ペテロの手紙・第一*
第1章
1 イエス・キリストの使徒ペテロから、ポント、ガラテヤ*、カパドキヤ、アジヤおよびビテニヤに離散し*寄留している人々、すなわち、
2 父なる神の予知*に従い、御霊の聖別*にあずかって、イエス・キリストへの従順とその血の注ぎかけを受けることのために、選ばれた人たちへ。大いなる恵みと平安とが、あなたがたの上に増し加えられますように。
3 私たちの主イエス・キリストの父なる神がほめたたえられますように。神は、イエス・キリストを死人の中からよみがえらせたことによって、ご自身の大きなあわれみにより、私たちを新しく生れさせて、生ける望みを持つようにしてくださいました。
4 また、腐らない、汚(けが)れない、衰えることのない*相続財産が、あなたがたのために天にたくわえられていて、それを受け継ぐ者として下さいました。
5 あなたがたは、神の御力によって、また信仰を通して、守備が与えられ*ているので、最後の*時に現われるように用意されている救いにあずかるのです。
6 そのことにあって、あなたがたは大いに喜んでいます。 ただ、今しばらくの間は、さまざまな試錬*のために悩まされていますが、
7 あなたがたの試験済みの*信仰は、火で試されたのち無くなってしまう金貨よりも尊いもので、イエス・キリストの現われのとき、賞賛と栄光と栄誉に至るものであることが分かります。
8 あなたがたは、イエス・キリストを見たことはありませんが愛しており、今見てはいませんが信じており、言葉に表せない栄えある喜びに満ちあふれています。
9 それは、信仰の目標*である、たましいの救いを受けているからです。
10 この救いについては、あなたがたに対する大いなる恵みを預言した預言者たちも、尋ね求め、探し出しました。
11 彼らは、自分たちの内におられるキリストの御霊が、キリストの苦難とそれに続く栄光とを、前もってあかしされた時、それが、いつの時、どの場合をさしたのかを、調べたのです。
12 そして、それらについて調べたのは、自分たちのためではなくて、あなたがたのための奉仕であることの啓示を受けました。それらの事は、天から送られた聖霊に感じて福音をあなたがたに宣べ伝えた人々によって、今、あなたがたに告げ知らされたのです。これは、御使いたちも、一心に見たい*と願っている事です。
13 それゆえ、あなたがたの心の腰に帯を締め*、目を覚まし*、イエス・キリストの現れの時にもたらされる大いなる恵みを、万全の態勢で*待ち望みなさい。
14 従順な子供として、以前に無知であった時の、さまざまな欲情の慣習に従わず、
15 むしろ、あなたがたを召して下さった聖なる方にならって、あなたがた自身も、あらゆる生活の行ないにあって聖なる者になりなさい*。
16 「わたしが聖であるから、あなたがたも聖なる者になりなさい*。」*と書いてあるからです。
17 あなたがたは、人をそれぞれのしわざに応じて偏らないで*さばく方を父と呼んでいるならば、地上に並行して住む*期間*を畏れの心をもって生活しなさい。
18 あなたがたもよく知っているように、あなたがたの先祖から伝わった虚しい*生き方から贖い(あがない)出されたのは、銀や金のような朽ちる物によらず、
19 傷も、しみもない小羊のようなキリストの尊い血によったのです。*
20 キリストは、天地が造られる前から、あらかじめ知られていましたが*、この終りの時に至って、あなたがたのために現れてくださいました。
21 あなたがたは、キリストを死者たちの中からよみがえらせて栄光をお与えになった神を、キリストによって信じる人々です。それゆえ、あなたがたの信仰と望みは、神にあるのです。
22 あなたがたは、御霊を通して真理に従うことにより、たましいがすでに純粋にされ、偽りのない兄弟愛に至ったのですから、きよい心から熱心に愛し合いなさい。
23 あなたがたが新しく生れているのは、朽ちる種からではなく、朽ちない種から、すなわち、永遠に至るまでも変わらない、神の生けるみことばを通してなのです。
24* 「人はみな草のようで、その栄華はみな草の花のようだ。草はしおれ、花は散る。
25* しかし、主の言葉は、とこしえに変わることがない。」 これが、あなたがたに宣べ伝えられた福音の言葉*です。
* ペテロ(本名:シメオン・バル・ヨナ、ヨナの子シモン、(アラム語で)ケファ(ケパ)・岩石)の手紙は、ギリシャ語の洗練された文章で書かれている。一方、ペテロがガリラヤの漁師でアラム語を話していたことからギリシャ語の教養があまりなかったといわれるが、知恵が与えられて(ヤコ1:5)口述し、シルワノ(預言者シラス)が筆記したとすると、やはり著者はペテロということになる。
§ あて先は、小アジヤの諸教会(1:1)。執筆場所は、「バビロン」(5:13)に比喩されるローマといわれる。執筆年代は、ペテロの殉教直前のAD62−64年頃。 4:16に、キリスト者として迫害を受けることが書かれているが、ローマによる小アジアへの公的な迫害(ネロ、ドミティアヌス)はなくローマに限定的だったので、ペテロの殉教がネロの時代のAD64−68年(62−67歳)だったことから、この時代の迫害は公的なものではなく、地方の扇動者らによるものと考えられる。
§ ペテロは主により、使徒だけでなく、牧師の召しも受けていて(ヨハ21:15−17)、初期には長老ヤコブ(62年エルサレムで殉教)と共にエルサレム教会の牧会をした(ガラ1:18)。 このペテロの手紙第一は、救われたばかり〜成長中の子羊向け、ペテロの手紙第二は、成長した羊向けの、それぞれ牧会メッセージといわれる。
*1 ガラテヤ: パウロの宣教地の北ガラテヤ(本来のガラテヤ)ではなく、南ガラテヤ(ガラテヤ属州)、 ディアスポラー(ギ、名詞) scattering、dispersion、分散、離散地、異邦に居留するイスラエル人
*2 プログノーシス(ギ) foreknowledge、forethought、予知、あらかじめ考慮すること、 ハギアスモス(ギ) consecration; sanctification、聖め、聖別(神のものとされていること); 聖化(きよめ)
*4 アマラントス(ギ) unfading、しおれることのない、衰えない (≒5:4)
*5 (軍隊用語) 守備隊で守る、 エスカトス(ギ) last、最後の
*6 ペイラスモス(ギ) experiment、trial; temptation、試み; 試練
*7 ドキミオン(ギ) proving、tried by proving、test、(純度などの)証明、試験済みのもの、(直訳) 信仰の試験済みのもの (金貨に混ざりものがあると火で酸化されて除去され、目減りする)
*9 テロス(ギ) end、last、eternal、purpose、終わり、最後、目標
*12 パラキュプトー(ギ) (直訳) かがんで覗き見る、一心に見つめる (ヨハ20:5、11、ヤコ1:25)、 § 贖いの蓋のケルビムも贖いの血が注がれるのを見ていたように
*13 cf. 「真理の帯」(エペ6:14)、(力仕事などで、長い服装をまくり上げて帯を締めて活動した) ネーフォー(ギ) (直訳) 素面(しらふ)の、普段酒を飲まない、目を覚ましている (Tテサ5:6、Uテモ4:5等)、 テレイオス(副詞) perfectly、completely、完全に、完璧に
*15、16 ギノマイ(ギ) become、appear、finished、なる、成る、起こる、現われる (:16 ハーヤー(ヘ、完了相、3・男) be、become、come to pass、(すでに)ある、あった(存在した)、(すでに)なる、なった、起こった)
*16 レビ11:44、45 § 「あなたがたも聖なる者になるはずである」 (未来完了形のニュアンス)
*17 アプロソポレプトス(ギ) 外見によらず、偏見を持たず、公平に、 パロイキア (暫定で、並行して)住むこと、(天の住まいと並行して地上に)留まること (オイキア 家)、 クロノス (長い、短いの)時間、期間
*18 マタイオス(ギ) 偶像の、虚しい、力のない、真理の無い (タテュア(ヘ)、偶像、むなしいもの、エレ10:5)
*19 出エジ12:5、レビ22:19、20、申命15:21
*20 § 世の始まる前から、神が救いの「予知」と「予定」をされていた の意
*24、25 イザ40:6−8、 ト レーマ(ギ、単・中) word、speech、thing spoken of、説教、語られた言葉
第2章
1 ですから、すべての悪意*、すべての騙し*、偽善*、ねたみ、一切の悪口を捨て去り、
2 生まれたばかりの乳飲み子のように、混ぜ物のないみことばの乳を慕い求めなさい。それによって成長するためです。*
3 もしそうなら、あなたがたは、主が優しく恵み深い方であることを、すでに味わっているのです。
4 この方のもとに来なさい。この方は人には捨てられたが、神の目には選ばれた、高貴な生ける石です。
5 あなたがたもまた、生ける石として、霊の家に建て上げられなさい。そして聖なる祭司として、イエス・キリストを通して、神に喜んで受け入れられる霊のいけにえをささげなさい。
6 聖書にこう書いてあります。 「見よ。わたしはシオンに、選ばれた石、尊い隅のかしら石*を置く。彼に信頼する者は、恥を見ることがない。」*
7 この石は、より頼んでいるあなたがたには尊いものですが、不信仰な*人々には、「家を建てる者たちが捨てた石、それが礎の石となった。」*のであり、
8 「つまずきの石、妨げの岩。」*なのです。しかし、彼らがつまずいているのは、みことばに対し不信仰だからであり、またそうなるように定められていたのです。
9 しかし、あなたがたは、選ばれた種族、王である*祭司、聖なる国民、神の所有の民です。それは、暗やみの中から、ご自分の驚くべき光の中に召して下さった方のすばらしさ*を、あなたがたが語り広めるためです。
10 あなたがたは、以前は神の民ではなかったのに、今は神の民であり、以前はあわれみを受けたことのない者であったのに、今はあわれみを受けた者です。
11 愛する者たち。あなたがたにお勧めします。旅人であり寄留者であるあなたがたは、たましいに戦いをいどむ肉の欲を避けなさい。
12 異邦人の中にあって、品性の良い*生活をしなさい。そうすれば彼らは、あなたがたを悪人呼ばわりしていても、あなたがたの正しい*行ないを見て、おとずれの*日に神をあがめるようになるでしょう。
13 あなたがたは、人の立てたすべての制度に、主のゆえに従いなさい。それが主権者としての王であっても、
14 また、悪を行う者を罰し、善を行う者を賞賛するために、王から遣わされた長官であってもです。
15* それは、善を行うことによって、愚かな人々の無知な口を封じる*ことは、神のみこころだからです。
16 あなたがたは自由人として行動しなさい。ただし、その自由を悪を行なう口実として用いないで、神の奴隷として用いなさい。
17 すべての人を敬い、兄弟たちを愛し、神を畏れ、王を尊びなさい。
18 しもべたち*よ。尊敬の心をもって、主人に仕えなさい。善良で公平な主人だけにでなく、不公平で曲がった*主人にも、そうしなさい。
19 もし誰かが、不当な苦しみを受けても、神への良心のゆえに悲しみを耐え忍ぶなら、それは大いなる恵み*となるからです。
20 悪いことをして打ち叩かれそれを忍んだとしても、何の栄誉となるでしょう。しかし善を行って苦しみを受け、それを耐え忍ぶとすれば、それこそ大いなる恵み*となることなのです。
21 あなたがたは、実に、そのために召されたのです。キリストも、あなたがたの身代わりに苦しみを受けられ、その足跡を踏んでついて来るようにと、模範を残されたのです。
22 キリストは罪を犯さず、その口には何の欺きも見出されませんでした。
23 ののしられてもののしり返さず、苦しめられてもおどすことをせず、正しくさばかれる方に、すべてを委ねられました。
24 そして、ご自分から十字架*の上に上げられ、私たちの罪をご自分の身に負われました*。それは、私たちが罪に死に、義に生きるためでした。 彼の打ち傷によって、あなたがたは、いやされたのです。*
25 あなたがたは、羊のようにさまよっていましたが、今は、たましいの牧者であり監督者である方のもとに、帰ったのです。
*1 カキア(ギ) 悪意、悪いことの総称、 ドロス (動物を餌で捕らえる)わな、騙すこと、ずるいこと、 ヒュポクリシス (俳優のように)別人としてふるまうこと、偽善
*2 (救いを得るためです は不要)
*6 イザ28:16、 アクロゴイナイオス(ギ、形容詞) (エペ2:20)、 ピナー(ヘ、名詞) 角(かど)、隅のかしら石(2つの壁の交わる角部に置く大きな土台石、建築の最初に据える)、 カタイスキュノー(ギ) dishonour、disgrace; make ashamed、不名誉; 恥を見る 「信じる者は、あわてる(急ぐ)ことがない。」(マソラ訳)
*7 詩篇118:22、 アピステオー(ギ) 信じない、不信仰である
*8 イザ8:14
*9 バシレイオス(ギ) royal、kingly、王の(王宮で働く); 王位を持つ、王であり、 アレタイ(複) <アレテー virtue、moral goodness、moral excellence、徳、すばらしさ、賛美
*12 カロース(ギ) beautiful of heart and life、morally good、honourable、(内側も外見的にも)品性が良い、(道徳的に)正しい、 エピスコペー 監督; (主の再臨の時とは限らず、)巡ってくる節目の時、おとずれの (ルカ19:44、使徒1:20)
*15 (直訳) (動物に)口輪をはめる、 § 主が、国や王や制度(:13 クティシス(ギ)創造、制度)の秩序を与え、これらに従うように定められたのは、主の御名があがめられるため。 (ロマ13:1−7、マタ17:27、箴言24:21等、 ただし神と世の支配者の要求が異なる場合は、当然、神を選ぶ 使徒5:29)
*18 オイケテース(ギ) 家の下働きのしもべ (ドゥーロス、(ローマの一身分の)奴隷 ではなく、教養のあるしもべを含む(医者、教師など))、 スコリオス 不公平な、曲がった
*19、20 カリス(ギ) (直訳) 大いなる恵み、感謝、 (意訳) 神に喜ばれること、 ふさわしくない者に良くしてやることが神に喜ばれ、大いなる恵みを受けることになる の意、(ルカ6:32−35) (cf.パウロはカリス(大いなる恵み)を「信仰による救い」と同義語にしている)
*23 イザ53:7
*24 クシュロン(ギ) (直訳) 木 (Tコリ3:12; 申21:23、ガラ3:13)、 罪を負う = 祭司が犠牲を祭壇に捧げる(ヘブ7:27) + 捧げられた犠牲が罪を負う、 イザ53:5
第3章
1 同じように、妻たちよ。夫に従いなさい。そうすれば、みことばに従わない夫であっても、その妻の無言の振る舞いによって、主のもとに獲得される*のです。
2 それは、あなたがたの尊敬の心による、きよい、その振る舞いを見るからです。
3 あなたがたは、髪を編み、金の飾りをつけ、着飾った服装をする、というような外面の飾りではなく、
4 むしろ、隠れた内なる人*である、柔和で、静かな霊という朽ちないものを、飾りとしなさい。これこそ、神の御前で非常に高貴なものです。
5 むかし神に望みを置いた神を畏れる婦人たちも、このように自分を飾って、その夫に従ったのです。
6 たとえばサラも、アブラハムに従って、彼を主人と呼びました。* あなたがたも、どんな驚くようなことにも恐れずに善を行えば、サラの子供たちとなるのです。
7 同じように、夫たちよ。あなたがたも、妻が女性であり自分よりも弱い器であることをよく知って、妻と共に生活し、いのちの大いなる恵みを共に相続する者として*、尊敬しなさい。それは、あなたがた*の祈りが中断されないためです。
8 終わって次に*、あなたがたは皆、心を一つにして*、同情し合い、兄弟愛をもち、あわれみ深くあり、謙遜でありなさい。
9 悪をもって悪に報いず、侮辱をもって侮辱に報いず、かえって、祝福を与えなさい。あなたがたが召されたのは、祝福を受け継ぐためであることを、すでに知っているからです。
10* 「いのちを愛し、幸いな日々を過ごそうと思う者は、舌を制して悪を言わず、くちびるを閉ざして偽りを語らず、
11* 悪から遠ざかり善を行ない、平和を求めてこれを追い求めよ。
12* 主の目は義人たちに注がれ、主の耳は彼らの祈り*に傾けられる。しかし主の御顔は、悪を行う者たちに立ち向かう。」
13 そこで、もしあなたがたが良いことにならう者*となるならば、誰があなたがたに危害を加えるでしょう。
14 しかし、たとい義のために苦しむようなことがあっても、あなたがたは幸いです。彼らの脅かしを恐れたり、心を動揺させたりしてはいけません。
15* むしろ、心の中で神である主を、聖なる方と認めなさい*。そして、あなたがたのうちにある希望について説明を求める人には、いつでも弁明のできる用意をしていなさい。
16 ただし、穏やかに、敬意をもって、正しい良心をもって、弁明しなさい。そうすれば、あなたがたのキリストにある立派な生き方をそしる人々も、そのようにそしったことを恥じ入るでしょう。
17 善を行なって苦しむことは、それが神のみこころならば、悪を行なって苦しむよりもずっと優れています。
18 そして、キリストは、一度、罪のゆえに死なれました。義なる方が不義の人々の身代わりになられたのです。それは、肉においては死に渡され、霊においては生かされて*、私たちを神のみもとへ導くためでした。
19* また、霊にあって、キリストは牢獄の中にいる霊たちのところに行かれて、宣言された*のです。
20* これらの霊とは、昔、ノアの箱舟が造られていた間、神が忍耐して待っておられたのに不信仰*だった者たちのことです。わずかに八名*だけがその箱舟に乗り込み、水を通って救われました。
21* それは、今、私たちを救う 、予型としての*バプテスマ*であり、イエス・キリストの復活を通してのものです。 (水の*バブテスマは肉の汚れを除くことではなく、正しい良心の神への誓いです。)**
22 キリストは天に上り、神の右の座におられ、御使いたち、および、もろもろの権威、権力とを従えておられます。
*1 ケルダイノー(ギ) 獲得する、儲ける (主のもとに は補足) (マタ16:26、ヤコ4:13、ピリ3:8 等)
*4 内なる人: (直訳) 心の人間、人格
*6 創世18:12
*7 § 主の御前に、妻も、夫と霊的に同等であること (当時は女性はかなり低く見られていた)、 あなたがたの: 夫婦の
*8 テロス(ギ) end、終わり、終わりの時; 税金 (cf.エスカトス:(時間・場所・順位・ランクの)the last 最後) § 2:11−3:7の各階層の人々に対し言い終えた後、次の原則論に入る導入の言葉 (メッセージが終わったのではない)、 心を一つに: ホモーフロン(ギ、形容詞) of one mind、concordant、(キリストにあって、)調和して、 § キリストを主とし、模範とする、同じ基盤に立つ → 主に聞く御霊の一致、信仰の一致、愛の一致 に達する
*10−12 詩篇34:12−16、 :12 デエーシス(ギ) need、want; seeking、asking、(個別の、必要の、)願い (cf.プロシューケー(ギ) prayer、(一般の)祈り)
*13 ミネテース(ギ) imitator、模倣する者 (エペ5:1、Tコリ4:16等)、 § 主と生き写しのものとなり、進んで善を行なう積極的な生き方 → 幸いな日々を過ごす
*15 ハギアゾー(ギ) 聖とする、聖なる方として(体験的に)知る § 主の祈り マタ6:9 「御名があがめられますように → Hallowed be thy name、御名が聖なるものとされますように」
*18 § 主の御体は死んで三日目に墓からよみがえり、主の霊は死と同時に御父に渡された (ルカ23:46)
*19、20 § これは、キリストが十字架の死後復活までの間、旧約時代や今の時代(第2、3周期)の死者ではなく、ノアの洪水以前の時代(第1周期)の人々の霊に、主ご自身がよみ(シェオル(ヘ)のパラダイス(ギ))に行かれ、そこから大きな淵の向こうのハデス(ギ)にいる彼らへさばきの宣言、あるいは、伝道をされたこと。(→ 4:6) ・・・ 少なくとも、今の時代の死者についての”セカンドチャンス論”は間違い
*19 ケリューソー(ギ) herald to proclaim、(単純に)宣言を公に述べる (※ もし福音宣教を言うなら、ユーアンゲリゾーのはず)
*20 アペイセーオ(ギ、動詞) believe not、refuse or withhold belief、不信仰である (ヨハ3:36)、 オクトー プシュカイ (直訳) 8つのたましい
*21 アンティテュポス(ギ、形容詞) thing resembling another、counterpart、antitype、対型の、予型(よけい)の、あらかじめ示された型の、 § バプテスマ(名詞、主語、単・中): (儀式の、水のではなく、)「聖霊のバプテスマ」のこと。「イエスの復活を通して、」昇天の後、初めて聖霊のバプテスマが起こった。(水のバプテスマは復活以前にもあった) 御子の贖いを信じ、聖霊を受けることによって救われる。 救いの条件に十字架以外のものが入るならば救いを失う、 ** ビザンチン型底本による聖書にはこの括弧が入っている(KJVでも括弧書き): 水の は補足。 儀式は「救い」と直接関係がなく、水のバプテスマは、神への誓いであり、人々への信仰の表明の意味を持つにとどまる。プロテスタントでは信じて救われてから、教会員となる時受けるのが通例。 (使徒8:37 も抜け: エチオピアの宦官が「イエスが神の子であることを信じる」ことが重要で、水のバプテスマはその表明にすぎない)
第4章
1 このように、キリストは肉において、私たちのために苦しみを受けられたので、あなたがたも同じ考え方*で自分を武装をしなさい。肉において苦しみを受けた人は、自分から罪をやめました。
2 そして、肉にあっての残りの生涯を、もはや、いろいろな人間の欲望のためではなく、ただ神のみこころのために過ごすようになるのです。
3 過ぎ去った時には、あなたがたは、異邦人のしたいこと*、すなわち、好色、欲情、酔酒、遊興、宴会騒ぎ、忌むべき*偶像礼拝などにふけっていましたが、もう十分です。
4 今はあなたがたが、そのような度を超えた放蕩に加わらないので、彼らは非常に変わっていると思い、また、悪口を言います。
5 彼らは、生きている人々も、死んだ人々も、いつでもさばく用意ができている方に、申し開きをすることになります。
6* 死んだ人々にも福音が宣べ伝えられたのは、彼らは肉においては人間としてさばきを受けますが、霊においては神によって生きるためです。
7 万物*の終わり*が近づきました。それゆえ、健全な心でいなさい。そして、目を覚まして*祈りなさい*。
8 何よりも初めに、互いに進んで熱心に*愛し合いなさい。愛は多くの罪を覆うからです。
9 不平を言わずに、互にもてなし合いなさい。
10* それぞれの人が賜物*を受け取っているのですから、神の多岐にわたるさまざまな恵みの良い管理者として、互いに奉仕し合いなさい。
11* もし誰かが語るのであれば、神の語りかけ*を話させなさい。また、もし誰かが奉仕の働き*をするのであれば、神が豊かに与えてくださる力に応じてそれをしなさい。 そして、イエス・キリストを通して、すべてにおいて神が崇められるようにしなさい。
このキリストに、栄光と 支配が、世々限りなくありますように。 アーメン。
12 愛する者たち。あなたがたを試みるために、あなたがたの間で燃え上がる火の試錬を、何か異質なこと*が起ったかのように驚かされる*ことなく、
13 むしろ、キリストの苦しみに共にあずかるのだから、喜びなさい。それは、キリストの栄光が現れる時に、喜びに満ちあふれる者となるからです。
14 もし、キリストの名によって非難されるなら、あなたがたは幸いです。
なぜなら、栄光の御霊、すなわち 神の御霊が、あなたがたの上にとどまってくださるからです。不信者の*彼らにあっては主は非難の対象であり、一方、あなたがたにあっては 主は栄光を受けられるのです。
15 あなたがたのうち、だれも、人殺し、盗人、悪を行なう者、あるいは、みだりに他人に干渉する者として苦しみを受けることのないようにしなさい。
16 しかし、キリスト者としてならば、恥じることはありません。かえって、この苦しみにあずかれることで、神をあがめなさい。
17 なぜなら、さばきが神の家から始まる時が来ているからです。そのさばきが、最初に私たちのところから始まるとすれば、神の福音をかたくなに信じない人々の終わりは、どうなるでしょう。
18 もし 義人が かろうじて救われるとすれば、神を敬わない者*や罪人は 一体どこへ出ればよいのでしょうか。
19 それゆえ、神のみこころに従って苦しみを受ける人々は、良い行ないをするにあたって、信頼すべき創造主に自分のたましいを預けなさい*。
*1 エンノイア(ギ) thought、notion、conception、mind、考え、概念、観念、思い、 § 同じ考え方: 苦難が神から来たものと考えて、自発的に受け取ること
*3 セレーマ(ギ) will、counsel、したいこと、(神の)みこころ、 アセーミトス 違法の、不義の、忌むべき、 → 良心や自然的な法にそぐわない の意
*6 § 4:6は、”セカンドチャンス論”の論拠とされている。しかし、1.ノアの洪水以前(第1期)の死者(原罪の無い、アダムと別種の人類?)に限定(3:19、20を再度言っている)、 2.前節までと一貫して、(今生きているが)霊的に死んだような人(クリスチャンでありながら、4:3の人、=Tコリ3:15)が考えられ、いずれの場合も、今の時代(第3周期・新約時代)の死者が霊のままで救われることはあり得ない。(もちろん仏教哲学で言う転生輪廻のような思想は、聖書に全く無い) (※ 極めて限定的な奇跡である「死人のよみがえり」により、肉体を有した状態になって伝道されて救われることは起こっている。 また天国を見た人のあかしによれば、4歳未満で死んだ人(胎児含む)の霊は無条件に天国に行くという。それ以上ではキリストの十字架が必要)
*7 パントーン(属格、複・中) <パス すべての(things、物事)、 テロス(ギ) end、終わり、 ネーフォ (直訳) 素面(しらふ)の、 プロシューケー(ギ) prayer、(一般の)祈り
*8 エクテネース(ギ、形容詞) stretched out; intent、earnestly、(直訳) 前に伸ばす; 意図的に、熱心に
*10、11 カリスマ(ギ) 賜物 § 「カリスマ」はパウロが好んで用いた言葉(Tコリ12章)であり、ペテロはこのうち、1. 預言、知恵、知識などの言葉の賜物(ロギオン(ギ) oracle、託宣、utterances of God、神の語りかけ)と、 2. 力の奉仕(ミニストリー)の賜物(エクス イスキュオス out of strength、力による = 癒し、奇跡、信仰など)の、2つに分けて挙げている。 すなわち、クリスチャンが、「愛」の次に、「賜物」にあって成長すること、そして主に栄光を帰すること、を勧めている
*12 クセノス(ギ) 外国人の、馴染みにくい、異質な (※キセノン(元素):馴染みにくいもの、不活発なもの より)、 クセニゾー 異質なものと感じる § ヘレニストのユダヤ人クリスチャンにとっては、パリサイ派、サドカイ派、ヘロデ党などからの迫害は普通のことだったが、この小アジヤの異邦人にとって、この種の迫害は初めての体験であり、異質なものと映った。 多くの場合、ユダヤ人がキリスト者迫害の背後にいた
*14 不信者の は補足
*18 アセベース(ギ) 神を非難する、不敬虔な
*19 ピストス(ギ、形容詞) trusty、faithful、easily persuaded、believing、信頼できる、忠実な; 信じやすい; 信仰心のある、 パラティセミ (銀行や信頼できる友人に)預ける、ゆだねる (当時、旅に出るとき銀行に金を預け、かなり利息が付いた(ルカ19:23))
第5章
1 そこで、あなたがたのうちの長老たちに、私も同じ長老の一人*であり、キリストの苦難の証人、また、やがて現われる栄光にあずかる者として、勧めます。
2 あなたがたの中にいる神の羊の群れを牧しなさい。強いられてではなく、自分から進んで行ない、卑しい利得のためではなく、快く喜んでそれをしなさい。
3 また、割り当てられた*人たちを支配するのではなく、むしろ、群れの模範*となるべきです。
4 そうすれば、大牧者*が現れる時には、しぼむことのない*栄光の冠*を受けるでしょう。
5 同じように、若い人たちよ。長老たちに従いなさい。 すべての人たちよ。互いに謙遜を身に着けなさい*。神は高ぶる者に敵対され、へりくだる者に恵みを与えられるからです。*
6 それゆえ、あなたがたは、神の力強い御手の下にへりくだりなさい*。時が来れば、神はあなたがたを高く上げてくださるからです。
7 あなたがたの一切の思い煩いを、神にゆだねなさい。神はあなたがたを心配してくださるからです。*
8 身を慎み、目を覚ましていなさい。あなたがたの敵である悪魔*が、ほえたけるししのように、食いつくすべきものを捜し求めて歩き回っています*。
9 信仰の堅い基礎の上に立って*、この悪魔を撃退しなさい*。あなたがたのよく知っているとおり、全世界にいるあなたがたの兄弟たちも、同じような苦しみを通ってきたのです。
10 あらゆる恵みに満ちた神、すなわち、あなたがたをキリストにある永遠の栄光に招き入れて下さった神は、しばらくの苦しみの後に、あなたがたを建て直し*、力付け*、働きの備えをさせ*、土台を据えて**下さいます。
11 どうか、神のご支配が、世々限りなくありますように。アーメン。
12 私が認め、あなたがたにも忠実な*兄弟シルワノ*によって、あなたがたに簡潔に書き送り、励まし、これがあなたがたが立っている神の、真の*恵みであることをあかししました。
13 バビロン*にあるあなたがたと共に選ばれた教会*、ならびに、私の息子*マルコ*から、あなたがたによろしくと言っています。
14 愛の口づけをもって、互いにあいさつをかわしなさい。 キリスト・イエスにある あなたがたのすべてに、平安がありますように。 アーメン。
*1 シュムプレスビューテロス(ギ) fellow elder、長老仲間
*3 クレイロス(ギ) くじ、相続のもの、割り当て地、割り当てられた人々、 テュポス 型で打ち出す模様; 模範
*4 アルキポイメン(ギ) chief shepherd、大牧者; 牧師長、主任牧師 (ここだけ)、(cf. ポイメーン shepherd、pastor、牧者・羊飼い(ヨハ10:11等)、牧師(エペ4:11) ・・・ 羊を守り、導き、食物を与える)、 アマランティノス(ギ) (花が)しぼむことのない、永遠の (=1:4)、 ステファノス (直訳) 花輪; 冠、 栄光の冠: (属格より、) 栄光でできた冠 の意 (朽ちない冠 Tコリ9:25、義の冠 Uテモ4:8、いのちの冠 黙2:10、冠 黙3:11、御恵みの冠(ふさわしくない者への冠) 詩65:11、誇りとする冠 イザ28:1)、冠はユダヤでは王が、また結婚式のとき新郎がつけた
*5 (5節の途中から、若い人に限らず、すべての人に言っている) § 謙遜(タペイノフロシュネー)は当時、良い徳とは考えられていなかった。 奴隷が自由人と区別されて白い布(あるいは前掛け)を腰に付けた。 御子が手拭いで弟子たちの足を洗った後ふき取られたことを思わせる
(ヨハ13:5)、 ヤコ4:6、 「あざける者をあざけり、」 箴言3:34(マソラ訳)
*6 タペイノー(ギ) make low、humble、へりくだる、 § 謙遜は、神に対するへりくだり、罪の告白から始まり、神に対する信頼へ導かれる(:7)
*7 詩篇55:22
*8 ディアボロス(ギ) slander、中傷する者 (サタン(ヘ) 敵、敵対者): 「中傷する者」(ヨブ1−2章、ゼカ3:1−)、「誘惑する者」(マタ4:1−11)、「反逆者」(ヨハ13:2、Uコリ4:4、エペ2:2、Tテサ2:18)、 § (ライオンは通常は獲物にそっと忍び寄るが、咆哮する場合は威嚇が目的) サタンは迫害をもって威嚇し、失望・落胆させ、恐れさせて、信仰告白を妨害することを目標としている。 サタンの力は”惑わし”のみであり、揺り動かされないように信仰に堅く立つこと(:9)
*9 ステレオース(ギ、形容詞) strong、firm、immovable、solid、堅い (建物の基礎の堅さ の意、Uテモ2:19)、 アンシステミ(ギ) withstand、resist、抵抗する、耐える、やり過ごす; 撃退する、立ち向かう (ヤコ4:7、武具 エペ6:11−13)
*10 カタルティゾー(ギ) 再び建てる、全うする、(網など)修繕する(マコ1:19)、 ステリゾー(動詞) 堅く立たせる、力づける(ルカ22:32)、 スセノオー (活動のために)備える、 セメリオオー lay the foundation、make stable、土台を据える、堅く立てる(**バチカン写本、アレキサンドリア写本には無い)
*12 シルワノ: 預言者シラス(使徒15:22)、 ピストス(ギ) 信頼のおける、忠実な、 アレセース true; loving the truth、speaking the truth、本当の; 真理を語る § ペテロがこの手紙であかしした「神の真の恵み」とは、人々の信仰と希望とが確実なものであることを保証することであり、「励まし」である
*13 メソポタミアのバビロンではなく、比喩でローマのこと、 教会(エクレシア、単・女) は補足、 (直訳) 共に選ばれたもの(単数・女)、 ヒュイオス son、子、息子、 マルコ: ヨハネ・マルコのこと(使12:12、15、15:36−39、コロ4:10、Uテモ4:11、ピレ:24)、 アラム語を話すペテロの通訳をし、マルコの福音書も筆記した