テモテへの手紙・第ニ*
第1章
1 神のみこころを通して、キリスト・イエスにあるいのちの約束に従って立てられた、キリスト・イエスの使徒*パウロから、
2 愛する子テモテへ。父なる神と私たちの主キリスト・イエスから、大いなる恵みと、あわれみ*と、平安が、あなたにありますように。
3 私は、夜も昼も、祈りの中で絶えずあなたのことを思い出しては、きよい良心をもって、先祖以来仕えている神に感謝しています。
4 私は、あなたの涙*を覚えているので、あなたに会って喜びで満たされたいと、切に願っています。
5 また、あなたの偽りのない*信仰を思い起しています。この信仰は、最初にあなたの祖母ロイスとあなたの母ユニケとに宿っていたものでしたが、今のあなたにも宿っていると私は確信しています。
6* それゆえ、あなたが思い出すように言います。私の按手を通して与えられた、あなたのうちにある神の賜物を、再び燃え立たせなさい。
7 神が私たちに下さったのは、おくびょうの霊ではなく、力*と、愛*と、健全な心*の霊だからです。
8 だから、あなたは、私たちの主のあかしをすることや、私が主の囚人であることを、決して恥じることはありません。むしろ、神の力に従って、福音のために、私と共に困難に耐えて*ください。
9 神は私たちを救い、聖なる召しに招いて下さいました。それは、私たちの行ない*によるのではなく、神ご自身の計画と大いなる恵みによります。この大いなる恵みは、永遠の昔にキリスト・イエスにあって私たちに与えられたものです。
10 そして今や、私たちの救い主キリスト・イエスの現われによって明らかにされました。キリストは死を滅ぼし、福音を通して、いのちと朽ちない事とを明らかに示されたのです。
11 私は、この福音のために、宣教者*、使徒、教師に任命されました。
12 そのために、私はこのような苦しみをも受けています*が、それを恥と思ってはいません。なぜなら、私は自分の信じている方をよく知っており、またその方は、私にゆだねられているものを、かの日に至るまで守ることができる方であると、確信しているからです。
13 あなたは、キリスト・イエスのうちある信仰と愛にあって、私から聞いた健全な言葉を基準型*にしなさい。
14 そして、あなたにゆだねられている良いものを、私たちの中に宿っておられる聖霊によって、守りなさい。
15* あなたの知っているように、アジヤにいる者たちは、皆、私から離れて行きました。その中には、フゲロとヘルモゲネもいる。
16 どうか、主が、オネシポロの家族をあわれんで下さいますように。彼はたびたび私を慰めてくれて、また私の鎖を恥と思わないで、
17 ローマに着いた時には、熱心に私を捜し、見つけ出して*くれたのです。
18 ・・・ どうか、かの日には、主が彼に、主からのあわれみを見出すようにして*下さいますように。 ・・・ 彼がエペソで、どれほど私に仕えてくれたかは、あなたが誰よりもよく知っています。
* ローマでの2回目の投獄でパウロの殉教が間近になり、パウロ書簡の最後に書かれた「牧会書簡」 (67年頃、ローマで)
*1 § Tテモ同様、使徒であることを言っているのは、教会にも読んで聞かせるため
*2 エレオス(ギ) mercy、あわれみ § Tテモ1:2同様、「あわれみ」が入っている。 罪人のかしら(Tテモ1:15)パウロが救われたように主のあわれみが現れ、困難な状況にある教会が立ち直ることを願ったから
*4 § 使徒20:19にある、パウロが流したのと同じ、牧会者としての涙
*5 アヌュポクリトス(ギ) unfeigned、偽りのない、うわべだけでない (=Tテモ1:5) = 正統的キリスト信仰、正しい救いの信仰 の意
*6 § テモテは困難の中でいつのまにか押されて、「聖霊の賜物」(単数、Tテモ4:14)を十分積極的に行使しないでいた
*7 デュナミス(ギ) strength power、ability、力、能力、権能、 アガペー brotherly love、affection、good will、love、愛(Tヨハ4:18)、兄弟愛、愛情、 ソフロニスモス soundness of mind、moderation、self-control、心の健全さ(正気) (使徒26:25)、 節度、自己制御 ・・・ 預言するときも「正気な心」で行なう ⇔ マニーア(狂った)、 恍惚状態は滅多にない(民11:25)
*8 シュン カコパセオー(ギ) 共に+困難に耐える(2:9、4:5) § 御霊の賜物の行使は、困難に十分耐えさせる力となる (Tコリ2:4、5)、 にせ使徒・にせ教師には力のわざが起こらない(Uコリ12:11、12)
*9 エルゴン(ギ) 仕事、行ない、わざ (ヨハ6:28、29)
*11 ケーリュクス(ギ) messenger vested with public authority、公に宣べ伝える者(宣伝者)、宣教者 (Tテモ2:7、Uペテ2:5) ≒ ユーアンゲリステース(Uテモ4:5、使徒21:8、 福音伝道者、良い知らせを運ぶ者) § パウロは、五役者(エペ4:11)の、「使徒」(使徒13:2、3)、「教師」(使徒13:1)、「伝道者」の3つを兼任していたと考えられる
*12 囚人としての苦しみ
*13 ヒュポテューポシス outline、sketch、example、pattern、(型打ち出しの)原型、模範、標準 (こことTテモ1:16のみ)
*15 § アジヤの信徒たちの要人たちが、パウロの捕縛を恥と思い、ローマの裁判で証人になったり彼を助けることをしないで、パウロから離れ去ったこと。 フゲロとヘルモゲネはおそらくエペソ教会の人物で、特に決定的に離れて行った
*17 オネシポロの家族: 彼らはエペソにいた(4:19)
*17、18 ヒューリスコー(ギ) come upon after searching、find out、見つけ出す、 (両方とも「見出す」: ※ パウロは語呂合わせで、また自然な感情で言ったのであり、18節は、たといオネシポロがすでに死んでいたとしてもパウロはそれを知らなかったので、カトリックで言う”死者のための祈り”×の証明聖句とはならない)
第2章
1 それゆえ、私の子よ。あなたはキリスト・イエスにある大いなる恵みによって、強められなさい。
2 そして、あなたが多くの証人を通して*私から聞いたことを、さらに他の人たちにも教えることのできるような忠実な人々に、ゆだねなさい。
3 そしてあなたはイエス・キリストの優れた兵士として、困難に耐えてください*。
4 兵役に就いていながら、日常生活の事に巻き込まれている*者はいません。それは、徴集した司令官を喜ばせるためです。
5 また、競技をする*にしても、規定*に従って競技をしなければ、栄冠を得ることはできません。
6 労苦して働く農夫*が、一番先に収穫の分け前にあずかるべきです。
7 私の言うことを、よく考えてみなさい。主は、すべてにあって、理解する力をあなたに与えて下さいます。
8 ダビデの子孫として生れ*、死人たちの中からよみがえられたイエス・キリストを、私の福音に従って、いつも思い出しなさい。
9 この福音のために、私は困難に遭い、犯罪者のように鎖につながれています。しかし、神のみことばはつながれてはいません。
10 ですから、私は選ばれた人たちのために、すべてのことに耐え、踏みとどまる*のです。それは、彼らも、キリスト・イエスにある救いと、それと共にある永遠の栄光を獲得するためです。
11 次の言葉は信じるべきものです。 「もし私たちが、彼と共に死んだなら、また彼と共に生きるようになる。*
12 もし耐えて踏みとどまるなら、彼と共に支配者となる。* もし彼を否んだなら、彼も私たちを否まれる。*
13 たとい、私たちは不誠実*であっても、彼は常に誠実*である。彼は自分を否定することができないからである。」*
14 あなたは、これらのことを彼らに思い出させて、何の益にもならず、聞いている人々を破滅に至らせる、言葉についての論争をしないように、神の御前で厳しく命じなさい。
15 あなたは真理のみことばをまっすぐに解き明かす、恥じるところのない働き人、すなわち熟練した者となって、神に自分をささげるように努め励みなさい。
16 俗悪なむだ話は避けなさい。それによって人々は、ますます神に対する崇敬の念が無くなり*、
17 彼らの言葉は、壊疽(えそ)*のように腐れ広がるのです。ヒメナオ*と、ピレトはその仲間です。
18* 彼らは真理からはずれ、復活はすでに起こったと言って、ある人々の信仰をひっくり返して*いるのです。
19 にもかかわらず、神の不動の土台*は堅く据えられていて、それに次のような銘が刻まれています。 「主はご自分の者たちを知っておられる。」* また、「主の御名を呼ぶ者は、すべて不義を離れよ。」*
20 大きな家には、金や銀の器だけではなく、木や土の器もあり*、ある物は尊いことに用いられ、またある物は卑しいことに用いられます。
21 もし人が、これらのことを徹底して取り除くなら、彼は尊い聖められた器となって、主人にとって有益な、すべての良いわざに間に合う者となります。
22 そこで、あなたは若い時の肉欲*を避けなさい。そして、きよい心から出る、義と、信仰と、愛と、平和*とを、主を呼び求める人々と共に追い求めなさい。
23 愚かで教養の無い*討論をやめなさい。それは、あなたが知っているように、ただ争いのもとになるだけです。
24 主のしもべは争ってはいけません。誰に対しても優しく振舞い*、よく教え、よく自制し、
25 反対する人たちを柔和な心で教育し*なさい。 もしかすると、神は、彼らに悔改めの心を与えて、真理を悟らせ、
26 悪魔に捕えられてその思いのままになっていても、素面(しらふ)に戻り、そのわなから逃れさせて下さるでしょう。
*2 ディア(ギ) through、通して、沿って 母や祖母やその他の人たちを通して伝えられた の意
*3、8 カコパセーオー(ギ) 困難に耐える (=4:5、≒1:8)
*4 エムプレーコー(ギ) (同じ布に)織り込まれる、関わり合いになる (Uペテ2:20)、 (= 「人間ではなく、神に喜ばれるため」 Tテサ2:4)
*5 アスレーオー(ギ) contend in public games、(オリンピックの)競技をする、 § 規定とは、ジュピター像の前で6か月間練習すると言う誓いのこと。ここでは、「訓練しなければ出場の資格はなく、当然栄冠を得ることはできない」 の意 (= 「良い礼拝」の訓練 Tテモ4:7−9、15)
*6 (当時の格言より引用) (パウロのことや、先に後にではなく、単純に) キリスト者が働かない場合、収穫はない の意
*8 § ユダヤ人を母に持つテモテを励ますため、「ダビデの子孫」を付け加えた (ダビデは、ロマ1:3、4:6、11:9 のみ)
*10 ヒュポメノー(ギ) 下に+留まる、(忍耐して)踏みとどまる
*11 ロマ6:8
*12 ルカ22:28−30、 マタ10:33
*13 アピステーオ(ギ、動詞) be unfaithful; have no belief、不誠実である、信用を裏切る; 信仰を持たない、 ピストス(形容詞) trusty、faithful、信頼できる、信用に値する、約束を守る、語ったことを成し遂げる(Tコ10:13、Tテサ5:24、黙19:11)、 民数23:19、テト1:2
*16 アセベイア(ギ) want of reverence towards God、ungodliness
*17 ガングライナ(ギ) gangrene、壊疽、 ヒメナオ: Tテモ1:20より、教会から除名された後も、まだエペソ教会に悪影響を及ぼしていたようである
*18 § よりグノーシス的な異端: 肉体は悪だから復活はあり得ない。復活とは、悪や迷いから真の「知識(グノーシス)」に移ることであり、それは信じた時のことであり、それゆえ終末的復活などはあり得ない とするもの (cf.Tコリ15:12の、「死者の復活はない」は、ユダヤ教のサドカイ派の不信仰で世的な思想、 また、コロ2:18、ガラ4:3、9は、仲介的な「諸霊力」への礼拝)、 ひっくり返す = ヨハ2:15
*19 不動の土台: 使徒たちによって据えられた、キリスト信仰の正統的教義、 ヨハ10:14、Tコリ8:3、民16:5、 ルカ13:27(?)
*20 木や土の器: にせ教師たちに惑わされている(しかしまだ救われている)教会の人々のこと
*22 エピシュミア(ギ) 情欲、酔酒、過食、賭博などの世的快楽を追い求めること、 Tテモ6:11の、義、信仰、愛に、 +平和
*23 アパイデュートス(ギ) (知恵文学ではよく出てくる)教育の無い、無知な、常識の無い (聖書ではここだけ)
*24 エピオス(ギ、形容詞) 優しい Tテサ2:7
*25 パイデュオー(ギ、動詞) 教育を与える、学問を教える (⇔ :23の アパイデュートス(形容詞) 教育の無い) § 惑わされている人たちに議論で勝っても変わらない。
柔和な心で教え諭す方が良い
第3章
1 しかし、このことは知っておきなさい。最後の*日々には、困難な時代が来ます。
2* その時、人々は自分を愛する者*、金を愛する者*、大言壮語する者*、高慢な者、汚す者*、親の言うことを聞かない*者、感謝しない者、聖別されていない者、
3 無情な者、和解しない者*、悪口を言う者、無節制な者、粗暴な者、善を好まない者、
4 裏切り者、軽はずみな者*、慢心する者*、神を愛する*よりも快楽を愛する者*となり、
5 良い礼拝*の形をしていても、それについての力*を否定する者となります。 これらの人々を避けなさい。
6 彼らの中には、家々に忍び込み、愚かな女たち*をとりこにしている者がいて、彼女たちはさまざま欲望に引き回され、罪を積み重ねています。
7 彼女たちは、いつも学んではいますが*、いつまでたっても*真理の知識に至る*ことができません。
8 ちょうど、ヤンネとヤンブレとがモーセに逆らったように*、このような人々も真理に逆らうのです。彼らは知性の腐った、信仰の不合格者*です。
9 しかし、彼らはもうこれ以上進んで行くことはできません。彼らの愚かさは、あの二人の場合と同じように、すべての人にはっきりと知られるからです。
10 一方、あなたは、私をよく理解してくれています*。すなわち、私の教え、日々の行動、計画、信仰、忍耐して待つこと、愛、信仰にとどまること、
11 また、私がアンテオケ、イコニオム、ルステラで受けた数々の迫害、苦難のこと*も、です。そのひどい迫害に私は耐え抜いてきましたが、主はそれらのすべてから、救い出して下さいました。
12 そして、キリスト・イエスにあって、良い礼拝をして生きようと願う者は皆、迫害を受けるでしょう。
13 一方、悪人といかさま師*は、騙し、騙されて、ますます悪へと進んでいきます。
14 しかし、あなたは、自分が学んで確信しているところに留まっていなさい。あなたは、それを誰から学んだか知っており、*
15 また、幼い時から聖書に親しみ、それが、キリスト・イエスのうちにある信仰を通して、救いに至る知恵を与えることのできる書物であることを知っています。
16 聖書は、すべて神の霊感によるもの*であり、教えに対し、戒めに対し、矯正に対し、義における訓練に対し、役に立つものです。
17 すなわち、神の人*が、あらゆる良い働きに対してふさわしく、完全に整えられた者になるので、有益なのです。
*1 エスカタイ ヘーメライ(ギ) 最後の日々、終末の時、再臨直前の時 (Uペテ3:3)、 エスカトス (時間・場所・順位・ランクの)the last 最後の
*2 § 主の再臨直前の時代は、(ユートピア世界が実現するという理想主義は崩れ去り、)大患難の時代となり、全人類の背教と堕落が起こる、 フィーラフトス(ギ、形容詞) 自分を好む(フィレオー、好む)、利己的な、 フィラギュロス 金銭を好む、どん欲な、 アラゾーン empty pretender、boaster、ほら吹き、 ブラスフェモス speaking evil、slanderous、reproachful、(ここでは人に対し)冒涜する、悪く言う、ののしる、 アペイセス impersuasible、not compliant、説得されない、頑固な、信じない(”従わない”ではない) (ヨハ3:36)
*3 アスポンドス(ギ) 休戦協定を結ぶための神酒(スポンデー) → (けんかは起こるが)和解をしない者 (新約でここだけ)
*4 プロペテース(ギ) 軽はずみな (使徒19:36)、 テュフォーオー 煙(霧)に包む、高慢のために盲目になる (Tテモ3:6、6:4)、 フィローセオス 神を好む、 フィレードロス 楽しみを好む
*5 ユーセーベイア(ギ) 良い+礼拝、主に聞いて歩むこと; 敬虔、神を敬うこと、 デュナミス (直訳) 力、能力 → 形に対しての、(聖霊の)力とその実、 わざが起こることによって品性の実を結んでいるか の意 (マタ7:16、12:33)
*6 上流階級の主婦や未亡人のうちの愚かな女たち の意
*7 § 単なる好奇心や名声のために学んでいるに過ぎない、 メデーポテ(ギ) never、yet not any time、(いつになっても)決して〜ない (強い否定の言葉、ここだけ)、 正統的なキリスト信仰を悟り、「救い」に至ること
*8 (旧約聖書に出てこないで、当時の文献のいくつかにある) 出エジプトの前に、モーセに対抗してパロの前で魔術を行なっていた2人の呪法師とされる § エペソは魔術の盛んな所だった、 アドキモス(ギ) 試験に合格しない、無資格者 ⇔ ドキモス 合格者、熟練者(2:15)の反対語
*10、11 § 11節の、使徒13、14章のことは、テモテ(使徒16章から)がまだパウロの伝道旅行に同行していない時なので、”よくついて来てくれた”とはならない、 第1回伝道旅行の後期の迫害、特に、石打ちで死んでからよみがえったこと(使徒14:19、20)。 ルステラはテモテの出身地だったので何度も語ったと思われる
*13 ゴエス(ギ) 奇声を発する者、奇術を行なう詐欺師、いかさま師
*14、15 § 福音はパウロから聞き知ったが、それを裏付ける知恵を旧約聖書は与えてくれた。 テモテの場合は、子供の時から旧約聖書の土台があって、それから福音を聞いて信じた
*16 セオープニューストス(ギ、形容詞) inspired by God、(直訳)神の息吹、 神の霊感(インスピレーション)、 § 旧約聖書はユダヤ民族の単なる宗教的産物ではなく、神が筆記者に霊的覆い(保護)を与えて書かせたものであり、贖いによる「救い」を中心テーマとして最初からキリストを予告している。 「聖書のすべての預言は、人や預言者の独自の解釈から生成したものではない。」(Uペテ1:20) またこのような、「救い」に至るための知恵の備えだけでなく、「品性」の整え、召しと賜物を、消極面(矯正)・積極面(訓練)からあらゆる面でサポートしている。
§ また、直訳で「神の息吹」となるので、「霊解」的な聖書の読み方では、人が神の息によって生きたものとなったように(創2:7)、みことばも人格を持って生きたものとなり、聖書のことばに聖霊が強く宿ることがしばしば起こる。みことば(ロゴス)がレーマとなって、そのレーマを通して主が働かれる。これはみことばを通しての神の語りかけに他ならない。(預言同様、吟味が必要) みことばを内にたくさん蓄えておくことは有益で、その時々が来たときに語る霊的武器になる(エペ6:17)
*17 神の人: (テモテ、パウロなど)特に神に召された人にとって、聖書により、良い働きのために整えられるので有益
第4章
1 神の御前で、また、生きている者と死んだ者とをさばく方であるキリスト・イエスの御前で*、私はキリストの現われ*とその御国とを思い、おごそかに命じます。
2 みことばを宣べ伝えなさい。時が良くても悪くてもそこに立ち、すべての事に忍耐して待ち、よく教えながら、あなたは責め、戒め、勧めなさい。
3 それは、人々が健全な教えに耐えられなくなり、都合の良いことを言ってもらうため*に、自分たちの欲望に従って多くの教師たちを寄せ集め*、
4 真理から耳をそむけて、空想話*の方にそれていく時代が来るからです。
5 しかし、あなたは、どのような時にも目を覚まし*、困難に耐え*、伝道者*として働き、自分の務めを完全に果たしなさい。
6 私は、今や、注ぎの捧げもの*になります。私が世を去るべき時は来ました。
7 私は戦いを勇敢に戦い、競争の道のりを走りつくし、信仰を守り通しました。
8 残るは、義の冠*が私に確保されているだけです。その日には、正しい審判者である主が、それを授けて下さいます。私だけではなく、主の現われ*を切に慕い求める*すべての人々にも授けて下さいます。
9 私の所に、何とかして*、早く来てください。
10 デマス*はこの世を慕って*、私を捨ててテサロニケに行ってしまい、クレスケンスはガラテヤ*に、テトスはダルマテヤ*に行きました。
11 ただルカ*だけが、私の所にいます。 マルコ*を連れて、一緒に来てください。彼は私の務めのために役に立つからです。
12 私はテキコ*をエペソに遣わしました。
13 あなたが来るときに、トロアスのカルポの所に残しておいた上着*を持ってきてください。また書物*も、また特に羊皮紙のもの*を持ってきてください。
14 銅細工人*のアレキサンデル*が、私を大いに苦しめました。そのしわざに応じて、主が彼に報いられます。
15 あなたも、彼を警戒しなさい。彼は、私たちの言うことに強く反対したのです。
16 私の第一回の弁明*のときには、私に味方をする者は一人もなく、皆、私を見捨てました。どうか、彼らが、そのためにさばかれることはありませんように。
17 しかし、主は私を助け、力を与えて下さいました。それは、私がみことばを余すところなく宣べ伝えて、すべての異邦人に聞かせるようにするためでした。* 私は、ししの口から救い出されたのです。*
18 主は私を、すべての邪悪な働きから助け出し、天にある御国に救い入れて下さいます。 御栄えが、世々に渡って限りなく、主にありますように。アーメン。
19 プリスカとアクラ*とに、またオネシポロの家族*に、よろしく伝えてください。
20 エラスト*はコリントにとどまっており、トロピモは病気なので、ミレトに残してきました。
21 冬になる前に、急いで来てください。ユブロ、プデス、リノス、クラウデヤ*ならびにすべての兄弟たちから、あなたによろしくと言っています。
22 主イエス・キリストが、あなたの霊と共におられますように。大いなる恵みが、あなたがたと共にありますように。アーメン。
(エペソ教会の第一長老に任命されたテモテへの手紙。第二。 パウロが二度目に皇帝ネロの前に出された時、ローマにて記す)
*1 § Tテモ5:21の「御使いたちの前で」の代わりに「イエス・キリストを生死の審判者」として表現し(使徒17:31、Tペテ4:5)、最も重い次元で語っている、 現れ: 再臨のこと
*3 (直訳) 耳をくすぐってもらうため、 エピソリューオ(ギ) heap up、(直訳) 積み上げる
*4 ミューソス(ギ) story、true narrative; fiction、fable、架空の話、作り話、フィクション
*5 ネーフォ(ギ) (直訳)素面(しらふ)である、目を覚ましている、 カコパセーオー(ギ) 困難に耐える (=2:3)、 ユーアンゲリステース 良い知らせをもたらす者、福音伝道者、(五役者の)伝道者 (使徒21:8、エペ4:11) § テモテは地位としては「牧師」(Tテモ4:21−)だったが、働きとしては、あえて「伝道者」の働きをしなさいと語っている
*6 献酒の捧げもの、神への酒(血、油、穀物など)を捧げて注ぐ儀式 = 殉教のこと (ピリ2:17)
*8 義の冠: 義という冠ではなく、義のわざに対する報酬としての冠 の意、 cf. いのちの冠 = いのちという冠(ヤコ1:12、黙2:10)、 現れ: 再臨のこと、 アガパオー(ギ) 切に愛する、歓迎する
*9 スピューダーゾー(ギ) hasten; exert one's self、endeavour、急ぐ; 努力する § テモテは来るのが容易でない状況にあったが、重要な訓戒を与えるため、また裁判で証言をしてもらうため。 来訪に当たって近況を伝えた(:10−)
*10 デマス: 棄教したのではなく(要求の厳しい)パウロから離れて行った の意、 慕って: 愛して(アガパオー)、 ガラテヤ: (ゴール地方(ガリヤン(ギ)、イスパニヤへ行ったとすればその途中のフランスあたりへも行ったはず、という説もある)、 テトス: クレテ島での仕事を終え、イルリコ(ロマ15:19)南部のダルマテヤ(ユーゴスラビアあたり)に遣わされた。後にクレテ島のゴルティナで殉教せず94歳まで監督だったという
*11 ルカ: 「愛する医者ルカ」(コロ4:14)は、奴隷の名目で病身のパウロに付き添っていた、 マルコ: ヨハネ・マルコは成長し、この時有益な器としてパウロに見られていた(使徒16:37−39 → コロ4:10、ピレ:24)
*12 テキコ: パウロに信頼された器(テト3:12、エペ6:21、22、コロ4:7、使徒20:4) 手紙の不定過去用法により、この手紙はテキコの手によってエペソのテモテのもとに届けられた可能性がある
*13 ファイロネース(ギ) 兵士や旅人用の防寒用の重いマント(冬以外は厄介物になる)、これを置いてきたのは「使徒の働き」の記事以降のこと、 書物: パウロのメモ帳といわれる、 羊皮紙: おそらく旧約聖書も含む
*14 銅細工人: 金属一般を加工する職人、 アレキサンデル: 使徒19:33ではなく、Tテモ1:20の可能性が高い。 彼が除名された後、トロアスにいたとすると、前節と流れが合う
*16 § 「使徒の働き」以降の第2回ローマ投獄の最初の裁判のこと、 テモテには、差し迫った第2回裁判の弁護人になってもらいたかった(4:21の人々は弁護人となり得ない人たちだった。また自由人となったルカも、奴隷の名目で共にいたので証言できなかった)
*17 § 2回目の投獄は厳しかったが、ローマ法廷の場で、そこにいた人々に対し福音宣教をしたこと、 § (有罪になってライオンに食われる所だった、というよりも、)格言的に、諸悪から救い出されたこと (ダニ6:20、詩22:21等)
*19 ここでもプリスカ(妻)がアクラ(夫)よりも先に(6回中4回)書いてある (使徒18:2、3)、コリントからエペソまでパウロに同行したがそこで分かれた(使徒18:18−21)、(ロマ16:4)、 オネシポロの家族: Uテモ1:16
*20 エラスト: コリント市の収入役(ロマ16:23、使徒19:22(?))、 トロピモ: (使徒20:4)、エペソ人、 使徒21:29では共にエルサレムへ行っているので、第3回旅行のミレトではなく、この記事は「使徒の働き」以降のもの
*21 (聖書の他の個所に出てこない)この4名は、ローマ教会の教会員