなたがたに言います。人の子らには、その犯すすべての罪も、神を冒涜する言葉も、赦されます。
29 しかし、聖霊を冒涜する者は、いつまでも赦されず、永遠の罪に定められます。」
30 それは、彼らが「イエスは汚れた霊に憑かれている。」と言ったからである。
31 それから、イエスの兄弟たちと母とが来て、外に立ち、人を遣わしてイエスを呼び出そうとした。
32 そのとき群衆はイエスを囲んで座っていたが、「ご覧なさい。あなたのお母さんと兄弟たちが、あなたを尋ねて外に来ています。」と言った。
33 すると、イエスは彼らに答えて言われた。「わたしの母、わたしの兄弟とは、誰のことですか。」
34 そして、自分を取り囲んで座っている人々を、見回して言われた。「見よ。ここにわたしの母、わたしの兄弟たちがいます。
35 神のみこころを行う者は誰でも、わたしの兄弟、また姉妹、また母なのです。」


   *2  生命にかかわらない癒しを安息日にすることは、言い伝え(口伝律法)によって違反だった
   *5  ヒュギエース(ギ) sound、health、健全な、  アポカシスタノー(ギ) restore、(元の形に)戻る
   *6  ガリラヤ地方を支配していたヘロデ・アンティパス支持者により反逆分子とみなされ始めた。普段は敵対するパリサイ派と協力
   *8  遠くの地からうわさを聞きつけて、この辺境のガリラヤに来た。 イドマヤ = エドムの地、 ヨルダンの向こう = ペレヤ
   *10  マスティクス(ギ) (直訳) 鞭で打つこと、 神から人に与えられた苦しみ、の意
   *14  ポイエオー(ギ) make、 (使徒に任命する、という言葉は無い)
   *16、17  ペトゥロス(ギ):ペテロ = (岩から取れた)石  cf. ペトラ(ギ) 岩、  ブロンテース(ギ) thunder、雷 は誤訳で、 ボアネルゲース(ギ) = ベン・レガズ(ヘ) son of rage、(ダニエル3:13)、激怒の子 (9:38、ルカ9:54)
   *18  バルトロマイ =タルマイの子 =ナタナエル(ヨハネ1:45−)、 トマス=ふたご の意、 アルパヨの子ヤコブ(レビ=マタイとは別人)、 タダイは乳房(アラム語)(シャダイ(ヘ))、 熱心(ねたみ)党は過激な民族主義者
   *19  イスカリオテ =ケリヨテ出身の、 ケリヨテ(ヨシュ15:25) または モアブのキルヨテ(エレ48:24)
   *22  マタイ10:25、  バアル・ゼブブ= はえの主
   *26  滅びる (直訳) 終わりを持つ、 エコー(ギ) have
   *27  マタイ12:29
   *28  アーメン(ギ) 確かに、まことに
   *29  マタイ12:31、32
   *30  取りつかれている: エコー(ギ) have、hold 持つ、 possess  憑依する



  第4章


 1 イエスはまたも、湖の岸辺で教え始められた。おびただしい群衆がみもとに集まったので、イエスは舟に乗って座ったまま、湖の上におられ、群衆は皆、岸に沿って陸地にいた。
 2 イエスは たとえで多くの事を教えられたが、その教えの中で彼らにこう言われた。
 3 「さあ、聞きなさい。種まきが種を蒔きに出て行きました。
 4 蒔いているうちに、道ばたに落ちた種がありました。すると、空の鳥が来て全部食べてしまいました。
 5 別の種は土の薄い石地に落ちて、そこは土が深くないので、すぐ芽を出しましたが、
 6 太陽が上ると焼けて、根がないために枯れてしまいました。
 7 また別の種はいばらの中に落ちた。すると、いばらが伸びて、ふさいでしまったので、実を結びませんでした。
 8 残りの種は、良い地に落ちました。そして成長して、大きくなり、あるものは三十倍、あるものは六十倍、あるものは百倍の実を結びました。」
 9 そして彼らに言われた。「聞く耳のある者は聞きなさい。」

10 イエスが一人になられた時、近くにいた者たちが、十二弟子と共に、これらの たとえについて尋ねた。
11 そこでイエスは言われた。「あなたがたには神の国の奥義が与えられていますが、他の者たちには、すべてが たとえで語られます。
12 それは、『彼らは見るには見るが、知らず、聞くには聞くが、悟らない。それは、悔い改めて赦されることがないため。』です。」
13 また彼らに言われた。「あなたがたはこの たとえが分からないのですか。どうすれば、すべての たとえを理解するでしょうか。
14 種蒔きとは、みことばを蒔くことです。
15 道ばたにみことばが蒔かれたとは、こういう人たちのことです。すなわち、みことばを聞くと、すぐにサタンがきて、彼らの心に蒔かれたみことばを、奪って行くのです。
16 同じように、石地に蒔かれたとは、こういう人たちのことです。みことばを聞くと、すぐに喜んで受け取りますが、
17 彼ら自身に根を持っていないので、しばらく続くだけです。そのうち、みことばのために困難や迫害が起ってくると、すぐつまずいてしまいます。
18 また、いばらの中に蒔かれたとは、こういう人たちのことです。みことばを聞きますが、
19 世の心づかいと、富の惑わしと、その他いろいろな欲とが入ってきて、みことばをふさぐので、実を結ばなくなります。
20 また、良い地に蒔かれたとは、こういう人たちのことです。みことばを聞いて自身に取り入れ、三十倍、六十倍、百倍の実を結ぶのです。」

21 また彼らに言われた。「枡(ます)の下や寝台の下に置くために、あかりを持ってくるでしょうか。燭台の上に置くためではありませんか。
22 何事でも、隠されているのは、現れるためであり、秘密にされているのは、明らかにされるためです。
23 聞く耳のある者は聞きなさい。」
24 また彼らに言われた。「聞くことがらはっきり捉えなさい。あなたがたの量る量りで、自分にも量り返されます。そして、聞くあなたがたには、さらに増し加えられます。
25 それは、だれでも持っている人は更に与えられ、持っていない人は、持っているものまでも取り上げられるからです。」

26 また言われた。「神の御国は、ある人が地に種を蒔くようなものです。
27 夜昼、寝起きしている間に、種は芽を出して育っていきますが、どうしてそうなるのか、その人は知りません。
28 それは、地はそれ自身で実を結ばせるもので、初めに芽、つぎに穂、つぎに穂の中に豊かな実ができるからです。
29 実が熟すと、すぐにかまを入れます。刈入れ時が来たからです。」
30 また言われた。「神の国は何に比べられるでしょう。また、何にたとえれば良いでしょうか。
31 それは一粒のからし種のようなものです。地に蒔かれる時には、地上のどんな種よりも小さいが、
32 蒔かれると、成長してどんな野菜よりも大きくなり、大きな枝を張り、その陰に空の鳥が巣を作れるほどになります。」
33 イエスはこのような多くの たとえで、人々の聞く力にしたがって、みことばを語られた。
34 たとえによらないでは語られなかったが、自分の弟子たちには、ひそかにすべてのことを解き明かされた。

35 さてその日、夕方になると、イエスは弟子たちに、「向こう岸へ渡ろう。」と言われた。
36 そこで、彼らは群衆を帰らせてから、イエスが舟に乗っておられるまま、乗り出した。他の舟も一緒に行った
37 すると、激しい突風が起り、波が舟の中に打ち込んできて、舟に満ちそうになった。
38 ところが、イエス自身は、ともの方で枕をして、寝ておられた。そこで、弟子たちはイエスを起こして、「先生。私たちが溺れ死んでも、何とも思われないのですか。」と言った。
39 イエスは起き上がって風を叱り、湖に向かって、「静まれ。黙れ。」と言われると、風はやみ、大なぎになった。
40 イエスは彼らに言われた。「なぜ、そんなに臆病なのか。どうして信仰を持っていないのか。」
41 彼らは恐れおののいて、互に言った。「この方は一体、誰であられるのだろう。風も湖も彼に従うとは。」


   *3  マタイ13:3
   *9  マタイ11:15、 (直訳) 聞く耳(複数)を持っている者(単数)は聞きなさい
   *12  イザヤ6:9、  イドーシン(ギ) <ホラオー see with the mind、perceive、know、 スニオーシン(ギ) bring together、understand
   *13  ギノースコー(ギ) know、understand
   *14  ロゴス(ギ) word、sayings of God、teaching、Word (Christ) 
   *20  パラデーコマイ(ギ) receive、take upon one's self、accept
   *22  ガル(ギ) for、ため、というのは、
   *24  神のことばに「聞く」ということにポイントがある。 聞く耳を持っている人ほど、ますます与えられて豊かになる。  アコウオ(ギ) hear、hearken 聞く、耳を傾ける、  ブレポー(ギ) see、discern、see with the mind's eye、見る、見分ける、はっきりと認める、凝視する、心の目で見る、霊的に洞察する、  プロスティーセミ(ギ) put to、add、増し加える
   *25  マタイ13:12、25:26  (主からの賜物は 多く与えられた人の方がより良く活用する。 一方、1タラントだけ(救いだけ)の人はそれすら失う危険性がある。)
   *28  アフトマテー(ギ) 自然的に、何の助けも借りずに、それ自身の作用で、(しばしば土地が植物を産するさま)
   *33  カソース(ギ) according as、in the degree that、 (聞く能力)にしたがって、程度に応じて
   *35  マタイ8:18
   *36  (マルコの福音書だけの記事)
   *37  マタイ8:24  ガリラヤ湖の地形によって夕方から夜にかけて吹く突風
   *38  プリュームナ(ギ) とも、船尾、
   *40  デイロス(ギ) (不信仰のため)臆病、恐れている、 (=黙示21:8、 マタイ8:26)、  エクエテ ピスティン(ギ) 
have faith
   *41  フォベーオ(ギ) 畏怖する、逃げさせる、恐れに打たれる、  エスティン(ギ) < エイミ is、  ヒュパコウオー(ギ) obey、従う



  第5章


 1 こうして彼らは湖の向こう岸、ガダラ人の地に着いた。
 2 それから、イエスが舟から上がられるとすぐに、汚れた霊につかれた人が墓場から出てきて、イエスに出会った。
 3 この人は墓場を住み家としており、もはやだれも、鎖でさえも、彼をつなぎ止めておくことができなかった。
 4 彼はたびたび足かせや鎖でつながれたが、鎖を引きちぎり、足かせを砕くので、だれも彼を拘束することができなかったからである。
 5 そして、夜昼絶え間なく墓場や山で叫び続けて、石で自分の体を傷つけていた。
 6 ところが、この人はイエスを遠くから見て、走り寄って拝み、
 7 大声で叫んで言った。「いと高き神の子イエスよ。あなたは私と何のかかわりがあるのです。神に誓って、どうぞ私を苦しめないでください。」
 8 それは、イエスが、「汚れた霊よ、この人から出て来い。」と言われたからである。
 9 また彼に、「何という名前か。」と尋ねられると、「レギオンです。大ぜいいるからです。」と答えた。
10 そして、自分たちをこの土地から追い出さないようにと、何度も懇願し続けた。
11 さて、そこの山の中腹に、豚の大群が飼ってあった。
12 霊はイエスに願って言った。「私どもを、豚の群れの中に送ってくださり、そこに入らせてください。」
13 イエスがお許しになったので、ただちに汚れた霊どもは出て来て、豚の中へ入り込んだ。すると、その群れは崖から湖へ駆け下り、湖になだれ落ちた。その群れは二千匹ほどであったが、みな湖でおぼれ死んでしまった。
14 豚を飼う者たちが逃げ出して、町や村にふれ回ったので、人々は何事が起ったのかと見に来た。
15 そして、イエスのところに来て、悪霊につかれた人が着物を着て、正気になって座っており、それがレギオンを宿していた者であるのを見て、恐れた。
16 また、それを見た人たちは、悪霊につかれた人の身に起った事と豚のこととを、彼らに語った。
17 そこで、人々はイエスに、この地方から出て行っていただきたいと、懇願し始めた。
18 イエスが舟に乗ろうとされると、悪霊につかれていた人がお供をしたいと願い出た。
19 しかし、イエスはお許しにならずに、彼に言われた。「あなたの家族のもとに帰って、主がどんなに大きなことをしてくださったか、またどんなにあわれんでくださったか、それを知らせなさい。」
20 そこで、彼は立ち去り、そしてイエスが自分にしてくださったことを、ことごとくデカポリスの地方に言い広め始めたので、人々はみな非常に驚いた。

21 イエスがまた舟で向こう岸へ渡られると、大ぜいの群衆がみもとに集まってきた。イエスは岸辺におられた。
22 そこへ、見よ。会堂管理人の一人であるヤイロという者が来て、イエスを見て、その足もとにひれ伏し、
23 しきりに願って言った。「私の小さい娘が息を引き取ろうとしています。どうぞ、その子が救われて生きるように、おいでになって、手を置いてやってください。」
24 そこで、イエスは彼と一緒に出かけられた。大ぜいの群衆もイエスに押し迫りながら、ついて行った。

25 さてここに、十二年間も長血をわずらっている女性がいた。
26 多くの医者のもとで、たくさんのひどい目に遭い、その持ち物をみな費してしまったが、何のかいもないばかりか、かえって悪くなる一方であった。
27 この女がイエスのことを聞いて、群衆の中にまぎれ込み、後ろから上着にさわった。
28 それは、上着にさえ一度でもさわれば救われると、言い続けていたからである。
29 すると、ただちに血の源泉が乾き、女は病気が治ったことをその身に感じた。
30 イエスはすぐ、自分の内から力が出て行ったことに気づかれて、群衆の中で振り向き、「わたしの着物にさわったのは誰か。」と言われた。
31 そこで弟子たちは言った。「群衆があなたに押し迫っているのをご覧になって、誰がさわったかと言われるのですか。」
32 しかし、イエスはさわった者を見つけようとして、見回しておられた。
33 その女は自分の身に起ったことを知って、恐れて、震えながら進み出て、イエスの前にひれ伏して、すべてありのままを言った。
34 イエスはその女に言われた。「娘よ。あなたの信仰があなたを救ったのです。平安のうちに行きなさい。病気にかからず健康であれ。」

35 イエスが、まだ話しておられる時、会堂管理人の家から人々が来て、言った。「あなたの娘は亡くなりました。もはや先生を煩わすことはないでしょう。」
36 イエスはその話しを聞くとすぐに、会堂管理人に言われた。「恐れないで、ただ信じていなさい。」
37 そしてペテロ、ヤコブ、ヤコブの兄弟ヨハネの他は、一緒について来ることを、お許しにならなかった。
38 彼らが会堂管理人の家に着くと、イエスは人々が大声で泣いたり、叫んだりして、騒いでいるのをご覧になり
39 中に入って、彼らに言われた。「なぜ泣き騒いでいるのですか。子供は死んだのではない。眠っているだけです。」
40 人々はイエスをあざ笑った。しかし、イエスは皆の者を外に出し、子供の父母と供の者たちだけを連れて、子供が横たわっている所へ入って行かれた。
41 そして子供の片手を取って、「タリタ、クミ。」と言われた。それは、「少女よ。目を覚ましなさい。」という意味である。
42 すると、少女はすぐに起き上がって、歩き出した。十二歳にもなっていたからである。彼らはひどく呆然となって驚いた
43 イエスは、だれにもこの事を知せないように、厳しく彼らに命じられ、また、少女に食物を与えるようにと言われた。


   *1、13  ルカ8:37 (マタイ8:28 ではギルガシ人の地) ガダラの町は湖の南東約10キロ。  (cf.ゲラサ(南東約50キロ)は アレキサンドリア型聖書にのみある)
   *7  ヒュプシストス(ギ) highest、most high、いと高き、いと高き神 = 異邦人がイスラエルの神をさして言う言葉(ダニ3:26、4:2、17、使徒16:17)、  ホルキゾー(ギ、単数) 懇願する、誓って命令する、誓いを実施する
   *8  エクセルセー(ギ) < エクセルコマイ go forth of、come forth of
   *9  レギオン(ラテン) 4千人 または 6千人の軍団、  名前は本質を表す。イエスは、悪霊の真の名前を聞き出して追い出す方法をとられた
   *19  オイコス(ギ) 家、家族・友人、神の家族
   *23、28  エスカトース(ギ) 死の間際にいる、  (直訳) 救われて、 ソーゾー(ギ) save、heal、救う、いやす、  ザオ(ギ) live、be alive 生きる、元気になる、(永遠に)生きる
   *28  ハプソーマイ(ギ、アオ過去) should touched 、(一回)さわれば、 ソーセーソマイ(未来) shall be saved、救われる、 エレゲン(ギ、未完了過去・3単) was saying、言い続けていた、 =マタイ9:21
   *29  ペゲー(ギ) fountain、spring、泉、  イアタイ(ギ、完・3単) 完全に治った < イア-オマイ cure、heal、治療、いやし
   *34  セソ−ケン(ギ、完・3単) < ソーゾー 救った、  おそらくヘブライ語のあいさつ シャロームに相当する言葉。 神からの平安がある、といういやしの保証の言葉
   *36  ピステューエ(ギ、現・2単) < ピステューオー be beleaving、信じている、信用している
   *38  マタイ9:23、 職業で泣き騒ぐ人々の他に、本当に悲しんでいる家族の人たちもいた
   *40  不信仰の者たちを、すべて外に出した。 不信仰は神のわざを止める。
   *41  タリタ・クミ (アラム語) 少女よ、わたしはあなたに言う、目を覚ましなさい、  この記事がマルコの福音書にあることは、3人の側近の一人であるペテロがそこにいたことによる

   *42  12年間長血の女性と、この12歳の娘。12は聖書の完全数の一つ。 ユダヤ教では、女子は12歳で(男子は13歳で)成人式を迎える。 結婚年齢ではなく、バル・ミツバ(戒律を守る子供)、の意、  (直訳) 大きな驚き(恍惚状態、心が本来の位置から外れて)をもって、驚いた



  第6章


 1 イエスはそこを去って、郷里に行かれたが、弟子たちもついて行った。
 2 そして、安息日になったので、会堂で教え始められた。それを聞いた多くの人々は、驚いて言った。「この人は、どこでこれらを得たのでしょう。このような知恵はどのように授かったのでしょう。この人の両手で行われる力あるわざは、どこから来るのでしょう。
 3 この人は大工ではありませんか。マリヤの息子で、ヤコブ、ヨセ、ユダ、シモンの兄弟ではありませんか。またその姉妹たちも、ここに私たちと一緒にいるではありませんか。」 こうして彼らはイエスにつまずいた。
 4 しかし、イエスは言われた。「預言者は、自分の郷里、親族、家以外では、どこででも、尊敬されないということはありません。」
 5 そして、そこでは力あるわざをすることができず、ほんの少数の病人に手を置いていやされただけであった。
 6 そして、彼らの不信仰に驚かれた。それからイエスは、付近の村々を巡り歩いて教えられた。

 7 また十二弟子を呼び寄せ、二人ずつ遣わすことにして、彼らに汚れた霊に対する権威を与え、
 8 また旅のために、杖一本の他には何も持たないように、パンも、袋も、腰帯の中に銅銭も持たず、
 9 ただサンダルをはくだけで、下着も二枚は着ないように命じられた。
10 そして彼らに言われた。「どこへ行っても、家に入ったなら、その土地を去るまでは、そこに留まっていなさい。
11 また、あなたがたを迎え入れず、あなたがたの話を聞きもしない所があったなら、そこから出て行くとき、彼らに対する あかしとして、足の裏のちりを払い落しなさい。 まことに、あなたがたに言います。さばきの日には、その町よりもソドムとゴモラの方がまだ罰が軽い。」
12 そこで、彼らは出て行って、悔改めを宣べ伝え、
13 多くの悪霊を追い出し、大ぜいの病人に油を塗っていやした。

14 さて、イエスの名が知れ渡って、ヘロデ王の耳に入った。ある者は、「バプテスマのヨハネが、死人の中からよみがえったのだ。それで、あのような力が彼のうちに働いているのだ。」と言い、
15 他の人々は、「彼はエリヤだ。」と言い、また他の人々は、「昔の預言者のような預言者だ。」と言った。
16 ヘロデはこれを聞いたとき、「私が首を切ったあのヨハネがよみがえったのだ。」と言った。
17 このヘロデは、自分の兄弟ピリポの妻ヘロデヤをめとったが、そのことで、人を遣わし、ヨハネを捕えて獄につないだ。
18 それは、ヨハネがヘロデに、「兄弟の妻をめとるのは、合法ではない。」と言ったからである。
19 そこで、ヘロデヤはヨハネを恨み、彼を殺そうと思っていたが、できないでいた。
20 それはヘロデが、ヨハネが義なる、また聖なる人であることを知って恐れ、彼に保護を加え、またその教えを聞いて非常に当惑しながらも、なお喜んで聞いていたからである。
21 ところが好機が訪れた。ヘロデは自分の誕生日の祝いに、高官や千人隊長やガリラヤの主だった人たちを招いて宴会を催した。
22 そこへ、このヘロデヤの娘が入って来て踊りを踊ったので、ヘロデをはじめ列座の人たちを喜ばせた。そこで王はこの少女に、「欲しいものは何でも言いなさい。おまえにあげるから。」と言い、
23 さらに、「欲しければ、この国の半分までもあげよう。」と誓って言った。
24 そこで少女は座をはずして、母に、「何をお願いしましょうか。」と尋ねると、母は「バプテスマのヨハネの首を。」と答えた。
25 するとすぐ、少女は急いで王のところに行って願った。「今すぐに、バプテスマのヨハネの首を盆に載せて、それを私に下さい。」
26 王は非常に残念に思ったが、いったん誓ったのと、また列座の人たちの手前、少女の願いを退けることを好まなかった。
27 そこで、王はすぐに衛兵を遣わし、ヨハネの首を持って来るように命じた。衛兵は出て行き、獄中でヨハネの首を切り、
28 盆に載せて持って来て少女に与え、少女はそれを母に渡した。
29 ヨハネの弟子たちはこのことを聞き、その死体を引き取りに来て、墓に納めた。

30 さて、使徒たちはイエスのもとに集まってきて、自分たちが行なったことや教えたことを、すべて報告した。
31 するとイエスは彼らに言われた。「さあ、あなたがたは、人を避けて寂しい所へ行って、しばらく休みなさい。」 それは、出る人や入る人が多くて、食事をする暇もなかったからである。
32 そこで彼らは人を避け、舟に乗って寂しい所へ行った。
33 ところが、多くの人々は彼らが出て行くのを見て、またイエスに気づいて、方々の町々から一せいに駆けつけ、そこへ彼らより先に着いた。
34 イエスは舟から上がって大ぜいの群衆をご覧になり、羊飼いのいない羊のような様子を深くあわれんで、多くのことを教え始められた。
35 ところが、すでに時が遅くなったので、弟子たちはイエスのもとに来て言った。「ここは寂しい所ですし、すでに時も過ぎました。
36 人々を解散させ、それぞれで何か食べる物を買いに、まわりの部落や村々へ行かせてください。」
37 イエスは答えて言われた。「あなたがたの手で食物を与えなさい。」 弟子たちは言った。「私たちが二百デナリものパンを買ってきて、みんなに食べさせるのですか。」
38 するとイエスは言われた。「パンは幾つあるか、見てきなさい。」 彼らは確めてきて、「五つあります。それに魚が二匹です。」と言った。
39 そこでイエスは、人々を多くの組に分けて、青草の上に横になるように命じられた。
40 人々は、百人ずつ、あるいは五十人ずつの、列をつくって横になった
41 それから、イエスは五つのパンと二ひきの魚とを手に取り、天を仰いでそれを祝福し、パンを裂き、弟子たちに渡して配らせ、また、二匹の魚もすべての人々に分けられた。
42 すべての者は食べて満腹した。
43 そこで、パンくずと魚の残りを集めると、十二のかごにいっぱいになった。
44 パンを食べた者は男だけで五千人であった。

45 そして ただちに、イエスは弟子たちを強いて舟に乗り込ませ、向こう岸のベツサイダへ先に行かせ、その間に、ご自分で群衆を解散させられた。
46 そして群衆に別れてから、祈るために山へ退かれた。
47 夕方になったとき、舟は湖の真中に出ており、イエスだけが陸地におられた。
48 ところが逆風が吹いていたために、弟子たちが漕ぎあぐねているのをご覧になって、夜明けの四時ごろ、湖の上を歩いて彼らに近づき、そのそばを通り過ぎようとされた。
49 彼らはイエスが湖の上を歩いておられるのを見て、幽霊だと思い、大声で叫んだ。
50 皆の者がそれを見て、取り乱したからである。しかし、イエスはすぐ彼らに声をかけ、「しっかりしなさい。わたしだ。恐れることはない。」と言われた。
51 そして、彼らの舟に乗り込まれると、風はやんだ。彼らは、彼ら自身の心中では計り知れないほど驚き、また不思議に思った
52 それは、先のパンのことを悟らず、その心が鈍くなっていたからである。
53 彼らは湖を渡り、ゲネサレの地に着いて舟をつないだ。
54 そして舟から上がると、人々はすぐイエスと知って、
55 その地方全体を駆けめぐり、イエスがおられると聞けばどこへでも、病を持っている人を寝床に載せて運び始めた。
56  そして、村でも町でも野原でも、イエスが入って行かれる所では、病人たちをその広場におき、せめてその上着のふさにでもさわらせて下さい、とお願いした。そしてさわった者は皆いやされた


   *1  マタイ13:54−、  郷里: ナザレ
   *3  テクトン(ギ) worker in wood、a carpenter 主に木で農機具やくびき、家具、家の材料などを製作する木工職人
   *11  マタイ10:14、15、  アーメン(ギ) まことに、確かに、  (直訳) 耐えやすい
   *14  ガリラヤとペレヤ地方を支配していた国主、 ヘロデ・アンティパス(BC4-AD39)で、エドム人(正統なイスラエルの王ではない)
   *18  エクセスティ(ギ) lawful、(律法に)合法
   *30  アポーストロス(ギ) = シャリアハ(ヘ) 権威を認められた代理人 の意
   *33  アフトン(ギ、単男) (それ×) 彼に
   *39  ヨハネ6:10 草が多い所で横になると周りが見えない。人々に信仰の行動をとらせた。  アナクリーノー(ギ) lean against、lay down 寄りかかる、(食事のため)横になる (当時の食事法、 ヨハ13:25 等)
   *40  プラシアー(ギ) recline in ranks、一列になって横になる、  アナピプトー(ギ) lie back、lie down、recline at a table後ろにもたれるあおむけになる
   *43  コフィノス(ギ) basket、(中くらいの)かご、 12のかごのパンはそれぞれ12弟子たちの報酬となった
   *45  マタイ14:22、  ベツサイダ  ガリラヤ湖北部の東岸の町
   *46  ヨハネ6:15では、人々がイエスを王としようとしたため山へ退かれた
   *48  (直訳) 第4の夜回り(午前3時から6時) 弟子たちは9時間近くも漕ぎ続けていたことになる
   *50  エゴー エイミ(ギ) I AM、 わたしはある
   *53  ゲネサレの地  ガリラヤ湖の北西部の肥沃な地
   *56  クラスペドン(ギ) 着物のヘリ、フリンジ; 着物の四隅に付けた ざくろ型のふさ(マタイ23:5、民数記15:38)、 いやされた (直訳)ソーゾー(ギ) 救われた



  第7章


 1 さて、パリサイ人と幾人かの律法学者たちとがエルサレムから来て、イエスのもとに集まった。
 2 そして弟子たちのうちで、汚れた手、すなわち洗わない手でパンを食べている者がいるのを見た。
 3 本来、パリサイ人をはじめとするユダヤ人は皆、昔の人の言い伝えを堅く守っており、念入りに手を洗ってからでないと、食事をしなかった。
 4 また市場から帰ったときには、体を水に浸してからでないと、食事をせず、なおその他にも、杯、鉢、銅器を浸すことなど、昔から受け継いで堅く守っている事がたくさんあった。
 5 そこで、パリサイ人と律法学者たちとは、イエスに尋ねた。「なぜ、あなたの弟子たちは、先人の言い伝えに従って歩まないで、洗わない手でパンを食べるのですか。」
 6 イエスは言われた。「イザヤは、あなたがた偽善者について、こう書いていますが、まさにその通りの預言です。『この民は、唇ではわたしを敬うが、その心はわたしから遠く離れている。
 7 人間の戒めを教えとして教えて、わたしを拝んでも無駄である。』
 8 あなたがたは、神の戒めを差し置いて、人間の言い伝えを堅く守って、水差しや器など、その他のものも、浸しています。」
 9 また、言われた。「あなたがたは、自分たちの言い伝えを守るために、よくも神の戒めを捨てたものです。
10 モーセは言っています。『あなたの父と、あなたの母とを敬え。』 また、『父または母をののしる者は、必ず死に定められる。』と。
11 それなのに、あなたがたは、もし人が父または母に、あなたに差上げるはずのこのものはコルバン、すなわち、供え物ですと言えば、それで良いとして、
12 その人は父母に対して、もう何もしないで済むのだと言っています。
13 こうしてあなたがたは、自分たちが受けついだ言い伝えによって、神のことばを無にしている。また、このような事を数多く行なっているのです。」
14 それから、イエスは再び群衆を呼び寄せて言われた。「あなたがたは皆、わたしの言うことを聞いて一緒に悟りなさい。
15 すべての、外から人の中に入るものは、人を汚すことはできません。かえって、人の中から出てくるものが、人を汚すのです。
16 聞く耳を持っている者は聞きなさい

17 イエスが群衆を離れて家に入られると、弟子たちはこの たとえについて尋ねた。
18 すると、言われた。「あなたがたも、そんなに鈍いのですか。すべて、外から人の中に入って来るものは、人を汚すことができないことが、分からないのですか。
19 それは人の心の中に入るのではなく、腹の中に入り、そして、かわやに捨てられるのです。」 イエスはこのように、どんな食物でもきよいものであるとされた。
20 さらに言われた。「人から出て来るもの、それが人を汚すのです。
21 すなわち内部から、人の心の中から出てくるものは、悪い思い、不品行、盗み、殺人、
22 不倫、どん欲、不正、詐欺、好色、物惜しみ、そしり、高慢、愚かさ
23 これらの悪はすべて内部から出てきて、人を汚すのです。」

24 さて、イエスは、そこを立ち去って、ツロとシドンの地方に行かれた。そして、誰にも知れないように、ある家の中に入られたが、隠れていることができなかった。
25 そして、汚れた霊につかれた幼い娘をもつ女が、イエスのことをすぐ聞きつけて来て、その足もとにひれ伏した。
26 この女はギリシヤ人で、スロ・フェニキヤの生れであった。そして、娘から悪霊を追い出してくださるようお願いした。
27 イエスは女に言われた。「まず子供たちに十分食べさせるべきです。子供たちのパンを取って小犬たちに投げてやるのは良くないことです。」
28 すると女は答えて言った。「主よ、お言葉どおりです。でも、食卓の下にいる小犬でも、子供たちのパンくずは、いただきます。」
29 そこでイエスは言われた。「あなたがこのように言ったことにより、充分です。お帰りなさい。悪霊はあなたの娘から出てしまっています。」
30 そこで、女が家に帰ると、その子は寝台の上に寝ており、悪霊は出てしまっていた。

31 それから、イエスはまたツロとシドンの地方を去り、ガリラヤ湖の、デカポリスのただ中に面した岸辺に来られた。
32 すると人々は、耳が聞えず、口のきけない人を、みもとに連れてきて、彼に手を置いてくださるようお願いした。
33 そこで、イエスは彼一人を群衆の中から連れ出し、その両耳に指を差し入れ、それから、つばきを付けた指をその舌に触れ、
34 天を仰いで深くため息をつき、彼に、「エパタ。」と言われた。これは、「開け。」という意味である。
35 すると、ただちに彼の耳が開かれ、その舌の縛りが解けて、正しく話し始めた。
36 イエスは、この事を誰にも言ってはならないと人々に命じられたが、口止めをすればするほど、かえって言い広めた。
37 彼らは、量り知れないほど驚いて言った。「この方のなさったことは、何もかもすばらしい。耳の聞えない者を聞けるようにすることと、口のきけない者を語れるようにすることの、両方をなされた。」


   *1  マタイ15:1  今度はエルサレムから中央の宗教指導者が来て 弾圧に乗り出した
   *2  コイノス(ギ)  common、 unhallowed、profane 普通の、の意、 (ユダヤでは) 聖とされていない、神聖を汚す、汚れた
   *3  マルコでは3、4節で、異邦人から見たユダヤのしきたりを説明している、 パラードシス(ギ) 言い伝え(「口伝律法」): 旧約律法を拡大解釈した多くの戒律、 後に成文化され ミシュナー(反復 の意)となる
   *4  バプティゾー(ギ) immerse、baptize (何度も水に)浸す、バプテスマ、  バプティモース(ギ) washing、baptism
   *6、7  イザヤ29:13
   *10  出エジ20:12、21:17、申命5:16、レビ20:9、  ティマオー(ギ) 敬う(△) = 名誉な人として扱う、 年を取った両親を経済的に養うこと
   *11  供え物=コルバン(ヘ)、  マタイ27:6より、 コルバン = 神殿の金庫
   *21  ポルネイーア(ギ) 広義の姦淫で売春、未婚性交、不貞などすべて
   *22  モイケイーア(ギ) 狭義の姦淫で不倫のこと、  ポネリーア(ギ) depravity、iniquity、wickedness 堕落、腐敗、不正などの 邪悪な行為一般、  オフサルモス(ギ) (直訳)悪い目、 けちな事・物惜しみ(マタイ6:22; 箴言23:6、申命記15:9)、  アフロシューメ(ギ) (道徳的感覚が無く、)愚かな判断をすること
   *24  マタイ15:21
   *26  エレーニス(ギ) 文字通りのギリシャ人ではなく、ギリシャ語を話す異邦人。マタイ15:22では、その地方のカナン人、  スロ・フェニキヤ: シリアとフェニキアとの混合国家で、ツロ(ツロス(ギ))が中心都市
   *29  充分です は補足
   *31  シドンから、ヘロデ・アンティパスのいるティベリヤ近辺を避けて、大回りして、ガリラヤ湖南東の デカポリス地方に来られた
   *33  指を は補足
   *34  ステナゾー(ギ) 深く嘆息する、うめく (ローマ8:23、Uコリ5:24)、  エッファサ(ギ) エパタ(アラム語)、 ディアノイゴー(ギ) は普通の「開く」の アノイゴーよりも強い意味で、「完全に開く」のニュアンス
   *37  ヒュペル ペリッソス(ギ) beyond measure、量りを超えて、  カイ(ギ)〜カイ〜 bothand



  第8章


 1 そのころ、また大ぜいの群衆が集まっていたが、何も食べるものがなかったので、イエスは弟子たちを呼び寄せて言われた。
 2 「この群衆がかわいそうです。もう三日間もわたしと一緒にいるのに、何も食べるものがないのです。
 3 もし、彼らを空腹のまま家に帰らせるなら、途中で弱り切ってしまうでしょう。それに、遠くから来ている人たちもいます。」
 4 弟子たちは答えた。「荒野にいるのに、どこからパンを手に入れて、これらの人々に充分食べさせることができるでしょうか。」
 5 イエスが弟子たちに、「パンはいくつありますか。」と尋ねられると、「七つあります。」と答えた。
 6 そこでイエスは群衆に、地面に横たわるように命じられた。そして七つのパンを取り、感謝してこれを裂き、人々の前に置くように弟子たちに渡されると、弟子たちはそれを群衆の前に置いた
 7 また小さい魚が少しばかりあったので、祝福して、それをも人々に配るようにと言われた。
 8 彼らは食べて満腹した。そして余ったパンくずを集めると、七つの大かごにいっぱいになった。
 9 人々の数は約四千人であった。それからイエスは彼らを解散させ、
10 すぐ弟子たちと共に舟に乗って、ダルマヌタの地方へ行かれた。

11 パリサイ人たちが出てきて議論をしかけ始め、イエスを試みようとして、天からのしるしを求めた。
12 イエスは、ご自身の霊で深く嘆息して言われた。「なぜ、今の時代はしるしを求めるのでしょう。まことに、あなたがたに言いますが、しるしは今の時代には決して与えられません。」
13 そして、イエスは彼らをあとに残し、また舟に乗って向こう岸へ行かれた。
14 弟子たちはパンを持って来るのを忘れていたので、舟の中にはパン一つの他は何もなかった。
15 そのとき、イエスは彼らを戒めて、「パリサイ人のパン種とヘロデのパン種とを、充分警戒しなさい。」と言われた。
16 弟子たちは、これを自分たちがパンを持ってこなかったためだとして、互に論じ合った。
17 イエスはそれを知られて、彼らに言われた。「なぜ、パンを持っていないなどと論じ合っているのですか。まだ気が付かないのですか、理解しないのですか。それとも、あなたがたの心は鈍くなっているのですか。
18 目があっても見えないのですか。耳があっても聞えないのですか。まだ思い出さないのですか。
19 五つのパンを裂いて五千人に分けたとき、拾い集めたパンくずは、幾つのかごになりましたか。」 弟子たちは答えた。「十二です。」
20 「では、七つのパンを四千人に分けたときには、パンくずを幾つの大かごに拾い集めましたか。」 「七つです。」と答えた。
21 そこでイエスは彼らに言われた。「まだ理解しないのですか。」

22 そのうちに、彼らはベツサイダに着いた。すると人々が、一人の盲人を連れてきて、触れて祈ってくださるようお願いした。
23 イエスはこの盲人の手を取って、村の外に連れ出し、その両目につばきをして、両手を彼に当てて、「何か見えますか。」と尋ねられた。
24 すると彼は顔を上げて言った。「人々が見えます。木々のようで、歩いています。」
25 それから、イエスは再び目の上に両手を当てられ、彼を見上げさせると、彼は元どおりになって、すべてのものがはっきり見えるようになった。
26 そこでイエスは、「村に入ってはいけない。」と言って、彼を家に帰された。

27 さて、イエスは弟子たちとピリポ・カイザリヤの村々へ出かけられ、その途中で、弟子たちに尋ねて言われた。「人々は、わたしのことを誰と言っていますか。」
28 彼らは答えて言った。「バプテスマのヨハネだと、彼らは言っています。また、エリヤだと言い、また、預言者の一人だと言っている者たちもいます。」
29 そこでイエスは彼らに尋ねられた。「それでは、あなたがたはわたしをだれと言いますか。」 ペテロが答えて言った。「あなたこそ、キリストです。」
30 するとイエスは、自分のことを誰にも言ってはいけないと、彼らに戒められた。
31 それから、人の子は必ず多くの苦しみを受け、長老たち、祭司長たち、律法学者たちに拒絶され、また殺され、そして三日の後によみがえることを、彼らに教え始められ、
32  しかも余すところなくはっきりと、この事を話された。すると、ペテロはイエスをわきへ引き寄せて、いさめはじめたので、
33 イエスは振り返って、弟子たちを見回しながら、ペテロを叱って言われた。「サタンよ、立ち去れ。あなたは神のことを思わないで、人のことを思っている。」
34 それから群衆を弟子たちと一緒に呼び寄せて、彼らに言われた。「誰でもわたしの後について来たいと思うなら、自分を捨て、自分の十字架を負って、わたしについて来なさい。
35 自分のいのちを救おうと思う者はそれを失い、わたしのため、また福音のために、自分のいのちを失う者は、それを救うであろう。
36 たとい人が全世界を得ても、自分のいのちを失ったならば、何の利益になるでしょうか。
37 また、人は代わりに何を差し出せば、そのいのちと交換することができるでしょう。
38 この 姦淫と罪の時代にあって、わたしと、わたしのことばとを恥じる者には、人の子もまた、父の栄光のうちに聖なる御使いたちと共に来るときに、その者を恥じるでしょう。


   *2  マタイ15:32、  マルコ6:34−の5千人の給食では、群衆が羊飼いのいない羊のようだとあわれまれたが、ここでは 3日間も食事をとっていないことをあわれまれた
   *6  6:40、 アナピプトー(ギ) lie back、lie down、recline at a table、 後ろにもたれるあおむけになる
   *8  スピュリース(ギ) (人が入れるほどの)大かご、背負うかご (マタイ15:37、使徒9:25)
   *10  マタイ15:39では マグダラの地方  ガリラヤ湖の西岸、テベリヤ(ヘロデのいる都市)の北隣
   *11、12  天 = 神 からの、 神の権威の証拠となる(一つの、決定的な)奇跡、  セーメイオン(ギ、単数) sign、miracles and wonders)、 しかし マタイ4:4 と同様に、奇跡を行わずに退けられた。 通常行われたしるしや不思議と違って、神の権威を直接表すしるしは、見ても「信仰」とはみなされない。(マタイ16:4では、ヨナのしるしのみ。トマスには十字架のしるし。; すでに信じている弟子たちには変貌山、昇天で見せられた。 )
   *15  パリサイ人のパン種: 偽善、律法主義・儀式主義、ねたみ  ヘロデのパン種: 世的力に頼ることと、不品行、殺人などの悪徳  (マタイ16:11 サドカイ人のパン種: 世俗・物質主義、政治活動)  ・・・ このようなものは入って来ると、内部から全体に膨らむので気を付けなさい、の意味
   *22  ハプセータイ(ギ) <ハプトー さわる、しがみつく(ヨハ20:17)、(灯を)点ける(ルカ8:16)
   *24  途中で盲人の「信仰」を確認し、もう一度祈られた。 イエスは(いやされる側の)信仰を見たいと願っておられた。
   *25  アナブレサイ(ギ) <アナブレポー look up、 24節の、 顔を上げて、と同じ言葉。 もう一度、よく見る という「信仰の行い」をさせている。50%のいやしが100%になった、2段階のいやし。  (別の意味)recover (lost) sight マタイ11:5、20:34、など
   *27  エイナイ(ギ) <エイミ、 (直訳)わたしがある
   *32  パッルヘシア(ギ) はっきりと、率直に、自由に(語る)、余すところなく、心開いて、大胆に (ヨハネ16:29、使徒28:31、エペ6:19、Tヨハ3:21等)
   *33  エピストゥレフォー(ギ) turn、return、turn back 振り返る  ペテロに背を向け、弟子たちのほうを向いて、サタンよ(後方へ)立ち去れ、と言われた
   *35  プシュケー(ギ) 息、たましい、(肉の)いのち、  ソーゾー(ギ) save、救う  → マタイ16:25 の補足 「・・・ 神のいのちを見出す」
   *36、37  プシュケー(ギ) 息、たましい、(肉の)いのち、   37節 = 詩篇49:7 「自分の身代金を神に払うことはできない」
   *38  モイカリース(ギ) (狭義の)姦淫、不貞 → (イスラエルの、神に対する)不信仰、偶像崇拝



  第9章


 1 また、彼らに言われた、「まことに、あなたがたに言います。神の御国が力と共に来るのを見るまでは、決して死を味わわない何人かの人たちが、ここに立っている人たちの中にいます。」
 2 六日の後、イエスは高い山に、ペテロ、ヤコブ、ヨハネだけを連れ登られた。ところが、彼らの目の前でイエスの姿が変り
 3 その衣は真白く輝き、地上のどんな布さらしでも、それほどに白くすることはできないくらいになった。
 4 すると、エリヤがモーセと共に彼らに現れて、イエスと語り合っていた。
 5 ペテロはイエスに言った。「先生。私たちがここにいるのは、すばらしいことです。それで、私たちは小屋を三つ建てましょう。一つはあなたのために、一つはモーセのために、一つはエリヤのために。」
 6 そう言ったのは、皆の者が非常に恐れていたので、ペテロは何を言って良いか分からなかったからである。
 7 すると、雲がわき起って彼らをおおった。そして、その雲の中から御声があった。「これはわたしの愛する子である。彼に聞きなさい。」
 8 すると突然、彼らがあたりを見回した時には、もはやだれも見えず、ただイエスだけが、彼らと一緒におられた。
 9 一同が山を下って来るとき、イエスは、「人の子が死人の中からよみがえるまでは、今見たことを誰にも物語ってはならない。」と、彼らに命じられた。
10 彼らはこの言葉を心に留め、死人の中からよみがえるとはどういうことかと、互に論じ合った。
11 そしてイエスに尋ねた。「なぜ、律法学者たちは、エリヤが先に来るはずだと言っているのですか。」
12 イエスは言われた。「確かに、エリヤが先に来て、すべてを元どおりに戻します。しかし、人の子については、彼が多くの苦しみを受け、かつ恥ずかしめられると、書いてあるのはなぜですか。
13 しかしあなたがたに言います。エリヤはすでに来たのです。そして彼について書いてあるように、人々は好きなように彼にしたのです。」

14 さて、彼らが他の弟子たちの所に来て見ると、大ぜいの群衆が弟子たちの周りにいて、そして律法学者たちが彼らと論じ合っていた。
15 群衆はみな、ただちにイエスを見つけ、非常に驚いて、走って来て、あいさつをした。
16 イエスが律法学者たちに、「あなたがたは彼らと何を論じているのですか。」と尋ねられると、
17 群衆の一人が答えた。「先生、おしの霊につかれている私の息子を、こちらに連れて参りました。
18 霊がこの息子にとりつきますと、どこででも彼を引き倒し、それから泡を吹き、歯をくいしばり、体をこわばらせてしまいます。それでお弟子たちに、この霊を追い出してくださるように願いましたが、できませんでした。」
19 イエスは答えて言われた。「ああ、何という不信仰な時代であろう。いつまで、わたしはあなたがたと一緒にいて、いつまで、あなたがたに我慢するのか。その子をわたしの所に連れてきなさい。」
20 そこで人々は、その子をみもとに連れてきた。彼がイエスを見るとすぐに、霊はその子をひきつけさせたので、子は地に倒れ、あわを吹きながらころげ回った。
21 そこで、イエスが父親に、「いつ頃から、このようになったのですか。」と尋ねられると、父親は答えた。「幼い時からです。
22 霊はたびたび、この子を火の中、水の中に投げ入れて、殺そうとしました。しかし、もし あなたが できるのでしたら、私たちをあわれんでお助けください。」
23 イエスは彼に言われた。「もし、あなたが信じることができれば信じる者にとってどんな事でもできるのです。」
24 その子の父親はただちに叫んで、涙とともに言った。「私は信じます。主よ。不信仰な私を、お助けください。」
25 イエスは群衆が駆け寄って来るのをご覧になって、汚れた霊を叱って言われた。「おしと つんぼの霊よ。わたしがおまえに命じる。この子から出て来い。二度と彼に入るな。」
26 すると霊は叫び声を上げ、激しくひきつけさせて出て行った。その子はまるで死人のようになったので、大多数の人は彼は死んだのだと言った。
27 しかし、イエスが手を取って起されると、その子は立ち上がった。
28 イエスが家に入られたとき、弟子たちはひそかに尋ねた。「私たちは、なぜ追い出せなかったのでしょうか。」
29 すると、イエスは言われた。「この類(たぐい)のものは、祈りと断食によらなければ、決して追い出すことはできません。」

30 それから彼らはそこを立ち去り、ガリラヤを通って行ったが、イエスは人に気付かれるのを好まれなかった。
31 それは、イエスが弟子たちに教えて、「人の子は人々の手に渡され、彼らに殺され、殺されてから三日の後によみがえる。」と言っておられたからである。
32 しかし、彼らはイエスの言われた言葉を悟らず、また尋ねるのを恐れていた。
33 それから彼らはカペナウムに来た。そして家に入られてから、イエスは弟子たちに尋ねられた。「来る途中、あなたがたの間で何を議論していたのですか。」
34 彼らは黙っていた。それは途中で、誰が最も偉大かと、互に論じ合っていたからである。
35 そこで、イエスは座って十二弟子を呼び、そして言われた。「誰でも一番先になろうと思うならば、一番あとになり、すべての者に仕える者になりなさい。」
36 そして、一人の幼子(おさなご)*を連れて来て、彼らの真中に立たせ、腕に抱き寄せて言われた。
37 「だれでも、このような幼子の一人を、わたしの名のゆえに受け入れる者は、わたしを受け入れるのです。そして、わたしを受け入れる者は、わたしを受け入れるのではなく、わたしを遣わされた方を受け入れるのです。」

38 ヨハネがイエスに言った。「先生。私たちについて来ない者が、あなたの名を使って悪霊を追い出しているのを見ましたが、その人は私たちについて来ないので、止めさせました。」
39 イエスは言われた。「止めさせてはいけません。誰でもわたしの名で力あるわざを行っていながら、その直後にわたしを悪く言うことはできません。
40 わたしたちに反対しない者は、わたしたちの益になります
41 だれでも、あなたがたがキリストの者であるという理由でわたしの名によって、あなたがたに水一杯でも飲ませてくれる者は、まことに、あなたがたに言いますが、決してその報酬を失うことはありません。
42 また、わたしを信じるこれらの小さい者の一人をつまずかせる者は、大きな引き臼を首にかけられて、海に投げ込まれた方がましです。
43 もし、あなたの片手がつまずかせるなら、それを切って捨てなさい。両手がそろったままでゲヘナの消えない火の中に落ち込むよりは、片手になって永遠のいのちに入る方が良いのです。
44 そこでは、うじがつきず、火も消えることがありません
45 もし、あなたの片足がつまずかせるなら、それを切って捨てなさい。両足がそろったままでゲヘナの消えない火の中に投げ入れられるよりは、片足で永遠のいのちに入る方が良いのです。
46 そこでは、うじがつきず、火も消えることがありません
47 もし、あなたの片目がつまずかせるなら、それを抜き出しなさい。両眼がそろったままでゲヘナの火の中に投げ入れられるよりは、片目になって神の御国に入る方が良いのです。
48 そこでは、うじがつきず、火も消えることがありません。
49 それは、すべては火で塩けをつけられ、またすべての捧げものは塩で塩気をつけられるからです。
50 塩は良いものです。しかし、もし塩に塩気が無くなれば、何によって味をつけるのですか。あなたがた自身の内に塩気を持ちなさい。そして、互の間に平和を保つようにしなさい。」


   *1  信じて救われている人がいる、の意。 2節以降で、3人の側近はすでに信じていたので、御子イエスの神の御姿という「しるし」を見ることが許された (→ 8:11、12 注解)
   *2  ピリポ・カイザリヤでペテロが信仰告白した6日後(≒ルカ9:28では8日ほどして)、  タボル山は560メートルで当時要塞があった(by. ユダヤ戦記、W・1・8)ので異なり、ヘルモン山(2800メートル)といわれる。 これから起こることに備えるために、主はご自身の本来の姿を見せられた。  アナフェロー(ギ) carry up、bring up; lead up、かなり高い山なので、彼らを超自然的に運び上げられた、と思われる  メタモルフォーマイ(ギ) change into another form、transform、transfigure 別の形に変わる (ロマ12:2、Uコリ3:18  cf.アッラーソー changeexchange、変わる、代える Tコリ15:52、ロマ1:23)
   *4  モーセとエリヤ それぞれ 律法と預言者たちの代表 = (旧約)聖書、 ここでは、メシヤの先駆者(マラ4:5、6)としてのエリヤを強調。 cf. ルカ9:31では、黙示11:3−13をも暗示する
   *5  (直訳) ラビ
   *12  マラキ4:6
   *17  ディダスカロス(ギ) teacher、master、先生 (ヘブル語で ラボニ、ヨハ20:16)、教師 (エペ4:11)
   *19  いやしの権威が与えられている弟子たちと、その場にいたすべての人々に対し。  弟子たちは、いやしでなく議論に熱中していた
   *22、23  イエスは決してこの父親を非難していない。  イエスがいやすことが可能かではなく、その子の父親が信じることができるかどうかにかかっている
   *29  ゲノス(ギ) kindred、offspring、同類の; 親族、子孫、 ・・・ 幼い時からの憑依など、  改ざん写本であるシナイ写本等には「断食」がない
   *32  レーマ(ギ) word、thing spoken、言葉
   *33  おそらくペテロの家
   *36  パイディオン(ギ) 子供 は直訳であり、 ルカ18:15では ブレフォス(ギ) 幼子(おさなご、赤子から幼児までの小さい子供)なのでこう記した
   *38、39  ユダヤの魔除け祈祷師(使徒19:13)のように、惑わす目的で御名の権威を用いることは許されないが、仲間でない者でも 「信じる者」には、イエスの名の権威を行使して悪霊追い出しすることができる。(マルコ16:17)  ヨハネ: 激しやすい性質が現われた。 イエスは弟子たちの偏狭な態度を戒められた
   *41  マタイ10:42、  ホティ クリストウ エステ(ギ) <エイミ  that you are of Christ、 あなたがたがキリストの者であるという理由で
   *43  ゾエ(ギ) (永遠の)いのち、  ゲエンナ(ギ) ゲヘナ、最終的な地獄、火と硫黄の池(マタイ5:22、黙20:10、等)
   *49  レビ2:13  初穂などの穀物の捧げものにはすべて塩で味をつける、  試練によって付けられる塩気: きよめ、主に対する良心
   *50  ルカ14:34エイレネウオー(ギ) make peace、keep peace、 cf. マタイ5:9 エイレノポイオス peacemaker、平和をつくる者(は幸い)



  第10章


 1 それから、イエスはそこを去って、ユダヤの地方とヨルダン川の向こう側へ行かれたが、再び群衆が集まったので、またいつものように教えておられた。
 2 そのとき、パリサイ人たちが近づいて来て、イエスを試みて質問した。「夫はその妻を出しても差しつかえないでしょうか。」
 3 イエスは答えて言われた。「モーセはあなたがたに何と命じましたか。」
 4 彼らは言った。「モーセは、離婚状を書いて妻を出すことを許しました。」
 5 そこでイエスは言われた。「モーセはあなたがたの心が、かたくななので、あなたがたのためにこの定めを書いたのです。
 6 しかし、天地創造の初めから、『神は人を男と女とに造られた。
 7 それゆえに、人はその父母を離れ、彼の妻と一緒になり
 8 ふたりの者は一体となるべきである。』 彼らはもはや、ふたりではなく一体です。
 9 だから、神が合わせられたものを、人は離してはならないのです。」
10 そして、家に入ってから、弟子たちはまたこのことについて尋ねた。
11 そこで、イエスは言われた。「誰でも、自分の妻を出して他の女をめとる者は、元の妻に対して姦淫を犯しているです。
12 また妻が、その夫と別れて他の男にとつぐならば、姦淫を犯しているのです。」

13 イエスに触れていただくために、人々が幼子たちをみもとに連れてきた。しかし、弟子たちは彼らをが連れてくるのをたしなめた。
14 それを見てイエスは憤り、彼らに言われた。「幼子たちをわたしの所に来るままにしておきなさい。邪魔してはならない。神の御国はこのような者たちの国です。
15 まことに、あなたがたに言います。誰でも幼子のように神の御国を受け入れる者でなければ、そこに入ることは決してできません。」
16 そして彼らを抱き、手をその上に置いて祝福された。

17 イエスが道に出て行かれると、一人の人が走り寄り、御前にひざまずいて尋ねた。「良き先生。永遠のいのちを相続するために、私は何をしたら良いでしょうか。」
18 イエスは言われた。「なぜわたしを良いと言うのですか。神おひとりの他に、良い方はいません。
19 戒めはあなたの知っている通りです。『姦淫するな。殺人を犯すな。盗むな。偽証を立てるな。詐欺を働くな。父と母とを敬え。』」
20 すると、彼は言った。「先生。それらの事は皆、子供の時からから守っております。」
21 イエスは彼に目を向け、いつくしんで、そして言われた。「あなたに足りないことが一つあるます。行って、持っているものをみな売り払って、貧しい人々に施しなさい。そうすれば、天に宝を持つようになります。そして、その上で十字架を取って、わたしについて来なさい。」
22 すると、彼はこの言葉を聞いて、顔を曇らせ、悲しみながら立ち去った。多くの資産を持っていたからである。
23 それから、イエスは見回して、弟子たちに言われた。「金持ちが神の御国に入るのは、何と難しいことでしょう。」
24 弟子たちはこの言葉に驚いた。イエスは更に言われた。「子たちよ。神の御国に入るのは、何と難しいことでしょう。
25 富む者が神の御国に入るよりは、らくだが針の穴を通る方が、もっと簡単です。」
26 すると彼らはますます驚いて、互に言った。「それでは、誰が救われることができるのだろう。」
27 イエスは彼らを目を向けて言われた。「それは人にはできませんが、神はそうではありません。神にとっては、何でもおできになるからです。」
28 ペテロがイエスに言い始めた。「ご覧ください。私たちはすべてのものをそのままにして、あなたについて来ました。」
29 イエスは言われた。「まことに、あなたがたに言います。誰でもわたしのために、また福音のために、家、兄弟たち、姉妹たち、父、母、、子供たち、畑、を残して去ってきた者は、
30 必ずその百倍を受けます。すなわち、今この時代では家々、兄弟たち、姉妹たち、母たち、子供たち、畑々を、迫害と共に受け、また、来るべき世では永遠のいのちを受けます。
31  しかし、多くの先頭の者たちは最後の者たちになり、最後の者たちは先頭の者たちになるでしょう。」

32 さて、一同はエルサレムへ上る途上にあったが、イエスが先頭に立って行かれたので、彼らは驚き、ついて行く者たちは恐れた。するとイエスはまた十二弟子を呼び寄せて、これから自分に起こることを語り始められた。
33 「見よ。わたしたちはエルサレムへ上って行きますが、人の子は祭司長たち、律法学者たちの手に引き渡されます。そして彼らは死刑を宣告した上、人の子を異邦人に引き渡します。
34 また人の子をあざけり、つばきをかけ、鞭で打ち、そして殺します。それから、人の子は、三日の後によみがえります。」

35 さて、ゼベダイの子ヤコブとヨハネとがイエスのもとにきて言った。「先生。私たちがお願いすることを、もしよろしければ、かなえていただければと思いますが。」
36 イエスは彼らに、「わたしがあなたがたに、何をするように願うのですか。」と言われた。
37 すると彼らは言った。「あなたが栄光を受けられる時、一人をあなたの右に、一人を左に座るようにしてください。」
38 イエスは言われた。「あなたがたは自分が何を求めているのか、分かっていません。あなたがたは、わたしが飲んでいる杯を飲み、わたしが受けたバプテスマを受けることができますか。」
39 彼らは、「できます。」と答えた。するとイエスは言われた。「確かにあなたがたは、わたしが飲む杯を飲み、わたしが受けているバプテスマを受けることになるでしょう
40 しかし、わたしの右、左に座らせることは、わたしのすることではなく、ただ備えられている人々に与えられているのです。」
41 十人の者はこれを聞いて、ヤコブとヨハネとのことで憤慨し始めた。
42 そこで、イエスは彼らを呼んで言われた。「あなたがたの知っての通り、異邦人の支配者たちはその民を治め、また民の偉い人たちはその民の上に権力をふるいます。
43 しかし、あなたがたの間では、そうであってはいけません。かえって、あなたがたの間で偉くなりたいと思う者は、仕える者となり、
44 あなたがたの間で先頭の者になりたいと思う者は、すべての人の しもべとなりなさい。
45 それは、人の子が来たのも、仕えられるためではなく仕えるためであり、また多くの人の贖い(あがない)*として、自分のいのちを与えるためだからです。」

46 それから、彼らはエリコに来た。そしてイエスが弟子たちや大ぜいの群衆と共にエリコから出かけられたとき、テマイの子、バルテマイという盲人が、物乞いをしながら道の端に座っていた。
47 ところが、ナザレのイエスだと聞いて、彼は、「ダビデの子イエスよ。私をあわれんでください。」と叫び出した。
48 多くの人々は彼を叱って黙らせようとしたが、彼はますます激しく叫びつづけた。「ダビデの子イエスよ。私をあわれんでください。」
49 イエスは立ち止まって、「彼を呼びなさい。」と命じられた。そこで、人々はその盲人を呼んで言った。「元気を出しなさい。立ちなさい。あなたを呼んでおられます。」
50 そこで彼は上着を脱ぎ捨て、立ち上がってイエスのもとに来た。
51 イエスは彼に言われた。「わたしに何をしてほしいのですか。」 その盲人は言った、「ラボニ。見えるようになることです。」
52 そこでイエスは言われた。「行きなさい。あなたの信仰があなたを救ったのです。」 すると彼は、ただちに見えるようになり、イエスの行かれる道について行った。


   *1  異邦のサマリヤを避けるため、一回ヨルダン川の向こうのユダヤの地に渡ってから エルサレムと向かわれた
   *4   申命記24:1、  離婚状は、実質を伴わない不自然な結婚の状態を解消し、妻の立場を保護するために与えられた
   *8  創世記2:24、エペソ5:31、  肉における一体、一心同体
   *13  (直訳)パイディオン(ギ)子供、 しかし ルカ18:15では ブレフォス(ギ) 幼子 より、 赤子から幼児まで
   *14  イエスが激しく憤られたのは、(同じ個所のマタイ21:15と)ここだけ
   *17、18  ディダスカロス(ギ) ラボニ(ヘ) teacher、lord 先生、教師、主  アガセー(ギ)<アガソース good、excellent、honourable、useful (性質の)良き、善の; 優れた
   *25  不可能のたとえ
   *26  当時は 金持ちが御国を引き継ぐと教えられていた
   *30  ディオグモース(ギ) persecution、迫害、  迫害が起こる事は 実は 増殖のチャンス  (§→ のちに、弟子たちはエルサレムを散らされ、異邦人世界に宣教)
   *35  エアン(ギ) if、if ever、in case、何卒、もしよろしければ
   *38  ピノー(ギ、現在形) (今)飲みつつある、 ;苦難、十字架あるいは殉教の杯 (ヤコブ 殉教、ヨハネ パトモス島流刑)   バプティゾマイ(現在形) バプティセーンタイ(アオ過去(不定過去)) わたしが(ある過去に)バプテスマを受け、(今)持っているバプテスマを  ・・・ 聖霊のバプテスマの事
   *39  バプティゾマイ(現在形) わたしの持っているバプテスマを、   バプティスセースセ(未来形) あなたがたは受けるでしょう
   *45  リュートロン(ギ) price for redeeming、 ransom 買い戻しの代価、贖い
   *46  バルテマイ(アラム語)、 おそらく父親に愛されていたのでこう呼ばれた、 いやされた後にキリストの弟子になった
   *47  ナザレはイエスの育った所、ナザレ人として知られていた、 ダビデはベツレヘム出身、ベツレヘムはイエスの降誕の地
   *49  サルセイ(ギ) be of good courage、 be of good cheer、 マタイ9:2
   *51  § 何を具体的にしてほしいのか、わざわざ尋ねられた 事に注意。 具体的な言葉を語ることで、信仰が強められる。  ラボニ(ヘ) rabboni、master、主、先生 (ヨハ20:16 の「先生」はディダスカレ)



  第11章


 1 さて、彼らがエルサレムに近づき、オリーブ山に沿ったベテパゲ、ベタニヤの付近に来た時、イエスは二人の弟子を遣わして言われた。
 2 「向こうの村へ行きなさい。そこに入るとすぐ、まだだれも乗ったことのない ろば子が、つないであるのを見るでしょう。それを解いて引いてきなさい。
 3 もし、誰かがあなたがたに、なぜそんな事をするのかと言ったなら、主がお入り用なのです。またすぐ、ここへ送り返しますと、言いなさい。」
 4 そこで、彼らは出かけて行き、そして表通りの戸口に、ろばの子がつないであるのを見たので、それを解いた。
 5 すると、そこに立っていた人々が言った。「そのろばの子を解いて、どうするのか。」
 6 弟子たちは、イエスが言われたとおり彼らに話したので、彼らに連れて行かせた。
 7 そこで、弟子たちは、そのろばの子をイエスのところに引いて来て、自分たちの上着をそれに投げ掛けると、イエスはその上にお乗りになった。
 8 すると多くの人々は自分たちの上着を道に敷き、また他の人々は葉のついた枝を野原から切ってきて敷いた。
 9 そして、前に行く者も、後について行く者も共に叫びつづけた。「ホサナ。主の御名によって来られる方に、祝福あれ。
10 今来たる、われらの父ダビデの国に、祝福あれ。いと高き所に、ホサナ。」
11 こうしてイエスはエルサレムに着き、神殿に入られた。そして、すべてのものを見回った後、もはや時も遅くなっていたので、十二弟子と共にベタニヤに入って来られた。

12 翌日、彼らがベタニヤから出かけていたとき、イエスは空腹を覚えられた。
13 そして、葉の茂ったいちじくの木を遠くからご覧になって、その木に何かありはしないかと近寄られたが、葉の他は何も見当らなかった。いちじくの季節でなかったからである
14 そこで、イエスはその木に、「今から後いつまでも、おまえの実を食べる者がないように。」と言われた。弟子たちはこれを聞いていた。
15 それから、彼らはエルサレムにきた。イエスは宮に入り、宮の庭で売り買いしていた人々を追い出し始め、両替人の台や、はとを売る者の腰掛けをくつがえし、
16 また器ものを持って宮の庭を通り抜けるのをお許しにならなかった。
17 そして、彼らに教えて言われた。「『わたしの家は、すべての国民の祈りの家と呼ばれる。』と書いてあるではないか。それなのに、あなたがたはそれを強盗の巣にしてしまった。」
18 祭司長たち、律法学者たちはこれを聞いて、どのようにイエスを殺すかを探っていた。彼らは、群衆が皆、その教えに驚愕していたので、イエスを恐れていたからである。
19 夕方になると、イエスと弟子たちとは、都の外に出て行った。

20 朝、道を行くと、彼らは昨日のいちじくが根元から枯れているのを見た。
21 そこで、ペテロは思い出してイエスに言った。「先生、ご覧ください。あなたがのろわれたいちじくが、枯れています。」
22 イエスは答えて言われた。「神の信仰を持ちなさい
23 まことに、あなたがたに言います。誰でもこの山に向かって、持ち上がって、海に投げ込まれよ、と言って、心の中で疑ったことがなく、信じていたなら、その人の言った通りにその人になります
24 このことを通して、あなたがたに言います。何でも祈って、求めることは今 受け取っていると信じなさい。そうすれば、あなたがたにあるようになるでしょう

25 また立って祈るとき、誰かに対して、何か恨み事があるならば、赦してやりなさい。そうすれば、天におられるあなたがたの父も、あなたがたの罪を、赦してくださいます。
26 しかし、もし赦さないならば、天におられるあなたがたの父も、あなたがたの罪を、赦してくださらないでしょう

27 彼らはまたエルサレムに来た。そして、イエスが神殿の内を歩いておられると、祭司長たち、律法学者たち、長老たちが、みもとに来て言った。
28 「何の権威によってこれらの事をするのですか。だれが、あなたが行なっている権威を与えたのですか。」
29 そこで、イエスは彼らに言われた。「わたしも一言尋ねますが、それに答えてください。そうすれば、わたしが何の権威によってこれらの事をするのか、あなたがたに言いましょう。
30 ヨハネのバプテスマは天からものもですか、人からのものですか、答えてください。」
31 すると、彼らは互に議論して言った。「もし天からだと言えば、では、なぜ彼を信じなかったのか、と言うだろう。
32 しかし、人からだと言えば。」 彼らは群衆を恐れていた。それは人々は皆、ヨハネは預言者だったと本当にそう思っていたからである。
33 それで彼らは、「私たちには分かりません。」と答えた。するとイエスは言われた。「わたしも何の権威によってこれらの事をするのか、あなたがたに言いません。」


   *1  マタイ21:1、受難週、過越の祭の週  ベテパゲはオリーブ山頂のすぐ東、ベタニヤは南東方向。 ヨハネ12:1では、過越の祭の6日前(金曜日)にベタニヤに到着。そこで安息日を過ごし、日曜日にエルサレムへ入城
   *3  キュリオス(ギ) Lord、lord、master 主  イエスご自身が「主」と言っている箇所はマルコではここだけ
   *8  ゼカリヤ9:9、U列王記9:13、 メシヤのエルサレム入城の預言の成就、および、人が乗ったことのないろばに、ろばが暴れないで乗るという奇跡、のゆえに人々は喝采した。
   *9  詩篇118:25、26、 ホサナ(アラム語) 今お救い下さい(→ 転じて、) 栄光あれ、祝福あれ、の意。 本来は神殿の祭司が巡礼者を歓迎して祝福する言葉。 過越の祭と 仮庵の祭では 詩篇118:25−28 を交読しながら歩いて行った
   *12  月曜日
   *13  いちじくの季節は初なり(6月)と秋いちじく(8、9月)、しかし実は必ず少しはあったはず。無かったので病的な木であることが判明した。 実を結ばない当時のユダヤ教を暗に批判された。
   *15  月曜日に宮きよめをされた。 宮: 異邦人の庭 で 異邦人も入れた。 両替: ローマ帝国内各地の貨幣を、定められた半シェケル貨幣に両替して宮の納入金としたが、1/10〜1/6の手数料をとられた。 はと:(大祭司アンナス一家の役得) 鳩(レビ12:8)などのいけにえは、傷のないものである必要があるので、人々は持っていって面倒な検査を受けるよりも、検査済の割高な動物を買った。
   *16  器具を持って神殿を通り抜ける者の禁止
   *17  イザヤ56:7、 エノース(ギ) 異邦人、国々 にも救い、  マルコにのみ「すべての国民の」がある
   *20  火曜日、 昨日の は補足
   *22  エクエーテ(ギ、現在) ピスティン セオウ(ギ) You, Have faith of God、 神の(=神が与える)信仰を持ちなさい、 (信仰の土台は神が語られる言葉、神のことば=種。 ローマ10:7、ヘブル11:1、創世記1:2、3、マタイ8:8)
   *23  エイペー(ギ、アオ過去2(瞬時過去)) said、(過去のある時に)言って、 メー ディアクリセー(アオ過去(不定過去)) not be doubting、疑ったことがなく、 ピステューセー(アオ過去(不定過去)) believed、信じたなら、 エイペー(アオ過去2(瞬時過去)) he said、(過去のある時に)言ったとおりに、  ギネタイ(現在) become、なる
   *24  23節の「祈り」への一般化:   プロセウコメノイ(ギ、現在)
praying、祈って、 アイテイスセ(現在) ask、desire、求める、 ラムバネテ(ギ、現在) you are getting、今得ていると、 ピステュエテ(現在) you believe、信じなさい、  エスタイ(未来) it shall be、あるようになる
        (§古典ギリシャ語の動詞: 未完了過去、アオリスト(完結相、1 不定過去、2 瞬時過去)、過去完了という3種類の過去 + 現在、未来、完了、未来完了 の計7つの時制)  cf. マルコ5:28



  第12章


 1 そこでイエスは、たとえで彼らに語り始められた。「ある人がぶどう園を造り、生垣をめぐらし、また酒ぶねの穴を掘り、やぐらを立て、それを農夫たちに貸して、旅に出かけた。
 2 季節になったので、農夫たちのところへ、一人のしもべを送って、ぶどう園の収穫の分け前を受け取らせようとした。
 3 すると、彼らはそのしもべをつかまえて、袋だだきにし、何も持たせないで送り返した。
 4 また他のしもべを送ったが、その頭を殴って侮辱した。
 5 そこでまた他の者を送ったが、今度はそれを殺してしまった。その他、さらに大ぜいの者を送ったが、彼らを打ったり、殺したりした。
 6 ここに、まだ一人の者、すなわち彼の最愛の息子がいた。自分の子は尊敬してくれるだろうと言って、最後に彼を遣わした。
 7 すると、農夫たちは、『あれは跡取りだ。さあ、彼を殺してしまおう。そうすれば、相続財産はわれわれのものだ。』と話し合い、
 8 彼をつかまえて殺し、ぶどう園の外に投げ捨てた。
 9 このぶどう園の主人は、どうするでしょうか。彼は出て来て、農夫たちを滅ぼし、ぶどう園を他の人々に与えるでしょう。
10 あなたがたは、この聖句を読んだことがないのですか。『家を造る者たちの見捨てた石が、隅のかしら石になった。
11 これは主がなされたことで、わたしたちの目には不思議に見える。』
12 彼らはイエスを捕えようとしたが、群衆を恐れた。それは今の たとえが、自分たちに対して語られたことを知ったからであった。それで、イエスをそこに残して立ち去った。

13 さて、人々は幾人かのパリサイ人やヘロデ党の者らを、イエスのもとに遣わして、その言葉じりを捕えようとした。
14 彼らは来てイエスに言った。「先生。私たちはあなたが公義をなされるお方で、だれをも、はばかられないことを知っています。あなたは人を分け隔てしないで、真理に基いて神の道を教えてくださいます。ところで、カイザルに税金を納めるのは合法でしょうか、違法でしょうか。
15 納めるべきでしょうか、納めてはならないのでしょうか。」 イエスは彼らの偽善を見抜いて言われた。「なぜわたしを試そうとするのですか。デナリ銀貨を見せなさい。」
16 彼らはそれを持ってきた。そこでイエスは言われた。「これは、だれの肖像、だれの銘ですか」。彼らは、「カイザルのです。」と答えた。
17 するとイエスは言われた。「カイザルのものはカイザルに返しなさい。そして、神のものは神に返しなさい。」 彼らはイエスに驚嘆した。

18 復活はないと主張していたサドカイ人たちが、イエスのもとに来て質問した。
19 「先生。モーセは、私たちにこう書いています。『もし、ある人の兄が死んで、その残された妻に子がない場合には、弟はこの女をめとって、兄のために子をもうけなければならない。』
20 ここに、七人の兄弟がいました。長男は妻をめとりましたが、子がなくて死に、
21 次男がその女をめとって、また子をもうけずに死に、三男も同様でした。
22 こうして、七人ともみな子孫を残しませんでした。最後にその女も死にました。
23  復活のとき、彼らが皆よみがえった場合、この女はだれの妻なのでしょうか。七人とも彼女を妻にしたのですが。」
24 イエスは言われた。「あなたがたがそのような思い違いをしているのは、聖書も神の力も知らないからです。
25 彼らが死人の中からよみがえるときには、めとったり、とついだりすることはありません。彼らは天にいる御使いのような者たちです。
26 死人がよみがえることについては、モーセの書の柴の箇所で、神がモーセに仰せられた言葉を読んだことがないのですか。『わたしはアブラハムの神、イサクの神、ヤコブの神である。』とあります。
27 神は死んだ者の神ではなく、生きている者の神です。あなたがたは非常な思い違いをしています。」

28 一人の律法学者が来て、彼らが互に論じ合っているのを聞き、またイエスが巧みに答えられたのを知って、イエスに質問した。「すべての戒めの中で、どれが第一番目にあるべきですか。」
29 イエスは答えられた。 「第一の戒めはこれです。『イスラエルよ、聞け。主なる私たちの神は、ただひとりの主である。
30 あなたのすべての心で、すべてのたましいで、すべての知力で、すべての能力で、あなたの神である(ヤハウェ)を愛せよ。』 これが第一の戒めで
31 第二はこれです。『あなた自身のように、あなたの隣人(となりびと)を愛せよ。』 これらよりも偉大な戒めは、他にはありません。」
32 そこで、この律法学者はイエスに言った。「先生、仰せの通りです。『神はひとりであって、そのほかに神はない。』と言われたのは、真理です。
33 また、『すべての心で、すべてのたましいで、すべての知力で、すべての能力で、あなたの神であるを愛し、また自分のように隣人を愛する。』ということは、すべての全焼のいけにえと供え物よりも、はるかに優れたものです。」
34 イエスは、彼が賢い答えをしたのを見て言われた。「あなたは神の国から遠くありません。」 それから後は、イエスにあえて質問する者はなかった。

35 イエスが神殿で教えておられたとき、このように言われた。「律法学者たちは、どうしてキリストをダビデの子だと言うのですか。
36 ダビデ自身が聖霊の中で言いました。『主はわが主に仰せになった。あなたの敵をあなたの足台とするときまでは、わたしの右に座していなさい。』
37 このように、ダビデ自身がキリストを主と呼んでいます。それなら、どうしてキリストはダビデの子という存在なのでしょうか。」 大ぜいの群衆は、喜んでイエスに耳を傾けていた。
38 イエスはその教えの中で言われた。「律法学者たちに気をつけなさい。彼らは長い衣を着て歩くことや、広場であいさつされることや、
39 また会堂の上席や、晩餐横になる席を好んでいます。
40 また、やもめたちの家を食い尽くし、見栄のために長い祈りをしています。彼らは非常に厳しいさばき受けることになります。」

41 イエスは、献金箱に向かって座り、群衆がその箱に銅貨を投げ入れる様子を見ておられた。多くの金持ちは、たくさんの金を投げ入れていた。
42 ところが、一人の貧しいやもめが来て、レプタ銅貨二つを投げ入れた。それは一コドラントに相当する。
43 そこで、イエスは弟子たちを呼び寄せて言われた。「まことに、あなたがたに言います。この貧しいやもめは、献金箱に投げ入れている人たちの中で、誰よりもたくさん投げ入れました。
44 皆の者はあり余る中から投げ入れましたが、この女性は乏しい中から、持っているもの全部を、その生活費のすべてを投げ入れたからです。」


   *6  エントレーポー(ギ) be ashamed、reverence、 恥じ入らせる、尊敬する
   *10、11  詩篇118:22、23、  アポドキマゾー(ギ) 審判の結果捨てる、  ケファレーン ゴーニアス(ギ、単数)、the head stone of the corner、二つの構造物(壁・柱)の接合点の土台石
   *14  ディダスカロス(ギ) teacher、master、先生、  アレセース true、truethful、真実な、公義を行なう、 アレーセイア truth、真理、  エクセスティ(ギ) lawful、(律法に対して)合法、   納税を認めれば ローマに協力するヘロデ党に賛成したことになり、パリサイ人、熱心党、一般の国民からの支持を失う。認めなければ 国主ヘロデとそれに就く者たちから反逆者とされる
   *16  デナリ銀貨の表には ティベリウスの胸像、裏には母の像と、”ティベリウス、カイザル、聖なるアウグストゥスの息子、大祭司”という銘が刻まれていた
   *19  申命記25:5
   *23  復活の時のこの女性の困惑を考えると、復活信仰は不条理である、というのが(復活を否定する)サドカイ人の論旨
   *26  出エジ3:6、  サドカイ人はモーセ五書のみを聖書として認めていた、  エゴー(ギ、現在) I am、私は(今もアブラハムの神)である、  アブラハムの死去の後の今もなお、主はアブラハムの神であり、それゆえ彼はやがて必ず復活する の意
   *28  マタイ22:34−40、 プロートス(ギ) first(in time、place、rank)、chief、 第一にあるべきもの
   *30  申命記6:5  カルディア(ギ): heart、心、心臓、 プシュケー(ギ): soul、たましい、いのち、 ディアノイア(ギ): complehension、知力、理解力、 イスクース(ギ): ability、force、strength、might、能力
   *31  レビ19:18、  メイゾーン(ギ) < メガス greater、より偉大な
   *32  申命記4:35、  アレーセイア(ギ) truth、真理、真理の教え、正直
   *33  プレイオーン(ギ) greater in quality、superior、more excellent、より優れた
   *35  クリストス(ギ) マーシヤハ(ヘ)、 キリスト、メシヤ、油注がれた者
   *36、37  (主* のどちらも) キュリオス(ギ) Lordmaster、主、   詩篇110:1、 ヒュポポディオン(ギ) footstool、足台、  エスティン(現在、3・単) He is、ある、いる、存在する
   *41  ルカ21:1−4
   *42  1レプタ(ギリシャの最小通貨) = 1/128 デナリ、 2レプタ = 1コドラント(ローマの最小の通貨)
   *44  ビオス(ギ) life、wealth、 (終わりのある)いのち、富・財産



  第13章


 1 イエスが神殿から出て行かれるとき、弟子の一人が言った。「先生、ご覧ください。何と見事な石、何と立派な建物でしょう。」
 2 イエスは言われた。「あなたは、これらの大きな建物に見入っているのですか。その石の一つでも崩されないままで、他の石の上に残ることはないでしょう。」
 3 そして、イエスがオリーブ山で、神殿の方を向いて座っておられるとき、ペテロ、ヤコブ、ヨハネ、アンデレが、ひそかに尋ねた。
 4 「私たちにお話しください。いつ、そのようなことが起るのでしょうか。また、それらのすべてのことが成就するときには、どんな前兆がありますか。」

 5 そこで、イエスは彼らに答えて、話し始められた。「誰も、あなたがたを惑わすことのないように気をつけなさい。
 6 多くの者がわたしの名を名乗って現れ、『私がそれだ。』と言って、多くの人を惑わすでしょう。
 7 また、戦争のことや戦争のうわさとを聞くときにも、慌てないでいなさい。それは必ず起こることですが、まだ終わりではありません。
 8 民族は民族に、国は国に敵対して立ち上がるでしょう。また各地で地震があり、また、ききんと暴動が起るでしょう。これらは産みの苦しみの初めです。
 9 しかし、あなたがたは自分自身に気を付けていなさい。あなたがたは、わたしがその理由となって、サンヘドリンに引き渡され、会堂で打たれ、長官たちや王たちの前に立たされます。そして、彼らにあかしをします。
10 こうして、福音がまず最初に、すべての国民に宣べ伝えられなければなりません。
11 人々があなたがたを連れて行って引き渡すときはいつでも、前もっての心配や、何を話そうかと思い巡らすことは無用です。その時に、もしあなたに与えられたことがらがあれば、それを語りなさい。それは、語っているのがあなたがたではなく、聖霊だからです。
12 また兄弟は兄弟を、父は子を死に引き渡し、子供たちは両親に逆らって立ち上がり、彼らを死に至らせるでしょう。
13 また、あなたがたはわたしの名のゆえに、すべての人に憎まれるでしょう。しかし、終わりの時まで踏みとどまった者は救われます

14 しかし、ぞっとする憎むべきものが、立ってはならない所に立つのを見たならば(読者よ、理解しなさい)、そのとき、ユダヤにいる人々は山々の地へ逃げなさい。
15 屋上にいる者は、家の中に降りて入ってはいけません。また、家から何かを取り出そうとして中に入ってもいけません。
16 畑にいる者は、上着を取りに戻ってはいけません。
17 その日々には、ああ悲惨だ。身重の女と乳飲み子をもつ女とは。
18 あなたがたの逃げるのが、冬に起こらないように祈りなさい
19 というのは、そうなれば、その日々には、神が万物を造られた創造の初めから現在に至るまで、かつてなく今後もないような患難が起るからでです。
20 また、もし主が、その期間を短くしてくださらなかったら、すべての肉なる者は 一人も救われないでしょう。しかし、選民のために、その日々は短くされました

21 そのとき、誰かがあなたがたに、『見よ。ここにキリストがいる。』、『見よ。あそこにいる。』と言っても、それを信じてはいけません。
22 それは、にせキリストたちや、にせ預言者たちが起って、しるしと奇跡とを行い、もし可能なら、選民をも惑わそうとするからです。
23 だから、気を付けていなさい。すべての事を、あなたがたに前もって言っておきました
24 その日には、この患難の後、日は暗くなり、月はその光を放つことをやめ、
25 星は空から落ち、天の力はは揺り動かされるでしょう。
26 そのとき、大いなる力と栄光と共に、人の子が雲に乗って来るのを、人々は見ます。
27 それから、彼は彼の御使いたちを遣わして、地の端から天の端まで、四方から、その選民を集めます。

28 いちじくの木からこの たとえを学びなさい。その枝が柔らかくなり、葉が出るようになると、夏の近いことがわかります。
29 そのように、これらの事が起るのを見たならば、人の子が戸口まで近づいていると知りなさい。
30 まことに、あなたがたに言います。これらの事が、すべて起るまでは、この時代は過ぎ去りません。
31 天地は過ぎ去ります。しかしわたしの言葉は決して過ぎ去ることはありません
32 その日、その時は、誰も知りません。天にいる御使いたちも、また子も知りません。ただ父だけが知っておられます。
33 気を付けて、目を覚まして、祈っていなさい。それは、その時がいつであるか、あなたがたには分からないからです。
34 それはちょうど、旅に立つ人が家を出る時に、そのしもべたちに権限を与え、それぞれに仕事を割り当て、門番には目を覚ましているように、命じるようなものです。
35 だから、目を覚ましていなさい。いつ、家の主人が帰って来るのか、夕方か、夜中か、にわとりの鳴くころか、明け方か、分からないからです。
36 彼が突然帰って来たとき、あなたがたの眠っているところを見られないようにしなさい。
37 わたしがあなたがたに言っていることは、すべての人々に言っているのです。目を覚ましていなさい。」


   *1  (*のどちらも) ポタポス(ギ) from what country、what sort or quality、 ヘロデ神殿は、金の屋根と大理石の建物だった
   *2  AD70年のエルサレム神殿破壊の時の大火災により、その熱で神殿の金が溶けて床石の隙間に流れ込んだので、その金を回収するためすべての床石をひっくり返した
   *3  オリーブ山(城壁の東側))からの神殿の景観は最も良かったといわれる
   *4  セーメイオン(ギ) sign、 しるし、奇跡、前兆
   *6  エゴー エイミ(ギ) I am、(直訳)私は ある
   *7  テロス(ギ) endend time、 終わり、終わりの時
   *11  ドセー(ギ、アオ過去(不定過去)、3・単) was given、与えられた (<ディドミ)、  ラテイテ(ギ、現在、命令・2・複) speak、talk、語りなさい (<ラレオー)、  ラロユンテス(現在、男・複) speak、talk、語っている
   *13  テロス(ギ) endend time、 終わり、終わりの時、   ヒュポメイナス(アオ過去(不定過去)、男・単) (<ヒュポメノー) remain、preserve、endure、 留まる(ルカ2:43)、踏みとどまる(マタイ10:22、使徒17:14 など)、保つ、  ソーセンタイ(未来) shall be saved、救われます
   *14  ダニエル9:27、マタイ24:15、  メショーメム(へ) = サーメム(へ、荒廃させる)のプアル態で、appalling、ぞっとするような、凄まじい、驚かせる、  ブデルグマ(ギ)、シクーチ(ヘ) abomination(単数) 忌むべきもの、偶像、  反キリストの偶像が、第3神殿の至聖所に据えられること。  イデーテ(アオ過去2(瞬時過去)、2・複) 見たその時には (この様子が世界中に放映される)、  オレー(ギ、中・複) mountains、山々の地 (前回の成就の時は、AD76年に、エルサレムにいた信者たちは、あらかじめ示されていた通り、デカポリスのペラに脱出した)
   *15  カタバトー(ギ、アオ過去2(瞬時過去)) (その時、家の中に)降りてしまってはいけない、  屋上の間(ま)は格好の伝道、祈り、また会話や社交の場であった。屋上から家の横の外階段を通ってそのまま外に出る分には構わない。 家の中に入っている暇はなく、惑わしの場にもなっているので(:21、マタイ24:26)、決して入らない事。
   *16  通常、人々は畑には下着だけでいた。逃げるために上着を取りに行く暇もないということ。また、部屋に入ってはいけないということ。
   *17  逃げるのが困難であることによる
   *18  (直訳)これらの逃避が起こる(ゲネータイ(アオ過去2(瞬時過去))起こる)のが、  マタイ24:20 では 「冬や安息日にならないように」、 冬は雨が多く、(当時の)ヨルダン川の水位が上がって危険。ユダヤには夏と冬の2つの季節しかない。(安息日は、口伝律法により約1km以上の長距離の移動の禁止。AD67の前回は、安息日には城壁の門が閉じられていた。)
   *19  ダニエル12:1
   *20  エコロボーセン(ギ、アオ過去(不定過去)、3・単) (主が)短くした(された)、  サルクス(ギ) flesh、肉、肉なる者
   *23  プロエイレーカ(ギ、完了、1・単) 前もって言いました
   *24、25  黙示録6:12−14
   *26  ラッパの記述はない、  マタイ24:31では、「天の端から端に至る、四方から」
   *32  マタイ24:36 では、「子も知らない」が無い。 使徒1:7 より、知る必要が無い と解釈すべき。 再臨についても、御子は御父に示されたことを即実行するまで。
   *35、37  地球上のあらゆる場所で 同時刻に再臨



  第14章


 1 さて、二日後には過越しと種なしパンの祭りが行われる。祭司長たちや律法学者たちは、どのようにイエスを騙して捕え、そして殺そうかと、いろいろ探っていた。
 2 彼らは、「祭りの間はいけない。民衆の中に騒動が起るかも知れない。」と言っていた。
 3 イエスがベタニヤで、らい病人シモンの家にいて、横になって食卓に着いておられたとき、一人の女が、非常に高価で純粋なナルドの香油が入れてある石膏のつぼを持ってきて、それをこわし、香油をイエスの頭に注ぎかけた。
 4 すると、そこにいた何人かが憤って互に言った。「何のために香油をこんなに浪費するのか。
 5 この香油を三百デナリ以上にでも売って、貧しい人たちに施すことができたのに。」 そして女を厳しくとがめた。
 6 するとイエスは言われた。「そのままにさせておきなさい。なぜこの人を困らせるのですか。彼女はわたしに良い事をしてくれたのです。
 7 貧しい人たちはいつもあなたがたと一緒にいて、あなたがたの望む時はいつでも、彼らに良い事をすることができます。しかし、わたしはあなたがたといつも一緒にいるわけではありません。
 8 この人がしたことは、わたしの体に油を注いで、前もって、わたしの埋葬のための処置を準備してくれたのです。
 9 まことに、あなたがたに言います。全世界のどこででも、福音が宣べ伝えられる所では、彼女のした事も記念として語られるでしょう。」
10 その時、十二弟子の一人、イスカリオテのユダは、イエスを祭司長たちに引き渡そうとして、彼らの所へ行った。
11 彼らはこれを聞いて喜び、金を与えることを約束した。そこでユダは、どのようにイエスを引き渡そうかと、機会を狙っていた。

12 種なしパンの祭りの第一日、すなわち過越しの小羊をほふる日に、弟子たちがイエスに尋ねた。「私たちは、あなたの過越しの食事を、どこへ行って用意をするのをお望みでしょうか。」
13 そこで、イエスは二人の弟子を使いに出して言われた。「都に入ると、水がめを持っている男に出会うでしょう。その人について行きなさい。
14 そして、その人が入って行く家の主人に言いなさい。『弟子たちと一緒に過越しの食事をする客間はどこですか、と先生が言っておられます。』
15 するとその主人は、席を整えて用意された二階の大部屋を見せてくれるから、そこにわたしたちのために用意をしなさい。」
16 弟子たちは出かけて都に行って、見るとイエスが言われたとおりだったので、過越の食事の用意をした。

17 夕方になって、イエスは十二弟子と一緒にそこへ行かれた。
18 そして、一同が横になって席について食事をしているときに、言われた。「まことに、あなたがたに言います。あなたがたの中の一人で、わたしと一緒に食事をしている者が、わたしを引き渡そうとしています。」
19 弟子たちは非常に心配して、一人一人が、「まさか、私ではないでしょう。」と言い出した。
20 イエスは言われた。「十二人の中の一人で、わたしと一緒に同じ深皿にパンを浸している者が、それです。
21 確かに、人の子は、自分について書いてあるとおりに去って行きます。しかし、わざわいだ。人の子を引き渡すその人は。その人は生れなかった方が、彼にとって良かったのです。」

22 彼らが食事をしているとき、イエスは一つのパンを取り、祝福して、これを裂いて、弟子たちに与えて言われた。「取って食べなさい。これはわたしの体です。」
23 また一つの杯を取り、感謝して、彼らに与えられると、一同はその杯から飲んだ。
24 イエスはまた言われた。「これは、多くの人のために流される、わたしの新しい契約の血です。
25 まことに、あなたがたに言います。わたしはもはや、決してぶどうの実から造ったものを飲むことをしません。神の御国で新しいものを飲むその日までは。」
26 彼らは、賛美を歌った後、オリーブ山へ出かけて行った。

27 そのとき、イエスは弟子たちに言われた。「今夜、あなたがたは皆、わたしにつまずきます。『わたしは羊飼いを打つ。そして、群れの羊たちは散らされる。』と、書いてあるからです。
28 しかし、わたしは、よみがえった後、あなたがたより先にガリラヤへ行きます。」
29 するとペテロはイエスに答えて言った。「たとい、皆の者があなたにつまずいても、私は決してつまずきません。」
30 イエスは言われた。「まことに、あなたに言います。今夜のこの日に、鶏が二度鳴く前に、あなたは三度わたしを否定します。」
31 ペテロは言った。「たといあなたと一緒に死なねばならなくなっても、決してあなたを否定しません。」 そして皆、同じように言った。

32 それから、彼らは、ゲツセマネという所へ来て、イエスは弟子たちに言われた、「わたしが祈っている間、ここに座っていなさい。」
33 そしてペテロ、ヤコブ、ヨハネを一緒に連れて行かれたが、驚きに打たれ激しく苦悩され始められた。
34 そして、彼らに言われた。「わたしのたましいは悲しみに打たれ*、死ぬほどです。ここに留まって、目を覚ましていなさい。」
35 そして少し進んで行き、地にひれ伏し、もしできることなら、この時を過ぎ去らせてくださるように、と祈られ、
36 こう言われた。「アバ父よ、あなたにとっては、すべてが可能です。どうか、この杯をわたしから取り去ってください。しかし、わたしの意思ではなく、あなたのみこころをなさってください。」
37 それから、来てご覧になると、弟子たちが眠っていたので、ペテロに言われた。「シモンよ、眠っているのですか。一時間でも目を覚ましているほど強くなかったのですか。
38 目を覚まして、誘惑に陥らないように、祈っていなさい。は燃えていても、肉体は弱いのです。」
39 再びイエスは行かれて、同じ言葉で祈られた。
40 また来てご覧になると、再び彼らは眠っていた。その目が重くなっていたからである。そして、彼らはどう答えたら良いか分からなかった。
41 そして、三度目にイエスが来られ、こう言われた。「今は寝ていなさい。そして休みを取りなさい。もう十分です。時が来ました。 見よ。人の子は、罪人たちの手に渡されます。
42 立ち上がりなさい。さあ行くのです。見よ。わたしを引き渡す者が近づいてきました。」
43 そしてすぐ、イエスがまだ話しておられる間に、十二弟子の一人のユダが現れた。また祭司長たち、律法学者たち、長老たちから送られた大ぜいの群衆も、剣と棒とを持って彼について来た。
44 イエスを引き渡す者は、あらかじめ彼らへの合図を決めていた。「私の接吻する者が、その人だ。その人を捕まえて、まちがいなく連れて行くように。」
45  彼は来るとすぐ、イエスに近寄り、「ラビ。ラビ。」と言って接吻した。
46 人々はイエスに手をかけて捕まえた。
47 すると、イエスのそばに立っていた者の一人が、剣を抜いて大祭司のしもべに切りかかり、その片耳を切り落した。
48 イエスは彼らに言われた。「あなたがたは強盗に立ち向かうように、剣や棒を持ってわたしを捕えに出て来たのですか。
49 わたしは毎日あなたがたと一緒に神殿にいて教えていたのに、わたしを捕えませんでした。しかし聖書の言葉は成就するのです。」
50 弟子たちはイエスを残して皆逃げ去った。
51 このとき、ある若者が裸の身に亜麻布をまとって、イエスの後について行ったが、人々が彼を捕まえようとしたので、
52 その亜麻布を捨てて、裸で逃げて行った。

53 それから、彼らがイエスを大祭司のところに連れて行くと、祭司長たち、長老たち、律法学者たちがみな集まって来た。
54 ペテロは遠くからイエスについて行って、大祭司の中庭まで入り込み、その下役たちに紛れて座り、火に当たって暖を取っていた。
55 さて、祭司長たちと全議会とは、イエスを死刑にするために、イエスに不利な証拠を捜そうとしたが、見つからなかった。
56 それは、多くの者がイエスに対して偽証したが、その証言が一致しなかったからである。
57 そこで、ある人々が立ちあがり、イエスに対して偽証して言った。
58 「私たちはこの人が、『わたしは、人の手で造られたこの神殿を取り壊し、三日の後に、人の手で造られない別の神殿を建てる。』と言うのを聞きました。」
59 しかし、このような証言も互に合わなかった。
60 そこで大祭司が立ち上がって、真中に進み、イエスに尋問して言った。「何も答えないのすか。これらの人々があなたに対して不利な証言をしているが、どうなのか。」
61 しかし、イエスは黙っていて、何もお答えにならなかった。大祭司は再び尋問して言った。「あなたは、ほむべき方の子、キリストか。」
62 イエスは言われた。「わたしがそれです。あなたがたは、人の子が力ある方の右に座り、天の雲に乗って来るのを見るでしょう。」
63 すると、大祭司はその衣を引き裂いて言った。「これ以上、まだ証人が必要でしょうか。
64 あなたがたはこの冒涜の言葉を聞きました。あなたがたの意見はどうですか。」 すると、彼らは皆、イエスを死刑に相当すると断定した。
65 そして、ある者はイエスにつばきをかけ、顔を覆ってこぶしで叩いて、「預言で言い当ててみろ。」と言い始めた。また下役たちはイエスを引き受け、手のひらで叩いた。

66 ペテロは下で中庭にいたが、大祭司の女中の一人が来て、
67 ペテロが火に当たっているのを見ると、彼をじっと見て、「あなたもあのナザレ人イエスと一緒にいましたね。」と言った。
68 するとペテロはそれを否定して、「私は、あなたの言っている事を知らないし、分からない。」と言って、出口の方に出て行った。そして鶏が鳴いた
69 ところが、先の女中が彼を見て、そばに立っていた人々にもう一度、「この人はあの仲間の一人です。」と言い始めた。
70 ペテロは再びそれを否定した。しばらくして、そばに立っていた人たちがまたペテロに言った。「確かにあなたは彼らの仲間だ。それは、あなたもガリラヤ人で、話し方で分かるからだ。」
71 しかし彼は、「あなたがたの話している人のことは何も知らない。」と言って、のろいをかけて誓い始めた。
72 するとただちに、鶏が二度目に鳴いた。ペテロは、「鶏が二度鳴く前に、三度わたしを知らないと言う。」と言われたイエスの言葉を思い出した。そしてそれに思い当たった時、激しく泣いた。


   *1  過越の祭り 1日 + (続けて)種なしパンの祭り7日間 = 8日間パン種を用いることを禁止(出エジ12:15)
   *3  横になって は補足、  ナルドの香油: ヒマラヤ〜チベット産のナルド草の根より、インド、ペルシャを経て伝わった
   *8  死者に香油を塗り、亜麻布で包む
   *12  マタイ26:17、  小羊を は補足
   *18  パラディドミ(ギ) commit、deliver、give into the hands、引き渡す、届ける
   *21  オウアイ(ギ) woe、alas、 ああ、災いだ
   *26  過越の祭りの中心「ハレル」(賛美せよ、の意)、詩篇115−118篇を区切って歌い、最後に「大ハレル」として詩篇136篇が歌われた
   *27  ゼカリヤ13:7
   *32  ゲスセマネ(ギ) ゲッセマネ、(オリーブの)油絞り、の意、 オリーブ山のふもとにあった。  (§ ゲッセマネの祈り ・・・ 史上最大の霊の戦いの所)
   *33  エクサムベオー(ギ) 
be struck with amazement 驚きに打たれる、(cf. マタイ26:37 リュペーオ(ギ) sorrowful、grieve、嘆き悲しむ)、アデモネーオ(ギ) great distress、depressed、非常に苦悩する。  § ここで、「驚かれた」 (マタイでは「悲しまれた」) のは、御父との関係を、十字架上で約3時間分離されることを、ここで初めて語られたから (→ マルコ15:34、 マタイ27:46 )
   *34  プシュケー(ギ) たましい、 ペリーリュポス(ギ) exceedingly sorrowful、極度に悲しい、悲しみのあまり、 メノー(ギ) 留まる
   *36  アバ(ヘ) 父、  セロー(ギ) will、意思、みこころ
   *47  ヨハネ18:10より、切り落とした弟子の一人がシモン・ペテロで、切り落とされたほうがマルコス
   *51  若者はヨハネ・マルコという説があるが確定していない。  シンドーン(ギ) linen cloth、リネン、 亜麻の布の服は裕福な人が着た
   *61  エユロゲトース(ギ) Blessed、Praised ほむべき方
   *62  エゴー エイミ(ギ) I AM、 (直訳) 私はある (6:50、ヨハ8:24、:58等、 出エジ3:14) イエスご自身がヤハウェであるというニュアンス、  詩篇110:1、  黙示1:7
   *63  口伝律法(後のミシュナー)の規定: 神を冒涜する罪の場合、証人の証言の後、裁判員が着ている衣を引き裂いた



  第15章


 1 夜が明けるとすぐ、祭司長たちは長老たち、律法学者たち、および全議会と協議した末に、イエスを縛って引き出し、ピラトに引き渡した。
 2 ピラトはイエスに尋ねた。「あなたがユダヤ人の王ですか。」 イエスは、「あなたの言う通りです。」と、答えられた。
 3 そこで祭司長たちは、イエスについての多くのことを訴えた。しかしイエスは何もお答えにならなかった。
 4 ピラトはもう一度イエスに尋ねた。「何も答えないのですか。見なさい。あなたに対してあれほど多くのことを訴えているではありませんか。」
 5 しかし、イエスはもはや何もお答えにならなかったので、これにはピラトも驚いた。
 6 さて、祭りのたびごとに、ピラトは人々が願い出る囚人一人を、放免することにしていた。
 7 ここで、暴動を起し人殺しをしてつながれていた暴徒の中に、バラバという者がいた。
 8 群衆が押しかけてきて、彼に、いつものとおりにしてほしいと要求し始めたので、
 9 ピラトは彼らに、「おまえたちはユダヤ人の王を放免してもらいたいのか。」と言った。
10 それは、祭司長たちがイエスを引き渡したのは、ねたみのためであることが、ピラトには分かっていたからである。
11 しかし祭司長たちは、バラバの方を放免してもらうように、群衆を煽動した。
12 そこでピラトは再び彼らに言った。「それでは、おまえたちがユダヤ人の王と呼んでいるあの人を、私がどのようにすることを望むのか。」
13 彼らは、また叫んだ。「十字架につけろ。」
14 「あの人は、いったい何の悪い事をしたのか。」と、ピラトは言ったので、彼らはいっそう激しく叫んで、「十字架につけろ。」と言った。
15 それで、ピラトは群衆を満足させようと思って、バラバを放免し、イエスをむちで打ってから、十字架につけるために引き渡した。
16 兵士たちはイエスを、邸宅、すなわち総督官邸の中に連れて行き、全部隊を呼び集めた。
17 そしてイエスに紫のマントを着せ、いばらの冠を編んでかぶらせ、
18 「ユダヤ人の王、ばんざい。」と言って敬礼をしはじめた。
19 また、葦の棒でその頭を叩き、つばきをかけ、ひざまずいて拝んだりした。
20 こうして、イエスを嘲弄したあげく、紫のマントをはぎ取り、元の上着を着せた。それから、彼らはイエスを十字架につけるために引き出した。

21 そこへ、アレキサンデルとルポスとの父シモンというクレネ人が、田舎から来て通りかかったので、人々はイエスの十字架を無理に負わせた。
22 そしてイエスをゴルゴダ、その意味は、どくろ、という所に連れて行った。
23 そしてイエスに、没薬をまぜたぶどう酒をさし出したが、お受けにならなかった。
24 それから、イエスを十字架につけた。そしてくじを引いて、だれが何を取るかを定めたうえ、イエスの着物を分けた。
25 イエスを十字架につけたのは、朝の九時ごろであった。
26 イエスの罪状書きには、「ユダヤ人の王」と、書いてあった。
27 また、イエスと共に二人の強盗を、一人を右に、一人を左に、十字架につけた。
28 こうして「彼は罪人たちの一人に数えられた。」と書いてある言葉が成就したのである
29 そこを通りかかった者たちは、頭を振りながら、イエスをののしって言った。「ああ、神殿を取り壊して三日のうちに建てる者よ。
30 十字架から降りて来て自分を救え。」
31 祭司長たちも同じように、律法学者たちと一緒になって、交互に嘲弄して言った。「他人を救ったが、自分自身を救うことができない。
32 イスラエルの王キリスト、今、十字架から降りてみなさい。われわれはそれを見たら信じよう。」 また、一緒に十字架につけられた者たちも、イエスをののしった。
33 昼の十二時になると、暗闇になって全地を覆い、三時にまで及んだ。
34 そして三時に、イエスは大声で、「エロイ、エロイ、ラムマ、サバクタニ。」と叫ばれた。それは、「わが神、わが神、どうしてわたしをお見捨てになったのですか。」という意味である。
35 すると、そばに立っていたある人々が、これを聞いて言った。「見よ。エリヤを呼んでいる。」
36 一人の人が走って行き、海綿に酢いぶどう酒を含ませて葦の棒に付け、イエスに飲ませようとしながら言った。「エリヤが彼を降ろしに来るかどうかを、見ることを許してくれ。」
37 イエスは声高く叫んで、息を引き取られた

38 そのとき、神殿の幕上の方から下に向かって真二つに裂けた。
39 イエスの正面に立っていた百卒長は、このようにして息を引き取られたのを見て言った。「本当に、この人は神の子であった。」
40 また、遠くの方から見ている女たちもいた。その中には、マグダラのマリヤ、小ヤコブとヨセとの母マリヤ、またサロメがいた。
41 彼女たちは、イエスがガリラヤにおられたとき、あとについて来て仕えた女たちであった。また、その他、イエスと共にエルサレムに上ってきた多くの女たちもいた。
42 さて、すでに夕方になり、その日は備えの日、すなわち安息日の前日であったので、
43 アリマタヤ*のヨセフが大胆にもピラトの所へ行き、イエスの体の引取り人を願った。彼は地位の高い議員であって、彼自身、神の国を待ち望んでいる人であった。
44 ピラトは、イエスがもう死んでしまったのかと驚いて、百卒長を呼んで、もう死んだのかと尋ねた。
45 そして、百卒長から確認した上、死体をヨセフに与えた。
46 そこで、ヨセフは亜麻布を買い、イエスを取り下ろして、その亜麻布に包み、岩を掘って作った墓に安置し、墓の入口に石をころがしておいた。
47 マグダラのマリヤとヨセの母マリヤとは、イエスが納められた場所をよく見てきた。


   *1  サンヘドリン全員のの公式な協議。 死刑の宣告は2回目の議会で言い渡す習わしで、ここでピラトへの告訴状を作成
   *7  バラッバス(ギ) バル・アバス(アラム語) = son of a father、  赦すのは、”父の子”か、「神の子」か と群衆に問う
   *15  ローマの鞭は数本の皮ひもに金属の輪をはめたもので、非常に過酷だった
   *16  総督が行事のたびに連れ歩く、 ここでは200人の小隊
   *17  ポルフューラ 紫、 兵士たちの短いマント(外套)を、王の赤紫色の長いマントに見立てた
   *18  カイレー(ギ) rejoice、be glad、be well、(あいさつで)ばんざい、お元気で (喜び の意味が中心)
   *21  イエスは十字架の横木を背負わされてゴルゴタに歩いて行ったが、鞭打ち、嘲弄、徹夜などで弱っておられたので途中で倒れられた。  北アフリカ・リビアの町クレネの人、エルサレムにクレネ人の会堂があった。 ルポスは ローマ16:13 のルポスともいわれている
   *22  城壁の北の外側にあるゴルドンのゴルゴタの可能性がある(現在も、崖下の岩の外観がどくろに見える)
   *23  エルサレムの裕福な夫人が痛みを抑えるために与えたもの
   *25  (直訳) 第3時
   *26  ローマでは処刑の時、罪状書きをつける習慣
   *28  イザヤ53:12、  (* 28節は 改ざん写本である シナイ写本にはない)
   *30、32  サタンはイエスを十字架につけるよう扇動したが、一転して、最後の悪あがきをして、降ろそうと誘惑している
   *33  (直訳) それぞれ 第6時、 第9時。  3時間もの間、超自然的に暗くなった。(日食は歴史上最長8分) これは、御父が 御子から顔を背けられたことの、自然界への現れ
   *34  詩篇22:1(ラマー(ヘ) なぜ、 アザヴターニー(ヘ) <アーザヴ、 あなたは私を離れ去る)、マタイ27:46、  アラム語 =  イエスたちが通常使っていた出身地の言葉で、心の底からの 絶望を言い表された。 罪人の身代わりに、御子が、御父から 切り離され、もはや「父」と呼べず、「神」と呼んでいる。
   *36  酢と水を混ぜたもの、ローマ兵が飲用
   *37  ペテロもマタイも遠くにいて聞き取れなかった。 ルカ23:46では、「父よ、わが霊をあなたの両手に差し出します。」と、再び「父」と呼んでいる。  (直訳) 息絶えた = 霊をゆだねられた(マタイ27:50)

   *38  カタペタスマ(ギ) 聖所と 至聖所との間の 幕(出26:31−35、27:21、U歴3:14、ヘブ6:19)、  神と人との隔ての幕が裂けて、旧約時代から、十字架を通しての新しい契約の時代に移行した。 分厚い(10センチほどの厚みの)幕が、人手によらず、上から超自然的に裂けた
   *39  偉大な人物(皇帝、支配者、哲学者など)程度のつもりだったが、実に、預言であった
   *43  アリマサイアス(ギ) Tサムエル1:1 の ラマタイム(エルサレムの北西32キロのエフライムの山地)といわれる、  サンヘドリンの有力な議員
   *44  通常は死ぬまで2−3日かかる、 イエスはあまりにも弱っておられたので6時間ほどで死なれた
   *46  入口の蓋となる大きな平たい丸い石



  第16章


 1 さて、安息日が終ったので、マグダラのマリヤとヤコブの母マリヤとサロメとが、イエスの体に塗りに行くために、香料を買い求めた。
 2 そして週の初めの日の早朝に出かけ、日が出る頃に墓に来た。
 3 そして、彼女たちは、「私たちのために、墓の入口から石をころがしてくれる人は誰かいるでしょうか。」と話し合っていた。
 4 ところが、目を上げて見ると、石はすでにころがしてあった。この石は非常に大きかった。
 5 墓の中に入ると、右手に真白な長い衣を着た若者が座っているのを見て、驚きに打たれた。
 6 するとこの若者は言った。「驚くことはありません。あなたがたは十字架につけられたナザレ人イエスを捜しているのでしょう。しかし、イエスはよみがえられて、ここにはおられません。ご覧なさい、ここが彼らがあの方を納めていた場所です。
 7 そして、弟子たちとペテロがいる所へ行って、こう伝えなさい。イエスはあなたがたより先にガリラヤへ行かれました。前もって、あなたがたに言われた通り、そこでお会いできます、と。」
 8 彼女たちは震えて、恐れながら、墓から出て逃げ去った。そして、恐ろしかったので人々には何も言わなかった。

 9 週の初めの日の朝早く、イエスはよみがえって、まずマグダラのマリヤに御自身をあらわされたイエスは以前に、この女性から七つの悪霊を追い出された
10 マリヤは、イエスと一緒にいた人々が泣き悲しんでいる所に行って、それを知らせた
11 彼らは、イエスが生きておられる事と、彼女に御自身を現わされた事とを聞いたが、信じなかった
12 この後、そのうちの二人が、いなかの方へ歩いていると、イエスは以前とは違う姿で御自身を現わされた
13 この二人も、他の人々の所に行って話したが、彼らはその話も信じなかった
14 その後、イエスは十一弟子が食卓についている所に現われて、彼らの不信仰と、心のかたくなさとを責められた。それは、彼らが、よみがえられたイエスを見た人々の言うことを、信じなかったからである

15 それから彼らに言われた「全世界に出て行って、すべての造られた者に福音を宣べ伝えなさい
16 信じてバプテスマを受ける者は救われます。しかし、不信仰の者は罪に定められます。
17 そして、信じる者には、次のようなしるしが伴いますすなわち、わたしの名で悪霊を追い出し、新しい言葉を語り
18 へびを上げて除きを飲んでも決して害を受けずまた病人に手を置けばいやされます。」

19 主イエスは彼らに語り終ってから、天に上げられ、神の右の座に着かれた
20 弟子たちは出て行って、あらゆる所で福音を宣べ伝えた。 主は彼らと共に働かれ、しるしが伴うことを通して、みことばを確かなものとされたアーメン


   *2  日曜日
   *9  § 9節から20節までは、3つの改ざん写本(シナイ、アレキサンドリア、バチカン)では削除されている。 信じるすべての人々について、特に伝道に関わって 現れる、しるし。(cf.御霊の賜物(Tコリ12)は特定の人々に分け与えられる)  マタイ28:9 では、イエスが彼女たちと最初に出会ったのは、弟子たちに報告しに行く途中であり、 ヨハネ20:14− ではペテロとヨハネが墓に来てから、(弟子たちにではなく、)まずマグダラのマリヤだけがイエスと出会った。 ルカには出会いの記事が無い
   *11  ルカ24:11、12
   *12  ルカ24:13−、 二人の弟子たちがエマオへ行く途中
   *16  バプテスマ: すなわち、聖霊を受けること (ヨハネ20:22)
   *17  セメイア(ギ、複数) <セメイオン signs、miracles、wonders、しるし(奇跡を伴うもの)、  (直訳) 新しい(種類の)舌: 異言(外国の言葉)、預言、 (多くの場合、聖霊のバプテスマと同時に「異言」を語る)
   *18  アポウシン(ギ) <アイロウ lift up、raise up from the ground、remove (誘惑系の悪霊である蛇どもを、十字架に上げるように、)上げて除く、  毒: deadly、致死的な毒、毒殺用の毒








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