マタイの福音書



  第1章


 1 アブラハムの男系の子孫であるダビデの、さらにその男系の子孫であるイエス・キリストの系図

 2 アブラハムはイサクをもうけ、イサクはヤコブをもうけ、ヤコブはユダとその兄弟たちをもうけ、
 3 ユダはタマルによってパレスとザラをもうけ、パレスはエスロンをもうけ、エスロンはアラムをもうけ、
 4 アラムはアミナダブをもうけ、アミナダブはナアソンをもうけ、ナアソンはサルモンをもうけ、
 5 サルモンはラハブによってボアズをもうけ、ボアズはルツによってオベデをもうけ、オベデはエッサイをもうけ、
 6 エッサイはダビデ王をもうけた。

  ダビデはウリヤの妻によってソロモンをもうけ、
 7 ソロモンはレハベアムをもうけ、レハベアムはアビヤをもうけ、アビヤはアサをもうけ、
 8 アサはヨサパテをもうけ、ヨサパテはヨラムをもうけ、ヨラムはウジヤをもうけ、
 9 ウジヤはヨタムをもうけ、ヨタムはアハズをもうけ、アハズはヒゼキヤをもうけ、
10 ヒゼキヤはマナセをもうけ、マナセはアモンをもうけ、アモンはヨシヤをもうけ、
11 ヨシヤはバビロン移住の時代に、エコニヤとその兄弟たちをもうけた。

12 バビロン移住の後、エコニヤはサラテルをもうけ、サラテルはゾロバベルをもうけ、
13 ゾロバベルはアビウデをもうけ、アビウデはエリヤキムをもうけ、エリヤキムはアゾルをもうけ、
14 アゾルはサドクをもうけ、サドクはアキムをもうけ、アキムはエリウデをもうけ、
15 エリウデはエレアザルをもうけ、エレアザルはマタンをもうけ、マタンはヤコブをもうけ、
16 ヤコブはマリヤの夫ヨセフをもうけた。 キリストといわれるイエスはこのマリヤからお生れになった。
17 それゆえ、アブラハムからダビデまでの代は合わせて十四代、ダビデからバビロン移住までは十四代、そして、バビロン移住からキリストまでは十四代である。

18 イエス・キリストの誕生は次のようである。 母マリヤはヨセフと婚約していたが、彼らが一緒になる前に、聖霊によって身重になっていることがわかった。
19 夫ヨセフは正しい人であったので、彼女を公けにすることを好まず、ひそかに去らせようと決心した。
20 彼がこのことを思いめぐらしていたとき、見よ、主の御使いが夢に現れてこう言った。 「ダビデの子ヨセフよ、恐れないでマリヤを妻として迎えなさい。彼女が妊娠している霊は聖なる霊だからです。
21 彼女は男の子を産みます。その名をイエスと名づけなさい。なぜなら、彼は、ご自分の民を 彼らの罪から救う者となるからです。」
22 すべてこれらのことが起ったのは、主が預言者を通して言われたことが成就するためである。すなわち、
23 「見よ、おとめがみごもって男の子を産む。その名はインマヌエルと呼ばれるであろう。」 これは、「神はわれらと共におられる。」という意味である。
24 ヨセフは眠りからさめた後に、主の御使いが命じたとおりに、マリヤを妻として迎えた。
25 彼はその初子が生れるまでは、彼女を知ることはなかった。そして、その男の子をイエスと名づけた。


   *  マタイ(マッタイオス(ギ)、主の賜物、の意)、 イエス・キリストをほぼ「教師」として記述。 マタイ(旧 取税人レビ)は使徒、教師
   *1  当初、ユダヤ人向けを意図して 系図の書から書き始める
   *11、12  ヨシヤとエコニヤの間に エホヤキムを省略している。(T歴3:15) サラテルとゾロバベル(ゼルバベル)の間に ペダヤ(T歴3:18、19)を、あるいは ネリ(ルカ3:27)を省略している。 エコニヤに世継ぎが無かったので(エレミヤ22:28−30)、ネリの子サラテルが跡を継いだといわれる。
   *21  イエス=イェシュア、 救う=ヨシア (ヘブル語)
   *23  イザヤ7:14



  第2章


 1 ヘロデ王の代に、イエスがユダヤのベツレヘムでお生れになったとき、見よ、東からきた博士たちがエルサレムに着いて言った、
 2 「ユダヤ人の王としてお生れになった方は、どこにおられますか。私たちは東の方でその方の星を見たので、その方を礼拝しに来ました。」
 3 ヘロデ王はこのことを聞いて非常に動揺した。エルサレムの彼に伴う人々もみな そうであった。
 4 そこで王は祭司長たちと民の律法学者たちとを全部集めて、キリストはどこに生れるのかと、彼らに問いただした。
 5 彼らは王に言った、「それはユダヤのベツレヘムです。預言者を通してこのように書かれています。
 6 『ユダの地、ベツレヘムよ、おまえはユダの君らの中で、決して最も小さいものではない。なぜなら、おまえの中からひとりの君が出て、わが民イスラエルを治めるからである。』」

 7 そこで、ヘロデはひそかに博士たちを呼んで、星の現れた時について詳しく聞き、
 8 彼らをベツレヘムにつかわして言った、「行って、その幼子(おさなご)のことを詳しく調べ、見つかったらわたしに知らせてくれ。わたしも拝みに行くから。」
 9 彼らは王の言うことを聞いて出かけると、見よ、彼らが東方で見た星が、彼らより先に進んで、幼子のいる所まで行き、その上にとどまった。
10 彼らはその星を見て、非常な喜びにあふれた。
11 そして、家にはいって、母マリヤのそばにいる幼子に会い、ひれ伏して彼を礼拝し、また、宝物を取り出して、黄金、乳香、没薬などの贈り物をささげた。
12 そして、夢でヘロデのところに帰るなとの神の警告を受けたので、他の道を通って自分の国へ帰って行った。
13 彼らが帰って行ったのち、見よ、主の御使いが夢でヨセフに現れて言った。「起き上がって、幼子とその母を連れて、エジプトに逃れていなさい。そして、あなたに知らせるまで、そこにとどまっていなさい。ヘロデが幼子を捜し出して、殺そうとしているからです。」
14 そこで、ヨセフは眠りから起きて、夜の間に幼子とその母とを連れてエジプトへ出発し、
15 ヘロデが死ぬまでそこにとどまっていた。それは、主が預言者によって「エジプトからわが息子を呼び出した」と言われたことが、成就するためである。
16 さて、ヘロデは博士たちにだまされたと知って、非常に立腹した。そして人々をつかわし、博士たちから聞き出した時間をもとに年齢を割り出し、ベツレヘムとその近辺にいる二歳以下の男の子を、ことごとく殺した。
17 このように、預言者エレミヤによって言われたことが、成就したのである。
18 「ラマで一つの声が聞こえる。悲嘆の声であり、叫び泣く、苦しみうめく声が。ラケルはその子らのために嘆いた。子らがもはやいないので、慰められることさえ願わなかった。」

19 さて、ヘロデが死んだのち、見よ、主の御使いがエジプトにいるヨセフに夢で現れて言った。
20 「起きて、幼子とその母を連れて、イスラエルの地に行きなさい。この幼子の命をねらっていた者たちは死にました。」
21 そこでヨセフは起き上がり、幼子とその母とを連れて、イスラエルの地に帰った。
22  しかし、アケラオがその父ヘロデに代ってユダヤを治めていると聞いたので、そこへ行くことを恐れた。そして夢で啓示を受けたので、ガリラヤの地方に退き、
23 ナザレという町に行って住んだ。これは預言者たちによって、「彼はナザレ人と呼ばれるであろう」と言われたことが、成就するためである。


   *1  ヘロデ大王(エドム系、BC37−BC4没なので、2:16より イエスの誕生は少なくとも没年の2年前以前、BC5−6年頃となる)、 ベツレヘム=「パンの家」、ダビデの誕生の地、 マゴイ(賢者)=カルデヤ(メディア)の占星学者といわれる
   *4  キリスト=メシヤ、油注がれた者、王
   *6  ミカ5:2
   *11  乳香: 乳白色の色に由来、香、鎮痛・止血など、 没薬(ミルラ): 苦味、鎮痛・鎮静、埋葬・ミイラ作りの防腐剤
   *15  ホセア11:1
   *18  エレミヤ31:15
 バビロン捕囚の時、ラケルがいたら墓の中でこう嘆くだろう、という2重預言になっている (ラマはラケルの墓のある所 Tサムエル10:2)
   *23  この聖句は旧約聖書のどこにもない (ナザレのイエスの名によって、という用法はある)、  ナザレはヨセフとマリヤの故郷(ルカ1:26、2:4)



  第3章


 1 そのころ、バプテスマのヨハネが現れ、ユダヤの荒野で宣言して言った。
 2 「悔い改めよ。天の御国は近づいたからである。」
 3 預言者イザヤによって、「荒野で叫ぶ者の声がする、『主の道を整えよ。主の通られるすべての通り道をまっすぐに作れ。』」と言われたのは、この人のことである。
 4 このヨハネは、らくだの毛ごろもを着物にし、腰に皮の帯を締め、いなごと野蜜とを食物としていた。
 5 そして、エルサレムとユダヤ全土とヨルダン川の付近一帯の人々が、ぞくぞくとヨハネのところに出てきて、
 6 自分の罪を告白しながら、ヨルダン川でヨハネからバプテスマを受けた。

 7 ヨハネは、パリサイ人やサドカイ人が大ぜいバプテスマを受けようとしてきたのを見て、彼らに言った。 「まむしの子らよ。来たるべき神の怒りから、あなたがたは逃れられると、だれが啓示したのか。
 8 それなら、悔改めにふさわしい実を結びなさい。
 9 あなたがた自身の中で、自分たちの祖先にアブラハムがいると考えてはいけない。 あなたがたに言いますが、神はこれらの石ころからでも、アブラハムの子孫たちを起すことができます。
10 斧はすでに木の根もとに置かれています。だから、良い実を結ばない木はすべて切り倒され、火の中に投げ込まれるのです。
11 私は確かに悔改めのために、水であなたがたにバプテスマを授けています。しかし、私のあとから来る人は私よりも力のある方であり、私はその靴を脱がせる値うちもありません。この方は、聖霊と火とによってあなたがたにバプテスマをお授けになります。
12 また、箕を手に持って、打ち場の麦をふるい分け、麦は倉に納め、殻は消えない火で焼き尽くします。」

13 そのときイエスは、ガリラヤを出てヨルダン川のヨハネのところに来て、バプテスマを受けようとされた。
14 ところがヨハネは、それを思いとどまらせようとして言った。「私こそあなたからバプテスマを受けるはずですのに、あなたが私のところにおいでになるのですか。」
15 しかし、イエスは答えて言われた。「今は受けさせてもらいたい。このように、すべての義を成就するのは、われわれにとってふさわしいことです。」 そこでヨハネはイエスにバプテスマを授けた。
16 イエスはバプテスマを受けると、ただちに水から上がって来られた。すると、見よ。天が開け、神の御霊が、鳩のようにご自分の上に下ってくるのをご覧になった。
17 また天から声があって、言った。 「これはわたしの愛する息子。わたしは彼を大いに喜ぶ。」


   *3  イザヤ40:3
   *11  靴=サンダル



  第4章


 1 それから、イエスは御霊によって荒野に導かれ、悪魔の試みを受けられた。
 2 そして四十日四十夜、断食をし、その後 空腹になられた。
 3 すると試みる者が来て言った。 「もしあなたが神の子であるなら、これらの石がパンになるように命じなさい。」
 4 イエスは答えて言われた。 「『人はパンだけで生きるものではなく、神の口から出る一つ一つの ことばによる。』と書いてある」
 5 それから悪魔は、イエスを聖なる都に連れて行き、宮の頂上に立たせて、
 6 こう言った。「もしあなたが神の子であるなら、下へ飛びおりてごらんなさい。『神はあなたのために御使たちにお命じになると、あなたの足が石に打ちつけられないように、彼らはあなたを手でささえるであろう。』と書いてありますから。」
 7 イエスは彼に言われた。 「『あなたの神であるを試みてはならない。』とも書いてある。」
 8 さらに悪魔は、イエスを非常に高い山に連れて行き、この世のすべての国々とその栄華とを見せて、
 9 こう言った。「もしあなたが、ひれ伏してわたしを拝むなら、これらのものを皆あなたにあげましょう。」
10 するとイエスは彼に言われた。 「サタンよ、ここから出て行け。 『あなたの神であるを拝み、ただ主にのみ仕えよ。』と書いてある。」
11 そこで、悪魔はイエスを離れ去り、そして、御使いたちがみもとにきて仕えた。

12 さて、イエスはヨハネが捕えられたと聞いて、ガリラヤへ退かれた。
13 そしてナザレを去り、ゼブルンとナフタリとの地方にある湖の岸辺の町カペナウムに行って住まわれた。
14 これは預言者イザヤによって言われたことばが成就するためであった。
15 「ゼブルンの地、ナフタリの地、湖に沿う地方、ヨルダンの向こうの地、異邦人のガリラヤ。
16 暗黒の中に住んでいる民は偉大な光を見、死の地、死の陰に住んでいる人々に、光が上った。」
17 この時からイエスは教えを宣べ始められ、こう言われた。 「悔い改めよ。天の御国は近づいた。」

18 さて、イエスがガリラヤ湖の岸辺を歩いておられると、ふたりの兄弟、すなわち、ペテロと呼ばれるシモンとその兄弟アンデレとが、湖に網を打っているのをご覧になった。彼らは漁師であった。
19 イエスは彼らに言われた。 「わたしについて来なさい。あなたがたを、人間をとる漁師にしてあげよう。」
20 すると、彼らはただちに網を捨て、イエスについて行った。
21 そこから進んで行かれると、ほかのふたりの兄弟、すなわち、ゼベダイの子ヤコブとその兄弟ヨハネとが、父ゼベダイと一緒に、舟の中で網を繕っているのをごらんになった。そこで彼らをお呼びになると、
22 すぐに舟と父とをそのままにして、イエスに従って行った。
23 イエスはガリラヤ全土を巡り歩いて、各地の会堂で教えられ、御国の福音を宣べ伝え、民の中のあらゆる病気、あらゆるわずらいを いやされた。
24 そこで、その評判はシリヤ全土に広まり、人々が、あらゆる病にかかっている者、すなわち、いろいろな病気と苦しみに悩まされている者、悪霊につかれている者、てんかん、中風の者などをイエスのところに連れてきたので、これらの人々を皆 いやされた。
25 こうして、ガリラヤ、デカポリス、エルサレム、ユダヤ及びヨルダンの向こうから、多くの群衆が来て、イエスにつき従った。


   *4  申命記8:3
   *6  詩篇91:11、12
   *7  申命記6:16、 =ヤハウェ
   *10  申命記6:13

   *16  イザヤ9:1、2
   *23  (ユダヤ教の)会堂、シナゴーグ



  第5章


 1 イエスはこの群衆を見て、山に登って行かれ、座られると、弟子たちがみもとに近寄ってきた。
 2 そこで、イエスは口を開き、彼らに教えて言われた。

 3 「霊の貧しい者たちは、幸いです。 天の御国は彼らにすでにあるからです。
 4 悲しんでいる者たちは、幸いです。 彼らは慰められるからです。
 5 柔和な者たちは、幸いです。 彼らは割り当ての地を相続するからです。
 6 義に飢え、渇いている者たちは、幸いです。 彼らは満ち足りるからです。
 7 あわれみ深い者たちは、幸いです。 彼らはあわれみを受けるからです。
 8 心の純粋な者たちは、幸いです。 彼らは神を見るからです。
 9 平和を作る者たちは、幸いです。 彼らは神の子と呼ばれるからです。
10 義のために迫害されている者たちは、幸いです。 天の御国は彼らにすでにあるからです。
11 わたしのために、 人々があなたがたを侮辱したり、追い出したり、あなたがたに対抗して 偽りの言葉で あらゆることを悪く言うとき、あなたがたは幸いです。
12 喜びなさい、喜び踊りなさい、天においてあなたがたの受ける報いは大きいからです。 あなたがたより前に来た預言者たちも、同じように迫害されました。

13 あなたがたは、地の塩です。もし塩のききめがなくなったら、何によって塩気を付けるのでしょうか。もはや、なんの役にも立たず、ただ外に捨てられて、人々に踏みつけられるだけです。
14 あなたがたは、世界の光です。山の上にある町は隠れることができません。
15 また、明かりをつけて、それを枡の下に置く者はいません。むしろ燭台の上において、家の中のすべての物を照らすのです。
16 そのように、あなたがたの光を人々の前に輝かせ、人々があなたがたの良い行ないを見て、天におられるあなたがたの父をあがめるようにしなさい。
17 私が律法や預言者を廃止するためにきた、と思ってはいけません。廃止ではなく、成就するために来たのです。
18 よく言っておきます。天地が滅びるまでは、律法のヨッドケライアもすたれることはなく、ことごとく全うされます。
19 それだから、これらの最も小さい戒めの一つでも破り、またそうするように人に教える者は、天国で最も小さい者と呼ばれます。しかし、これを行ない、またそう教える者は、天国で大いなる者と呼ばれます。

20 わたしは言います。あなたがたの義が律法学者やパリサイ人の義にまさっていなければ、決して天の御国に入ることはできません。
21 昔の人々に、『殺すな。殺す者は裁判を受けねばならない』と言われていたことは、あなたがたの聞いているところです。
22 しかし、わたしはあなたがたに言います。兄弟に対して理由なしに怒る者は、だれでも裁判を受けなければなりません。兄弟に向かって能なしと言う者は、議会に引き渡されます。また、ばか者と言う者は、ゲヘナの火に投げ込まれます。
23 だから、祭壇に供え物をささげようとする場合、兄弟が自分に対して何か恨みをいだいていることを、そこで思い出したなら、
24 その供え物をまず祭壇の前に置いて、行ってその兄弟と和解し、それから帰ってきて供え物をささげるようにしなさい。
25 あなたを訴える者と一緒に道を行く時には、その途中で早く和解をしなさい。そうしないと、その訴える者はあなたを裁判官に渡し、裁判官は下役に渡し、そして、あなたは獄に入れられます。
26 よくあなたに言っておきます。最後の一コドラントを支払ってしまうまでは、決してそこから出てくることはできません。

27 『姦淫するな』と言われていたことは、あなたがたの聞いているところです。
28 しかし、わたしはあなたがたに言います。だれでも、情欲をいだいて女を見る者は、心の中ですでに姦淫をしたのです。
29 もしあなたの右の目が罪を犯させるなら、それを抜き出して捨てなさい。体の一部を失っても、全身が地獄に投げ入れられない方が良いからです。
30 もしあなたの右の手が罪を犯させるなら、それを切って捨てなさい。体の一部を失っても、全身が地獄に落ち込まない方が良いからです。
31 また、『妻を出す者は離縁状を渡せ』と言われています。
32 しかし、わたしはあなたがたに言います。だれでも、不貞以外の理由で妻を出す者は、姦淫を行わせるのです。また出された女をめとる者も、姦淫を行うのです。

33 また昔の人々に『いつわり誓うな、誓ったことは、すべて主に対して果せ』と言われていたことは、あなたがたの聞いているところである。
34 しかし、わたしはあなたがたに言います。いっさい誓ってはいけません。 天をさして誓ってはいけません。そこは神の御座だからです。
35 また地をさして誓ってもいけません。そこは神の足台だからです。 またエルサレムをさして誓ってもいけません。それは『偉大な王の都』だからです。
36 また、自分の頭をさして誓ってはいけません。あなたは髪の毛一すじさえ、白くも黒くもすることができないからです。
37 あなたがたの言葉は、ただ、はい は はい、いいえ は いいえ、であるべきです。それ以上に出ることは、悪から来るのです。

38 『目には目を、歯には歯を』と言われていたことは、あなたがたの聞いているところです。
39 しかし、わたしはあなたがたに言います。悪人に手向かってはいけません。もし、だれかがあなたの右の頬を打つなら、ほかの頬をも向けてやりなさい。
40 あなたを訴えて、下着を取ろうとする者には、上着をも与えなさい。
41 もし、だれかが、あなたをしいて一ミリオン行かせようとするなら、その人と共に二ミリオン行きなさい。
42 求める者には与え、借りようとする者には断らないようにしなさい。
43  『隣り人を愛し、敵を憎め』と言われていたことは、あなたがたの聞いているところです。
44 しかし わたしはあなたがたに言います。 あなたの敵を愛しなさいあなたを のろう者を祝福しなさい。 あなたを憎む者に 良くしてやりなさい。 あなたを意地悪く利用し、また 迫害する者たちのために 祈りなさい
45 こうして、天におられるあなたがたの父の子となるのです。 なぜなら、天の父は、悪い者の上にも良い者の上にも、太陽を上らせ、正しい者にも正しくない者にも、雨を降らせて下さるからです。
46 あなたがたが自分を愛する者を愛したからとて、どれほどの報いがあるでしょうか。そのようなことは取税人でもしています。
47 兄弟だけにあいさつをしたからといって、なんの優れた事をしているでしょうか。そのようなことは取税人でもしているではありませんか。
48 それだから、あなたがたの天の父が完全であるように、あなたがたも完全な者となりなさい。


   *1  マタイ5章〜7章は山上の垂訓(山上の説教)と呼ばれる  cf. ルカ6章17〜49 地上説教
   *3  霊が貧しい者=へりくだった者、 マカリオス(ギ): 幸い、うらやむべき、  エスティン(ギ)= there isis
   *8  純粋(
pure、unmixed) = (ワインなど)水で薄まっていない、混ぜ物がない
   *12  rejoice、and be exceeding glad
   *18  ヨッド(一番小さいヘブライ文字の jot; y、i の発音)、 ケライア(ギ)(ヘブライ文字の小突起、かぎ型の部分)
   *20  律法学者: 律法の教師、 パリサイ人: 分離された者・律法を形式的に守るユダヤ教派
   *21  出エジ20:13、申命記5:17
   *22  能なし(RAKA(ギ)、empty(ヘ)) 、 ばか者(モーレ(ギ)) = ”信仰を失った者”、”神に逆らう者”(エレ5:23、詩78:8)の意、 ゲヘナ=最終的な地獄、火と硫黄の池(マコ9:43、黙20:10)
   *25、26  (狭い町なので)原告と被告が共に裁判所へ行く場合も多い、 コドラント=ローマの最小の通貨=ギリシャの最小通貨 レプタの2個分 = 1/64デナリ、 一度有罪になると 全額支払うまで獄に入れられる(その場で全額払うとこの限りではない。)
   *31  申命記24:1、3
   *33  レビ19:12、民数記30:2、申命記23:21
   *38  出エジ21:24、レビ24:20、申命記19:21
   *41  1ミリオン = 約1500メートル
   *43  レビ19:18
   *47  publican 取税人、収税吏; マタイ(旧名 レビ)は取税人だった



  第6章


 1 あなたの施しが、人々に見られるために彼らの前で行わないように、注意しなさい。さもないと、天におられるあなたがたの父から報いを受け取ることができません。
 2 だから、施しをする時には、偽善者たちが人にほめられるために 会堂や町の中でするように、自分の前でラッパを吹き鳴らさないようにしなさい。よく言っておきますが、彼らはその報いを受けてしまっています。
 3 あなたは施しをする場合、右手のしていることを左手に知られないようにしなさい。
 4 それは、あなたのする施しが隠れているためです。 そうすれば、隠れた所で見ておられるあなたの父が、明らかな所で あなたに与えてくださいます。
 5 また祈る時には、偽善者たちのようにしてはいけません。彼らは人に見せようと、会堂や大通りの四つ角に立って祈ることを好むからです。よく言っておきますが、彼らはその報いを受けてしまっています。
 6 あなたは 祈るときはいつでも 自分の小部屋に入り、戸に鍵をかけて、隠れたところにおられるあなたの父に祈りなさい。 そうすれば、隠れた所で見ておられるあなたの父が、明らかな所で 与えてくださいます。
 7 また、祈る場合、他国人のように、同じ言葉で何度も繰り返し祈らないようにしなさい。彼らは言葉かずが多ければ、聞かれるものと思っているからです。
 8 だから、彼らのようであってはいけません。あなたがたの父なる神は、求める前から、あなたがたに必要なものはご存じだからです。

 9 それゆえ、あなたがたはこう祈りなさい。  天にいますわれらの父よ、御名があがめられますように
10 御国が来ますように。 みこころが天に行われるとおり、地にも行われますように。
11 わたしたちの日ごとの食物を、今日もお与えください。
12 私たちに負債のある者を赦しましたように、私たちの負債をもおゆるしください。
13 私たちを試みに会わせないで、悪しき者からお救いください。 御国と 力と 栄光とが とこしえまでもありますように。アーメン。

14 もし、あなたがたが、人々の罪を赦すならば、あなたがたの天の父も、あなたがたを赦して下さいます。
15 しかし、もし人々の罪を赦さないならば、あなたがたの父も、あなたがたの罪を赦して下さいません。
16 また断食をする時には、偽善者たちがするように、陰気な顔つきをしてはいけない。彼らは断食をしていることを人に見せようとして、自分の顔を見苦しくするのです。よく言っておきますが、彼らはその報いを受けてしまっています。
17 あなたがたは断食をする時には、自分の頭に油を塗り、顔を洗いなさい。
18 それは断食をしていることが人に知れないで、隠れた所におられるあなたの父に知られるためです。そうすれば、隠れた所で見ておられるあなたの父は、明らかな所であなたに報いて下さいます。
19 あなたがたは自分のために、虫が食い、さびが覆い、また、盗人らが穴をあけて盗み出すような地上には、宝をたくわえてはいけません。
20 あなたがたの自分の宝は、天にたくわえなさい。そこでは、虫も食わず、さびもつかず、また、盗人らが穴をあけて盗み出すこともありません。
21 あなたの宝のある所には、あなたがたの心もあるからです。

22 体の明かりは目です。だから、あなたの目が健全であれば、全身も明るいでしょう。
23 しかし、あなたの目が邪悪になっていれば、全身も暗いでしょう。だから、もしあなたの内なる光が暗ければ、その暗さはどんなでしょう。
24 だれも、ふたりの主人に仕えることはできません。一方を憎んで他方を愛し、あるいは、一方を愛し他方を憎むからです。あなたがたは、神に仕え、同時にマモンに仕えることはできません。

25 それゆえ、あなたがたに言います。 何を食べようか、何を飲もうかと、自分の いのちのことで思い煩わず、また 何を着ようかと自分の体のことで思い煩ってはいけません。 いのちは食物にまさり、体は着物にまさるではありませんか。
26 空の鳥を見なさい。 種をまくことも、刈リ取ることもせず、倉に集めることもしません。 けれども、あなたがたの天の父は彼らを養っていて下さいます。 あなたがたは彼らよりも、はるかに優れた者ではありませんか。
27 あなたがたのうち、だれが思い煩ったからといって、自分の身長を一ペーキュスでも延ばすことができるでしょうか。
28 また、なぜ着物のことで思い煩うのですか。 野の花がどうして育っているか、考えてみなさい。労働もせず、紡ぎもしません。
29 しかし、あなたがたに言いますが、栄華をきわめた時のソロモンでさえ、これらの花の一つほどにも着飾ってはいませんでした。
30 今日は生えていて、あすは炉に投げ入れられる野の草でさえ、神はこのように装って下さるのなら、あなたがたに、それ以上良くしてくださらないはずがあるでしょうか。ああ、信仰の無きに等しい者たちよ。
31 だから、何を食べようか、何を飲もうか、あるいは何を着ようかと言って思い煩うのをやめなさい。
32 これらのものはみな、国々の民が切に求めているものです。あなたがたの天の父は、これらのものが、ことごとくあなたがたに必要であることをご存じです。
33 しかし、あなたは まず第一に、 神の御国と神の義とを 探し求め続けなさい。 そうすれば、これらのすべてのものは 与えられ続けます
34 だから、明日のことの思い煩いは無用です。明日のことは、明日自身が心配します。一日の苦労は、その日一日だけで十分です。


   *2  会堂 = シナゴーグ
   *9  主の祈り;  御名があがめられますように = Hallowed be thy name、御名が聖なるものとしてあがめられるように
   *10  御国 = あなたの王国、Thy kingdom、 あなたの みこころ = Thy will
   *12  負債 = 負い目、罪
   *13  悪しき者、
wicked one (単数) (抽象的な悪ではなく)サタンの事
   *22  eye(単)、 ハプロウス(ギ)、澄んで、健全で、二心でない
   *23  目が悪い = けち、物惜しみする、物欲に支配されていること、 申命記15:9(物惜しみして=(直訳)目が邪悪になって)、箴言23:6

   *24  (「同時に」 は挿入、)  マモン = mammon = 富、(人が他の人に)”委任”(原義)した富
   *25  いのち、たましい、 プシュケー(ギ) = life、soul
   *26  鳥、(直訳は)空を飛ぶ被造物
   *27  1ペーキュス(≒キュビト) = 45センチ、(1キュビトは 43−53センチ)
   *28  花、(直訳は)アネモネ(地中海原産)、あるいは ユリ

   *30  ye of little faith、信仰がほとんどない者たち
   *31  アフトウ(ギ)、of Him、彼(神)の
   *32  nations、国々、国々の民
   *34  明日 = 未来 であり、次の日は そのまた明日に心配すれば良く、”明日”は常に未来のことになり、いつまでも 明日のための心配は不要になる



  第7章


 1 人をさばいてはいけません。自分がさばかれないためです。
 2 それは、あなたがたがさばくそのさばきで、自分もさばかれ、あなたがたの量るそのはかりで、自分にも量り返されるからです。
 3 なぜ、兄弟の目にあるちりを見ながら、自分の目にある梁を認めないのですか。
 4 自分の目には梁があるのに、どうして兄弟に向かって、あなたの目からちりを取らせてください、と言えるでしょうか。
 5 偽善者よ、まず自分の目から梁を取り除きなさい。そうすれば、はっきり見えるようになって、兄弟の目からちりを取り除くことができるでしょう。
 6 聖なるものを犬どもにやってはいけない。また真珠を豚どもの前に投げてはいけない。おそらく彼らはそれらを足で踏みつけ、向き直ってあなたがたにかみついてくるでしょう。

 7 求めなさい。そうすれば、与えられます。 捜しなさい。そうすれば、見い出します。 門をたたきなさい。そうすれば、開かれます。
 8 なぜなら、すべて求める者は得、捜す者は見いだし、門をたたく者は開けてもらえるからです。
 9 あなたがたのうちで、自分の息子がパンを求めるのに、石を与える者があるでしょうか。
10 魚を求めるのに、へびを与える者があるでしょうか。
11 このように、もし、あなたがたが悪い者であっても、自分の子供に良い贈り物を与えることを知っているならば、天におられるあなたがたの父は、なおさら、求めてくる者に良いものを下さらないことがあるでしょうか。
12 だから、何事でも人々から してほしいと望むことは、人々にもそのとおりにしなさい。 これが律法であり預言者だからです。

13 狭い門から入りなさい。 滅びにいたる門は大きく、その道は広い。そして、そこからはいって行く者が多い。
14 いのちに至る門は狭く、その道は細い。そして、それを見いだす者は非常に少ない。
15 にせ預言者を警戒しなさい。彼らは、羊の衣を着てあなたがたのところに来ますが、その内側は強欲なおおかみです。
16 あなたがたは、その実によって彼らを見分けることができます。いばらから ぶどうを、あざみから いちじくを集める者がいるでしょうか。
17 そのように、すべて良い木は良い実を結び、悪い木は悪い実を結びます。
18 良い木が悪い実をならせることはないし、悪い木が良い実をならせることはできません。
19 良い実を結ばない木はことごとく切られて、火の中に投げ込まれます。
20 このように、あなたがたはその実によって彼らを見わけるのです。
21 わたしに向かって、『主よ、主よ』と言う者がすべて天国にはいるのではなく、ただ、天におられるわが父の みこころを行う者だけが入るのです。
22 その日には、多くの者が、わたしに向かって、『主よ、主よ、わたしたちはあなたの名によって預言し、あなたの名によって悪霊を追い出し、あなたの名によって多くの力あるわざを行ったではありませんか。』と言うでしょう。
23 そのとき、わたしは彼らにはっきり、こう言うます。『わたしはあなたがたを全く知らない。不法を働く者どもよ、わたしから離れ去れ。』

24 それゆえ、わたしのこれらの言葉を聞いて行う者を、岩の上に自分の家を建てた賢い人に比べることができます。
25 雨が降り、洪水が押し寄せ、風が吹いてその家に打ちつけても、倒れませんでした。それは、岩を土台としているからです。
26 また、わたしのこれらの言葉を聞いても行わない者は、砂の上に自分の家を建てた愚かな人に比べることができます。
27 雨が降り、洪水が押し寄せ、風が吹いてその家に打ちつけると、倒れてしまいました。それはひどい倒れ方でした。」
28 イエスがこれらの言葉を語り終えられると、群衆はその教えにひどく驚いた。
29 それは律法学者たちのようにではなく、権威ある者として、教えられたからである。


    *1  judge
    *2  measure
    *12  黄金律(ゴールデン・ルール)、 これが 律法と預言者the law and the prophets)=旧約聖書 における集約となる。=マタイ22:40、 父なる神は 求める者に与えてくださるので、この父性愛にならって、対人関係についても 積極的に 自分にしてほしいことをしなさい、という意味 (してほしくないことをするな、という消極的な態度と異なる)
    *13  狭い門(を通る者); イエス・キリストが「門」であり、「道」 (ヨハネ10:9、14:6) から キリストご自身が 「狭き門」、キリストの十字架を通って救われた者 の意
    *14  いのち、 ゾエ(ギ) = 終わりのないいのち、永遠のいのち (ヨハネ1:4、14:6)
    *22  13節より、十字架を通って救われていない者たちが、不法に御名の権威を行使すること。特に、聖霊の臨在の強いリバイバルの時に出現する、  出エジ20:7



  第8章


 1 イエスが山を降りられると、おびただしい数の群衆がついてきた。
 2 そのとき、ひとりのらい病人がイエスのところにきて、ひざまづいて礼拝して言った。「主よ、あなたの みこころ一つで、私をきよめることが おできになります。」
 3 イエスは手を伸ばして、彼に触れ、「わたしはこうする、きよめられよ。」と言われた。すると、らい病人は直ちにきよめられた。
 4 イエスは彼に言われた。「だれにも話さないように、注意しなさい。ただ行って、自分の体を祭司に見せ、それから、モーセが命じた供え物をささげて、人々にあかししなさい。」

 5 さて、イエスがカペナウムに帰ってこられたとき、ある百卒長がみもとにきて訴えて言った。
 6 「主よ、私のしもべが中風でひどく苦しんで、家に寝ています。」
 7 イエスは彼に、「わたしが行ってなおしてあげよう」と言われた。
 8 そこで百卒長は答えて言った。「主よ、私の屋根の下にあなたをお入れする資格は、私にはございません。ただ、お言葉を下さい。そうすればしもべはなおります。
 9 私も権威の下にある者ですが、私の下にも兵卒がいまして、ひとりの者に『行け。』と言えば行き、ほかの者に『来い。』と言えばきますし、また、しもべに『これをせよ。』と言えば、してくれるのです。」
10 イエスはこれを聞いて非常に感心され、ついてきた人々に言われた。「まことに、言います。イスラエルの中にも、これほど偉大な信仰を見たことがありません。
11 なお、あなたがたに言いますが、多くの人が東から西から来て、天の御国で、アブラハム、イサク、ヤコブと共に宴会の席につきますが、
12 この国の子らは外のやみに追い出され、そこで嘆き悲しみ、歯ぎしりをするでしょう。」
13 それからイエスは百卒長に、「行きなさい。あなたの信じたとおりに、あなたになるように。」と言われた。すると、ちょうどその時に、しもべはいやされた。

14 それから、イエスはペテロの家に入って行かれ、そのしゅうとめが熱病で、床についているのをご覧になった。
15 そこで、その手にさわられると、熱が去っていった。そして彼女は起き上って彼らに給仕した。

16 夕暮になると、人々は悪霊につかれた者を大ぜい、みもとに連れてきたので、イエスはみ言葉をもって霊どもを追い出し、病人をことごとくおいやしになった。
17 これは、預言者イザヤによって「彼は、わたしたちのわずらいを身に引き受け、わたしたちの病を背負った。」と言われた言葉が成就するためである。

18 イエスは、群衆が自分のまわりに群がっているのを見て、向こう岸に行くようにと弟子たちにお命じになった。
19 するとひとりの律法学者が近づいてきて言った、「先生、あなたがおいでになる所なら、どこへでも従ってまいります。」
20 イエスはその人に言われた。「きつねには穴があり、空の鳥には巣があります。しかし、人の子には まくらする所がありません。」
21 また別の弟子のひとりが言った。「主よ。まず行って、私の父を葬ることをお許し下さい。」
22 イエスは彼に言われた。「わたしに従ってきなさい。そして、死人らを葬ることは、死人らに任せておきなさい。」

23 それから、イエスが舟に乗り込まれると、弟子たちも従った。
24 すると見よ。湖の上に激しい暴風が起って、舟は波にのまれそうになった。ところが、イエスは眠っておられた。
25 そこで弟子たちはみそばに寄ってきてイエスを起し、「主よ、お助けください、私たちは死にそうです。」と言った。
26 するとイエスは彼らに言われた。「なぜ臆病なのか。信仰の無きに等しいたちよ。」 それから起き上がって、風と湖とをおしかりになると、大なぎになった。
27 彼らは驚いて言った。「この方はどういう人なのだろう。風も湖も従わせるとは。」

28 それから、向こう岸、ギルガシ人の地に着かれると、悪霊につかれたふたりの者が、墓場から出てきてイエスに出会った。彼らはひどく狂暴な者たちで、だれもその辺の道を通ることができないほどであった。
29 すると突然、彼らは叫んで言った。「イエス、神の子よ。 あなたはわれわれとなんの係わりがあるのですか。まだ われわれを苦しめる時が来ていないのに、ここに来られたのですか。」
30 さて、そこからはるか離れた所に、おびただしい豚の群れが飼ってあった。
31 悪霊どもはイエスに願って言った。「もしわれわれを追い出されるのなら、あの豚の群れの中に行くようにして下さい。」
32 そこで、イエスが「行け。」と言われると、彼らは出て行って、豚の中へ入り込んだ。すると、その群れ全体が、絶壁から湖へ、なだれ込んで駆け下り、水の中で死んでしまった。
33 飼う者たちは逃げて町に行き、悪霊につかれた者たちのことなど、いっさいを知らせた。
34 すると、町中の者がイエスに会いに出てきた。そして、イエスに会うと、この地方から去ってくださるようにと懇願した。


   *3  セロー カサリスセーティ(ギ) I will, be cleansed、わたしはこうする、きよめられよ
   *4  レビ13:49、14:2− らい病人に触ることはユダヤ人には忌み嫌われていたが、イエスはあえてそうなされた。マルコ1:41 では 「深くあわれみ」を付け加えている
   *5  百人隊長 = ローマ軍の6000人の軍団を、60分割して、各100人の部隊の隊長。 隊員にはサマリヤ人や異邦人を多く含む。 カペナウムではヘロデ・アンティパスによって雇われていた。 この異邦人の信仰に比べ、カペナウムは後に不信仰を叱責されている。 聖書の百卒長たちは良心的な人たちが多い(マタイ27:54、使徒10:1−48、使徒22:25、26、使徒23:17、23、使徒27:43)

   *6  しもべ=(直訳)少年、 息子のように愛していた部下、 並行個所の ルカ7:2 では「病気で死にかけていた」
   *10  まことに = アーメン(ギ)、verily
   *13  As you have believed, become it to done unto you.、 しもべ = 少年
   *16  この日は安息日だったので、人々は土曜の日没まで待って いっせいに患者を動かした、 しゅうとめのいやしは 安息日の会堂での礼拝の後(マルコ1:29−31、ルカ4:38、39)
   *17  イザヤ53:4 わずらい = 肉体的な病、  ラムバノー(ギ): 身に引き受け、 バスタゾー(ギ): 背負った、 どちらも 重荷を負う、取り去る の意
   *19  先生(ディダスカロス(ギ)) = ラビ(ヘ)の事
   *20  まくらする = 頭を休める、head be reclining
   *24  大暴風、 ガリラヤ湖は周囲が山に囲まれ、海抜マイナス213メートルのすり鉢状で、夕方から夜には急速に冷えた山上の空気が 湖面に向かって激しく吹き下ろす現象
   *26  デロス(ギ) timid、fearful 臆病 (= 黙示21:8、マルコ4:40)、  オリゴ ピストス(ギ) little faith、trusting too little
   *28  ギルガシ人の地; ガリラヤ湖の東岸の地(カナン系の聖絶の民、創世記10:15−18) ≒ マルコ5:1、ルカ8:26 ではガダラ人の地、 この二人のうちの一人は マルコ、ルカの「レギオン」といわれる
   *29  悪霊は、イエスに絶対的権威があることを、および、滅ぼされる時が来ること、をよく知っている
   *32  (直訳) 海(サラッセアン(ギ)) = ガリラヤ湖 のこと



  第9章


 1 さて、イエスは舟に乗って湖を渡り、自分の町に帰られた。
 2 そして、見よ、人々が中風の者を床の上に寝かせたままでみもとに運んできた。イエスは彼らの信仰を見て、中風の者に、「子よ、元気を出しなさい。あなたの罪は、今赦されました。」と言われた。
 3 すると、見よ、ある律法学者たちが心の中で言った。「この人は神を冒涜している。」
 4 イエスは彼らの考えを見抜いて、こう言われた。「なぜ、あなたがたは心の中で悪いことを考えているのか。
 5 あなたの罪はゆるされている、と言うのと、起きて歩け、と言うのと、どちらがたやすいか。
 6 人の子が地上で罪をゆるす権威をもっていることを、あなたがたが知るために。」 そして中風の者に向かって、「起きなさい。床を取りあげて家に帰りなさい。」と言われた。
 7 すると彼は起き上がり、家に帰って行った。
 8 群衆はそれを見て恐れ、このような大きな権威を人類にお与えになった神をあがめた。

 9 さてイエスはそこから進んで行かれ、マタイという人が収税所に座っているのを見て、「わたしに従ってきなさい。」と言われた。すると彼は立ち上がって、イエスに従った
10 それから、イエスが家で食事の席についておられた時のことである。見よ、多くの取税人や罪人たちがきて、イエスや弟子たちと共にその席に着いていた。
11 パリサイ人たちはこれを見て、弟子たちに言った。「なぜ、あなたがたの先生は、取税人や罪人などと食事を共にするのか。」
12 イエスはこれを聞いて言われた。「丈夫な人には医者は要りません。必要なのは病を持っている人です。
13 『わたしが好むのは、あわれみであって、いけにえではない。』とはどういう意味か、学んできなさい。わたしが来たのは、正しい人たちではなく、罪人たちを悔い改めに招くためです。」

14 そのとき、ヨハネの弟子たちがイエスのところに来て言った。「私たちとパリサイ人たちとが よく断食をするのに、あなたの弟子たちは、なぜ断食をしないのですか。」
15 するとイエスは言われた。「婚礼の式典の子たちは、花婿が一緒にいる間は、悲しんでいるでしょうか。しかし、花婿が奪い去られる日が来ます。その時には断食をします。
16 だれも、真新しい布きれで、古い着物につぎを当てはしません。そのつぎきれは着物を引き破り、そして破れがもっとひどくなるからです。
17 だれも、新しいぶどう酒を古い皮袋に入れません。もしそんなことをしたら、その皮袋は張り裂け、酒は流れ出るし、皮袋もむだになります。 だから、新しいぶどう酒は新しい皮袋に入れるべきです。そうすれば両方とも長持ちします。」

18 これらのことを彼らに話しておられると、見よ、そこにひとりの会堂管理人がきて、イエスを礼拝して言った。「私の娘がたった今死にました。しかし来てくださって、あなたの手をその上に置いてやって下さい。そうすれば、彼女は生き返るでしょう。」
19 そこで、イエスが立ち上がり彼について行かれると、弟子たちも一緒に行った。
20 するとそのとき、十二年間も長血をわずらっている女が後ろから近寄ってきて、イエスの衣のふさにさわった。
21 それは、衣に たださわるだけで、私は救われる、と彼女が彼女自身の中で言い続けていたからである。
22 イエスは振り向いて、この女を見て言われた。「娘よ、しっかりしなさい。あなたの信仰があなたを救ったのです。」 するとこの女はその時から、いやされた。

23 それからイエスは管理人の家に着き、笛吹きたちや騒いでいる群衆を見て言われた。
24 「皆この家から出なさい。少女は死んだのではない。眠っているだけです。」 すると彼らはイエスをあざ笑った。
25 しかし、人々を外へ出した後、イエスは中へ入って、少女の手をお取りになると、少女は起き上がった。
26 そして、そのうわさがこの地方全体に広まった。

27 そこから進んで行かれると、ふたりの盲人が叫びながらついて来て、言った。「ダビデの子よ、私たちをあわれんで下さい。」
28 そしてイエスが家にはいられると、盲人たちがみもとにきたので、彼らに、「わたしにそれができると信じるか。」と言われた。彼らは言った。「はい。主よ。」
29 そこで、イエスは彼らの目にさわって言われた。「あなたがたの信仰のとおりに、あなたがたに それがなるように。」
30 すると彼らの目が開かれた。イエスは彼らをきびしく戒めて言われた。「だれにも知れないように気をつけなさい。」
31 しかし、彼らは出て行って、その地方全体にイエスのことを言い広めた。

32 彼らが出て行くと、見よ、人々は悪霊につかれて口のきけない、おしの人をイエスのところに連れてきた。
33 すると、悪霊は追い出されて、おしが話をするようになった。群衆は驚いて、「このようなことは、イスラエルの中で一度も見たことがない。」と言った。
34 しかし、パリサイ人たちは言った。「彼は、悪霊どものかしらによって悪霊どもを追い出しているのだ。」
35 イエスは、すべての町々村々を巡り歩いて、先々の会堂で教え、御国の福音を宣べ伝え、あらゆる病気、あらゆる病弱を治された。
36 また群衆が飼う者のない羊のように弱り果てて、放り出されているのをご覧になって、彼らを深くあわれまれた。
37 そして弟子たちに言われた、「収穫は多いが、働き手が非常に少ない。
38 だから、収穫の主に願って、その収穫のために働き手をぜひとも送ってくださるように祈りなさい。」


   *1  自分の町 = カペナウム(マタイ4:13)
   *2  今 は補足、 (瞬間的に、今この場で)赦された → イエスに罪を赦す権威があることを示す
   *5  (ただちに)起き上がり、(継続的に)歩け、  奇跡の方が難しい → イエスが 人の罪を赦す権威を持つ 神であることを、奇跡の力によって証明された
   *8  アンスローポイ(複数) = 人類

   *9  マタイ(主の賜物 の意)、元の名は レビ(マルコ2:14、ルカ5:27)、 マタイの献身は ヘロデの収税所に二度と戻れないので、ペテロ(漁師に戻ることもできた)などよりも思い切ったものだった
   *10  マタイの家(ルカ5:29)で取税人や罪人たちも招いて、皆に献身の決意表明も兼ねて 大振る舞いした
   *13  ホセア6:6; ヘセド(ヘ)=(誠実△)、 あわれみ、親切、慈愛
   *16  晒していない布切れは水に入れると縮む
   *17  発酵途中の新しいぶどう酒は、発生するガスのため 古くて硬くなった皮を張り裂く。 新しいぶどう酒は 柔軟性のある 新しい革袋へ
   *18  ヤイロ (マルコ5:22、ルカ8:41)
   *20  ふさ、フリンジ、着物の四隅に付ける青い紐(民15:38−40、申22:12)、 並行個所のマルコ5:42より、長血になったのはヤイロの娘が生まれたのと同じ12年前
   *21  エレゲン(ギ、未完了過去) was saying、言い続けていた
   *23  ユダヤの葬儀では 貧しい家でも 最低2人の笛吹と1人の泣き女を用意した
   *30 (十字架が成就するために、)今はその時ではない、という意味
   *38  送り出す、 エクバロー(ギ) = 投げ出す、という強い意味



  第10章


 1 そこで、イエスは十二弟子を呼び寄せて、汚れた霊を追い出し、あらゆる病気、あらゆる病弱をいやす権威をお授けになった。
 2 十二使徒の名は、次のとおりである。 まずペテロと呼ばれるシモンとその兄弟アンデレ、それからゼベダイの子ヤコブとその兄弟ヨハネ、
 3 ピリポとバルトロマイ、トマスと取税人マタイ、アルパヨの子ヤコブとタダイ、
 4 熱心党のシモンとイスカリオテのユダ。このユダはイエスを裏切った者である。

 5 イエスはこの十二人を遣わすに当り、彼らに命じて言われた。「異邦人の道に行ってはならない。またサマリヤ人の町に入ってはいけない。
 6 むしろ、イスラエルの家の失われた羊のところに行きなさい。
 7 行って、『天の御国が近づいた』と言って、宣べ伝えなさい。
 8 病人をいやし、らい病人をきよめ、死人をよみがえらせ、悪霊を追い出しなさい。ただで受けたのだから、ただで与えなさい。
 9 腰帯の中に金、銀、銅貨を入れてはいけない。
10 旅行のための袋も、二枚の下着も、くつも、杖も持ってはいけない。なぜなら、働き人は当然、食物をもらうに価するからです。
11 どの町、どの村に入っても、その中でだれがふさわしい人かを尋ねて、立ち去るまではその人のところにとどまっていなさい。
12 その家に入ったなら、平安のあいさつの祈りをしなさい。
13 もし平安を受けるにふさわしい家であれば、あなたがたの祈る平安はその家に来ます。もしふさわしくなければ、その平安はあなたがたに帰って来ます。
14 もしあなたがたを受け入れもせず、またあなたがたの言葉を聞きもしない人があれば、その家や町を去る時に、足のちりを払い落しなさい。
15 まことに、あなたがたに言います。さばきの日には、ソドム、ゴモラの地の方が、その町よりは罰が軽い

16 わたしがあなたがたを遣わすのは、羊をおおかみの中に送るようなものです。だから、へびのように用心深く、鳩のように素直でありなさい。
17 人々に注意しなさい。彼らはあなたがたを議会に引き渡し、会堂でむち打つでしょう。
18 またあなたがたは、わたしのために長官たちや王たちの前に引き出されるでしょう。それは、彼らと異邦人とに対してあかしをするためです。
19 しかし、彼らがあなたがたを引き渡したとき、どのように、また何を 話そうかと心配することはありません。あなたがたが語るべきことは、その時に与えられるからです。
20 語るのは、あなたがたではなく、あなたがたの中にあって語る あなたがたの父の霊です。
21 兄弟は兄弟を、父は子を殺すために渡し、また子供らは親たちに逆らって立ち上がり、彼らを殺します。
22 またあなたがたは、わたしの名のゆえにすべての人に憎まれます。しかし、最後まで踏みとどまる者は救われます。
23 一つの町で迫害されたなら、他の町へ逃げなさい。まことに、あなたがたに言います。人の子が来るその時まで、あなたがたはイスラエルの町々を巡り尽くすことはできません

24 弟子はその師以上のものではなく、しもべはその主人以上の者ではありません。
25 弟子がその師のようであり、しもべがその主人のようであれば、それで十分です。もし家の主人がベルゼブルと言われるならば、その家の者たちはなおさら、どんなに悪く言われることでしょう。
26 その時、彼らを恐れてはいけません。 なぜなら、覆われたもので、現れてこないものはなく、隠れているもので、知られてこないものはないからです。
27 わたしが暗やみであなたがたに話すことを、明るみで言いなさい。耳にささやかれたことを、屋上で言い広めなさい。
28 また、からだを殺しても、たましいを殺すことのできない者どもを恐れてはいけない。むしろ、からだも たましいもゲヘナで滅ぼすことができる方を恐れなさい。
29 二羽のすずめは一アサリオンで売られているでしょう。しかし、あなたがたの父の許しなしに、その一羽も地に落ちることはありません。
30 またあなたがたの頭の毛までも、みな数えられています。
31 それゆえ、恐れることはありません。多くのすずめでも、あなたがたの一人ほどの価値のないものです。
32 そして、人々の前でわたしを受け入れる者を、わたしもまた、天におられる わたしの父の前で受け入れます。
33 しかし、人々の前でわたしを拒む者は、わたしも天におられるわたしの父の前でその人を拒むでしょう。

34 地上に平和を投げ込むために、わたしが来たと思ってはいけません。平和ではなく、剣(つるぎ)投げ込むために来たのです。
35 わたしが来たのは、人をその父と、娘をその母と、嫁をそのしゅうとめと、分裂させるためです。
36 そしてその人の敵は、その家の者たちとなるでしょう。
37 わたしよりも父または母を愛する者は、わたしにふさわしくありません。わたしよりも息子や娘を愛する者は、わたしにふさわしくありません。
38 また自分の十字架をとってわたしに従ってこない者はわたしにふさわしくありません。
39 人間的な思い見出す者は それが壊され、 わたしのために肉の思いを破壊する者は、神のいのち見出します
40 あなたがたを受け入れる者は、わたしを受け入れるのです。わたしを受け入れる者は、わたしをお遣わしになった方を受け入れるのです。
41 預言者の名のゆえに預言者を受け入れる者は、預言者の報いを受け、義人の名のゆえに義人を受け入れる者は、義人の報いを受けます。
42 わたしの弟子の名のゆえに、この小さい者たちのひとりに ほんの冷たい水一杯でも飲ませる者は、まことに あなたがたに言いますが、決してその報いを失うことはありません。」


   *2  使徒; アポストロス(ギ)、イエス・キリストの大使として、職権を委ねられて 世に遣わされた者。 2人ずつペアになっているのは マルコ6:7の「二人ずつ」と同じペアといわれる。 (元取税人のレビこと マタイと、国粋主義者の熱心党員シモンは犬猿の仲なので、このペアから外されている)、 後に裏切ったイスカリオテ・ユダも 他の使徒たちと組んで同じ権威を与えられ、しばらく一緒に行使していた。 (後に くじ引きで、彼の代わりに12番目は マッテヤになったが、むしろ、パウロではないかといわれる)
   *6  12使徒は当初は イスラエルの民に宣教することになった。 世が改まった後に、「聖なる都」の「12の土台石」(黙21:14)となって、イスラエル12部族をさばくことになる(マタイ19:28、ルカ22:30)
   *8  「死人のよみがえり」(raise(眠りから覚ます、よみがえらせる) the dead)の権限も与えられている
   *10  マルコ6:8、9 では 杖一本を持ち、靴は履くよう言われているので、ここでは新しいものは不要 と言っている
   *11  メノウ(ギ) = とどまって、  滞在(ヨハ2:12 等)、留まる、住む(ヨハ15:4 等)
   *12  13節により、ここでは シャローム(平安あれ)のみならず、さらに祈る
   *15  まことに=アーメン(ギ)、   罰が軽い、の直訳は 耐えやすい
   *16  フェロニモス(ギ); 賢く(
wise △) よりも 用心深く(prudent)、さとく、実際的な知恵を持つ賢明さ、の方がヘビらしい(創世記3:1)、 アケライオス(ギ); すなお、混じりけの無い、純真な(ピリピ2:15) 「使徒」の品性にはこの両方の調和が必要
   *17  議会 = サンヘドリン(エルサレム)、各地のユダヤ教会堂の議会
   *22  ヒュポメノウ(ギ)、(信仰 等に)踏みとどまる、とどまる (マタイ24:13、マルコ13:13、使徒17:14、ローマ12:12、Tコリント13:7 等  cf. 11節 メノウ
   *23  「人の子が来る時」を イエスが復活されて、弟子たちに現れ、「大宣教命令」を出された時(マタイ28:16) ととれば、ユダヤの不信仰から、もう巡る必要が無く、宣教が異邦に向かうことになる。
   *25  ベエルゼボウブ(ギ)、エクロン神のバアル・ゼブブ=ハエの主
   *26  24、25節を受けて、真理は必ず明らかにされ、人々もそれを認めざるを得なくなる、の意。
   *27  屋上 = 家の屋上の間は 人々の雑談、討論、祈りの場所であり、格好の伝道の場所になる
   *28  プシュケー(ギ)、息、たましい、(肉体的な)いのち、  cf. ゾエ(ギ)、永遠のいのち
   *29  アサリオン ローマの最小単位の銅貨、1アサリオン=1/16デナリ、 1デナリは1日分の賃金(マタイ20:2)、 100デナリ=1ミナ、 60ミナ=1タラント
   *37  わたしにふさわしくありません = わたしにとって価値がありません
   *38  十字架、 主の召しに関わって どうしても負わなければならないもの
   *39  プシュケー(ギ)は、 たましい、soul とも、(肉的)いのち、life とも訳せる。 ここでは 自分の欲や計画を捨て、自分の十字架を負ってイエスの言葉に従う「信仰の歩み」について言っている、 (直訳)「それ」 = 「神のいのち」は補足。
   *42  小さい者たち = へりくだった者たち = キリストの弟子たち



  第11章


 1 イエスは十二弟子にこのように命じ終えてから、町々で教えまた宣べ伝えるために、そこを立ち去られた。
 2 さて、ヨハネは獄中でキリストのみわざについて伝え聞き、自分の弟子たちを遣わして、
 3 イエスに こう伝えた。「『来たるべきかた』はあなたですか。それとも、他にだれかを待つべきでしょうか。」
 4 イエスは答えて言われた。「行って、あなたがたが見て、聞いていることを、ヨハネに報告しなさい。」
 5 盲人が目が見えるようになり、足なえが歩き、らい病人がきよめられ、耳しいが聞こえ、死人が生き返り、貧しい人々には福音が宣べ伝えられています。
 6 わたしにつまずかない者は、幸いです。」

 7 彼らが帰ってしまうと、イエスはヨハネのことについて群衆に語りはじめられた。「あなたがたは、何を見に荒野に出てきたのですか。風に揺らぐ葦ですか。
 8 では、何を見に出てきたのですか。柔らかい着物をまとった人ですか。柔らかい着物をまとった人々なら、王たちの家々にいます。
 9 では、何のために出てきたのですか。預言者を見るためですか。そのとおり。 わたしはあなたがたに言います。預言者よりも偉大な者です。
10 『見よ。わたしは使者をあなたの現れの先に遣わし、あなたの御前に、道を整えさせるであろう。』と書いてあるのは、この人のことです。
11 まことに、あなたがたに言います。 女たちの産んだ者たちの中で、バプテスマのヨハネより偉大な人物は起らなかった。しかし、天の御国で最も小さい者も、彼よりは偉大です
12 バプテスマのヨハネの時から今に至るまで、天の御国は激しく襲われている。そして激しく襲う者たちがそれを奪い取っている。
13 すべての預言者と律法とが預言したのは、ヨハネの時までです。
14 そして、もしあなたがたが受け入れることを望めば、この人こそ、来るべきエリヤなのです。
15 耳のある者は聞きなさい。
16 今の時代を何に比べられるでしょう。それは子供たちが広場にすわって、ほかの子供たちに呼びかけ、
17 『私たちが笛を吹いたのに、あなたたちは踊ってくれなかった。弔いの歌を歌ったのに、胸を打ってくれなかった。』と言うのに似ています。
18 なぜなら、ヨハネがきて、食べることも、飲むこともしないと、あれは悪霊につかれているのだ、と言い、
19 また人の子がきて、食べたり飲んだりしていると、見よ、あれは食いしん坊、大酒飲み、また取税人、罪人の仲間だ、と言います。しかし、知恵の正しいことは、知恵の子どもたちが証明します。」

20 それからイエスは、数々の力あるわざがなされたのに、悔い改めることをしなかった町々を、責めはじめられた。
21 「ああ、コラジンよ。ああ、ベツサイダよ。 おまえたちのうちでなされた力あるわざが、もしツロとシドンでなされたなら、彼らはとうの昔に、荒布をまとい灰をかぶって、悔い改めたことだろう。
22 しかし、おまえたちに言っておく。さばきの日には、ツロとシドンの方がおまえたちよりも、罰が軽いであろう。
23 そして、カペナウムよ、おまえは天にまで上げられようとでもいうのか。ハデスにまで落されるのだ。 おまえの中でなされた力あるわざが、もしソドムでなされたなら、その町は今日までも残っていたことだろう。
24 しかし、あなたがたに言う。さばきの日には、ソドムの地の方がおまえよりは罰が軽いであろう。」

25 そのとき これに答えて、イエスは声をあげて言われた。 「天地の主なる父よ。あなたをほめたたえます。これらの事を、知恵のある者たちや賢い者たちに隠して、幼子(おさなご)たちに表してくださいました。
26 そうです。父よ。これはまことにみこころにかなった事でした。
27 すべての事は父からわたしに任せられています。そして、子を知る者は父のほかにはなく、父を知る者は、子と、子が 父を現わそうとした者とのほかに、だれもありません。

28 すべて重荷を負って苦労している者は、わたしのもとに来なさい。あなたがたを休ませてあげます。
29 わたしのくびきを負って、わたしに学びなさい。それは、わたしが柔和で、心がへりくだった者だからです。 そうすれば、あなたがたのたましいに休息が与えられます。
30 わたしのくびきは負いやすく、わたしの荷は軽いからです。」


   *1  教え と 宣べ伝えること は冠詞が一つなのでワンセットになっている。 再び イエスおひとりで町々に出て行かれた
   *2  バプテスマのヨハネは ヘロデ・アンティパスの不義の妻ヘロデヤ(他の兄弟の妻)の事で、獄に入れられていた(4:12、14:1−12)
   *6  マカリオイ(ギ): 幸い、うらやむべき
   *10  (直訳)before face、 顔の(時間的に)先に、  マラキ3:1、イザヤ40:3、マルコ1:2、3
   *11  バプティステース(ギ)、洗礼を授ける者、  メイーゾン=メガス(ギ)の比較級、  ミクローテロス=ミクロス(ギ)の比較級、  「女たちから生まれた者たち」は、ヨブ記14:1、15:14、25:4 から 「死ぬべき人間」 を表す。 旧約時代の束縛にある人よりも、御子によって開かれた 天の御国の働き人たちのほうが、はるかにまさっている。
   *12  「無理にでも これに入ろうとしている。」(ルカ16:16) と同じ
   *13、14  律法と預言者 = 旧約聖書全体 (マタイ5:17、使徒26:2)、  マラキ4:5
   *15  耳(複数)のある者(単・男)は聞きなさい (13:9、43、マルコ4:9、23、ルカ8:8、14:35、 cf. 「耳」(単数) 黙示2:7、11、17、29、3:6、13、22)
   *17 この場合 笛を吹くのは、結婚式遊び、 加えて、葬式遊び、ユダヤの葬式(9:23)
   *19  テクノン(ギ) 子供、(師弟関係の)子供
   *21  ウーアイ(ギ)、(直訳)(感嘆詞で) ああ、(わざわいだ、とも訳せる)、 荒布を着て 灰をかぶる=悔い改めの方法
   *22  罰が軽い、の直訳 耐えやすい
   *23  ハデス(ギ)=(狭義の)よみ  救われなかった罪人の霊が行く所、最終的なさばきであるゲヘナに落とされるまでの一時滞留所、生前の罪の行いによって拷問を受ける
   *24  これらの、キリストを拒絶した 宗教的な善人の町々がさばかれたのは、「多く与えられた者は多く求められる」、という原則による
   *25  この状況に答えて
   *29  ズゴス(ギ) (牛車などで、牛の首あたりにつける)くびき、ヨーク、天秤棒、  プラユス(ギ) 柔和、 プシュケー(ギ) たましい、(肉的)いのち、 アナパウシス(ギ) 安息、休息、竪琴の弦を緩める → さまざまな緊張を緩和する、の意
   *30  クレーストス(ギ) 負いやすい、(よく体に合って)快適 ・・・ イエスは大工ヨセフの子、この大工とは 木製の農機具や家具などと共に 家畜用の木で作られたくびき などを作る職業



  第12章


 1 そのころ、ある安息日に、イエスは麦畑の中を通られた。すると弟子たちは、空腹であったので、穂を摘んで食べはじめた。
 2 パリサイ人たちがこれを見て、イエスに言った。「見なさい。あなたの弟子たちが、安息日にしてはならないことをしています。」
 3 そこでイエスは彼らに言われた、「あなたがたは、ダビデとその供の者たちとが飢えたとき、ダビデが何をしたか読んだことがないのですか。
 4 すなわち、神の家にはいって、祭司たちのほか、自分も供の者たちも食べてはならない供えのパンを食べたのです。
 5 また、安息日に宮仕えをしている祭司たちは、安息日を破っても罪にはならないことを、律法で読んだことがないのか。
 6 あなたがたに言っておく。宮よりも大いなる者がここにいる。
 7 『わたしが好むのは、あわれみであって、いけにえではない。』とはどういう意味であるか知っていたなら、あなたがたは罪のない者をとがめなかったであろう。
 8 それは、人の子は安息日にあっても主だからです。」

 9 イエスはそこを去って、彼らの会堂に入られた。
10 すると、見よ、片手のなえた人がいた。人々はイエスを訴えようと思って、「安息日に人をいやすことは、合法ですか。」と尋ねた。
11 イエスは彼らに言われた。「あなたがたのうちに、一匹の羊を持っている人があるとして、もしそれが安息日に穴に落ちたならば、手をかけて引き上げないでしょうか。
12 人は羊よりも、はるかに優れているではありませんか。だから、安息日に良いことをするのは、合法です。」
13 そしてイエスはその人に、「手を前に伸ばしなさい。」と言われた。そこで手を前に伸ばすと、反対の手と同じように良くなった。

14 パリサイ人たちは出て行って、なんとかしてイエスを滅ぼそうと相談した。
15 イエスはこれを知って、そこを去って行かれた。ところが多くの人々がついてきたので、彼らを皆いやし、
16 そしてご自分のことを人々に知らせないように、彼らを戒められた。
17 これは預言者イザヤの言った言葉が、成就するためである。
18 「見よ、わたしが選んだわたしの、わたしの心の喜ぶ、愛する者。 わたしは彼にわたしの霊を授け、そして彼は公義を異邦人たちに宣べ伝えよう。
19 彼は争わず、叫ばず、またその声を大路で聞く者はいない。
20 彼が公義に勝利を得させる時まで、いたんだ葦を折ることもなく、くすぶる燈心を消すこともない。
21 異邦人たちは、彼の名に望みを置く。」

22 また、人々が悪霊につかれた盲人で口のきけない人を連れてきたので、イエスは彼をいやして、ものを言い、また目が見えるようにされた。
23 すると群衆はみな驚いて言った。「この人が、あるいはダビデの子ではないだろうか。」
24 しかし、パリサイ人たちは、これを聞いて言った。「この人が悪霊どもを追い出しているのは、まったく悪霊どものかしらベルゼブルによるのだ。」
25 イエスは彼らの思いを見抜いて言われた。「どんな王国でも内部で分れて争う国は荒れ廃れ、内輪で分れて争う町や家は立ち行きません。
26 もしサタンがサタンを追い出すならば、それは内輪で分れ争うことになります。それでは、その国はどうして立ち行けるでしょう。
27 もしわたしがベルゼブルによって悪霊を追い出すとすれば、あなたがたの子供たちはだれによって追い出すのですか。だから、彼らがあなたがたをさばく者となるのです
28 しかし、わたしが神の霊によって悪霊を追い出しているのなら、神の国はすでにあなたがたのところに来ているのです。
29 すなわち、だれでも一番先に、強い人を縛り上げなければ、どうして、その人の家に押し入って家財を奪い取ることができるでしょうか。縛ってから、初めてその家を掠奪することができのです。

30 わたしと共にいない者は、わたしに反対するものであり、わたしと共に集めない者は、散らすものです。
31 このことにより、あなたがたに言います。人は、その犯すすべての罪も、神を冒涜することも、赦されます。しかし、聖霊を冒涜することは、赦されることはありません
32 また人の子に対して言い逆らう者は、赦されます。しかし、聖霊に対して言い逆らう者は、この時代でも、未来の時代でも、赦されることはありません
33 木が良ければ、その実も良いとし、木が悪ければ、その実も悪いとせよ。木はその実でわかるからです。
34 蛇どもの子孫たちよ。あなたがたは悪い者であるのに、どうして良いことを語ることがでるでしょう。心に満ちあふれることを、口が語るのです。
35 良い人は良い倉から良い物を取り出し、悪人は悪い倉から悪い物を取り出します。
36 あなたがたに言いますが、審判の日には、人はその語る無益な言葉に対して、言い開きをしなければなりません。
37 それは、あなたが自分の言葉によって正しいとされ、また自分の言葉によって罪とされるからです。」

38 そのとき、幾人かの律法学者、パリサイ人たちが言った。「先生。わたしたちはあなたから、しるしを見せていただきたいのです。」
39 すると、彼らに答えて言われた。「邪悪な姦淫の時代は、しるしを求めます。 しかし、預言者ヨナのしるしの他には、どんなしるしも与えられないでしょう。
40 すなわち、ヨナが三日三晩、大魚の腹の中にいたように、人の子も三日三晩、地の中にいるからです。
41 ニネベの人々が、今の時代の人々と共にさばきの場に立って、彼らを罪に定めるでしょう。なぜなら、ニネベの人々はヨナの説教によって悔い改めたからです。しかし見よ、ヨナよりも偉大な者がここにいます。
42 南の女王が、今の時代の人々と共にさばきの場に立って、彼らを罪に定めるでしょう。なぜなら、彼女はソロモンの知恵を聞くために地の果から、はるばる来たからです。しかし見よ、ソロモンよりも偉大な者がここにいます。

43 汚れた霊が人から出ると、休み場を求めて水の無い所を歩き回るが見つからない。
44 そこで、出てきた元の家に帰ろうと言って帰って見ると、その家は空いていて、掃除がされ、飾りつけがしてあった。
45 そこでまた出て行って、自分以上に悪い他の七つの霊を一緒に引き連れて中に入り、そこに住み込む。 そうすると、その人の後の状態は、初めよりももっと悪くなります。 この邪悪な時代も、このようになるでしょう。」
46 イエスがまだ群衆に話しておられるとき、その母と兄弟たちとが、イエスに話そうと思って外に立っていた。
47 それで、ある人がイエスに言った。「見てください。あなたの母上と兄弟がたが、あなたと話そうと尋ねて来て、外に立っています。」
48 イエスは知らせてくれた者に答えて言われた。「わたしの母とは、だれのことですか。わたしの兄弟とは、だれのことですか。」
49 そして、弟子たちの方に手をさし伸べて言われた。「見よ。わたしの母、わたしの兄弟です。
50 天におられるわたしの父のみこころを行う者はだれでも、わたしの兄弟、また姉妹、また母なのです。」


   *1  穂を摘んで食べることは旅行者に認められていた(申命記23:25)、 ユダヤ教になってから細部を規定( 摘んだり(刈り入れ)もみ出したり(脱穀)することを労働と拡大解釈、食事の用意は前日に)
   *3、4  Tサムエル21:1−6、 聖所の机に6個ずつ2列に並べたパン(レビ24:5−9)
   *5、6  レビ24:8、 民数記28:9−15
、  ヒエロン(ギ、中性・単数) 宮、神殿、聖所、(マタイ4:5)、シオンの山の上にある第2(ヘロデ)神殿
   *7  ホセア6:6
   *10、12  エクセスティ、lawful (律法に対して)合法
   *18  イザヤ42:1−4、   子 は直訳(パイス(ギ)、boy)、  クリシス(ギ) 審判、 公正、公義
   *19  絶叫して相手に勝つこと

   *22 トテ(ギ) 続いてすぐ ではなく、その当時あたり、という意味、  
   *27  パリサイ人の子どもたちとは、一般のユダヤ人であり、ユダヤ人の魔除け祈祷師も含む。彼らの論法により、魔除け祈祷師らも悪霊になってしまう、という矛盾が生じる。
   *29  人や建造物、物などに付随する悪霊は、まずイエスの名によって縛り上げ、追い出してから、神のもとへ奪還することができる
   *30  その人の霊に聖霊を受けていない者(救われていない者)は、主に逆らう者であり、たとえわざが起こっても、実を結ぶことができない、=にせ預言者(マタイ7:13−23)
   *31、32  ディア トウト(ギ) because of this、through this、  「未来の時代」 = 特に、世の終わりのリバイバルの時も
   *33  マタイ7:16−20
   *39  (霊的)姦淫の時代 = 不信仰の時代、イスラエルの背信、 しるしを見ないと信じないという態度
   *40  地の中 = (直訳)地の心臓、  ヨナのように、イエスの十字架と復活の しるしだけが、唯一与えられるしるしとなる。 信じる者に伴うしるし(マルコ16:16−18)や御霊の賜物(Tコリント12:7−11)などは、イエスの復活のしるしとして、神の主権のもとに現れる。
   *43  当時、砂漠や荒野には悪霊がいると考えられていた。
   *45  イスラエルはバビロンからの帰還で偶像崇拝を悔い改めたは良いが、その反動で、最悪の”律法主義”に陥ってしまった。 また、ミニストリーでは、悪霊追い出しの後、通常は、その人の救いと聖霊の満たしを祈る。
   *46  兄弟たち=ヨセフとマリヤのその後の子ども: ヤコブ(ヤコブの手紙の著者)、ヨセフ、シモン(シメオン)、ユダ、二人の妹 (13:55)



  第13章


 1 その日、イエスは家を出て、湖のほとりに座っておられた。
 2 ところが、大ぜいの群衆がみもとに集まったので、イエスは舟に乗って座られ、群衆はみな岸に立っていた。
 3 イエスはたとえで多くの事を語ることを始められ、こう言われた。「見よ、種まきが種をまきに出て行きました。
 4 蒔いているうちに、道ばたに落ちた種がありました。すると、小鳥の群れが来て食べてしまいました。
 5 ある種は土の薄い石地に落ちました。そこは土が深くないので、すぐ芽が出ましたが、
 6 日が上ると焼けて、根がないために枯れてしまいました。
 7 別の種はいばらの間に落ちました。すると、いばらが伸びて、ふさいでしまいました。
 8 残りの種は良い地に落ちて実を結び、あるものは百倍、あるものは六十倍、あるものは三十倍の実を結びました。
 9 耳のある者は聞きなさい。」

10 それから、弟子たちがイエスに近寄ってきて言った。「なぜ、彼らに たとえでお話しになるのですか。」
11 そこでイエスは答えて言われた。「あなたがたには、天の御国の奥義を知ることが与えられているが、彼らには与えられていません。
12 それは、持っている人は与えられて、ますます豊かになるが、持っていない人は、持っているものまでも取り上げられるからです。
13 だから、彼らには たとえで語るのです。それは彼らが、見ても見ず、聞いても聞かず、また悟らないからです。
14 こうしてイザヤの言った預言が、彼らの上に成就したのである。『あなたがたは聞くには聞くが、決して悟らない。見るには見るが、決して認めない。
15 この民の心は鈍くなり、その耳は聞えにくく、その目は閉じている。それは、彼らが目で見ず、耳で聞かず、心で悟らず、悔い改めていやされることがないためである。』
16 しかし、あなたがたの目は見ており、耳は聞いているから、幸いです。
17 まことにあなたがたに言います。多くの預言者や義人は、あなたがたの見ていることを見ようと切に願ったが、見ることができず、またあなたがたの聞いていることを聞こうとしたが、聞けなかったのです。

18 あなたがたは、それゆえ、種まきの たとえを聞きなさい。
19 だれでも御国のことばを聞いて悟らないならば、悪い者が来て、その人の心に蒔かれたものを奪いとって行きます。道ばたに蒔かれたものというのは、そういう人のことです。
20 石地に蒔かれたものというのは、みことばを聞くと、すぐに喜んで受ける人のことです。
21 しかしその中に根がないので、しばらく続くだけであって、みことばのために困難や迫害が起ってくると、すぐつまずいてしまう人のことです。
22 また、いばらの中に蒔かれたものとは、みことばを聞くが、世の心づかいと富の惑わしとが みことばをふさぐので、実を結ばなくなる人のことです。
23 また、良い地に蒔かれたものとは、みことばを聞いて悟る人のことで、そういう人が実を結び、百倍、あるいは六十倍、あるいは三十倍にもなるのです。」

24 また、他の たとえを彼らに示して言われた。「天国は、良い種を自分の畑に蒔いておいた人のようなものです。
25 人々が眠っている間に敵が来て、麦の中に毒麦をまいて立ち去りました。
26 芽がはえ出て実を結ぶと、同時に毒麦も現れてきました。
27 しもべたちが来て、家の主人に言った。『ご主人。あなたが畑に蒔いたのは、良い種ではありませんでしたか。どうして毒麦が生えてきたのですか。』
28 主人は言った。『それは敵のしわざだ。』 すると しもべたちが言った。『では行って、それを抜き集めましょうか。』
29 彼は言った。『いや、毒麦を集めようとして、麦も一緒に抜くかも知れない。
30 収穫まで、両方とも育つままにしておきなさい。収穫の時になったら、刈る者たちに、まず毒麦を集めて束にして焼き、麦の方は集めて倉に入れてくれ、と言おう。』」

31 また、ほかの たとえを彼らに示して言われた。「天の御国は、一粒のからし種のようなものです。ある人がそれをとって畑に蒔くと、
32 それはどんな種よりも小さいが、成長すると、野菜の中で一番大きくなり、空の小鳥が来て、その枝に巣を作るほどの木になります。」
33 またほかの たとえを彼らに語られた。「天の御国は、パン種のようなものです。女がそれを取って三サトンの粉の中に混ぜると、全体がふくらんできました。」
34 イエスはこれらのことをすべて、たとえで群衆に語られた。たとえによらないでは何事も彼らに語られなかった。
35 これは預言者によって言われたことが、成就するためである。「わたしは口を開いて たとえを語り、世の初めから隠されていることを語り出そう。」

36 それからイエスは、群衆をあとに残して家に入られた。すると弟子たちは、みもとにきて言った。「畑の毒麦の たとえを説明してください。」
37 イエスは答えて言われた。「良い種をまく者は、人の子です。
38 畑とは世界であり、良い種と言うのは御国の子たちで、毒麦は悪い者の子たちです。
39 それを蒔いた敵は悪魔です。収穫とは世の終りのことで、刈る者は御使いたちです。
40 だから、毒麦が集められて火で焼かれるように、世の終りにもそのとおりになるでしょう。
41 人の子はその御使いたちを遣わし、つまずきの石となるものと 不法を行う者とを、ことごとく彼の王国から取り集め、
42 火の燃える炉に投げ入れます。そこで彼らは泣いたり、歯ぎしりをしたりするのです。
43 そのとき、義人たちは彼らの父の御国で、太陽のように輝き渡るでしょう。耳のある者は聞きなさい。

44 天の御国は、畑に隠してある宝のようなものです。人がそれを見つけると隠しておき、喜びのあまり、行って持ち物をみな売りはらい、そしてその畑を買うのです。
45 また天国は、良い真珠を捜している商人のようなものです。
46 高価な真珠一個を見い出すと、行って持ち物をみな売りはらい、そしてこれを買うのです。
47 また天の御国は、海におろして、あらゆる種類の魚を囲みいれる網のようなものです。
48 それがいっぱいになると岸に引き上げ、そして座って、良いものを器に入れ、悪いものを外へ捨てるのです。
49 世の終りにも、そのとおりになるでしょう。すなわち、御使たちが来て、義人のうちから悪人をえり分け、
50 それから火の燃える炉に投げ入れます。そこで彼らは泣いたり、歯ぎしりをしたりするのです。
51 イエスは彼らに言われた。「あなたがたは、これらのことが皆わかりましたか。」 彼らは「わかりました。」と答えた。
52 そして彼らに言われた。「それだから、天の御国のことを学んだ学者は、一つの倉から、新しいものも、古いものも取り出す、一家の主人のようなものです。」

53 イエスはこれらの たとえを語り終えてから、そこを立ち去られた。
54 そして郷里に行き、会堂で人々を教えられたところ、彼らは驚いて言った。「この人は、この知恵とこれらの力あるわざとを、どこから習ってきたのか。
55 この人は大工の子ではないか。母はマリヤといい、兄弟たちは、ヤコブ、ヨセフ、シモン、ユダではないか。
56 またその姉妹たちもみな、わたしたちと一緒にいるではないか。こんな数々のことを、いったい、どこから習ってきたのか。」
57 こうして人々はイエスにつまずいた。 それでも、イエスは言われた。「預言者は、自分の郷里や自分の家以外ではどこででも、敬われないということはありません。」
58 そして彼らの不信仰のゆえに、そこでは 多くの力あるわざを なさらなかった。


   *1  座る ことは当時のラビが説教をする時の姿勢
   *3  エラレーセン(ギ、不定過去) 〜し始める、出る  イエスはこの時から たとえで語る方針とされた

   *12  ディドミ(ギ)、与える 11節と同じ言葉、 たとえの目的は、ご自身を拒む者たちに天の奥義を隠すため。 御子に対する態度によって、御国の奥義が現れもし、隠されもする。
   *14  イザヤ6:9、10、 マルコ4:12、ルカ8:10、ヨハネ12:40、使徒28:26、27
   *16  マカーリオス(ギ) 山上の垂訓の「幸い」と同じ、強い意味の祝福

   *17  アーメン(ギ) まことに、  旧約時代は、まだ奥義が明かされる時ではなかったため
   *22  薄い土の下は硬い岩盤(うわべは従順そうで、非常にかたくな)という人には、蒔いても無駄、  スリプシス(ギ、(薬草など)すり潰す)、艱難、困難 (黙2:9)
   *25  ジザニア(ギ) 毒麦 (マタイのここだけの たとえ): 育つ前は区別できない。成長すると黒ずんで穂の毛が長く区別がつくが、根が絡み合うので 抜くと良い麦まで抜けることがある。文字通り毒で、しびれ、嘔吐、下痢など。
   *33  1サトン = 13リットル
   *35  詩篇78:2

   *39、40  収穫 は、終末の 救いと さばきの比喩(エレ51:33、ホセ6:11、ヨエ3:13、 黙14:14−20)
   *41、49  どちらもキリスト教界から不法の人や にせ預言者らが出る ことを言っている
   *44、46  当時、地中に隠すのが最も安全といわれた。さらに、それを見つけた者に拾得権があるとされた。  ペルシャ湾産の高価な真珠。ユダヤ商人の商売のやり方。それほどの犠牲を払って、リスクを冒しても、それだけの価値がある こと。  福音についても、偶然のように救われる人も、散々捜し求めて救われる人もいる。
   *52  今までの7つの たとえを学んだ御国の学者について。 グラマテウス(ギ) 学者、博士(マタイ2:4)、(律法学者)、  セサウロース(ギ、単数・男) 単数なので 一つの倉、 新しいもの(複数)、古いもの(複数)、(cf. 宝 マタイ2:11(複数)、6:21(単数)、19:21(単数))
   *54  ナザレ、  習ってきた は補足
   *55  イエスが地上におられた時には不信仰だったが、後に信じた、ヤコブの手紙の著者(エルサレム教会の長老、教師)

   *56  習ってきた は補足



  第14章


 1 そのころ、領主ヘロデはイエスのうわさを聞いて、
 2 家来に言った、「あれはバプテスマのヨハネだ。死人の中からよみがえったのだ。それで、あのような力が彼のうちに働いているのだ。」
 3 というのは、ヘロデは先に、自分の兄弟ピリポの妻ヘロデヤのことで、ヨハネを捕えて縛り、獄に入れていたからである。
 4 すなわち、ヨハネはヘロデに、「彼女をめとるのは、合法ではない。」と言ったからである。
 5 そこでヘロデはヨハネを殺そうと思ったが、群衆を恐れた。彼らがヨハネを預言者とみなしていたからである。
 6 さてヘロデの誕生日の祝に、ヘロデヤの娘がその席上で踊りを踊って、ヘロデを喜ばせたので、
 7 彼女の願うものは、何でも与えようと、彼は誓って約束してしまった。
 8 すると彼女は、母にそそのかされて、「バプテスマのヨハネの首を盆に載せて、ここに持ってきてください。」と言った。
 9 王は気の毒に思ったが、一度誓ってしまったのと、また列座の人たちの手前、それを与えるように命じ、
10 人を送り、獄中でヨハネの首を切らせた。
11 その首は盆に載せて運ばれ、少女に渡され、少女はそれを母のところに持って行った。
12 それから、ヨハネの弟子たちが来て、死体を引き取って葬った。そして、イエスのところに行って報告した。

13 イエスはこのことを聞くと、舟に乗ってそこを去り、自分ひとりで寂しい所へ行かれた。しかし、群衆はそれと聞いて、町々から徒歩であとを追ってきた。
14 イエスは舟から上がって、大ぜいの群衆をご覧になり、彼らを深くあわれんで、彼らの病人たちを いやされた。
15 夕方になったので、弟子たちがイエスのもとに来て言った。「ここは寂しい所ですし、もう時も遅くなりました。群衆を解散させ、それぞれで食物を買いに、村々へ行かせてください。」
16 するとイエスは言われた、「彼らが出かけて行く必要はありません。あなたがたが食物を彼らにあげなさい。」
17 弟子たちは言った。「わたしたちはここに、パン五つと魚二匹しか持っていません。」
18 イエスは言われた。「それをここに持ってきなさい。」
19 そして群衆に命じて、草の上に横にならせ、五つのパンと二匹の魚とを手に取り、天を仰いでそれを祝福し、パンを裂いて弟子たちに渡された。弟子たちはそれを群衆に与えた。
20 すべての者は食べて満腹した。残ったパン切れを集めると、十二のかごに一杯になった。
21 食べた者は、女と子供とを除いても、おおよそ五千人であった。

22 それからすぐ、イエスは弟子たちを強いて舟に乗り込ませ、ご自分より先に向こう岸へ行かせ、その間にイエスは群衆を解散させた。
23 そして群衆を帰した後、祈るためひそかに山へ登られた。夕方になっても、ただひとりそこにおられた。
24 ところが舟は、もうすでに陸から多くのスタディオンも離れており、逆風が吹いていたために、波に悩まされていた。
25 イエスは第四の夜回りごろ、湖の上を歩いて彼らの方へ行かれた。
26 弟子たちは、イエスが湖の上を歩いておられるのを見て取り乱し、幽霊だと言って、恐怖のあまり叫び声をあげた。
27 しかし、イエスはすぐに彼らに声をかけて、「しっかりしなさい。わたしである。恐れることはない。」と言われた。
28 するとペテロが答えて言った。「主よ、あなたでしたか。では、私に、水の上を渡ってそちらに行くよう、命じてください。」
29 イエスは、「来なさい。」と言われたので、ペテロは舟から降りて、水の上を歩いてイエスのところへ行った。
30 しかし、風が強く吹いているのを見て恐ろしくなり、そして沈みかけたので、彼は叫んで、「主よ、お助けください。」と言った。
31 イエスはすぐに手を伸ばし、彼をつかまえて言われた。「信仰の無きに等しい者よ。なぜ疑ったのですか。」
32 ふたりが舟に乗り込むと、風がおさまった。
33 舟の中にいた者たちはイエスを礼拝して、「ほんとうに、あなたは神の子です。」と言った。
34 それから、彼らは湖を渡ってゲネサレの地に着いた。
35 するとその土地の人々はイエスと知って、その付近全体に人を遣わし、イエスのところに病人をみな連れてこさせた。
36 そして彼らにイエスの上着のふさにでも、さわらせてやっていただきたいとお願いした。そしてさわった者は皆いやされた


   *1  ヘロデ・アンティパス  ガリラヤとペレヤの国主(テトラアルケス 四分領主(古代ローマの『領土の4分の1を統治する者』)、使徒13:1)、ガリラヤの首都ティベリヤ在住、違法の妻ヘロデヤと娘サロメ
   *4  エクセスティ、lawful (律法に対して)合法、  元の妻を離縁し、義理の姉妹と結婚する、という律法に逆らう2つの罪
   *13  ヘロデ党の者たち(マルコ3:6)を避けるのを兼ねて、 ガリラヤへ退かれた(マタイ4:12)
   *19  アナクリーノー(ギ) lay down、横になる (当時のユダヤでは、横になって食事をとった)
   *20  パンの奇跡をおこなわれたのは、ベツサイダの近く(マルコ6:45、ルカ9:10)、  コフィノス(ギ) (中くらいの)かご、 集めたパン切れは働いた弟子たちの報酬となった  cf. マタイ15:37
   *24、25  1スタディオン = 185メートル、  第四の夜回り=午前3〜6時 ≒ 午前4時頃、 弟子たちは向かい風に押され約9時間も こぎ続けていたことになる
   *34  ティベリヤと、カペナウムの間の肥沃な平地(ガリラヤ湖の北西部)
   *36  クラスペドン(ギ) 着物のヘリ、フリンジ; 着物の四隅に付けた ざくろ型のふさ(マタイ23:5、民数記15:38)、   いやされた (直訳)ディア ソーゾー(ギ) 救われた



  第15章


 1 そのころ、パリサイ人と律法学者たちとが、エルサレムからイエスのもとに来て言った。
 2 「あなたの弟子たちは、なぜ昔の人々の言伝えを破るのですか。彼らは食事の時に手を洗っていません。」
 3 イエスは答えて言われた。「なぜ、あなたがたも自分たちの言伝えを守るために、神の戒めを破っているのですか。
 4 神は言われました。『父と母とを敬え。』 また『父または母をののしる者は、必ず死に定められる。』と。
 5 それなのに、あなたがたは、『だれでも父または母に向かって、あなたに差し上げるはずだったのこの物は、供え物になりました、と言えば、
 6 父または母を敬わなくてもよい。』と言っています。こうしてあなたがたは自分たちの言伝えのゆえに、神の律法無効にしています。
 7 偽善者たちよ。まさに預言書で、イザヤがあなたがたについて、このような預言をしています。
 8 『この民は、彼らの口ではわたしに近づき唇ではわたしを敬っているが、その心はわたしから遠く離れている。
 9 人間の戒めを教えとして教えていながら、わたしを拝んでも、無駄な事である。』」

10 それからイエスは群衆を呼び寄せて言われた。「聞いて悟りなさい。
11 口に入るものは人を汚すことはありません。かえって、口から出るものが人を汚すのです。」
12 そのとき、弟子たちが近寄ってきてイエスに言った。「パリサイ人たちが み言葉を聞いてつまずいたことを、ご存じですか。」
13 イエスは答えて言われた。「わたしの天の父がお植えにならなかったものは、みな抜き取られるでしょう。
14 彼らをそのままにしておきなさい。彼らは盲人を手引きする盲人です。もし盲人が盲人を手引きするなら、ふたりとも穴に落ち込みます。」
15 ペテロが答えて言った、「その たとえの解き明かしをしてください。」
16 イエスは言われた。「あなたがたも、まだ、理解できていないのですか。
17 口に入ってくるものは、みな腹の中に入り、そして、かわやに捨てられることが まだ分からないのですか。
18 口から出て行くものは、心の中から出て来るのであって、それらが人を汚すのです。
19 というのは、邪悪な思い、すなわち 殺人、姦淫、不品行、盗み、偽証、誹謗中傷は、心の中から出てくるのであって、
20 これらのものが人を汚すのです。しかし、洗わない手で食事することは、人を汚しません。」

21 さて、イエスはそこを出て、ツロとシドンとの地方へ行かれた。
22 すると、見よ、その地方のカナン人の女が出てきて、叫びながら、こう言った。「主よ、ダビデの子よ、私をあわれんでください。娘が悪霊にとりつかれて苦しんでいます。」
23 しかし、イエスは彼女の言葉に 答えられなかった。そこで弟子たちがみもとにきて願って言った。「この女を去らせてください。叫びながらついてきますので。」
24 するとイエスは答えて言われた。「わたしは、イスラエルの家の失われた羊以外の者には、遣わされていないのです。」
25 しかし、女は近寄りイエスを礼拝して言った。「主よ、私をお助けください。」
26 イエスは答えて言われた。「子供たちのパンを取って、小犬たちに投げてやるのは 良くないことです。」
27 すると女は言った。「はい、主よ。でも、小犬たちもその主人の食卓から落ちるパンくずは いただきます。」
28 そこでイエスは答えて言われた。「女よ、あなたの信仰は偉大です。あなたの信仰のとおりになるように。」 その時から、娘はいやされた。

29 イエスはそこを去って、ガリラヤ湖の沿岸に行き、それから山に登ってそこに座られた。
30 すると大ぜいの群衆が、足が不自由な人々、盲人たち、聾唖(ろうあ)*の人々、障がいを持つ人々など、その他多くの人々を連れて来て、イエスの足もとに置いたので、彼らをおいやしになった。
31 群衆は、口のきけなかった人が物を言い、障がいを持つ人たちが健全になり、足が不自由だった人が歩き回り、そして盲人が見えるようになったのを見て驚いた。そしてイスラエルの神をほめたたえた。
32 イエスは弟子たちを呼び寄せて言われた。「この群衆をかわいそうに思います。もう三日間もわたしと一緒にいるのに、彼らは食べるものを何も持っていません。しかし、彼らを空腹のままで解散させたくはありません。彼らが途中で弱り切ってしまうといけないからです。」
33 弟子たちは言った。「荒野の中で、こんなに多くのの群衆に充分食べさせるほどの多くのパンを、どこから 手に入れましょうか。」
34 イエスは弟子たちに、「パンはいくつ持っていますか。」と尋ねられると、「七つあります。また小さい魚が少しあります。」と答えた。
35 そこでイエスは群衆に、地面に横たわるように命じ、
36 七つのパンと魚とを取り、感謝をささげてこれを裂き、弟子たちに与え、弟子たちはこれを群衆に与えた。
37 一同の者は食べて満腹した。そして残ったパン切れを集めると、七つのかごにいっぱいになった。
38 食べた者は、女と子供とを除いて四千人であった。
39 そこでイエスは群衆を解散させ、舟に乗ってマグダラの地方へ行かれた。


   *1  12章でイエスを殺す相談までしたが、イエスの名声は高まるばかりなので、今度はエルサレムから中央の宗教指導者が来て 調査と弾圧に乗り出した
   *2  口伝律法: モーセから口伝されたと信じられていたが、すでに複雑極まりないものになっていた。 後に ミシュナー(反復 の意)となる
   *4  出エジ20:12、21:17、申命5:16、レビ20:9、  ティマオー(ギ) 敬う(△) = 名誉な人として扱う、年を取った両親を養うこと
   *5  供え物=コルバン(ヘ) (マルコ7:11)
   *6  エントレー(ギ) = 律法、十戒、 アキュロオー(ギ) 無効にする、権威を奪う ⇔ cf. イエスが律法と預言者を 成就するために来られたのと対照的
   *8  イザヤ29:13、  エッギゾー(ギ) 近づく
   *19  モイケイア(ギ) 姦淫、  ポルネイア(ギ) 性的不道徳、不品行(不倫(不貞)、同性愛など)
   *21  イエスが、悪意を持つ宗教指導者らと、間違った期待を抱く群衆から退かれ、パレスチナから外へ出られたのはこの一回だけ。 ツロとシドンは異邦の地
   *22  カナン人 昔の聖絶の7つの民の一つ(申命記7:1)、 エズラの時代でも 縁を断つべき存在(エズラ9:1)
   *28  メガス(ギ) great、大きい、偉大
   *29  イエスはツロ、シドンを通って、(ヘロデ・アンティパスのいるティベリヤ近辺を避けて、)ガリラヤ湖南東の デカポリス地方に来られ、そこの丘に登られた(マルコ7:31)
   *30  聾唖(ろうあ)=耳が聞こえず口がきけない、あるいは そのどちらか
   *34  手に入れましょうか は補足
   *35  アナピプトー(ギ) lie back、lie down、recline at a table、 後ろにもたれるあおむけになる
   *37  スピュリース(ギ) (人が入れるほどの大きな)かご、背負うかご、 パウロがダマスコでつり下ろされたかごと同じ(使徒9:25)  cf. コフィノス(ギ) かご(マタイ14:20)
   *39  マグダラ = マガダン(ギリシャ語で、塔(マグダル)の意) ガリラヤ湖の西岸  = ダルマヌタ地方(マルコ8:10)



  第16章


 1 パリサイ人とサドカイ人とが近寄ってきて、イエスを試み、天からのしるしを見せてもらいたいと言った。
 2 イエスは彼らに言われた。「あなたがたは夕方になると、『空が赤い色だから、晴だ。』と言い、
 3 また明け方には、『空が暗く、赤い色だから、きょうは荒れる。』と言います。あなたがたは空の模様を見分けることを知りながら、時のしるしを見分けることができないのですか。
 4 邪悪で不義な時代は、しるしを求めます。しかし、ヨナのしるしの他には、何のしるしも与えられません。」 そして、イエスは彼らをあとに残して立ち去られた。

 5 弟子たちは向こう岸に行ったが、パンを持って来るのを忘れていた
 6 そこでイエスは言われた。「パリサイ人とサドカイ人とのパン種に気を付けて、警戒しなさい。」
 7 弟子たちは、これは自分たちがパンを持ってこなかったからだと言って、互に論じ合った。
 8 イエスはそれを知って言われた。「信仰の無きに等しい者たちよ。なぜパンがないからだと互に論じ合っているのですか。
 9 まだわからないのですか。覚えていないのですか。五つのパンを五千人に分けたとき、幾つのかごに拾いましたか。
10 また、七つのパンを四千人に分けたとき、幾つの大かごに拾いましたか。
11 わたしが言ったのは、パンについてではないことを、どうして悟らないのですか。 ただ、パリサイ人とサドカイ人とのパン種を警戒しなさい。」
12 そのとき彼らは、イエスが警戒しなさいと言われたのは、パン種のことではなく、パリサイ人とサドカイ人との教えのことであると悟った。

13 イエスがピリポ・カイザリヤの地方に行かれたとき、弟子たちに尋ねて言われた。「人々は人の子を誰と言っていますか。」
14 彼らは言った。「ある人々はバプテスマのヨハネだと言っています。しかし、ほかの人たちは、エリヤだと言い、また、エレミヤあるいは預言者のひとりだ、と言っている者もいます。」
15 そこでイエスは彼らに言われた。「それでは、あなたがたはわたしをだれと言いますか。」
16 シモン・ペテロが答えて言った。 「あなたこそ、生ける神の子キリストです。」
17 すると、イエスは彼に向かって言われた。「バルヨナ・シモン、あなたは幸いです。あなたにこの事を現わしたのは、血肉ではなく、天におられるわたしの父です。
18 そこで、わたしもあなたに言います。あなたはペテロです。 そして、わたしはこの岩の上にわたしの教会を建てます。ハデスの力もそれに打ち勝つことはありません。
19 わたしは、あなたに天の御国のかぎを授けます。そして、あなたが地上で縛ることは、天でも縛られ、あなたが地上で解くことは天でも解かれます。」
20 そのとき、イエスは、自分がイエス・キリストであることをだれにも言ってはいけないと、弟子たちを戒められた。

21 この時から、イエスは、自分が必ずエルサレムに行き、長老たち、祭司長たち、律法学者たちから多くの苦しみを受け、殺され、そして三日目によみがえることが必ず起こることを、弟子たちに示し始められた。
22 すると、ペテロはイエスをわきへ引き寄せて、いさめ始めて言った。「主よ、神の幸運がありますように。そんなことがあるはずはございません。」
23 イエスはペテロに背を向け、言われた。「サタンよ、立ち去れ。おまえはわたしの邪魔者だ。あなたは神のことを心にかけないで、人のことを考えている。」
24 それからイエスは弟子たちに言われた。「だれでもわたしの後について来たいと思うなら、自分を否定し、自分の十字架を負って、それから、わたしについて来なさい。
25 それは、自分の肉のいのちを救おうと思う者はそれを失い、わたしのために自分の肉のいのちを失う者は、神のいのちを見い出すからです。
26 たとい人が全世界の利益を得たとしても、自分のいのちを損じたなら、何の得になるでしょうか。また、人は代わりに何を与えれば、そのいのちを買い戻すことができるでしょう。
27 人の子は父の栄光のうちに、御使いたちを従えて必ず来ることになっていますが、その時、働きに応じて、それぞれに支払います。
28 まことに、あなたがたに言います。人の子が御国にあって来るのを見るまで、死を味わわない者が、ここに立っている者の中にいます。」


   *1  サドカイ人: モーセ五書だけ認める、霊と御使いの存在、復活やさばきも否定、富裕層、政治的人々 cf. パリサイ人: 口伝律法を信奉、庶民派  この異なる2派が イエスにしるしを求める点で一致した
   *4  ヨナのしるし(マタイ12:39) =十字架と復活のしるし
   *5  再びガリラヤ湖の東岸へ行った。 4000人給食のパンの余りの7つの大かごを置いてきた
   *11  パリサイ人: 偽善者、儀式主義の律法主義、  サドカイ人: 世俗・物質主義、政治活動 (マルコ8:15では、 ヘロデ党)
   *13  ベツサイダの北40キロのヨルダン川水源近くの町、異教の祭壇や皇帝の像があった。 この場所で、イエスは、御自分が神であられることのあかしを ペテロから引き出した
   *16  キリスト クリストス(ギ)、 マーシヤッハ(ヘ)、anointed、油注がれた者、 パン(ギリシャの偶像)の神や カイザルのような偶像(”死せる神”)ではなく、生ける神の子キリスト(=王)
   *17  バル・ヨナ = (漁師)ヨナの子 (バル アラム語)、 幸い マカリオス(ギ) (マタイ5:3 等)
   *18  ペトゥロス(ギ) 石、岩のかけら、 cf. 岩は ペトラ(ギ)、 ここでは 大岩 すなわち イエス・キリストご自身の上に 教会が建てられる、ことを言っている。 シモン=シメオン(聞かれる の意)、 エクレシア 教会、神の民の集まり、選ばれた者たちの集まり の意、 ここでは普遍的教会 cf. 18:17   ハデス(ギ) = よみ
   *19  クレイス(ギ、複数) かぎ(イザヤ22:22より =ダビデの家のかんぬき =天の御国の門を開閉する権能、 cf. 黙示録1:18(クレイス、複数)、3:7(クレイダ、単数) はキリストのみの権能)、 縛る = 禁止する、 解く = 許可する の意
   *20  この時点で言うと、群衆がメシヤを王に担ぎ上げ、革命的暴動すら起こり得るため。そうすると十字架が成就しない。  イエソウス・ホ・クリストス(ギ) Jesus the Christ、イエス・キリスト
   *21  4:17からの イエスのガリラヤ宣教の第1区分を終え、ここから、イエスが 神の子メシアであることをあかしされる第2区分に入る、  デイ(ギ) mustought、 必ず(摂理的に)〜しなければならない、 プレスブテローン(ギ) elders、長老、 アルキエレオーン(ギ) chief-priests、祭司長、 グラッマテオーン(ギ) scribes、律法学者
   *22  ヒデオース ソイ(ギ) propitious to you、神の幸運(恵み・あわれみ)がありますように、  エスタイ(ギ) shall be、あるはず
   *23  ヒュパゲ オプシソー(ギ) 後方へ立ち去れ、(ヒュパゲ 出て行け、マタイ4:10)、  スカンダロン(ギ) 邪魔

   *24  アパルネオマイ(ギ) deny、否定する、  十字架を負う=自我の死 (ローマ6:6、11)
   *25   ≒ マタイ10:39、  プシュケー 息、 life、(肉的)いのち、(soul、たましい)、  (直訳)「それ」 = 「神のいのち」は補足
   *27  メロウ(ギ) shall、 プラクシス(ギ) deedwork、 アポディドミ(ギ) paygivereward
   *28  cf. マルコ9:1 = 「御国が、力をもって到来しているのを見るまでは、」 (= 前章(マルコ8:38)の関連から、復活・昇天後の聖霊降臨のことだけではなく、終末の再臨の事も言っている)



  第17章


 1 六日ののち、イエスはペテロ、ヤコブ、ヤコブの兄弟ヨハネだけを連れて、高い山に登られた。
 2 ところが、彼らの目の前でイエスの姿が変り、その顔は太陽のように輝き、その衣は光のように白くなった。
 3 すると、見よ、モーセとエリヤが彼らに現れて、イエスと語り合っていた。
 4 ペテロはイエスに口出しして言った。「主よ。私たちがここにいるのは、すばらしいことです。もし、あなたの みこころでしたら、私はここに幕屋を三つ建てましょう。一つはあなたのために、一つはモーセのために、一つはエリヤのために。」
 5 彼がまだ話し終えないうちに、見よ、輝く雲が彼らをおおい、そして雲の中から声がした。「これはわたしの愛する子。 わたしが喜ぶ者である。 あなたがたは彼に聞きなさい。」
 6 弟子たちはこれを聞いて非常に恐れ、顔を地に伏せた。
 7 イエスは近づいてきて、彼らに触れて言われた。「起きなさい、恐れることはありません。」
 8 彼らが目をあげると、イエスの他には、誰も見えなかった。

 9 一同が山を下って来るとき、イエスは、「人の子が死人の中からよみがえるまでは、いま見たことを誰にも話してはいけません。」と、彼らに命じられた。
10 そこで、弟子たちはイエスに尋ねて言った。「いったい、律法学者たちは、なぜ、エリヤが先に来なければならないと言っているのですか。」
11 イエスは答えて言われた。「確かに、エリヤが来て、すべての事を元どおりに戻すでしょう。
12 しかし、あなたがたに言います。エリヤはすでに来たのです。しかし人々は彼を認めず、彼に自分勝手にしました。人の子もまた、そのように彼らから苦しみを受けます。」
13 そのとき、弟子たちは、イエスがバプテスマのヨハネのことを言われたのだと悟った。

14 さて彼らが群衆のところに帰ると、ひとりの人がイエスに近寄ってきて、ひざまずいて、言った。
15 「主よ、私の子をあわれんでください。てんかんで ひどく苦しんでおります。何度も火の中や水の中に倒れるのです。
16 それで、その子をお弟子たちのところに連れてきましたが、治していただけませんでした。」
17 イエスは答えて言われた。「ああ、なんという不信仰な、曲がった世代の人々だろうか。いつまで、わたしはあなたがたと一緒にいて、いつまであなたがたに我慢するのか。その子をわたしのところに連れてきなさい。」
18 イエスがおしかりになると、悪霊はその子から出て行った。そして子は、その時からいやされた。
19 それから、弟子たちがひそかにイエスのもとにきて言った。「私たちは、どうして霊を追い出せなかったのでしょうか。」
20 するとイエスは言われた。「あなたがたの不信仰によるからです。まことに、あなたがたに言います。もし、からし種一粒ほどの信仰を持っているならば、この山に向かって、『ここからあそこに移動せよ。』と言えば、移動するでしょう。あなたがたに不可能な事は、何もありません。
21 ただし、この類(たぐい)のものは、祈りと断食とによらなければ、追い出すことはできません
22 彼らがガリラヤで集まっていた時、イエスは言われた。「人の子は人々の手に引き渡され、
23 彼らに殺され、そして三日目によみがえるでしょう。」 すると、弟子たちは非常に悲しんだ。

24 彼らがカペナウムに来たとき、宮の納入金を集める人たちがペテロのところにきて言った。「あなたがたの先生は、宮の納入金を納めないのですか。」
25 ペテロは、「はい、納めます。」と言った。そして彼が家にはいると、彼が語る前にイエスの方から言われた。「シモン、あなたはどう思いますか。この世の王たちは関税や貢ぎ物をだれから取るでしょうか。自分の子供たちからですか、それとも、他の人たちからですか。」
26 ペテロが、「他の人たちからです。」と答えると、イエスは言われた。「それでは、子供は納めなくても良いのです。
27 しかし、彼らをつまずかせないために、湖に行って、つり針を投じなさい。そして最初につれた魚を取って、その口を開けると、スタテル銀貨一枚が見つかるでしょう。それを取り出して、わたしとあなたの分として納めなさい。」


   *1  古代の伝説によるタボル山(560メートル)ではなく、ヘルモン山(2800メートル)といわれる。 これから起こることに備えるために、主はご自身の本来の姿を見せられた。  ここで初めて内弟子(最側近)の3人の名が出てくる。律法は2人か3人の証人を定める。(申命記19:5) モーセもシナイ山に3人連れて上っている。(出エジ24:1)
   *2  黙示1:16
   *3  モーセ(モーセース(ギ))は律法、エリヤ(エリアス(ギ))は預言者の それぞれ代表であり、この二人で旧約聖書全体を象徴し、その成就者であるイエス・キリストと対面する。 モーセはその墓が知られず(申命記34:56)、エリヤは火の戦車と馬によって天に召された。(U列2:11) ルカ9:31では、そこでキリストの受難について語られていた。 また、黙示録11:3−13では、モーセとエリヤを思わせる2人の証人たちの働きがある。
   *11  エルケタイ(ギ、預言・現在) come、 アポカステーセイ(ギ、預言・未来) restore、元に戻す、 パリサイ人たちは、昔バビロンに持ち去られたマナの壺(出16:33)やアロンの杖(民17:10)を回復して、ユダヤ人たちに教えを説くだけ、と考えていて、 「子たちの心を父たちに向かわせる。」(マラキ4:6)という、世代間の断絶についての霊的回復のことではなかった。
   *15  ルカ9:38では 一人息子で、マルコ9:21では 幼い時から、 セレーニアゾマイ(ギ、動詞) てんかんを持つ は、月の影響を受ける の意、この場合 悪霊によるてんかんで 卒倒・硬直・自殺性の症状
   *17  アピストス(ギ) faithless、 強情な曲がった世代(申命記32:5)、  不信仰 とは、悪霊追い出しの権威が与えられた弟子たちも含めて、パリサイ人や群衆の そこに集まったすべての人々について言われた言葉
   *20  アピスティア(ギ) unbelief、不信仰、 エクエーテ(ギ) may be having、持っている(=神の(与える)信仰を持ちなさい(マルコ11:22))、からし種 = 神の語る言葉、これが信仰の土台となる、 山 = 今降りて来たばかりのヘルモン山、あるいは 山を移す=困難な問題を解決する事
   *21  アレキサンドリア型写本は この節を欠く、 マルコ9:27にはそのままある
   *24  エルサレム神殿の維持費(出エジ30:11−16による)として、アダルの月(第12の月、2−3月頃、過越の祭の前)に行い、20歳以上の男子が、ディ ドゥラクマ(ギ) = 2ドラクマ(2デナリ) = 半シェケル(半スタテル)(1ドラクマは当時 1日分の労賃)を納めることになっていた
   *25  納めます は補足、 テロス(ギ) costum、関税、toll、通行税、end、 ケンソス(ギ) tribute、貢、年貢
   *27  スカンダリゾー(ギ) つまずきの石を置く、罪を犯させる、誘惑する、不信仰にさせる、  1スタテル = 2デナリ で、2人分



  第18章


 1 その同じ時に、弟子たちがイエスのもとに来て言った。「それでは、天の御国ではだれが一番偉いのですか。」
 2 すると、イエスは幼子(おさなご)を呼び寄せ、彼らの真中に立たせて、
 3 言われた。「まことに、あなたがたに言います。悔い改めて幼な子のようにならなければ、天の御国に入ることはできません。
 4 この幼子のように自分を低くする者が、天の御国で最も偉大なのです。
 5 また、だれでも、このような一人の幼子を、わたしの名のゆえに受け入れる者は、わたしを受け入れるのです。
 6 しかし、わたしを信じるこれらの小さい者の一人をつまずかせる者は、ロバの引くひき臼を首に掛けられて湖の深みに沈められる方が まだましです。」
 7 つまずきを与えるこの世は、わざわいだ。つまずきは必ず来ます。しかし、それを来させる人は、わざわいです。
 8 もしあなたの片手または片足がつまずかせるなら、それを切って捨てなさい。両手、両足がそろったままで永遠の火に投げ込まれるよりは、片手、片足で 永遠のいのちに入る方が良いのです。
 9 もしあなたの片目がつまずかせるなら、それを抜き出して捨てなさい。両眼がそろったままでゲヘナの火に投げ入れられるよりは、片目になって永遠のいのちに入る方が良いのです。
10 あなたがたは、これらの小さい者の一人をも軽んじないように、気をつけなさい。それは、あなたがたに言いますが、彼らの御使いたちは、天にあって、天におられるわたしの父のみ顔をいつも仰いでいるからです。
11 人の子は、失われた者を救うためにきたのです。
12 あなたがたはどう思いますか。 ある人が百匹の羊を飼っていて、その中の一匹が迷い出たとすれば、九十九匹を山々に残しておいて、その迷い出ている羊を捜しに出かけないでしょうか。
13 もしそれを見つけたなら、まことに、あなたがたに言います。迷わなかった九十九匹のためよりも、むしろその一匹のために喜ぶでしょう。
14 そのように、これらの小さい者の一人が滅びることは、天におられるあなたがたの父のみこころではありません。

15 もしあなたの兄弟があなたに対して罪を犯すなら、行って、あなたと彼だけの所で叱責しなさい。もし聞いてくれたら、あなたの兄弟を得たことになります。
16 もし聞いてくれないなら、他に一人二人を、一緒に連れて行きなさい。それは、二人または三人の証人の口によって、すべての言葉が確かめられるためです
17 もし、それでも彼らの言うことを聞かないなら、教会に申し出なさい。もし教会の言うことも聞かないなら、その人を異邦人または取税人同様に扱いなさい。
18 よく言っておく。あなたがたが地上で縛ることは、天でも皆縛られ、あなたがたが地上で解くことは、天でもみな解かれるであろう。

19 もう一度あなたがたに言います。もしあなたがたのうちの二人が、どんな願い事についても地上で心を合わせて求めるなら、天におられるわたしの父は、それをかなえて下さいます。
20 それは、二人または三人が、わたしの名によって集まっている所には、わたしもその真中にいるからです。」
21 そのとき、ペテロがイエスのもとに来て言った。「主よ。兄弟が私に対して罪を犯した場合、何度、赦さなければなりませんか。七度までですか。」
22 イエスは彼に言われた。「わたしは、七度までではなく、七度を七十倍するとまで言います。

23 それゆえ、天国は王がしもべたちと決算をするようなものです。
24 決算が始まると、一万タラントの負債のある者が、王のところに連れて来られました。
25 しかし、返せなかったので、主人は、その人自身とその妻子と持ち物全部とを売って返すように命じました。
26 そこで、このしもべはひれ伏して哀願しました。『どうぞお待ちください。全部お返しいたしますから。』
27 しもべの主人は哀れに思って、彼を赦し、その負債を免除してやりました。
28 そのしもべが出て行くと、百デナリを貸している一人の仲間に出会い、彼をつかまえ、首をしめて、『借金を返せ。』と言いました。
29 そこでこの仲間は足元にひれ伏し、『どうか待ってください。返しますから。』と言って頼みました。
30 しかし承知せずに、その人を引っ張って行って、借金を返すまで獄に入れました。
31 その人の仲間たちは、この様子を見て、非常に心を痛め、行ってそのことを残らず主人に報告しました。
32 そこでこの主人は彼を呼びつけて言いました。『悪いしもべだ。私にあれほど願ったからこそ、あの負債を全部赦してやったのだ。
33 私があわれんでやったように、あの仲間をあわれんでやるべきではなかったか。』
34 そして主人は立腹して、負債全部を返してしまうまで、彼を獄吏に引き渡しました。
35 あなたがたも、もしあなたがたの心から、それぞれの兄弟の罪を赦さないならば、わたしの天の父もまたあなたがたに対して、このようになさるでしょう。」


   *3  ストゥレフォー(ギ) 方向転換して、 悔い改めて、
   *7  スカンダローン(ギ) つまずき、罪、罪の誘惑、   オウアイ(ギ) ああ(感嘆詞)、災いだ
   *8  エッコプト(ギ) 
cut off、切る、 バッロ(ギ) 投げ捨てる、  ゾエ(ギ) eternal life、(永遠の)いのち
   *9  ゲエンナ(ギ) ゲヘナ、火と硫黄の池 (黙示20:10、15)

   *10  当時のユダヤで一般に言われていたこと。 (§ さらに、実際、霊の見分けの経験のあかしより、人一人につき一人の御使い(守護天使)が生涯にわたってついている、ことと一致している。)
   *11  アレキサンドリア型では欠け、  あるいは 滅んでいる
   *15  ハマルタノー(ギ) 罪を犯す、  エレグコー(ギ) reprove、(前に戻って証明する)、叱る、戒める
   *16  申命記19:15、ヨハ8:17、Uコリ13:1、Tテモ5:19、ヘブ10:28、   レーマ(ギ) 言葉

   *17  エクレシア(ギ) (神の民の集まり、選ばれた者たちの集まり)、教会  ここでは地域教会 cf. 16:18
   *18  マタイ16:19、 ≒ ヨハネ20:23、  縛る = 禁止する、 解く = 許可する の意、   ペテロだけでなく、使徒全員に対する権限
   *20  メソス(ギ) midst、among、 真中に、只中に、  エイミ(ギ) いる、ある
   *24  1タラント = 6000デナリ、 (10000タラントは現代の日本円で安く見積もって1デナリ5000円としても、3000億円?)
   *28  (100デナリ、安く見積もって、50万円?)    人に対する罪は、神に対する罪よりも 比較にならないほど小さい、の意
   *34  バサニステース(ギ) 獄吏、審問官、苦しませる者 (ここだけ)  cf. デスモフュ―ラックス(ギ) 看守、獄吏 (使徒16:23 のみ)



  第19章


 1 イエスはこれらのことを語り終えられてから、ガリラヤを去って、ヨルダンの向こうのユダヤの地方へ行かれた。
 2 すると大ぜいの群衆がついて来たので、彼らをそこでおいやしになった。
 3 さてパリサイ人たちが近づいてきて、イエスを試みようとして言った。「何かの理由で、夫がその妻を離婚して出すのは、律法に合っているでしょうか。」
 4 イエスは答えて言われた。「あなたがたはまだ読んだことがないのですか。創造者は、初めから人を男と女とに造られ、
 5 そして言われました。『それゆえに、人は父母を離れ、その妻と結ばれ、ふたりの者は一体となるべきである。』
 6 彼らはもはや、ふたりではなく一体です。だから、神が合わせられたものを、人は離してはならないのです。」
 7 彼らはイエスに言った。「それでは、なぜモーセは、妻を出す場合には離縁状を渡せ、と定めたのですか。」
 8 イエスは言われた。「モーセはあなたがたの心が、かたくななので、妻を出すことを許しましたが、初めからそうではなかったのです。
 9 そこでわたしはあなたがたに言います。不貞の理由以外で、自分の妻を離別して他の女をめとる者は、姦淫を犯すのです。そして、離別された女をめとる者も姦淫を犯すのです
10 弟子たちは言った。「もし妻に対する夫の立場がそうだとすれば、結婚しない方がましです。」
11 するとイエスは彼らに言われた。「その言葉を受けいれることができるのはすべての人ではなく、ただそれを授けられている人々だけです。
12 というのは、母の胎内から独身者に生れついている者があり、また他の人から独身者にされた者もあり、また天の御国のために、自ら進んで独身者となった者もあります。この言葉を受け入れることのできる者は、受け入れなさい。」

13 そのとき、イエスに手を置いて祈っていただくために、人々が幼子たちをみもとに連れてきた。ところが、弟子たちは彼らを叱った。
14 するとイエスは言われた。「幼子たちから離れなさい。わたしのところに来るのを妨げてはならない。天の御国はこのような者たちの国です。
15 そして手を彼らの上に置いてから、そこを去って行かれた。

16 すると、見よ、一人の人がイエスに近寄って来て言った。「先生、永遠のいのちを得るためには、どんな良いことをしたらいいでしょうか。」
17 イエスは言われた。「なぜ良い事についてわたしに尋ねるのですか。良い方はただひとりだけ、すなわち神です。もし、永遠のいのちに入りたいと思うなら、戒めを守りなさい。」
18 彼は言った。「どの戒めですか。」 イエスは言われた。「『殺すな、姦淫するな、盗むな、偽証を立てるな。
19 父と母とを敬え。』 また、『自分を愛するように、あなたの隣人(となりびと)を愛せよ。』
20 この青年はイエスに言った。「それはみな、小さい時から守ってきました。他に何が足りないのでしょう。」
21 イエスは彼に宣言された。「もしあなたが完全になりたいと思うなら、帰ってあなたの持ち物を売り払い、貧しい人々に施しなさい。そうすれば、天に宝を持つようになるでしょう。そうしてから、わたしについて来なさい。」
22 この言葉を聞いて、青年は悲しみながら立ち去った。たくさんの資産を持っていたからである。

23 それからイエスは弟子たちに言われた。「まことに、あなたがたに言います。富んでいる者が天の御国に入るのは難しい。
24 また、あなたがたに言いますが、富んでいる者が神の国に入るよりは、らくだが針の穴を通る方が、もっとやさしい。」
25 弟子たちはこれを聞いて非常に驚いて言った。「それでは、だれが救われることができるのですか。」
26 イエスは彼らを見ながら言われた。「これは人にはできない事ですが、神にはすべての事が可能です。」
27 そのとき、ペテロがイエスに答えて言った。「ご覧ください。私たちはいっさいをそのままにして、あなたについてまいりました。私たちは何がいただけるでしょうか。」
28 イエスは彼らに言われた。「まことに、あなたがたに言います。世が改まって、人の子がその栄光の王座につく時には、わたしについて来たあなたがたもまた十二の座に着いて、イスラエルの十二の部族をさばくでしょう。
29 わたしの名のために、家、兄弟、姉妹、父、母、子、あるいは畑を捨てた者はだれでも、その幾倍もを受け、また永遠のいのちを受け継ぎます。
30 ただし、多くの最初の者たちは最後の者たちになり、最後の者たちは最初の者たちになるでしょう。


   *1  宮もうでに向かうユダヤ人たちは、敵対し”汚れた”サマリヤを通らず、ヨルダン川の向かいのペレア地方を通って大回りした
   *3  ペレア地方の国主ヘロデ・アンティパスの不正な再婚を責めたバプテスマのヨハネが殺された。この離婚問題は、危険な質問だった。  カタ パーサン アイティアン(ギ) どんな(些細な)理由ででも、 エクセスティ(ギ) be lawful、(特に、律法に対して)合法
   *5  創世記2:24、エペソ5:31、 一体 = (肉の)一人
   *7  申命記24:1−4
   *9  マタイ5:32
   *13  この パイディオン(ギ) 子供 は直訳であり、 ルカ18:15では ブレフォス(ギ) 幼子(おさなご、赤子から幼児までの小さい子供)なのでこう記した
   *14  (§ 天国見聞録で、3歳以下の子が死ぬと無条件で天国行き という)

   *16  :20−22では青年、ルカ18:8では 役人、マルコ10:17では、走り寄って 御前にひざまづいて 尋ねた、とあるので、熱心な求道者だった、  ゾエ(ギ) (永遠の)いのち、 アイオニオス(ギ) 永遠の
   *18、19  出エジ20:12−16、申命記5:16−20、  レビ19:18
   *20  = マルコ10:20
   *21  青年の心が持ち物・富にとらわれている心の状態について 言われた。(=6:24)、 フェミー(ギ)、エーフェ(過去・3単) affirmsay、declare 断言する、宣言する、 cf. マルコ10:21 見つめ、愛して、言われた、  テレイオス(ギ) perfect 完全な、full age
   *25  当時、物質的繁栄を神の祝福のしるし、富を持つことを徳、と教えられていた
   *28  クリノー(ギ) judge、さばく = 治める、支配する、のユダヤ的表現
   *30  プロトス(ギ)の複数 first ones、 エスカトス(ギ)の複数 last ones


  第20章


 1 天の御国は、ある家の主人が、自分のぶどう園に労働者を雇うために、夜明けと同時に出かけて行くようなものです。
 2 彼は労働者たちと、一日一デナリの約束をして、彼らをぶどう園に送りました。
 3 それから九時ごろに出て行って、他の人々が市場で何もせずに立っているのを見ました。
 4 そして、その人たちに言いました。『あなたがたも、ぶどう園に行きなさい。相当する賃銀を払うから。』
 5 そこで、彼らは出かけて行きました。主人はまた、十二時ごろと三時ごろとに出て行って、同じようにしました。
 6 五時ごろまた出て行くと、まだ立っている人々を見たので、彼らに言いました。『なぜ働かないで、一日中ここに立っていたのですか。』
 7 彼らが、『だれも私たちを雇ってくれませんから。』と答えたので、その人々に言いました。『あなたがたも、ぶどう園に行きなさい。』
 8 さて、夕方になって、ぶどう園の主人は管理人に言いました。『労働者たちを呼びなさい。そして、最後にきた人々から順に、最初にきた人々まで渡るように、賃銀を払ってやりなさい。』
 9 そこで、五時ごろに雇われた人々が来て、それぞれ一デナリずつもらいました。
10 ところが、最初の人々が来て、もっと多くもらえるだろうと思っていたのに、彼らもまた一デナリずつ受け取っただけでした。
11 受け取ったとき、家の主人に対して不平の言葉を
12 言いました。『この最後の者たちは一時間しか働かなかったのに、あなたは、一日中重荷を負い、暑さを辛抱した私たちと同じ扱いをなさいました。』
13 しかし彼はその一人に答えて言いました。『友よ。私はあなたに対して不正な事はしていません。あなたは私と一デナリの約束をしたではありませんか。
14 自分の分を持って行きなさい。私は、この最後の者にもあなたと同様に払ってやりたいのです。
15 自分の物を私がしたいようにする事は、合法でないのですか。それとも、私が気前良くしているのを、あなたの目にねたましく見えるのですか。』
16 このように、最後の者たちは最初の者たちになり、最初の者たちは最後の者たちになるでしょう。 それは、多くの人が呼ばれますが、選ばれる者は少ないからです

17 さて、イエスはエルサレムへ上るとき、十二弟子をひそかに呼び寄せ、その途中で彼らに言われた。
18 「見よ。わたしたちはエルサレムへ上って行きますが、人の子は祭司長たち、律法学者たちの手に渡されるでしょう。彼らは人の子に死刑を宣告し、
19 そして異邦人たちに引き渡し、彼らは人の子をあざけり、むち打ち、十字架につけ、それから人の子は三日目によみがえります。」
20 そのとき、ゼベダイの子らの母が、その子らと一緒にイエスのもとにきて礼拝して、何事かをお願いした。
21 そこでイエスは彼女に言われた。「何をしてほしいのですか。」 彼女は言った。「私のこのふたりの息子が、あなたの御国で、一人はあなたの右に、一人は左に座れるように、お言葉をいただきたいのです。」
22 イエスは答えて言われた。「あなたがたは、自分が何を求めているのか、分かっていないのです。わたしの飲もうとしている杯を飲み、わたしが受けたバプテスマを共に受けることができますか。」 彼らは「できます。」と答えた。
23 イエスは彼らに言われた。「確かに、あなたがたはわたしの杯を飲み、わたしの受けているバプテスマを受けることになるでしょう。しかし、わたしの右、左に座らせることは、わたしのすることではなく、わたしの父によって備えられている人々がいるのです。」
24 十人の者はこれを聞いて、このふたりの兄弟たちのことで憤慨した。

25 そこで、イエスは彼らを呼び寄せて言われた。「あなたがたの知っているとおり、異邦人の支配者たちはその民を治め、また偉い人たちは、その民の上に権力をふるっています。
26 あなたがたの間ではそうであってはいけません。かえって、あなたがたの間で偉くなりたいと思う者は、仕える者となり、
27 あなたがたの間でかしらになりたいと思う者は、しもべになりなさい。
28 それは、人の子が来たのが、仕えられるためではなく、仕えるためであり、また多くの人の代わりの贖い(あがない)*として、自分のいのちを与えるためであるのと、同じです。」

29 それから、彼らがエリコを出て行ったとき、大ぜいの群衆がイエスについて来た。
30 すると、ふたりの盲人が道ばたに座っていたが、イエスが通って行かれると聞いて、叫んで言った。「主よ、ダビデの子よ。私たちをあわれんで下さい。」
31 群衆は彼らを叱って黙らせようとしたが、彼らはますます叫び続けて言った。「主よ、ダビデの子よ。私たちをあわれんで下さい。」
32 イエスは立ちどまり、彼らを呼んで言われた。「わたしに何をしてほしいのですか。」
33 彼らは言った。「主よ、目をあけていただきたいのです。」
34 イエスは深くあわれんで、彼らの目にさわられた。すると彼らは、ただちに視力が回復し、イエスについて行った。


   *3  (直訳) 第3時
   *5  (直訳) 第6時、 第9時
   *6、9  (直訳) 第11時
   *15  アガソース(ギ)(直訳) good、良い、 ポネロス(ギ)(直訳) evil、wicked、悪い
   *17  エルサレムが近づき、イエスはより明確に 3つの点からご自身の受難について弟子たちに語られた
   *20  このような時に 再び 地位論争、  マルコ10:35、ゼベタイの子ヤコブとヨハネと その母サロメ
   *22、23  杯: 苦難の杯 十字架、殉教・迫害の事、  バプテスマ: 22節 アオ過去、 23節 現在形  ・・・ 聖霊のバプテスマの事、  備えられている: 完了形
   *26  メガス(ギ) great、偉大な、偉い、  ディアコノス(ギ) minister、servant 執事、仕える者
   *27  プロトス(ギ) 
first、chief かしら、  ドウロス(ギ) slave、servant しもべ、奴隷、仕える者
   *28  アンティ(ギ) instead for 代わりの、  リュトロン(ギ) ransom、ransom of life 代価、身代金、罪の奴隷となった人々を解放する いのちの代価、贖い  プシュケー(ギ) 息、(肉的)いのち
   *30  マルコ10:46、ルカ18:35 では 一人の盲人
   *32  (何をしてほしいのかを、あえて具体的に尋ねられた)



  第21章


 1 さて、彼らがエルサレムに近づき、オリーブ山沿いのベテパゲに着いたとき、イエスは二人の弟子を遣わして言われた。
 2 「向こうの村へ行きなさい。するとすぐ、ろばがつながれていて、子ろばがそばにいるのを見るであろう。それを解いてわたしのところに引いて来なさい。
 3 もしだれかが、あなたがたに何か言ったなら、主がお入り用なのです、と言いなさい。そう言えば、すぐ渡してくれるでしょう。」
 4 こうしたのは、預言者によって言われたことが、成就するためである。
 5 すなわち、「シオンの娘に告げよ。見よ。あなたの王があなたの所へ来られる。柔和なお方で、ろばに乗って、くびきを着けた、ろばの子に乗って。」
 6 弟子たちは出て行って、イエスがお命じになったとおりにし、
 7 ろばと子ろばとを引いてきた。そしてその上に自分たちの上着をかけ、イエスにその上に乗っていただくようにした。
 8 群衆のうち多くの者は自分たちの上着を道に敷き、また、他の者たちは木の枝を切って道に敷いた。
 9 そして群衆は、前に行く者たちも、後について来る者たちも、叫び続けて言った。「ダビデの子に、ホサナ。主の御名によって来られる方に、祝福あれ。 いと高き所に、ホサナ。」
10 イエスがエルサレムに入って行かれたとき、町中がこぞって騒ぎ立ち、「この方は、いったい、どなただろう。」と言った。
11 そこで群衆は、「この人はガリラヤのナザレ出身の、預言者イエスである」と言った。

12 それから、イエスは宮にはいられた。そして、宮の庭で売り買いしていた人々をみな追い出し、また両替人の台や、はとを売る者の腰掛をくつがえされた。
13 そして彼らに言われた。「『わたしの家は、祈りの家と呼ばれる。』と書いてある。それなのに、あなたがたはそれを強盗の巣にしている。」
14 そのとき宮の庭で、一人の盲人と 一人の足が不自由な人がみもとに来たので、彼らをおいやしになった。
15 しかし、祭司長たち、律法学者たちは、イエスがなされた不思議なわざを見、また宮の庭で、「ダビデの子に、ホサナ。」と叫んでいる子供たちを見て腹を立て、
16 イエスに言った。「あの子たちが何を言っているのか、聞いていますか。」 イエスは彼らに言われた。「はい。聞いています。あなたがたは、『幼子、乳飲み子たちの口に賛美を備えられた。』と書いてあるのを読んだことがないのですか。」
17 それから、イエスは彼らをあとに残し、都を出てベタニヤに行き、そこで夜を過ごされた。
18 朝早く都に帰るとき、イエスは空腹をおぼえられた。
19 そして、道のかたわらに一本のいちじくの木があるのを見て、そこに行かれたが、ただ葉のほかは何も見当らなかった。そこでその木に、「これからは永遠に、おまえには実がならないように。」と言われた。すると、いちじくの木はたちまち枯れた。
20 弟子たちはこれを見て、驚いて言った。「いちじくがどうして、このように 直ちに枯れたのでしょう。」
21 エスは答えて言われた。「まことに、あなたがたに言います。もしあなたがたが信仰を持っていて少しも疑わなかったならば、このいちじくの木にあったようなことができるばかりでなく、この山に向かって、持ち上がって、海の中に投げ込まれよ、と言っても、その通りになるでしょう。
22 また、すべてのことについて、祈りの中で、信じて、求めるものは、受け取るでしょう。」

23 イエスが宮に入られたとき、祭司長たちや民の長老たちが、その教えておられる所に来て言った。「何の権威によって、これらの事をするのですか。だれが、そうする権威を授けたのですか。」
24 そこでイエスは彼らに言われた。「わたしも一つだけ尋ねましょう。あなたがたがそれに答えてくれたなら、わたしも、何の権威によってこれらの事をするのか、あなたがたに言いましょう。
25 ヨハネのバプテスマはどこから来たのでしたか。天からですか、人からですか。」 すると、彼らは互に論じて言った。「もし天からだと言えば、では、なぜ彼を信じなかったのか、とイエスは言うだろう。
26 しかし、もし人からだと言えば、群衆が恐ろしい。人々がみなヨハネを預言者と思っているのだから。」
27 そこで彼らは、「わたしたちには分かりません。」と答えた。すると、イエスが言われた。「わたしも何の権威によってこれらの事をしているのか、あなたがたに言いません。
28 あなたがたはどう思いますか。ある人に二人の息子がいましたが、兄のところに行って言いました。『息子よ。今日、私のぶどう園に行って働いてくれ。』
29 すると彼は、『行きません。』と答えましたが、後で悔い改めて、行きました
30 また弟のところにきて同じように言いました。彼は、『行きます。お父さん」』と答えましたが、行きませんでした
31 この二人のうち、どちらが父の望みどおりにしましたか。」 彼らは言った。「最初の者です。」 イエスは言われた。「まことに、あなたがたに言います。取税人や遊女の方が、あなたがたより先に神の御国に入っています。
32 それは、ヨハネがあなたがたのところに来て、義の道を説いたのに、あなたがたは彼を信じませんでした。ところが、取税人や遊女は彼を信じました。あなたがたはそれを見たのに、後になっても悔い改めず、彼を信じなかったからです。
33 もう一つの たとえを聞きなさい。ある所に、ひとりの家の主人がいましたが、ぶどう園を造り、生垣をめぐらし、その中に酒ぶねの穴を掘り、やぐらを立て、それを農夫たちに貸して、旅に出かけました。
34 収穫の季節が来たので、その分け前を受け取ろうとして、しもべたちを農夫たちのところへ送りました。
35 すると、農夫たちは、そのしもべたちをつかまえて、ひとりを袋だたきにし、ひとりを殺し、もうひとりを石で打ち殺しました。
36 再度、前よりも多くのしもべたちを送りましたが、彼らをも同じようにしました。
37 しかし最後に、私の一人息子は敬ってくれるだろうと思って、主人は息子を彼らの所に遣わしました。
38 すると農夫たちは、その息子を見て互に言いました。『あれは跡取りだ。さあ、彼を殺して、彼の相続財産を手に入れよう。』
39 そして彼をつかまえて、ぶどう園の外に引き出して殺してしまいました。
40 このぶどう園の主人が帰って来たら、この農夫たちをどうするでしょうか。」
41 彼らはイエスに言った。「悪人どもを、皆殺しにして、季節ごとに収穫を納める他の農夫たちに、そのぶどう園を貸すでしょう。」
42 イエスは彼らに言われた。「あなたがたは、聖書でまだ読んだことがないのですか。『家を造る者たちの見捨てた石が、隅のかしら石になった。これは主がなされたことで、私たちの目には不思議に見える。』
43 このみことばにより、あなたがたに言いますが、神の御国はあなたがたから取り上げられて、御国の実を結ぶ異邦人に与えられるでしょう。
44 またその石の上に落ちる者は打ち砕かれ、それが誰かの上に落ちるなら、その人は粉々に砕かれるでしょう。」
45 祭司長たちやパリサイ人たちがこの たとえを聞いたとき、自分たちを指して言っておられることに気がついたので、
46 イエスを捕えようとしたが、群衆を恐れた。群衆はイエスを預言者と認めていたからである。


   *1  受難週; 時は過越の祭で、エルサレムの周辺30キロに住む成人男子はこれに参加する義務があった、 ベースファゲー(ギ) ベテ・パゲ、いちじくの家、の意、 cf. ヨハネ12:1では、過越の祭の6日前(金曜日)にベタニヤに到着。そこで安息日を過ごし、日曜日にエルサレムへ入城する。
   *2  人がまだ使っていない家畜は聖別して用いられた(民数記19:2、申命記21:3、Tサムエル6:7)、  荷物を運ぶ とも訳せる

   *5  ゼカリヤ9:9、  シオンの娘 = エルサレム市民
   *7  人が乗ったことのないろばは 普通は暴れて乗れたものではないので、人々はこの奇跡を見て喝采した

   *8  上着を道に敷くのは群衆がイエスを王として認めて、迎えたこと、の意(U列王記9:13)、  ホサナ(アラム語) 今お救い下さい、(→ 転じて、新約時代は) 栄光あれ、祝福あれ、の意
   *9  主の御名によって来られる方に、祝福あれ(詩篇118:25、26)  過越の祭と 仮庵の祭では 詩篇118:25−28 を交読しながら歩いて行った
   *12  宮きよめ: マルコ11:11より、その日はベタニヤに帰り、月曜日に宮きよめをされた。 宮: 異邦人の庭 で 異邦人も入れた。 両替: ローマ帝国内各地の貨幣を、定められた半シェケル貨幣に両替して宮の納入金としたが、1/10〜1/6の手数料をとられた。 はと:(大祭司アンナス一家の役得) 鳩(レビ12:8)などのいけにえは、傷のないものである必要があるので、人々は持っていって面倒な検査を受けるよりも、検査済の割高な動物を買った。
   *13  イザヤ56:7、  エレミヤ7:11

   *16  詩篇8:2
   *18  マルコ11:12、15より、これは月曜日の宮きよめに行く朝のこと
   *19  いちじくの季節は初なり(6月)と秋いちじく(8、9月)、しかし実は必ず少しはあったはず。無かったので病的な木であることが判明した。  この木が枯れたことは、葉ばかりの形式主義で 真に神に実を結ぶことをしないユダヤ教を暗に批判された。 たちまち; マルコ11:20、21より、枯れたのは火曜日の朝

   *21  マルコ11:23、  エケーテ ピスティン(ギ、現在)、you are having faith、(あなたがたが)信仰を持っていて、  メー ディアクリセーテ(ギ)、not you-may-be-doubting(アオ過去(不定過去)) (一度も)疑うことをせず、 エイペーテ(ギ)、you say(アオ過去2(瞬時過去))、(あなたがたが、過去の特定の時に一度)言って
   *30  キュリエ(ギ) Sir、(Lord)
   *42  詩篇118:22、23、  アポドキマゾー(ギ) 審判の結果捨てる、  ケファレーン ゴーニアス(ギ、単数)、the head stone of the corner、二つの構造物(壁・柱)の接合点の土台石



  第22章


 1 イエスはまた、たとえで彼らに語って言われた。
 2 「天の御国は、一人の王がその王子のために、婚宴を催すようなものです。
 3 王はそのしもべたちを遣わして、この婚宴に招かれていた人たちを呼びましたが、その人たちは来ようとはしませんでした。
 4 そこでまた、他のしもべたちを遣わして言いました。『招かれた人たちに言いなさい。さあ、食事の用意ができました。牛も肥えた家畜もほふられて、すべての用意ができました。さあ、婚宴においでください。』
 5 しかし、彼らはこれを無視して、一人は自分の畑に、一人は自分の商売に出て行き、
 6 また他の人々は、このしもべたちをつかまえて辱めた上、殺してしまいました。
 7 そこで王は激怒し、軍隊を送ってそれらの人殺しどもを滅ぼし、その町を焼き払いました。
 8 それからしもべたちに言いました。『婚宴の用意はできているが、招かれていたのは、それに価しない者たちであった。
 9 だから、町の大通りに出て行って、出会った人はだれでも婚宴に呼んできなさい。』
10 そこで、しもべたちは道に出て行って、出会った人は、悪人たちでも良い人たちでも、みな集めてきたので、婚宴の席は客でいっぱいになりました。
11 王は招かれた人たちを見ようとして入って来ましたが、そこに礼服をつけていない一人の人を見て、
12 彼に言いました。『友よ、どうしてあなたは礼服を持たないで、ここに入って来たのですか。』 しかし、彼は黙っていました。
13 そこで、王は側近の者たちに言いました。『この者の手足を縛って、外の暗やみに放り出しなさい。そこで泣いたり、歯ぎしりしたりするであろう。』
14 招かれる者は多いが、選ばれる者は少ないのです。」

15 そのときパリサイ人たちが来て、どうかしてイエスを言葉のわなにかけようと、相談をした。
16 そして、彼らの弟子を、ヘロデ党の者たちと共に、イエスのもとにつかわして言わせた。「先生、私たちはあなたが公義の方であって、真理に基いて神の道を教え、また、だれをもはばかられない方であることを知っています。それは、あなたが人の顔色を見られないからです。
17 それで、あなたはどう思われますか、言ってください。カイザルに税金を納めることは、律法に対して合法ですか、違法ですか。」
18 イエスは彼らの悪意を知って言われた。「偽善者たちよ、なぜわたしを試そうとするのですか。
19 税に納める貨幣を見せなさい。」 彼らはデナリ一つを持ってきた。
20 そこでイエスは言われた。「これは、だれの肖像、だれの銘ですか。」
21 彼らは、「カイザルのです。」と答えた。するとイエスは言われた。「それでは、カイザルのものはカイザルに、そして、神のものは神に、返しなさい。」
22 彼らはこれを聞いて驚嘆し、イエスを残して立ち去った。

23 復活ということはないと主張していたサドカイ人たちが、その日、イエスのもとにきて質問した。
24 「先生、モーセはこう言っています。『もし、ある人が子がなくて死んだなら、その弟は兄の妻をめとって、兄のために子をもうけねばならない。』
25 さて、わたしたちのところに七人の兄弟がありました。長男は妻をめとったが死んでしまい、そして子がなかったので、その妻を弟に残しました。
26 次男も三男も、ついに七人とも同じことになりました。
27 最後に、その女も死にました。
28 すると復活の時には、この女は、七人のうちだれの妻なのでしょうか。みんながこの女を妻にしたのですが。」
29 イエスは答えて言われた。「あなたがたは、聖書も、神の力も知らないから、思い違いをしています。
30 なぜなら、復活の時には、彼らはめとったり、とついだりすることはなく、彼らは天にいる御使いのようだからです。
31 また、死人の復活については、神があなたがたに言われた言葉を読んだことがないのですか。
32 『わたしはアブラハムの神、イサクの神、ヤコブの神である。』と書いてあります。神は死んだ者の神ではなく、生きている者の神です。」
33 群衆はこれを聞いて、イエスの教えに驚いた。

34 さて、パリサイ人たちは、イエスがサドカイ人たちの口を封じられたと聞いて、一緒に集まった。
35 そして彼らの中のひとりの律法家が、イエスを試そうとして質問した。
36 「先生、律法の中で、どの戒めが最も大切ですか。」
37 イエスは言われた。 「『あなたのすべての心で、すべてのたましいで、すべての知力で、あなたの神である主を愛せよ。』
38 これが第一の、最も偉大な戒めです。
39 第二もこれと同様に偉大です。 『自分を愛するように、あなたの隣人(となりびと)を愛せよ。』
40 律法全体と預言者は、これらの二つの戒めに、要約されています。」

41 パリサイ人たちが集まっていたとき、イエスは彼らにお尋ねになった。
42 「あなたがたはキリストをどう思いますか。誰の子ですか。」 彼らは、「ダビデの子です。」と答えた。
43 イエスは言われた。「それではどうして、ダビデが御霊に感じてキリストを主と呼んでいるのですか。
44 すなわち、『主はわが主に仰せになった。あなたの敵どもをあなたの足の足台として置くまでは、わたしの右に座していなさい。』
45 このように、ダビデがキリストを主と呼んでいるなら、キリストはどうしてダビデの子なのでしょうか。」
46 そして、誰もがイエスに一言も答えることができなかった。また、その日から、もはや誰も、進んでイエスに質問する者はいなくなった。


   *11  古くから王の方から、宮廷に出る者に礼服を渡した(創世記41:14、45:22、士師記14:12、U列王記10:22、エステル2:3、8:15)、 王は招かれた人の服装を見ている。  礼服とは、義の衣であり、キリストを着ること(ガラテヤ3:27)、新しい人を着ること(エペソ4:24)
   *15  パリサイ人たちは普段は対立するヘロデ党とも組んで、3つの陰険な問題提起をしようとする
   *16  アレセース(ギ) truth、真理、公義、真実、  (直訳) 人に関して関心がない
   *17  納税を認めれば ローマに協力するヘロデ党に賛成したことになり、パリサイ人、熱心党、一般の国民からの支持を失う。認めなければ 国主ヘロデとそれに就く者たちから反逆者とされる。  ケーンソス(ギ) 税金、ローマへの人頭税で、一人1デナリ納めることになっていた  エクセスティ(ギ) 
lawful、(律法に対して)合法
   *20  エピグラフェ(ギ) superscription タイトル、表題、 inscription 碑文、銘刻
   *21  アポディドーミ(ギ) 返す、= 当然の義務として納めるように言っている。 地上ではローマへの税金も、 天上では、神に造られた人間がその全存在を神にお返しすることも、両方とも義務であるとしている。 (ローマへの納税は、パウロもペテロも同様に教えている(ローマ13:67、Tペテロ2:13−17))
   *24  申命記25:5
   *28  復活の時のこの女性の困惑を考えると、復活信仰は不条理である、というのが(復活を否定する)サドカイ人の論旨
   *29  (直訳)欺かれている、騙されている

   *30  御使い(メッセンジャー)のようである = 結婚、出産、死亡ということはなくなり、永遠の存在となること
   *32  出エジ3:6、   アブラハムの死去の後の現在も、主はアブラハムの神であり(エゴー、現在、I am)、それゆえ彼はやがて必ず復活する の意
   *35  ノミコース(ギ) lawyer、律法家、律法の専門家 (マタイでここだけ、あとはルカ、テトスに出現、 ルカ7:30、10:25、11:45、46、52、14:3、テト3:9、3:13)
   *37  申命記6:5  カルディア(ギ):heart、心、 プシュケー(ギ):soul、たましい、いのち、 ディアノイア(ギ):complehension、知力、理解力
   *38  メガス(ギ) 
great、大きい、偉大な
   *39  レビ19:18
   *40  律法全体と預言者たち = 旧約聖書全体、  クレマンヌミ(ギ) 
hang、かかる、依存する、  聖書全体を要約すると 究極的にはこの2つの戒めになる、の意
   *41  キリスト: メシヤ = イスラエルを救う油注がれた王

   *44  詩篇110:1、  ヒュポポディオン(ギ) footstool、足台



  第23章


 1 それからイエスは、群衆と弟子たちとに語られて、
 2 こう言われた。「律法学者とパリサイ人とは、モーセの座に座っています。
 3 だから、彼らがあなたがたに守るように言うことは、みな守って実行しなさい。しかし、彼らのすることには、まねてはいけません。彼らは言うだけで、実行しないからです。
 4 また、重くて運びにくい荷物を人々の肩に置いてくくり付けるが、それを動かすためには、自分では指を一本でも動かそうとはしません。
 5 そのすることは、すべて人に見せるためです。すなわち、彼らは経札を幅広く作り、その衣のふさを大きくし、
 6 また、宴会の上座、会堂の上席を好み、
 7 広場であいさつされることや、人々から先生、先生と呼ばれることを好んでいます。
 8 しかし、あなたがたは先生と呼ばれてはいけません。それは、あなたがたのは ただ一人、キリストであり、あなたがたはみな兄弟だからです。
 9 また、地上のだれをも、父と呼んではいけません。それは、あなたがたの父はただ一人、すなわち、天におられる父だからです。
10 また、あなたがたは師と呼ばれてはいけません。それは、あなたがたの師はただ一人、すなわち、キリストだからです。
11 そこで、あなたがたのうちで一番偉大な者は、仕える人でなければなりません。
12 だれでも自分を高くする者は低くされ、自分を低くする者は高くされます。

13 しかし、災いだ。あなたがた、偽善の律法学者、パリサイ人たちよ。あなたがたは、人々の前で天の御国を閉ざしています。自分たちも入らないし、入ろうとする人たちをも入らせません。
14 災いだ。あなたがた、偽善の律法学者、パリサイ人たちよ。あなたがたは、未亡人の家々を食いつぶし、一方、見栄のために長い祈りをします。これによって、あなたがたは非常に厳しいさばきを受けることになります
15 災いだ。あなたがた、偽善の律法学者、パリサイ人たちよ。あなたがたは一人の改宗者をつくるために、海と陸とを行き巡ります。そして、つくったなら、彼を自分たちより倍もひどいゲヘナの子にします。
16 災いだ。あなたがた、盲目な案内者たちよ。あなたがたは言います。『神殿をさして誓うなら、そのままでよいが、神殿の黄金をさして誓うなら、果す責任がある。』と。
17 愚かで盲目な人たちよ。黄金と、黄金を聖なるものにする神殿と、どちらが大事ですか。
18 また、あなたがたは言います。『祭壇をさして誓うなら、そのままでよいが、その上の供え物をさして誓うなら、果す責任がある。』と。
19 盲目な人たちよ。供え物と、供え物を聖なるものにする祭壇と、どちらが大事ですか。
20 祭壇をさして誓う者は、祭壇と、その上にあるすべての物とをさして誓うのです。
21 神殿をさして誓う者は、神殿と、その中に住んでおられる方とをさして誓うのです。
22 また、天をさして誓う者は、神の御座と、その上に座っておられる方とをさして誓うのです。
23 災いだ。あなたがた、偽善の律法学者、パリサイ人たちよ。ハッカ、イノンド、クミンなどの十分の一を宮に納めていながら、律法の中ではるかに重要な、正義も あわれみも 忠実も 放置しています。十分の一もおろそかにできませんが、これこそ、するべきことです。
24 盲目な案内者たちよ。あなたがたは、ぶよは濾(こ)しているが、らくだは飲み込んでいます。
25 災いだ。あなたがた、偽善の律法学者、パリサイ人たちよ。杯と皿との外側はきよめるが、内側は、強奪と放縦とで満ちています。
26 盲目なパリサイ人よ。まず、杯の内側をきよめなさい。そうすれば、外側もきよくなります。
27 災いだ。あなたがた、偽善の律法学者、パリサイ人たちよ。あなたがたは白く塗った墓に似ています。外側は美しく見えますが、内側は死人の骨や、あらゆる汚れたものでいっぱいです。
28 このようにあなたがたも、外側は人には義人のように見えますが、内側は偽善と不法とでいっぱいです。
29 災いだ。あなたがた、偽善の律法学者、パリサイ人たちよ。あなたがたは預言者たちの墓を建て、義人たちの記念碑を飾って、こう言っています。
30 『もし私たちが、私たちの先祖の時代にいたなら、預言者たちの血を流すことに加担してはいなかっただろう。』と。
31 このようにして、あなたがたは預言者たちを殺した者の子孫らであることを、自分で証明しているのです。
32 あなたがたもまた、あなたがたの先祖たちの罪の目盛りを満たしなさい。
33 蛇どもよ、まむしの子らよ。どうしてゲヘナの刑罰を逃れることができるでしょうか。
34 それだから、見よ。わたしは、預言者たち、知者たち、学者たちをあなたがたに遣わしますが、そのうちのある者を殺し、また十字架につけ、そのある者を会堂でむち打ち、また町から町へと迫害して行くのです。
35 こうして義人アベルの血から、聖所と祭壇との間であなたがたが殺したバラキヤの子ザカリヤの血に至るまで、地上に流された義人の血の報復が、ことごとくあなたがたの上に来るでしょう。
36 まことに、あなたがたに言います。これらのことは、すべて、今の時代にやって来ます。

37 エルサレム、エルサレム。預言者たちを殺し、おまえに遣わされた者たちを石で打ち殺す者よ。 めんどりが翼の下にそのひなを集めるように、わたしはおまえの子らを幾たび集めようとしたことでしょう。しかし、あなたがたはそれを望まなかった。
38 見よ。あなたがたの家は荒れ果てたままにされます。
39 わたしは言っておきます。『主の御名によって来られる方に、祝福あれ。』と、あなたがたが言う時までは、今後は、決してわたしを見ることはありません。」


   *1  彼らが間違って教えられてきたパリサイ主義を痛烈に批判することによって、弟子たちや群衆を正しい道に導こうとされた
   *5  フラクテリオン(ギ) 額や左腕に付けた、聖句の紙切れを入れた小さな革製の箱(申命記6:8)、 クラスペドン(ギ) 着物の四隅に付けた ざくろ型のふさ(民数記15:38)
   *6  (晩餐の)横になる席、  (シナゴーグの)主賓席
   *7、8  ラビ、ラビ(ギ、ヘ) Rabbi、Rabbi 先生、先生
   *8、10  カセゲーテス(ギ) guide、master 導き手、師、教師
   *13  ここから直接的に、律法学者パリサイ人たちへ 8回、災いだ、と宣告している。  クレイオー(ギ) shut up 閉じる、閉める
   *14  マルコ12:40、ルカ20:47
   *15  プロセリュートス(ギ) ユダヤ教への異邦人の改宗者、 もっとひどいパリサイ主義の奴隷となった
   *16  ナオス(ギ) 神殿(Tコリ3:16、黙21:22)、聖所、  メイゾーン(ギ) より偉大、より重要
   *18  スュシアステリオン(ギ) alter(for the burnt offerings) (全焼のいけにえの)祭壇、 または 香の祭壇
   *23  アネソン(ギ) dill、ディル(セリ科の香草)、  アポデカトー(ギ) tithe、十分の一税、十分の一(什一)献金、  ピスティス(ギ) faith、fauthfulness、信仰、忠実  後の、十分の一 は補足
   *27  過越の祭が近づくと、巡礼者たちが間違って墓に触れないように白く塗った
   *32  罪の は補足
   *35  祭司エホヤダの子ゼカリヤ?(U歴代誌24:20、21) これではバラキヤの子ではない。  報復 は補足。  聖書の最初から最後まで義人を迫害したエルサレムの歴史は、この時代に罪の目盛りが満ちて、AD70年、ローマ軍によるエルサレム滅亡が成就した
   *39  詩篇118:26、マタイ21:9、  決して は補足(ウー not、メー no、で2回も強く否定)



  第24章


 1 イエスが宮から出て行こうとしておられると、弟子たちは近寄ってきて、イエスに宮の建物を指し示した。
 2 そこでイエスは彼らに言われた。「あなたがたは、これらすべてのものを見ているのではないですか。まことに、あなたがたに言います。 その石一つでも崩されずに、他の石の上に乗って残ることは、決してありません。

 3 そして、イエスがオリーブ山に座っておられると、弟子たちが ひそかにみもとに来て言った。「どうぞお話しください。いつ、これらのことが起るのでしょうか。あなたが来られる時や、この時代終りには、どんな前兆があるでしょうか。」
 4 そこでイエスは答えて言われた。 「人に惑わされないように気をつけなさい
 5 それは、多くの者がわたしの名によって現れ、『私はキリストだ。』と言って、多くの人が惑わされるからです。
 6 また、戦争と戦争のうわさとを聞くでしょう。しかし、慌てないように注意しなさい。なぜなら、必ずそれらすべてのことは起こりますが、まだ終わりが来たのではないからです。
 7 また、民族は民族に、国は国に敵対して立ち上がり、あちこちに、ききんが起り、疫病が起こり、また地震があるからです。
 8 しかし、これらはすべて、産みの苦しみの初めです。

 9 それから、人々は、あなたがたを艱難に引き渡し、また殺すでしょう。またあなたがたは、わたしの名のゆえにすべての民に憎まれるでしょう。
10 また、多くの人がつまずき、互いに裏切り、憎み合うでしょう。
11 また多くのにせ預言者が起って、多くの人を惑わすでしょう。
12 また不法増加するので、多くの人の愛が冷えるでしょう。
13 しかし、終わりの時まで踏みとどまった者は救われます
14 そして、この御国の福音は、全世界に宣べ伝えられ、すべての民族にあかしされ、それから終わりの時が来ます。

15 それゆえ、預言者ダニエルによって語られた、ぞっとする憎むべき者が、聖なる場所に立つのを見た時には(読者よ、悟りなさい)、
16 そのとき、ユダヤにいる人々は山々へ逃げなさい。
17 屋上にいる者は、家から物を取り出そうとして下に降りてはいけません。
18 畑にいる者は、上着を取りに戻って行ってはいけません。
19 その日々には、ああ悲惨だ。身重の女と乳飲み子をもつ女とは。
20 あなたがたの逃げる日が、冬や安息日にならないように祈りなさい。
21 というのは、そうなれば、世の初めから現在に至るまで、かつてなく今後もないような大きな患難が起るからです。
22 もしその期間が短くされないなら、すべての肉なる者は 一人も救われないでしょう。しかし、選民のために、その期間は短くされます。

23 そのとき、だれかがあなたがたに、『見よ。ここにキリストがいる。』、また、『あそこにいる。』と言っても、それを信じてはいけません。
24 にせキリストたち、にせ預言者たちが起こって、大いなるしるしと奇跡とを行なって、できれば、選民をも惑わそうとするでしょう。
25 見よ。わたしはあなたがたに、前もって言いました。
26 それゆえ、人々が、『見よ。彼は荒野にいる。』と言っても、出て行ってはいけません。また、『見よ。小部屋の中にいる。』と言っても、信じてはいけません。
27 なぜなら、ちょうど、いなずまが東から西にひらめき渡るように、人の子の現れもまた そのようだからです。
28 死体のあるところには、はげたかが集まるものです。
29 しかし、これらの患難の日々の後、ただちに太陽は暗くなり、月は光を放たず、星々は空から落ち、天の力は揺り動かされます。
30 そして、その時、人の子のしるしが天に現れます。またその時、地のすべての種族は嘆き、そして、人の子が、大いなる力と栄光と共に、天の雲に乗って来るのを、人々は見ます。
31 また、彼は大いなるラッパの音と共に御使いたちを遣わして、天の端から端に至る、四方から、その選民を集めます。

32 いちじくの木からこの たとえを学びなさい。その枝が柔らかになり、葉が出るようになると、夏の近いことがわかります。
33 そのように、すべてこれらのことを見たならば、そのことが戸口まで近づいていると知りなさい。
34 まことに、あなたがたに言います。これらのすべての事が起ってしまうまでは、決してこの時代は過ぎ去りません。
35 天地は過ぎ去ります。しかしわたしの言葉は決して過ぎ去るということはありません。
36 その日、その時は、だれも知りません。天の御使いたちも知りません。ただ父だけが知っておられます。
37 人の子の現れるのは、ちょうどノアの時のようです。
38 すなわち、洪水の前の日々は、ノアが箱舟に入る日まで、人々は食い、飲み、めとり、とついだりしていました。
39 そして洪水が襲ってきて、一切のものを取り去っていくまで、彼らは知らなかったのです。人の子の現れるのも、そのようになります。

40 そのとき、二人の者が畑にいると、一人は迎えられ、一人は残されるでしょう。
41 二人の女が臼をひいていると、一人は迎えられ、一人は残されるでしょう。
42 だから、目を覚ましていなさい。いつの時間にあなたがたの主が来られるのか、あなたがたには、知らないからです。
43 このことを知っておきなさい。家の主人は、盗賊がいつごろ来るか分かっているなら、目を覚まして見張っていたことでしょう。そして、自分の家に押し入られる目に遭わなかったことでしょう。
44 それゆえ、あなたがたも備えをしていなさい。あなたがたの思いもしない時間に人の子は来るからです。
45 主人がその家のしもべたちの上に立てて、時に応じて食事を備えさせる忠実な思慮深いしもべとは、一体、だれでしょう。
46 主人が帰ってきた時、そのように務めているのを見られるしもべは、幸いです。
47 まことに、あなたがたに言います。主人は彼を立てて自分の全財産を管理させます。
48 もしそれが悪いしもべであって、自分の主人は帰るのが遅れていると心の中で思い、
49 そのしもべ仲間を打ち叩き始め、また酒飲み仲間と一緒に食べたり飲んだりしているなら、
50 そのしもべの主人は思いがけない日の、気がつかない時間に帰ってきて、
51 彼を真っ二つに切り、偽善者たちと同じ目に合わせるでしょう。彼はそこで泣いて歯ぎしりするのです。


   *1  この章はAD70年の神殿破壊の予告のみならず、2重預言になっていて、現在のすべての信徒が終末に備えることの注意喚起でもある。 金の屋根と大理石の建物、
   *2  AD70年のエルサレム神殿破壊の時、ローマ軍の予定になかった大火災が起こり、その熱で神殿内の壁や天井などの金が溶けて床石の隙間に流れ込んだので、その金を回収するためすべての床石をひっくり返したことで、この預言は成就した
   *3  アイオン(ギ) world、for ever、period of time、age 世界、永遠、時代、 スュンテレイア(ギ) completion、end、完了、終了、  セーメイオン(ギ) sign、miracle、wonder 前兆、しるし、奇跡(=マタイ12:38、39など)
   *4  (直訳) 誰もあなたがたを騙すことのないようにしなさい
   *6、13、14  テロス(ギ) endend time、 終わり、終わりの時
   *7  エスノス(ギ) Gentiles、nation、異邦人、民族、 バシレイア(ギ) kingdom、王国、  イザヤ19:2、U歴15:6、  ロイモス(ギ) pestilence、疫病
   *8  アルケー(ギ) begining、principality 始まり、根源、起源、公国、  オディーン(ギ) pain of childbirth、travail pain 産みの苦しみ、陣痛 (マルコ13:8、使徒2:24、Tテサ5:3)
   *9、21、29  スリプシス(ギ) pressing、tribulation、oppression 重圧で破砕する → 抑圧、困難、艱難、迫害 (マタイ13:21、24:21、29、ヨハネ16:33、使徒7:10、11:19、ローマ8:35、Uコリ8:2、黙示2:9、7:14 など)
   *10  スカンダリゾー(ギ) (石に)つまずく、(信仰が)つまずく、罪を犯させる・そそのかす (マタイ13:21、18:7)
   *12  アノミア(ギ) iniquity、contempt and violation of law 不法、律法の軽視・違反
   *13  ヒュポメイナス(ギ、アオ過去(不定過去)) 踏みとどまった (<ヒュポメノー) remain、preserve、endure、 留まる(ルカ2:43)、踏みとどまる(マタイ10:22、使徒17:14 など)、保つ・維持する、  ソーセンタイ(未来) 救われます
   *15  ダニエル9:27、 ダニエル書では「ぞっとする忌むべきもの」は複数。  (エレモシス(ギ) 荒らさせる△) ダニエル書のメショーメム(へ)は、サーメム(へ、荒廃させる)のプアル態で、appalling、ぞっとするような、凄まじい、驚かせる の意。  ブデルグマ(ギ)、シクーチ(ヘ) abomination(単数) 忌むべきもの、偶像。  すなわち、(これから建てられる)第3神殿の至聖所に、反キリストの偶像が立てられること  cf. ルカ21:20では ローマの軍隊 (一度、すでに成就)、  ノエイトー(ギ) understand、理解しなさい
   *16  オレー(ギ) mountains、山々(複数)(= 当時(AD67年)、エルサレムを包囲していたローマ軍が引いた隙に、デカポリス(ヨルダン川の向こうの丘陵地)のペラに脱出した)
   *17  ドーマ(ギ) housetop、(マタイ10:27) 屋上の間は、家の脇の外階段で上る。降りても家に入らず外へ出られる構
   *22  サルクス(ギ) flesh、肉、肉なる者
   *28  プトーマ(ギ) 死体(単数)、 アエトイ(ギ) eagles、ハゲタカ(複数)
   *29  黙示録6:12−14
   *31  大きなラッパの音(単数)とともに (Tコリ15:52、Tテサ4:16、黙示10:7)、  テッサローン アネモーン(ギ) four winds、(直訳) 4つの風  (cf. テッサラス アネモウス 黙示7:1)
   *35  パレールコマイ(ギ) 
pass away、pass by、過ぎ去る、((意訳) 滅びる)
   *36  マタイの福音書では、「子も知らない」 が入っていない。(cf.マルコ13:32、使徒1:7)
   *40、41  パラランバノウ(ギ) take up、take away、receive、取り去る、 迎える(ヨハネ14:3)
   *45  ピストス(ギ) faithful、(人が)忠実な、約束を守る(ガラ5:22)、(神が)語ったことを成し遂げる、誠実(Tコリ10:13、Tテサ5:24、黙示19:11)
   *46  マカリオス(ギ) 幸い (マタイ5:3 等)
   *51  ディコトメーオー(ギ) cut into two parts、二つに切る (ルカ12:46)



  第25章


 1 そこで天の御国は、十人のおとめがそれぞれ ともしびを手にして、花婿を迎えに出て行くのに似ています。
 2 その中の五人は賢く、五人は愚かでした。
 3 愚かな娘たちは、ともしびは持っていたが、油を持って行きませんでした。
 4 しかし、賢い娘たちは、自分たちのともしびと一緒に、容器に入ったオリーブ油を用意していました。
 5 花婿の来るのが遅れたので、彼らはみなうとうとして、寝てしまいました。
 6 夜中に、『さあ、花婿が来た。迎えに出なさい。』と叫ぶ声がしました。
 7 そのとき、おとめたちはみな起きて、それぞれ ともしびを整えました。
 8 ところが、愚かなおとめが賢いおとめに言いました。『あなたがたの油を私たちに分けてください。私たちの ともしびは消えかかっています。』
 9 すると、賢いおとめが答えて言いました。『私たちの分が足りなくなるといけないので、店に行って、あなたがたの分を買ったほうが良いでしょう。』
10 彼らが買いに出ているうちに、花婿が着きました。そこで、用意のできていたおとめたちは、花婿と一緒に婚宴の部屋にはいり、そして戸が閉められました。
11 その後で、他のおとめたちも来て、『ご主人様、ご主人様。どうぞ、開けてください。』と言いました。
12 しかし彼は答えて、『確かに、あなたがたに言います。私はあなたがたを知りません。』と言いました。
13 だから、目を覚ましていなさい。その日、その時間は、あなたがたには分からないからです。

14 また天の御国は、ある人が旅に出るとき、そのしもべたちを呼んで、自分の財産を預けるようなものです。
15 すなわち、それぞれの能力に応じて、ある者には五タラント、ある者には二タラント、ある者には一タラントを与えて、ただちに旅に出ました。
16 五タラントを渡された者は、行って、それで商売をして、他に五タラントをもうけました。
17 同様に、二タラントの者も、他に二タラントをもうけました。
18 しかし、一タラントを渡された者は、行って地を掘り、主人の金(かね)*を隠しておきました。
19 かなりの時が経ってから、これらのしもべの主人が帰ってきて、彼らと収支を計算をしました。
20 すると五タラントを渡された者が進み出て、他の五タラントをさし出して言いました。『ご主人様、あなたは私に五タラントをお預けになりましたが、ご覧ください。他に五タラントをもうけました。』
21 主人は彼に言った。『良い忠実なしもべよ、良くやった。あなたはわずかなものに忠実であったから、多くのものを管理させよう。主人と一緒に喜んでくれ。』
22 二タラントの者も進み出て言いました。『ご主人様、あなたは私に二タラントをお預けになりましたが、ご覧ください。他に二タラントをもうけました。』
23 主人は彼に言った。『良い忠実なしもべよ、良くやった。あなたはわずかなものに忠実であったから、多くのものを管理させよう。主人と一緒に喜んでくれ。』
24 一タラントを渡された者も進み出て言った。『ご主人様、私はあなたが、蒔かない所から刈り、ばらまかない所から集める、厳しい人であることを知っていました。
25 そこで恐れて、出て行って、あなたのタラントを地の中に隠しておきました。ご覧ください。あなたの持ち物です。』
26 すると、主人は彼に答えて言った。『悪いしもべ、怠け者よ。あなたは私が、蒔かない所から刈り、ばらまかない所から集めることを知っていると言うのか。
27 それなら、私の金を銀行に預けておくべきであった。そうしたら、私は帰ってきて、利子と一緒に私の金を返してもらえただろう。
28 さあ、そのタラントをこの者から取り上げて、十タラントを持っている者に与えなさい。
29 それは、誰でも、持っている者は与えられて、ますます豊かになるが、持っていない者は、持っているものまでも取り上げられるからだ。
30 この役に立たないしもべを外の暗い所に追い出しなさい。彼は、そこで泣いて歯ぎしりするだろう。』

31 人の子が栄光の中にすべての御使たちを従えて来るとき、人の子はその栄光の座に着きます。
32 そして、すべての国民をその前に集めて、羊飼いが羊をやぎから分けるように、彼らをより分け、
33 羊を右に、やぎを左に置きます。
34 それから、王は彼の右にいる人々に言うでしょう。『わたしの父に祝福された人たちよ。さあ、世の初めからあなたがたのために用意されている御国を受け継ぎなさい。
35 あなたがたは、わたしが空腹のときに食べさせ、渇いていたときに飲ませ、旅人であったときに宿を貸し、
36 裸であったときに服を着せ、病気のときに見舞い、獄にいたときに尋ねてくれたからです。』
37 そのとき、正しい者たちは答えて言うでしょう。『主よ、いつ、私たちは、あなたが空腹であるのを見て食物を与え、渇いているのを見て飲ませましたか。
38 いつあなたが旅人であるのを見て宿を貸し、裸なのを見て服を着せましたか。
39 また、いつあなたが病気をし、獄におられるのを見て、あなたの所に行きましたか。』
40 すると、王は答えて言うでしょう。『まことに、あなたがたに言います。わたしの兄弟であるこれらの最も小さい者の一人にしたのは、すなわち、わたしにしたのです。』
41 それから、左にいる人々にも言うでしょう。『のろわれた者どもよ、わたしを離れて、悪魔とその使いたちとのために用意された永遠の火に入れ。
42 あなたがたは、わたしが空腹のときに食べさせず、渇いていたときに飲ませず、
43 旅人であったときに宿を貸さず、裸であったときに服を着せず、また病気のときや、獄にいたときに、わたしを尋ねてくれなかったからです。』
44 そのとき、彼らもまた答えて言うでしょう。『主よ、いつ、あなたが空腹であり、渇いておられ、旅人であり、裸であり、病気であり、獄にいるのを見て、私たちはお世話をしませんでしたか。』
45 そのとき、彼は答えて言うでしょう。『まことに、あなたがたに言います。これらの最も小さい者の一人にしなかったのは、すなわち、わたしにしなかったのです。』
46 そして彼らは永遠の刑罰に入れられ、正しい者は永遠のいのちに入るのです。」


   *1、6  前章最後の忠実で思慮深いしもべの準備の一つとして、予備の油、すなわち 聖霊に満たされる備えをここで言っている。  ランパス(ギ) lamp、torch、燈心をオリーブ油に浸したランプ。  ユダヤでは婚約して約1年後、婚宴は普通花婿の家で行われるが、ここでは花嫁の家で行われる。花嫁は十人の友といっしょに花婿を迎えに行く。 祝宴は夕方行われるが、ここでは花婿の到着が遅れて夜中に始まっている。
   *12  花婿が来て戸が閉められると、遅れてきた者は入れない。  アーメン(ギ) まことに、確かに

   *14  天の御国は は補足、 御国: バシレイア(ギ) 王国、王的な権威、王的な支配
   *15  タラントン(ギ) talent、 1タラント = 60ミナ = 6000デナリ(6000ドラクマ) ≒ 3000万〜6000万円くらい
   *18  アルギュリオン(ギ) (直訳) 銀、シェケル銀貨、(1シェケル銀貨 =1スタテル銀貨 =2デナリ銀貨)
   *21  ピストス(ギ) 忠実、  カシーステミ(ギ) make ruler、ordain 管理者とする、任命する、 → 御国(バシレイア)で再臨のキリストと共に、王的権威をもって諸国の民を支配する(黙示2:26、27、22:5)
   *27  当時はローマの支配下で銀行が発達し、高利だった。主人の長期間の留守で相当な利子を受け取ったはず
   *29  賜物、恵みの良い管理者であること(Tペテ4:10)、 §1タラント、すなわち、「救い」の賜物だけではそれを失う危険がある、ことの警告でもある
   *32  羊の群れに少しのやぎを混ぜる飼い方。羊が満腹になると横になり、やぎは寝ている羊の横腹を角でつつく習性から、群れを害獣から守ることになる
   *34  コスモス(ギ) 世界、地、宇宙、  カタボレー(ギ) foundation、(天地創造の)初め(ルカ11:50、ヘブ4:3、黙示13:8、17:8)、天地創造以前(ヨハ17:24、エペ1:4、Tペテ1:20
   *40  エラーキストス(ギ) least、very small、smallest 最も小さい、最も少ない、最も 重要でない
   *41  ディアボロス(ギ) 悪魔(ヨハ8:44、使徒13:10、黙示2:10、12:12、20:10など)
   *46  アイオーニオス(ギ) eternal、everlasting 永遠の、初めの無い、終わりの無い、  ゾエ(ギ) (永遠の)いのち



  第26章


 1 イエスはこれらのすべての言葉を語り終えられる時が来たので、弟子たちに言われた。
 2 「あなたがたが知っているとおり、二日の後には過越(すぎこし)の祭りになりますが、人の子は十字架につけられるために引き渡されます。」

 3 そのとき、祭司長たちや民の長老たちが、カヤパという大祭司の中庭に集まり、
 4 イエスを騙して捕え、そして殺そうと相談した。
 5 しかし彼らは言った。「祭りの間はいけない。民衆の中に騒動が起るかも知れない。」

 6 さて、イエスがベタニヤで、らい病人シモンの家におられたとき、
 7 ひとりの女が、高価な香油が入れてある石膏のつぼを持ってきて、イエスに近寄り、食事の席についておられたイエスの頭に香油を注ぎかけた。
 8 すると、弟子たちはこれを見て憤って言った。「何のために、こんな浪費をするのか。」
 9 それを高く売って、貧しい人たちに施すことができたのに。
10 イエスはそれを聞いて彼らに言われた。「なぜ、女を困らせるのですか。彼女はわたしに良い事をしてくれたのです。
11 貧しい人たちはいつもあなたがたと一緒にいますが、わたしはいつも一緒にいるわけではありません。
12 この女がわたしの体にこの香油を注いだのは、わたしの葬りの用意をするためだからです。
13 まことに、あなたがたに言います。全世界のどこででも、この福音が宣べ伝えられる所では、彼女のした事も記念として語られるでしょう。」

14 その時、十二弟子の一人、イスカリオテのユダと呼ばれる者が、祭司長たちのところに行って、
15 言った。「彼をあなたがたに引き渡せば、いくらくれますか。」 すると、彼らは彼に銀貨三十枚を代金として支払った
16 その時から、ユダはイエスを引き渡そうと、機会を狙っていた。

17 さて、種なしパンの祭りの第一日に、弟子たちはイエスのもとに来て言った。「過越の食事をなさるために、私たちはどこに用意をしたら良いでしょうか。」
18 イエスは言われた。「都に入って、その人の所に行って言いなさい。『先生が、わたしの時が近づいた。あなたの家で弟子たちと一緒に過越しを守ることになっていますと、言っておられます。』」
19 弟子たちはイエスが命じられたとおりにして、過越しの用意をした。
20 夕方になって、イエスは十二弟子と一緒に食事の席につかれた
21 そして、一同が食事をしているとき言われた。「まことに、あなたがたに言います。あなたがたのうちの一人が、わたしを引き渡そうとしています。」
22 弟子たちは非常に心配して、彼らの一人一人が、「主よ。私のことではないでしょう。」と言い出した。
23 イエスは答えて言われた。「わたしと一緒に同じ深皿に手を入れて、パンを浸している者が、わたしを引き渡そうとしているのです。
24 確かに、人の子は、自分について書いてあるとおりに去って行きます。しかし、わざわいだ。人の子を引き渡すその人は。その人は生れなかった方が、彼にとって良かったのです。」
25 イエスを引き渡そうとしているユダが答えて言った。「先生、まさか、私ではないでしょう。」 イエスは言われた。「あなたは言った。」

26 彼らが食事をしているとき、イエスは一つのパンを取り、祝福して、これを裂いて、弟子たちに与えて言われた。「取って食べなさい。これはわたしの体です。」
27 また一つの杯を取り、感謝して、彼らに与えて言われた。「皆、この杯から飲みなさい。
28 これは、新しい契約の、わたしの血です。多くの人についての、罪の赦しのために流されるものです。
29 ただし、あなたがたに言います。わたしは今から後、決してぶどうの実から造ったものを飲みません。わたしの父の御国で、あなたがたと共に、新しいものを飲むその日までは。」
30 彼らは、賛美を歌った後、オリーブ山へ出かけて行った。

31 そのとき、イエスは弟子たちに言われた。「今夜、あなたがたは皆、わたしにつまずきます。『わたしは羊飼いを打つ。そして、群れの羊たちは散らされる。』と、書いてあるからです。
32 しかし、わたしは、よみがえった後、あなたがたより先にガリラヤへ行きます。」
33 するとペテロはイエスに答えて言った。「たとい、皆の者があなたにつまずいても、私は決してつまずきません。」
34 イエスは言われた。「まことに、あなたに言います。今夜、鶏が鳴く前に、あなたは三度わたしを否定します。」
35 ペテロは言った。「たといあなたと一緒に死なねばならなくなっても、決してあなたを否定しません。」 弟子たちも皆、同じように言った。

36 それから、イエスは彼らと一緒に、ゲツセマネという所へ行かれた。そして弟子たちに言われた、「わたしが向こうへ行って祈っている間、ここに座っていなさい。」
37 そしてペテロとゼベダイの子二人とを連れて行かれたが、深く悲しまれ激しく苦悩され始められた。
38 そのとき、彼らに言われた。「わたしのたましいは悲しみのあまり死ぬほどです。ここに留まって、わたしと一緒に目を覚ましていなさい。」
39 そして少し進んで行き、うつ伏せになり、祈って言われた。「わが父よ。もしできることでしたら、どうか、この杯をわたしから過ぎ去らせてください。しかし、わたしの願いではなく、みこころのままになさって下さい。」
40 それから、弟子たちの所に来てご覧になると、彼らが眠っていたので、ペテロに言われた。「あなたがたはこのように、一時間でもわたしと一緒に目を覚ましていられなかったのですか。
41 目を覚まして、誘惑に陥らないように、祈っていなさい。は燃えていても、肉体は弱いのです。」
42 また二度目に行って、祈って言われた。「わが父よ、この杯がわたしから、どうしても過ぎ去らないものでしたら、あなたのみこころの通りになりますように。」
43 また来てご覧になると、彼らはまた眠っていた。その目が重くなっていたのである。
44 それで彼らをそのままにして、また行って、三度目に同じ言葉で祈られた。
45 それから弟子たちの所に帰ってきて、言われた。「今は眠っていなさい休息を取りなさい。見よ。人の子が、罪人たちの手に引き渡される時が近づきました。
46 立ち上がりなさい。さあ行くのです。見よ。わたしを引き渡す者が近づいてきました。」
47 そして、イエスがまだ話しておられると、見よ。そこに、十二弟子のひとりのユダが来た。また祭司長、民の長老たちから送られた大ぜいの群衆も、剣と棒とを持って彼についてきた。
48 イエスを引き渡す者が、あらかじめ彼らに、「私の接吻する者が、その人だ。その人をつかまえろ。」と言って、合図を決めていた。
49 彼はすぐイエスに近寄り、「先生、お元気で。」と言って、イエスに接吻した。
50 しかし、イエスは彼に言われた。「友よ。どんな理由で来たのですか。」 このとき、人々は進み寄って、イエスに手をかけて捕えた。
51 すると、イエスと一緒にいた者の一人が、手を伸ばして剣を抜き、そして大祭司のしもべに切り付け、その片耳を切り落した。
52 そこで、イエスは彼に言われた。「あなたの剣をもとの所に納めなさい。剣を取る者はみな、剣で滅びます。
53 それとも、わたしが父に願って、天の御使いたちを十二軍団以上も、たった今、わたしのすぐそばに、遣わしていただくことができないと思うのですか。
54 しかし、それでは、こうならねばならないと書いてある聖書の言葉は、どうして成就するでしょう。」
55 そのとき、イエスは群衆に言われた。「あなたがたは強盗に立ち向かうように、剣や棒を持ってわたしを捕えに来たのですか。わたしは毎日、宮で座って教えていたのに、わたしを捕えはしなかったが。
56 しかし、すべてこうなったのは、預言者たちの書いたことが、成就するためです。」 そのとき、弟子たちは皆イエスを見捨てて逃げ去った。

57 さて、イエスを捕えた人たちは、大祭司カヤパのところにイエスを連れて行った。そこには律法学者、長老たちが集まっていた。
58 ペテロは遠くからイエスについて行き、大祭司の中庭まで入って、その結末を見届けるために、下役たちと一緒に座っていた。
59 さて、祭司長たちと全議会とは、イエスを死刑にするため、イエスに不利な偽証となるものを探していた。
60 そこで多くの偽証する者たちが出てきたが、証拠が見当たらなかった。しかし、最後に二人の偽証する者たちが出てきて、
61 言った。「この人は、わたしは神の宮取り壊し、三日の後に建てることができる、と言いました。」
62 すると、大祭司が立ち上がってイエスに言った。「何も答えないのか。これらの人々があなたに対して不利な証言をしているが、どうなのか。」
63 しかし、イエスは黙っておられた。そこで大祭司は言った。「あなたは神の子キリストなのかどうか、生ける神によって命じます、われわれに言いなさい。」
64 イエスは彼に言われた。「あなたの言うとおりです。さらに、わたしはあなたがたに言います。あなたがたは、今から後、人の子が力ある方の右に座り、天の雲に乗って来るのを見ることになります。」
65 すると、大祭司はその衣を引き裂いて言った。「彼は神への冒涜を語った。どうしてこれ以上、証人の必要があるだろう。あなたがたは今、このけがし言を聞いたのだ。
66 あなたがたの意見はどうか。」 すると、彼らは答えて言った。「彼は死罪に相当する。」
67 それから、彼らはイエスの顔につばきをかけて、こぶしで打ち、またある人は手のひらで叩いて言った。
68 「キリストよ、預言で言い当ててみろ。打ったのは誰か。」

69 ペテロは外の中庭に座っていた。すると一人の女中が彼のところに来て、「あなたも、あのガリラヤ人イエスと一緒だった。」と言った。
70 するとペテロは、皆の前でそれを打ち消して言った。「あなたの言っていることが、分からない。」
71 そう言って入口の方に出て行くと、他の女中が彼を見て、そこにいる人々に、「この人はナザレ人イエスと一緒だった。」と言った。
72 そこで彼は再びそれを打ち消して、「そんな人は知らない。」と誓って否定した。
73 少し経って、そこに立っていた人々が近寄って来て、ペテロに言った。「確かにあなたも彼らの仲間だ。方言ではっきりとわかる。」
74 彼は、「その人を知らない。」と言って、呪いをかけて誓い始めた。すると、ただちに一羽の鶏が鳴いた。
75 ペテロは、「鶏が鳴く前に、三度わたしを否定します。」と言われたイエスの言葉を思い出し、外に出て激しく泣いた。


   *1  語り終えられると(=語り終える(直訳)時が来たので)、 は、5大説教の結尾(7:28、11:1、13:53、19:1、26:1)に来る定型句
   *2  パスカ(ギ)、pass over、過越の祭り
   *4  ドロス(ギ) 詐欺、騙す cf. メソデイーア(ギ) 策略、騙し(エペソ6:11)
   *7  ミューロン(ギ) (直訳) ointment、軟膏 = 純粋なナルドの香油で300デナリ以上に売れるもの(マルコ14:5)、香油1リトラ(約300グラム)、マルタが給仕をしている間にマリヤが注いだ。そこに よみがえったラザロもいた(ヨハネ12:1−3)、 アラバストロン(ギ) 石膏のつぼ、石膏で封じてある
   *12  エンタフィアゾー(ギ) 埋葬の用意、   ユダヤでは死者に香油を塗り、亜麻布で包んだ
   *14  イスカリオーテス(ギ) = イシュ・ケリヨト(ヘ)、men of Kerioth、ケリオテの人(イシュ)、ユダヤにある、エドム国境・最南端の村の一つ(ヨシュア15:25) cf.他の弟子たちはガリラヤ出身
   *15  商取引の言葉、イエスを売ったのはイスカリオテ・ユダの貪欲による、  アルギュリア(ギ) おそらく 1シェケル銀貨(=2デナリ)、  ヒステミ(ギ) stand、establish、立てる、建てる、代金として支払う
   *17  除酵祭ともいう。 種なしパンの祭りが7日間ある中の、第一日は「過越の祭り」が行われる日 = ニサンの月の14日
   *18  デイナ(ギ) such a man、a certain one、某人、ある人、○○という人、  (守ろう△)、守ることになる(預言的現在)
   *20  アネケイマイ(ギ) (直訳) lie at a table、横になってテーブルに着く、 当時のユダヤでは横になって食事をした
   *21  パラディドミ(ギ) give into the hands、deliver、commit、 (人の手に)引き渡す、届ける、委託する
   *23  パンを は補足 = マルコ14:20
   *24  オウアイ(ギ) woe、alas、 ああ、災いだ
   *25  ラビ(ギ、ヘ) (ユダヤ教の)ラビ、先生
   *29  イエスにとって、これが最後の過越の祭りだ と言っている。この祭りは、聖餐式として教会に受け継がれていく、  新しいワインは千年王国の産物
   *30  過越の祭りの中心「ハレル」(賛美せよ、の意)、詩篇115−118篇を区切って歌い、最後に「大ハレル」として詩篇136篇が歌われた
   *31  ゼカリヤ13:7、 この預言では、この後神の御手は「子供たち」に向けられる。しかし、イエスはこの後半の部分を、32節のように言い換えられた。つまずいた群れから、再度 群れを召される。
   *36  ゲスセマネ(ギ) ゲッセマネ、(オリーブの)油絞り、の意、 オリーブ山のふもとにあった
   *37  ゼベダイの子 = ヤコブとヨハネ、   リュペーオ(ギ) sorrowful、grieve、悲しむ、嘆き悲しむ、 アデモネーオ(ギ) great distress、depressed、非常に苦悩する、意気消沈、あえぐ (KJVの 重くなった、 は誤訳) cf. マルコ14:33では、エクサムベオー(ギ) 非常に驚く、 アデモネーオ(ギ) 非常に苦悩する  § この時初めて、イエスは十字架における御父との分離を示されたので、驚かれ、悲しまれた。
   *38  プシュケー(ギ) たましい、 ペリーリュポス(ギ) exceedingly sorrowful、極度に悲しい、悲しみのあまり、 メノー(ギ) 留まる
   *39  うつ伏せ (直訳)倒れて顔を地に付け
   *41  プニューマ(ギ) spirit、霊
   *49  ラビ(ギ、ヘ) ラビ、先生、  カイレー(ギ) rejoice、be glad、be well、(あいさつで)お元気で、  接吻は、当時の、親しい人への挨拶だった
   *51  ヨハネ18:10より、切り落とした弟子の一人がシモン・ペテロで、切り落とされたほうがマルコス
   *53  レギオン(ギ) 1レギオン =1軍団で6000人、 6000×12=7万2千人   U列6:17、詩34:7
   *55  イエスが強盗であるかのように人々に印象付けるために、夜のゲッセマネにローマ軍まで連れてやってきた
   *57 ゲッセマネの逮捕後、イエスは6回の裁判を受ける: 大祭司アンナスの非公式裁判(ヨハ18:13、24)、大祭司カヤパとサンヘドリン(26:57−68)、翌朝早くの公式裁判(27:12)、ピラトによる裁判(27:11−26)、ヘロデによる裁判(ルカ23:7−12)、再びピラトによる裁判(ルカ23:13−25)
   *58  テロス(ギ) termination、the end、結末、  下役 = 5:25
   *59  26:4で、すでにイエスを死刑にする決定が下されていた。  スュネードゥリオン(ギ) サンヘドリン、議会
   *61  ナオス(ギ) temple、神殿、聖所 cf.ハギオス 聖所、幕屋
   *63  エクソルキゾー(ギ) extract an oathadjure 誓いを引き出す、厳しく命じる ザオ(ギ) 生ける、(永遠に)生きる
   *64  アプ アルティ(ギ) from just now、frrom this moment、たった今から後、   詩篇110:1、  黙示1:7
   *69  マルコ14:66−72
   *72  メス ホルコウ(ギ) with oath、誓って



  第27章


 1 夜が明けると、祭司長たち、民の長老たち一同は、イエスを死に定める協議をした上、
 2 イエスを縛って引き出し、総督ポンテオ・ピラトに引き渡した。
 3 そのとき、イエスを引き渡したユダは、イエスが罪に定められたのを見て思い直して、銀貨三十枚を祭司長、長老たちに返して、
 4 言った。「私は罪のない人の血を引き渡すことをして、罪を犯しました。」 しかし彼らは言った。「それが、われわれに何だというのだ自分でしろ
 5 そこで、彼は銀貨を聖所に投げ込んで、そこを離れて、行って、首をつって死んだ。
 6 祭司長たちは、その銀貨を拾い上げて言った。「これは血の代価だから、コルバンに入れるのは合法でない。」
 7 そこで彼らは協議の上、外国人の墓地にするために、その金で陶器師の畑を買った。
 8 そのために、この畑は今日まで血の畑と呼ばれている。
 9 こうして預言者エレミヤによって言われた言葉が、成就したのである。すなわち、「彼らは、イスラエルの子らに値をつけられた人の代価、銀貨三十を取って、
10 主がお命じになったように、陶器師の畑の代価として、その金を与えた。」

11 さて、イエスは総督の前に立たれた。すると総督はイエスに尋ねて言った。「あなたはユダヤ人の王ですか。」 イエスは、「あなたの言う通りです。」と言われた。
12 しかし、祭司長、長老たちが訴えている間、イエスは何もお答えにならなかった。
13 するとピラトは言った。「あなたに不利な証言をあれほどたくさんしているのに、あなたには聞えないのか。」
14 しかし、イエスは何を言われても、一言もお答えにならなかったので、総督は非常に不思議に思った。
15 さて、祭りのたびごとに、総督は群衆が望む囚人一人を、赦免する慣例になっていた。
16 そのときには、バラバという名の知れた囚人が捕えられていた。
17 それで、彼らが集まったとき、ピラトは言った。「おまえたちは、誰を赦免してほしいのか。バラバか、それとも、キリストといわれるイエスか。」
18 彼らがイエスを引き渡したのは、ねたみのためであることが、ピラトには分かっていたからである。
19 また、ピラトが裁判の席に着いていたとき、彼の妻が人を彼のもとに遣わして、「あの正しい人には関係しないでください。私は今日、夢で、あの人のために苦しみましたから。」と言わせた。
20 しかし、祭司長、長老たちは、バラバを赦免して、イエスを殺すようにと、群衆を説き伏せた。
21 総督は彼らに言った。「二人のうち、どちらを赦免してほしいのか。」 彼らは、「バラバの方を。」と言った。
22 ピラトは言った。「それではキリストといわれるイエスに、何をしたらよいのか。」 彼らは皆、「十字架につけろ。」と言った。
23 しかし、ピラトは言った。「あの人は、何の悪い事をしたのか」。すると彼らはさらに激しく叫んで、「十字架につけろ。」と言った。
24 ピラトは何も助けることができず、むしろ暴動になりそうなのを見て、水を取り、群衆の前で手を洗って言った。「この正しい人の血について、私は無罪だ。自分たちでしなさい
25 すると、人々は口々に答えて言った。「その血の責任は、われわれと、われわれの子孫の上にかかっても良い。」
26 そこで、ピラトはバラバを赦免し、イエスをむちで打った後、十字架につけるために引き渡した。

27 それから総督の兵士たちは、イエスを官邸に連れて行って、全部隊をイエスのまわりに集めた。
28 そしてその上着をぬがせて、緋色のマントを着せ、
29 また、いばらで冠を編んでその頭にかぶらせ、右の手には葦の棒を持たせ、それからその前にひざまずき、嘲弄して、「ユダヤ人の王、ばんざい。」と言った。
30 また、イエスにつばきをかけ、葦の棒を取りあげてその頭を叩いた。
31 こうしてイエスを嘲弄したあげく、マントをはぎ取って元の上着を着せ、それから十字架につけるために引き出した。

32 彼らが出て行くと、シモンという名のクレネ人に出会ったので、イエスの十字架を無理に負わせた。
33 そして、ゴルゴタ、すなわち、どくろという所にきたとき、
34 彼らは苦味をまぜたを飲ませようとしたが、イエスはそれをなめただけで、飲もうとされなかった。
35 彼らはイエスを十字架につけた。 それから、くじを引いて、その着物を分けた。 これは預言者によって語られた言葉が成就するためであった。彼らはわたしの上着を彼らの間で分けた。わたしの着物の上で、彼らはくじを引いた。
36 そして、彼らはそこに座ってイエスの番をしていた。
37 そして、イエスの頭の上の方に、「これはユダヤ人の王イエス。」と書いた罪状書きを掲げた。
38 同時に、二人の強盗がイエスと一緒に、一人は右に、一人は左に、十字架につけられた。
39 そこを通りかかった者たちは、頭を振りながら、イエスをののしって、
40 言った。「神殿を取り壊して三日のうちに建てる者よ。もし神の子なら、自分を救え。そして十字架から降りてこい。」
41 祭司長たちも同じように、律法学者、長老たちと一緒になって、あざ笑って言った。
42 「他人を救ったが、自分自身を救うことができない。もしイスラエルの王ならば、今、十字架から降りてみよ。そうしたら信じよう。
43 彼は神に信頼しているが、神のご意思があれば、今、救ってもらえば良い。自分は神の子だと言っていたのだから。」
44 一緒に十字架につけられた強盗どもまでも、同じようにイエスをののしった。
45 さて、昼の十二時から、暗闇が全地を覆い、三時まで続いた。
46 そして三時ごろに、イエスは大声で叫んで、「エリ、エリ、ラマ、サバクタニ。」と言われた。それは「わが神、わが神、どうしてわたしをお見捨てになったのですか。」という意味である。
47 すると、そこに立っていたある人々が、これを聞いて言った。「あれはエリヤを呼んでいるのだ。」
48 するとすぐ、彼らのうちの一人が走り寄って、海綿を取り、それに酢いぶどう酒を含ませて葦の棒につけ、イエスに飲ませようとした。
49 他の人々は言った。「エリヤが彼を救いに来るかどうかを、見ることを許してくれ。」
50 イエスはもう一度大声で叫んで、霊をゆだねられた

51 すると見よ。神殿の幕が上の方から下に向かって真二つに裂けた。また地震があり、岩が裂け、
52 また墓が開いて、眠っていた多くの聖徒たちの体が生き返った。
53 そしてイエスの復活の後、墓から出てきて、聖なる都に入り、多くの人に現れた。
54 百卒長、および彼と一緒にイエスの番をしていた人々は、地震や、いろいろの出来事を見て非常に恐れ、「本当に、この人は神の子であった。」と言った。
55 また、そこには遠くの方から見守っていた女たちも多くいた。彼らはイエスに仕えて、ガリラヤからついて来た人たちであった。
56 その中には、マグダラのマリヤ、ヤコブとヨセフとの母マリヤ、またゼベダイの子たちの母がいた。
57 夕方になってから、アリマタヤの金持で、ヨセフという名の人がきた。彼もまたイエスの弟子であった。
58 この人がピラトの所へ行って、イエスの体の引取り人を願った。そこで、ピラトはそれを引き渡すように命じた。
59 ヨセフは死体を受け取って、きれいな亜麻布に包み、
60 岩を掘って造った彼の新しい墓に納め、そして墓の入口に大きい石をころがしてから帰宅した。
61 そして、マグダラのマリヤと別のマリヤとが、墓の真向かいに座っていた。

62 さて、翌日は備えの日の翌日であったが、その日に、祭司長、パリサイ人たちは、ピラトのもとに集まって言った。
63 「長官、あのさすらい者がまだ生きていたとき、『三日の後に自分はよみがえる。』と言ったのを、思い出しました。
64 ですから、三日目まで墓の番をするように、指図して下さい。そうしないと、弟子たちがきて彼を盗み出し、『イエスは死人の中から、よみがえった。』と、民衆に言いふらすかも知れません。そうなると、間違った教えが、前よりももっと悪くなるでしょう。」。
65 ピラトは彼らに言った、「番人がいるから、行ってできる限り、番をさせるがよい。」
66 そこで、彼らは行って墓を確認し、石に封印し、衛兵を置いて墓の番をさせた。


   *1  サンヘドリン全員のの公式な協議。 死刑の宣告は2回目の議会で言い渡す習わしなので、この朝の2回目の協議で正式に決められ、ピラトへの告訴状を作成した。
   *3  ストゥレーフォー(ギ) turn、turn around、転向し、  シェケル銀貨、(30シェケルは奴隷一人程度の値段)
   *4  ティー プロス ヘマス(ギ) 
What to us?、 スー オプセイ(ギ) You see (to that)、自分でしなさい
   *6  (直訳) コルバン = 神殿の金庫、  エクセティ(ギ) 
lawful、(律法に)合法
   *9、10  ゼカリヤ11:13、エレミヤ18:2、32:6−9
   *11  ヘゲモン(ギ) 
governor、ruler、prince 総督
   *16  バラッバス(ギ) バル・アバス(アラム語) = son of a father、罪状は、暴動と殺人(マルコ15:7、ルカ23:19)、強盗(ヨハネ18:40)、  エピセモス(ギ) (良い意味でも悪い意味でも)有名な
   *17  ピラトはここで、バラバを”父の子”か、イエスを(自称)「神の子」か、と引っかけている。
   *19  ホ・ディカイオス(ギ) righteous、(律法による)義人、(神の前に)正しい人(使徒3:14、Tヨハ3:7)
   *24  オフェレオー(ギ) assist、be advantageous、benefit、支援する、有利にする、 cf. マルコ15:15 では、群衆の機嫌を取ろうとして、ヨハネ19:12 では、カイザルの反逆者として皇帝に訴えられそうになったため、  手を洗う 申命21:1−9、  ディカイロイ(ギ) 義人、正しい人、  スー オプセイ(ギ) You see (to it)、自分たちでしなさい = 27:4
   *26  フラゲッロー(ギ) scourge、(昔の)鞭、ローマの鞭は数本の皮ひもに金属の輪をはめたもので、非常に過酷だった。 (これでユダヤの慣習によって39回も打たれれば、皮膚は裂け、体はボロボロになる)
   *27  総督は祭りの時などに連れている。全部隊は600人、ここでは200人の小隊 
   *28、31  コッキノス(ギ) 緋色、赤紫  cf.マルコ15:17、ヨハネ19:2では ポルフューラ 紫、 兵士たちの短いマント(外套)を、王の赤紫色の長いマントに見立てた
   *29  いばらの冠は 王冠、葦の棒は 王の笏に見立てた、  カイレー(ギ) rejoice、be glad、be well、(あいさつで)ばんざい、お元気で
   *32  十字架の縦木はどくろと呼ばれる刑場にすでに立てられ、イエスはその横木を背負わされてゴルゴタに歩いて行ったが、鞭打ち、嘲弄、徹夜などで弱っておられたので途中で倒れられた。  クレネ人: 北アフリカ・リビアの町クレネの人、エルサレムにクレネ人の会堂があった、 マルコ15:21より このシモンは「アレキサンデルとルポスの父」
   *33  ゴルゴサ(ギ) Golgotha、エルサレム城壁の外側の近い所(北側のゴルドンのゴルゴタがその場所という説が有力)、 クラニオン(ギ) skull、頭骨
   *34  コーレー(ギ) (直訳)胆汁、 マルコ15:23 では、没薬、 (エルサレムの裕福な夫人が痛みを抑えるために与えたもの)
   *35  十字架に付けられたのは午前9時あたり(マルコ15:25)、  ヨハネ19:24、 詩篇22:18 (詩篇22編は苦難のメシヤについての記述で知られていたが、ローマ兵は知らずに成就した。)  くじ: 口の狭い壺に名前を書いたものを入れ、振り出して一番先に出てきたものが当たり
   *40、42、43  サタンが慌てて今度は一転して、イエスを十字架から降ろすように誘惑している
   *44  cf.ルカ23:39−43、 (マタイが遠くにいたので聞き取れなかったのと、二人のうち一人は後に悔い改めた)
   *45  (直訳) 第6時、 第9時、  御父が御子から顔を背けられたことの自然界への現れ (過越の祭りは満月ごろ + 普通の日食は歴史上最長で約8分)
   *46  詩篇22:1、 御子イエスが、御父から切り離されたことの、最も悲痛な叫び。ヘブライ語。 エル = 神、 エリ = わたしの神、  cf. マルコ15:34は アラム語
   *48  酸いぶどう酒 ローマ兵が常用する、酢または酸いぶどう酒を水と混ぜた飲み物、 イエスの舌を潤して語れるようにした → 「完了した」(ヨハネ19:30)
   *50  プニューマ(ギ) 霊、 アフィエミ(ギ) send away、depart from、送り出す cf. ルカ23:46 パラティセミ(ギ) set before、(父の御手に、わが霊を)提出する
   *54  百卒長(百人隊長) マタイ8:5、  アレソース(ギ) trulymost certainly、本当に (まことに△)
   *56  マリア ヘ マグダレーネー(ギ) Mary Magdalene、ルカ8:2 より、7つの悪霊を追い出していただいた女 → マタイ28:1、  使徒の小ヤコブ(アルパヨの子)(マルコ15:40、3:18) cf. ゼベダイの子の使徒ヤコブ、  さらに これとは別に イエスの兄弟ヤコブ(ヤコブの手紙の著者)がいる、  ヤコブとヨハネの母サロメ(マルコ15:40)
   *57  サンヘドリンの議員で ひそかな弟子(ヨハ19:38)
   *58  申命記21:22、23 より、その日のうちに葬る、 またその日は安息日

   *62  備えの日 = 安息日の前日、金曜日、   今度は、祭司長、パリサイ人たちが、安息日(土曜日)の律法を破っている
   *63、64  プラノス、プラネー(ギ) wandering、error、wrong opinion、さまよう、間違った(教え)



  第28章


 1 さて、安息日が終って、週の初めの日の明け方に、マグダラのマリヤと他のマリヤとが、墓を見に来た。
 2 すると、見よ。大きな地震が起った。それは、一人の主の使いが天から下って、そこに来て石を入口からわきへころがし、その上に座ったからである。
 3 その姿はいなずまのように輝き、その衣は雪のように真白であった。
 4 衛兵たちは、御使いの恐ろしさの余り震えあがって、死人のようになった。
 5 この御使いは彼女たちに答えて言った。「恐れることはありません。あなたがたが十字架にかかられたイエスを捜していることは、私に分かっていますが、
 6 もうここにはおられません。主が言われていたとおりに、よみがえられたのです。ここに来て、イエスが納められていた場所をご覧なさい。
 7 そして、急いで行って、弟子たちにこう伝えなさい。『イエスは死人たちの中からよみがえられました。見よ、あなたがたより先にガリラヤへ行かれます。そこでお会いできるでしょう。』 さあ、私はあなたがたに言いました。」
 8 そこで彼女たちは恐れと大いなる喜びの両方で、急いで墓を立ち去り、弟子たちに報告するために走って行った。
 9 彼女たちが弟子たちに報告しに行くとき、見よ、イエスは彼女らに出会って、「喜びあれ。」と言われた。彼女らは近寄り、イエスの足を抱いて、礼拝した。
10 それから、イエスは彼女らに言われた。「恐れることはありません。行って、わたしの兄弟たちに、ガリラヤに行きなさい、そこでわたしに会えるでしょう、と告げなさい。」

11 彼女たちがまだ着かないうちに、数人の衛兵が都に帰って、すべての出来事を祭司長たちに報告した。
12 祭司長たちは長老たちと集まって協議して、兵士たちにかなりの銀貨を与えて言った。
13 「『弟子たちが夜中に来て、われわれの寝ている間に彼を盗んだ。』と言え。
14 万一このことが総督の耳に入っても、われわれが総督をうまく説得して、あなたがたが心配することの無いようにしよう。」
15 そこで、彼らは銀貨を受け取って、教えられたとおりにした。そしてこの話は、今日に至るまでユダヤ人の間に広まっている。

16 さて、十一人の弟子たちはガリラヤに行って、イエスが彼らに行くように指示された山に登った。
17 そして、イエスに会って礼拝した。しかし、疑う者もいた
18 イエスは彼らに近づいて来て言われた。「わたしは、天においても地においても、すべての権威が授けられています
19 それゆえに、あなたがたは行って、すべての国民を弟子とし、父と子と聖霊との名によって彼らにバプテスマを施し、
20 あなたがたに命じておいた一切のことを守るように教えなさい。 見よ。わたしは世の終りまで、いつもあなたがたと共にいますアーメン。」


   *1  ミアン サッバトーン(ギ) 週(=サッバトン)の第1日目、 イエスの復活のゆえ、キリスト教会では、日曜日を そのまま週の初めの日とした。  マルコ16:1 より、サロメも含めて、マタイ27:56の、3人の女性がイエスの体に油を塗りに来た
   *7  マタイ26:32
   *9  カイーレテ(ギ) (あいさつで) rejoice、be glad、喜びあれ、使徒15:23、23:26 では 喜びのご挨拶 (異邦のギリシャ、ローマ風の丁寧なあいさつ)、(§ヘブライ語聖書では シャローム ラーケン、あなたがたに平安あれ、= ヨハネ20:19、と訳している)
   *16、17  どの山か明示されていない、おそらく タボル山(560メートル)、  この時、疑う者もいたということにより、「500人以上に同時に現れた」時(Tコリ15:6)といわれる
   *18  エドーセ(ギ、アオ(瞬時)過去、被)<ディドミ given、granted、(ある時)与えられた ・・・ 十字架の勝利によって授けられた
   *19、20  大宣教命令: マセテユーオー(ギ) be a disciple、make a disciple、救われた「信徒」を、(キリストの)「弟子」になるまで教え、建て上げなさい、の意。   エイス(ギ) into、towards、の中へ、in the name of、 父、子、聖霊の三位一体の交わりの中に入るように、聖霊のバプテスマを受けさせること。   いつも = (直訳)すべての日に、  エイミ(ギ) ある、いる、現実的存在(出3:12、ヨハ8:58)










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