ピリピ人への手紙



  第1章


 1 キリスト・イエスの奴隷たちパウロとテモテから、ピリピにいる、キリスト・イエスにあるすべての聖徒たち、ならびに監督たちと執事たちへ。
 2 私たちの父なる神と、主イエス・キリストから、大いなる恵みと平安とが、あなたがたにありますように。

 3 私はあなたがたを思うたびに、私の神に感謝し、
 4 あなたがたすべてのために祈るとき、いつも喜びをもって祈り、
 5 あなたがたが最初の日から今日に至るまで、福音宣教の働きにあずかっていることを感謝しています。
 6 そして、あなたがたのうちに良いわざを始められた方は、キリスト・イエスの日までに、それを完成して下さると確信しています。
 7 私が、あなたがたすべてのために、そのように考えるのは正しいことです。それは、私が投獄されている時にも、福音を弁明し、また立証する時にも、あなたがたはみな、私と共に大いなる恵みにあずかった人々であり、私の心の中に深く覚えているからです。
 8 私がキリスト・イエスの慈愛にあって、どんなに深くあなたがたすべてを慕っているか、それをあかしして下さる方は神です。

 9 私はこのように祈っています。 正しい知識と、すべての洞察力の助けによって、あなたがたの愛が、ますます豊かに増し加わり、
10 それによって、あなたがたが物事についてより価値のあるものを識別して受け入れ、キリストの日に備えて、純粋でつまずきを与えない者となり
11 イエス・キリストを通して与えられる多くの義の実に満たされて、神の栄光称賛に至りますように。


12 さて、兄弟たち。私の身に起った事が、かえって福音の前進に役立つようになったことを、あなたがたに知ってほしいのです。
13 すなわち、私が投獄されているのはキリストのためであることが、親衛隊の全員にも、その他のすべての人々にも明らかになり、
14 そして兄弟たちのうちの大部分は、私の投獄によって主にあって確信を与えられ、恐れることなく、ますます勇敢に、神のみことばを語るようになりました。

15 ねたみや争いのゆえにキリストを宣べ伝える者たちもいますが、喜びの心のゆえにそうする人々もいます。
16 一方では、私が福音を弁明するために立てられていることを認め、愛の心でキリストを宣べ伝える人たちがいて、
17 もう一方では、私の投獄の苦しみを増し加えようとして、純真な動機からではなく、党派心から宣べ伝えています。
18 すると、どうなりますか。見せかけであろうと、真実であろうと、あらゆる方法でキリストが宣べ伝えられています。だから、私はそれを今、喜んでいて、さらにこれからも喜ぶでしょう。

19 なぜなら、あなたがたの祈りと、イエス・キリストの御霊の助けによって、この事が、私にとって救いという結果になることを知っているからです。
20 そこで、私が首を長くして待ち望むことは、私が、どんなことがあっても恥じ入ることなく、いつものように、今も大胆に語り、生きる事を通しても、死ぬことを通しても、私の体によってキリストが大いなるものとされることです。

21 私にとっては、生きることはキリストであり、死ぬこともまた益だからです。

22 しかし、もし、肉にあって生きていることが、私にとって実り多い働きになるならば、どちらを選んだらよいか、私には分かりません。
23 私は、これら二つのものの間に板ばさみになっています。私の願いは、この世を去って、キリストと共にいることです。実は、その方がはるかに優れています。
24 しかし、肉体にとどまっていることは、あなたがたのためには、もっと必要でなことです。
25 私はこう確信しました。それゆえ、私は生きながらえて、あなたがたの信仰の進展と、信仰の喜びとのために、あなたがたすべてのところにとどまることを、すでに知っています。
26 そうなれば、私が再びあなたがたのところに行くので、あなたがたは私によって、キリスト・イエスにある誇りを増し加えることになります。


27 ただ、あなたがたはキリストの福音にふさわしく市民生活をしなさい。そして、私が行ってあなたがたに会うにしても、離れているにしても、私はあなたがたについてこう聞くことができるでしょう。すなわち、あなたがたが一つの御霊にあって堅く立ち、一つのたましいになって福音の信仰のために共に奮闘し、
28 また、何事についても、反対者たちに驚かされないでいることを。 このことは、彼らには滅びのしるしであり、あなたがたにとっては救いのしるしです。それは神から出ていることです。
29 あなたがたはキリストのために、ただ彼を信じる信仰だけではなく、キリストのための苦しみも賜わっているのです。
30 あなたがたは、私についてすでに見たことと、また、今私について聞いているのと、同じ戦いを手にしているのです。


   *  ピリピ(フィリピ)の教会は、パウロの第2回伝道旅行で、トロアスから船出して最初のヨーロッパ宣教をピリピ(ギリシャのマケドニア州の大きめの町)で行った際、ルデヤとその家族が救われ、投獄の際は看守一家が救われ、パウロたちは出て行かなければならなくなったがその町で教会が始められ、ヨーロッパ初の教会となった。(AD52年頃) この町は退役軍人が多いローマ一色の植民都市で、ユダヤ人が少なく会堂もなかった(ルデヤたちはアンギテス川のほとりで礼拝していた(使徒16:13))ので、コリント、エペソなどと比べ、悪質なユダヤ人のにせ教師たちによる妨害は少なかったと考えられる。 パウロとピリピ教会との親密な交流はその後も続けられ、教会はたびたび使者をパウロの所に送り、捧げものを持ってきた。
     § この手紙は、ローマの2年間の獄中で書かれた説が伝統的(AD61−63年、 1:13、4:22、使徒28:16、30)、しかしエペソで書かれた説(1、2、4章)もあり確定していない。 (※ パウロの手紙は伝統的には13あるが、現在のところ、確実にパウロが出した手紙は、ローマ、コリント1、2、ガラテヤ、ピリピ、テサロニケ1、ピレモンの7つのみ。他は、諸説ある。)
     § この手紙の特徴は、「喜び」という言葉が16回も用いられているほどの、「喜びの手紙」であること。 また「コイノニア(交わり、あずかる)」も特徴的。パウロとピリピ教会との親密なかかわりが読み取れる。  内容は2つに分けられ、ピリピ教会がエパフロデトに託して送った贈り物に対するお礼(4:10、14−18)と、教会の小さな問題(不一致の問題(1:27、2:1−4、4:2)、ユダヤ教主義者の危険(3:2)、間違った完全主義(3:12−16))に対する回答。

   *1  ドゥーロイ(ギ、複) slaves、奴隷、しもべ、  トイス ハギオイス(複) the saints、聖徒(=神の所有とされた民、Tペテ2:9)、  エピスコポイ(複数) overseer、elder、監督  § 当時は監督(牧師)が複数いるのが普通だった (=プレスビュテールス(複) 長老(使徒20:17、テト1:5 ・・・ 使徒パウロが指名した長老たちをテトスに任命させている)、  デイアコノイ(複) 執事たち (使徒6:2、3の「仕える人(servants)7人」が起源)
   *2  (大いなる)恵み(=救われて神の民、神の子とされたこと)と、平安(=御子の十字架による、神との平和)は、パウロの手紙の定型文、であると共に、メッセージの要約になっている
   *5  エイス ト ユーアンゲリオン(ギ) into the well massage、福音宣教へ(のために)
   *8  (直訳) 腸、あわれみ
   *10  ディアフェロー(ギ) 違う方法、より優れているもの、重要なもの、   ドキマゾー 試験して受け入れる、  アプロースコポス not causing to stumble、  § あくまで愛が主体。 愛が、知識や洞察力によらないで燃え上がるならば、盲目的なものになり、自分の義を主張して、かえって害を与えることになる。 たとえば、人に独立心を失わせたり、依頼心を起こさせるだけで終わり、罪を犯させる(つまずきを与える)結果にもなり得る
   *11  与えられる多くの は補足、 義の実(複数)
   *12  § ここではピリピ教会に関係のない、自分の身の回りに起こったことを分かち合った。「ねたみ、争い」、「党派心」  →  ピリピとも重なる部分がある (2:1−、4:2−)
   *13  プライトーリオン(ギ)、プライトリウム(ラ) 親衛隊、地方総督の官邸(ヘロデ、ピラトの官邸、 マタ27:27、使徒23:35)  → この場所がローマとは限らないが、ローマの軍隊の関係といえる
   *15  ユードキア(ギ) good will、kindly intent、delight、善意、親切心、喜び  cf.アガソーシュネー moral goodness、integrity、善良であること、正直 (ガラ5:22)
   *17  エリセイア(ギ) 自分の勢力拡大のための野望 (← エリス、争い)、  § パウロはこの不一致よりも、第一に福音が宣べ伝えられていることに着目し、それを喜んでいる
   *18  カイーロー(ギ) rejoice、be glad、rejoice exceedingly、be well、喜ぶ、非常に喜ぶ、健康である
   *20  メガリューノー(ギ) make great、magnify、get glory and praise
   *21  § 生きることは「キリスト」 と言っている、 「生きているのは私ではなく、私のうちにおられるキリスト」 の意 (ガラ2:20)、  死ぬこと: 死の行為のこと (死そのものや、死の状態ではない)
   *22、23  § 天の御国を見てきた人のあかしによると、二度と地上に戻りたくないようなすばらしい所であり、戻される時この葛藤があったそうである
   *27  ポリテューオマイ(ギ) (ローマの)市民生活をする (ポリテューマ 国籍、3:20) ・・・ § まず、一人一人のレベルで、天国の市民として生活する事  →  次に、教会全体が聖霊によって一つになり、心を一つにして共に奮闘すること
   *28  § 驚かされないように: 反対者が天の福音をあざ笑うことが、彼らの滅びのしるし。 それに驚かされないのが、救いのしるし
   *30  すでに見たこと: 1:7、  アゴーン(ギ) assembly、stadium、national games of Greek、struggle、battle、ギリシャのスタジアムのバトル・ゲーム; 戦い、奮闘、  エコー(ギ) have、(手に)持つ、所有する、憑依する、交わりを持つ



  第2章


 1 そこで、あなたがたに、キリストにある励ましや、愛の慰め、御霊の交わり、あわれみと同情とがあるなら、
 2 どうか同じ判断、同じ愛の心を持ち、一つ心で、一つの考え方になって、私に喜びを満たしてください。
 3 何事でも党派心や虚栄からするのでなく、へりくだって、互いに人を自分より優れた者と思いなさい。
 4 それぞれ、自分のことばかりでなく、他人のことも顧みなさい。
 5 キリスト・イエスが持っておられたのと同じ考え方が、あなたがたの間にもあるようにしなさい。すなわち、

 6 神のであられる方が、 神に等しい者であることに固執せず
 7 ご自分の 神としての権利を無効にし、 しもべの形をとられ、 人々と似たものとなられました。そして、人間の生活様式をもって現れ、
 8 ご自身を卑しくし、 死にまでも従われました。 実に、十字架の死にまでです。

 9 それゆえ、神はキリストを高く引き上げ、すべての名にまさる名を、彼に与えられました。
10 それは、イエスの御名によって、天上にあるもの、地上にあるもの、地の下にあるものの、すべてがひざをかがめ、
11 また、すべてのが、「イエス・キリストは主である。」と告白して、栄光を父なる神に帰するためです。
12 私の愛する者たちよ。そういうわけですから、あなたがたがいつも従順であったように、私がいる時だけでなく、一緒にいない今はなおのこと、恐れおののいて、自分の救いを達成してください。
13 それは、神が、ご好意によって、あなたがたの中に働きかけて、その意志を起こさせ、実現に至らせるからです。
14 すべてのことを、つぶやかず、争わずにしなさい。
15 それは、あなたがたが非難されるところのない純粋な者となり、曲った邪悪な時代のただ中にあって、傷のない神の子となるためです。あなたがたは、いのちのことばを堅く持って、彼らの間で世の光として輝くためです。
16 このようにして、私は自分の走ったことがむだでなく、苦労したこともむだではなかったと、キリストの日に、誇ることができます。
17 そして、たとい、あなたがたの信仰の供え物と礼拝に、私が注ぎの供え物になったとしても、私は喜びます。あなたがたすべてと共に喜びます
18 同じように、あなたがたも喜びなさい。私と共に喜びなさい


19 さて、私は、早めにテモテをあなたがたのところに送りたいと、主イエスにあって願っています。それは、あなたがたの様子を知って励ましを受けたいからです。
20 テモテのように、私と同じ心になって、あなたがたのことを本当に心配している者は、他にいないからです。
21 誰もが、自分のことを求めるだけで、キリスト・イエスのことは求めていません。
22 しかし、テモテ試験済みであることは、あなたがたの知っている通りです。すなわち、子が父に対するようにして、私と一緒に福音に仕えてきたのです。
23 そこで、この人を、私がどうなるか分かりしだい、すぐにでも、そちらへ送りたいと願っています。
24 私自身も近いうちに行けるものと、主にあって確信しています。

25 しかし、とりあえず、私の兄弟、同労者、戦友、また、あなたがたの使者として私の窮乏を補ってくれたエパフロデトを、あなたがたのもとに送るべきだと考えています。
26 それは彼が、あなたがたすべてを慕っていて、また、自分の病気のことがあなたがたに知られたことを、彼は気にして落ち込んでいるからです。
27 彼は実に、死ぬほどの病気にかかりましたが、神は彼をあわれんで下さいました。彼だけではなく、私をもあわれんで下さったので、私は悲しみに悲しみを重ねることにはなりませんでした。
28 そこで、大急ぎで彼を送ります。これで、あなたがたは彼と再び会って喜び、私もまた、悲しみからさらに解放されるのです。
29 それゆえ、あらゆる喜びと共に、主にあって彼を迎えてください。また、彼のような人々には尊敬を払うべきです。
30 彼は、私に対してあなたがたが仕えることの不足分を満たそうとして、キリストの働きのために、いのちを賭して死ぬ手前だったのです。


   *1  ウーン(ギ) こういうわけで、( = 今まで一致の重要性について言ってきたので、ここで、一つになるべきである の意)   コイノーニーア(ギ) fellowship、association、community、交わり、集会、  スプラーグコノン (直訳)腸、 あわれみ
   *3  エリセイア(ギ) 党派心(1:17)、自己中心
   *6  エン モルフェー セウー(冠詞無し、属格) ヒュパルコーン(ギ、現在、単・男) be(come forth) in form of God、神たる方の形である(現れる)、   エイナイ イサ セオー(冠詞無し、与格) to be equal to God、神たる存在に等しい存在 (キリストの神性を表す)
   *12  § 「救いの達成」は、自力救済やこれから救われることの意味ではなく、前節までにより、すでに救われ聖霊を受けているクリスチャンたちに言っている。 人の努力によらない「永遠のいのちの救い」の、次のステップの、「意志を起こさせ、実現に至らせる」こと(:13)や、「聖化」を意味する
   *13  ヒューペル テース ユードキアス(ギ) for the sake of the delight(喜び、善意)、善意のために、  セーロー will、desire、意志、願い
   *14  § 不一致にならないように の意
   *15  純粋な、混ぜ物・不純物がない、   旧約の、いけにえの動物に傷が無い の意、   いのちのことば: 神の福音
   *17、18  シュンカイロー、シュンカイレテ(命令)、共に喜ぶ (Tコリ13:6)  § 一致のためには、共同体意識が最も必要、  注ぎの供え物: 殉教 の意
   *21、22  一緒にいる兄弟たち(4:21)やカイザルの家の人々(4:22)もいたが、ピリピ教会を自分のことのように心配したのはテモテしかいなかった。 (ただし、テモテは、若く(Tテモ4:12)、体が弱く(Tテモ5:23)、やや内気だった(Tコリ16:10))
   *25  エパフロデト: 元々ピリピ教会の一員で、愛の捧げものを持ってパウロのところに来たが、共に奉仕し共に戦っていた (「送り返す」ではない)



  第3章


 1 結論として、私の兄弟たちよ。主にあって喜びなさい。  前に書いたのと同じことをここで繰り返しますが、それは、私には煩わしいことではなく、あなたがたの安全のためになることです。

 2 あの犬どもに警戒しなさい。悪い働き人たちを警戒しなさい。割礼もどきの人たちを警戒しなさい。
 3 神の御霊によって礼拝をし、キリスト・イエスを誇りとし、肉を頼みとしない私たちこそ、割礼の者です。

 4 ただし、私にも、肉においてより頼むところがあります。もし、他の誰かが肉により頼むと思うなら、私はそれ以上です。
 5 私は八日目に割礼を受けた者、イスラエルの民族の、ベニヤミンの支族の者、ヘブル人の中のヘブル人、律法によればパリサイ人
 6 熱心のあまり教会の迫害し、律法における義によっては非難されることのない者でした。
 7 しかし、私にとって利益であったこれらのものを、キリストのゆえに損失と思うようになりました。
 8 それどころか、私の主キリスト・イエスを知る知識の圧倒的なすばらしさのゆえに、すべてのものを損失と思っています。キリストのゆえに、私はすべてのものを捨て、廃棄物のように思っています。それは、私がキリストを獲得するためであり、
 9 律法による自分の義ではなく、キリストの信仰を通して神から与えられる義を受けての、この信仰に基づいて、キリストの中にある自分として認めるようになるためでした。
10 すなわち、キリストと、その復活の力と、その苦難にあずかることを知り、キリストの死に準じた状態になり
11 何とかして、死者たちの中からの復活に到達したいのです。

12 私がすでにそれを得たとか、すでに完全な者になっているなどと言うのではなく、ただ捕えようとして追い求めているのです。なぜなら、キリスト・イエスによって捕えられているからです。
13 兄弟たち。私はすでに捕らえたと、みなしてはいません。 しかしこの一事、すなわち、後のものを忘れ、前のものに向かって体を伸ばし
14 目標地点を目指して、キリスト・イエスにあって、神の高き召しという賞について走っているのです。
15 だから、私たちの中で成人である人たちは、そのように考えましょう。しかし、もし、あなたがたが違った考え方をしているなら、神はそのことも明らかにして下さいます。

16 とは言っても、私たちがすでに到達している所、同じ基準棒によって歩を進めていき同じ考え方でいましょう
17 兄弟たちよ。どうか、私にならう者となってください。また、あなたがたの模範となっている私たちにならって歩く人たちに、目を留めてください。

18 私がこのように言うのは、多くの者たちがキリストの十字架に敵対して歩いているからです。私は、彼らのことをしばしばあなたがたに言ってきましたが、今また涙を流して語るのです。
19 彼らの最後は滅びです。 彼らの神は彼らの腹、彼らの栄光は彼らの恥、彼らの考えることは地上のことだけです。
20 しかし、私たちの国籍は天にあります。そこから、救い主、主イエス・キリストが来られるのを、私たちは待ち望んでいます。
21 キリストは、万物をご自身に従わせることができる御力の働きによって、私たちの卑しい体を、ご自身の栄光の御体と同じ姿に変えてくださいます。


   *1  ト ロイポン(ギ) 最後に、結論として (= エペ6:10、Tテサ4:1) § 1、2章の結論として、「喜びなさい」。   前に書いたこと: この手紙の前の手紙があって、2節以下の内容をを書いた とする説がある (※ 3章2節からは必ずしも、別の手紙の挿入章と考える必要はない)
   *2  § 1:18で、「今も、これからも喜ぶ」のは、彼らが正しい福音を宣べ伝えているから。 一方、このユダヤ人の反対者たちは、異なるものを宣べ伝えているので警戒しなさい の意、  キューナス(ギ、対格、複数・男) dogs、犬(複数): ユダヤ人が、きよいものも、きよくないものも食べる異邦人が汚れているとしてこう呼んだのを、パウロは逆用して、肉の割礼はあっても心に割礼を受けていないユダヤ人をこう言った。 彼らは、割礼を受けないと救われないと主張した。現代で言う”律法主義異端”であり、救いの条件に十字架以外の行ないが入っているので、霊が救われていない
   *2、3  カタトメー(ギ) 割礼の出来損ないの者、 ⇔ ペリトメー (本当の)割礼の者、   サルクス flesh、肉: 人間的なもの
   *5  (直訳) ヘブルから出たヘブル人: 母国語としてアラム語(ヘブル語)を話すヘブル人 の意、  パウロはアラム語を常用した (使徒22:2)、  パリサイ人: ガマリエルの下で学び、最も厳格な派にいて、外見は立派だった (使徒26:5)
   *8  スキューバロン(ギ) ごみ、家畜の糞、廃棄物、   § ダマスコ途上の回心から約30年経った。そのパウロが、すでに義を受けているのにこれからさらに獲得しようとしているのは、キリストを知ることがいかに奥深いかを表している。
   *9  テーン(対格) ディア ピステオース(属格、単・女) クリストウ(属格、単・男) the through faith of Christ、キリストの持つ信仰を通して
   *10  コイノニーア(ギ、名詞) 交わり、あずかること、   シュモルフォーオ be conformed to、receive the same form as、準拠する、同じ形を受ける
   *11  § この、主の再臨の時の「栄化」の時まで、「主への聞き従い(信仰の歩み)」と「召し」と「聖化」の過程は続く。 (「霊の救い」は、「恵み」により、信じて聖霊を受けた時すでに完了しているが、)たましいにおける内なる戦いが続いて、信仰の努力が必要
   *14  エピ トー(対格) ブラベイオン(対格、単・中) テース(属格、単・女) アノー(副詞) クレーセオース(属格、単・女) トゥー(属格、単・男) セウー(属格、単・男) on the prize of the above(on high) calling of the God、神の高き所の召しという賞に関して、   § 「救い」(「霊の救い」は「恵み」により完成している)ではなく、神がその人の生涯に与えた「召し」について走っていること
   *15、16  § 結局、ピリピ教会の不一致の原因は、感情による(根深い)ものではなく、知的なものだった  →  一人一人の成長の度合に差があることを知って、パウロたちを基準として、皆考え方を一致して(軍隊の)歩を進めてほしい

   *16  私たち: パウロたち、  進んでいき: 軍隊の隊列が進むこと、  (「同じ考え方でいましょう」 は改ざん写本にはない)
   *19  コイリーア(ギ) 腹、子宮; 欲望、   フロネーオ be wise、feel、think、judge、賢くある、考える、思う、判断する
   *21  Tコリ15:51、52



  第4章


 1 ですから、私の愛し、熱烈に慕う兄弟たち。私の喜び、冠よ。このように、主にあって堅く立ってください。愛する者たちよ。
 2 私はユウオデヤに勧め、またスントケに勧めます。どうか、主にあって一致してください。
 3 ついては、真実な協力者よ。あなたにお願いします。この彼女たちを助けてあげてください。彼らは、いのちの書に名が書かれているクレメンスや、その他の私の同労者たちと協力して、福音のために私と共に戦ってくれたのです。

 4 あなたがたは、主にあっていつも喜びなさい。 もう一度言います。喜びなさい。
 5 あなたがたの優しさを、すべての人に示しなさい。主は近くにおられるのです。
 6 何事も思い煩ってはいけません。あらゆることにあって、感謝をもって、祈り個別の願いとを捧げて、あなたがたの求めることを神に知っていただきなさい。
 7 そうすれば、人のすべての思いをはるかに越えた神の平安が、あなたがたの心と考えとを、キリスト・イエスにあって守ってくださいます。
 8 結論として、兄弟たちよ。すべての真理であること、すべての尊敬すべきこと、すべての正しいこと、すべての聖潔なこと、すべての喜ばれること、すべて評判の良いこと、そのほか善いことといわれるもの、称賛に値するものがあれば、それらのものを心に計画しなさい
 9 そして、あなたがたが、私から学んだこと、伝授されたこと、聞いたこと、見たことを、実行しなさい。そうすれば、平和の神が、あなたがたと共にいてくださいます。

10 さて、今ついに、あなたがたが私のためを思う心が再び芽ばえてきたことを、私は主にあって大いに喜んでいます。実は、あなたがたは、私のことを心にかけていたのですが、良い機会がなかったのです。
11 乏しいからこう言うのではありません。私は、どんな境遇にあっても、満ち足りることを学んんできました。
12 私は貧しさの中にいること知っており、豊かさの中にいることも知っています。私は、飽くことにも、飢えることにも、有り余ることにも、不足することにも、あらゆる境遇にいる秘訣を心得ています。
13 私を強くしてくださるキリストによって、私は何でもできるのです。
14 しかし、あなたがたは、よく私と困難を共にしてくれました
15 ピリピの人たち。あなたがたも知っているとおり、私が福音を宣べ伝え始めたころ、マケドニヤから出て行った時、物のやりとりをしてくれた教会は、あなたがたの他には全くありませんでした。
16  またテサロニケにいたときも、一度ならず二度までも送って、私の欠乏を補ってくれました。
17 私は、贈り物を求めているのではありません。私の求めているのは、あなたがたの益となって増えていく果実なのです。
18 私は、すべての物を受けて、あり余るほどです。エパフロデトから、あなたがたの贈り物を受けたので、満ち足りています。それは、香ばしいかおりであって、神が喜んで受けて下さる供え物です。
19 私の神は、キリスト・イエスにある、ご自身の栄光の富を下してくださり、あなたがたのすべての必要を満たしてくださいます。
20 私たちの父なる神に、栄光がとこしえまでもありますように。アーメン。

21 キリスト・イエスにある聖徒の一人一人に、よろしくと伝えてください。私と共にいる兄弟たちが、あなたがたによろしくと言っています。
22 すべての聖徒たちが、特に、カイザルの家から出た人々が、よろしくと言っています。
23 主イエス・キリストの大いなる恵みが、あなたがたのすべてと共にありますように。アーメン

      (ピリピの人々へ。ローマより、エパフロデトが記す。)


   *1  ステファノス(ギ) 冠: 親愛の情を表す + 競争の勝者への、喜びのしるし
   *1、2  どちらもパウロに協力して福音を広めるために共に戦った、婦人たち。 一致のための方法はただ一つ、主にあってしっかり立つ(エン キュリオー in Lord、= 主としっかり結びついて、 ヨハ15:2、4、等)
   *3  いのちの書: すべての真のキリスト者の名前が書かれている書 (黙示3:5、13:8、17:8、20:12、15)
   *4−7  § 主にあって、主との関係(コミュニケーション)が近いので、感謝の祈りに神からの応答があり、そのため平安であり、優しさを示し、喜ぶことができる
   *5  エピエイケース(ギ) 
suitable、equitable、fair; mild、gentle、適切な、公正な; 温和な、紳士的な、優しい、  エッグース(副詞) near; near access to God、(場所的に)近くに、(時間的に)まもなく; 神との関係が近い
   *6  ユーカリスティア(ギ) 感謝、神のあわれみに対するお礼、  プロシューケー(ギ) 
prayer、(一般的)祈り、  デエーシス need、indigence、asking、個別の依頼 (エペ6:18)
   *7  ノエマ(ギ) mental perception、thought; mind、心の感覚、考え; 精神
   *8、9  ロギゾマイ(ギ) reckon、count、consider、数える、計算する、(実行(:9)するために)よく考える、計画する、   § 信仰的なことだけでなく、社会や一般文化の善なるものや、実際的な問題についても、それらの良いものを受け取り、計画し、実践していくべきこと
   *9  パララムバノー(ギ) 受け取る、伝授される (Tコリ11:23、15:3 等)、 § パウロの伝授は、常に体当たり的、実践的なこと  ≒ 「見習う者」(3:17)  実行すると、神との平和が豊かにある
   *13  § 私を強くして下さる(エンデュナムーンティ)キリストによって、どんな境遇にも対処できる、これが秘訣 の意
   *14  シュンコイノネーオ(ギ) 共に交わる、(主にある)交わりの中で苦楽を共にする
   *15  使徒16:38−40
   *17  § パウロは、ピリピの教会に具体的な愛のわざが表れ、信仰が成長している状態を喜んでいる、   カルポス(単数・男) fruit、実、御霊の実(ガラ5:22、23)、主の御前に真に価値あるもの
   *18  全焼のいけにえ、なだめのかおり (エペ5:2、 出エジ29:18、ヘブ7:27、9:14)
   *22  エク out、からの、〜出の、  § 皇帝の近親のみならず、宮中の役人や奴隷の全ても含むので、必ずしもパウロがローマにいたことの確証とはならない






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