ヨハネの手紙・第一



  第1章


 1 初めからあり続けたもの、私たちが聞いたもの、目で見たもの、注意深く見て手でさわって感じたもの、すなわち、いのちのことばについて、 ・・・
 2 このいのちが現れ、私たちはすでにそれを見たので、そのあかしをし、また、あなたがたにこの永遠のいのちを伝えます。すなわち、父と共にあり続け、今や私たちに現れた永遠のいのちです。 ・・・
 3 すなわち、私たちがすでに見たこと、聞いたことを、あなたがたにも伝えるのは、あなたがたも、私たちと共に交わりを持つようになるためです。それは、御父と御子イエス・キリストを共有して分かち合うことです。
 4 これを書き送るのは、私たちの喜びが満たされるためです。

 5 私たちがキリストから聞いて、あなたがたに伝える知らせは、こうです。 神は光であって、神のうちには暗いところが少しもありません。
 6 もし、神と交わりがあると言いながら、やみの中を歩いているなら、私たちは偽りを言っているのであり、真理を行なってはいません。
 7 しかし、神が光の中におられるように、私たちも光の中を歩むならば、私たちは互いに交わりを持ち、そして、御子イエスの血が、すべての罪から私たちをきよめるのです。
 8 もし、罪を持っていない言うなら**、それは自分を真理から迷い出させることであって、真理は私たちのうちにはありません。
 9 もし、私たちが自分の罪を告白するならば、神は真実で正しい方ですから、その罪を赦し、すべての不義から私たちをきよめて下さいます。
10 もし、罪を犯したことがないと言うなら**、私たちは神を偽り者とするのであり、神のことばは私たちのうちにありません。


   *  ヨハネの手紙は、簡潔な表現で深遠な内容を伝える、ヨハネらしい著作と言える。 第一の手紙は、ヨハネの福音書と、内容、表現、思想から強い近縁性をもっている。 使徒ヨハネが書いたとする歴史的証拠として、ヨハネの直弟子のスミルナのポリュカルポス(AD65年頃−155年頃)をはじめとする、2−3世紀の教父たちの著作の中に、ヨハネの手紙第一からの引用や使徒ヨハネの名前が数多く存在するので、外的証拠としては十分と言える。
     § また内的証拠として、ヨハネの福音書と共通する用語が多い。 (真理、、あかし、世、光、やみ、死、永遠のいのち、子供たち、小さい者たち、ひとり子、勝利、現われる、輝く、等) 構文は簡潔で、繰り返しが多いが、その中に主の臨在がある
     § この手紙が書かれた時期は、読者が迫害を受けた記述はないので、ドミティアヌス(81−96帝位)による迫害(−96年)以前であり、教会が無気力化し、異端の教師たちが台頭してきた時期であり、AD90年頃と一般にいわれている。この時、パトモス島から帰った使徒ヨハネは晩年をエペソで過ごし、長寿を全うしてエペソに葬られた。
     § この手紙が書かれた目的は、5:13にあるように、「神の御子の名を信じるあなたがたに、永遠のいのちを持っていることをよく分からせるため。」であり、仮現論(ケリントス主義、イエスを現実の人間ではないとするもの)や、グノーシス主義の初期(2世紀に最盛期、 物質は汚れており、たましいは知識(グノーシス)によって解放されるべきもの。このうちの、まだましなグループ:禁欲主義、さらに悪いグループ:肉の不道徳の正当化をする放蕩主義、のように分化した)、などの反キリスト的な教えに対抗するものだった

   *1  エーン(ギ、未完了、3・単) <エイミ was、(永遠の初めから)あり続けた (=ヨハ1:1)、  ホラオー see、見る、  セラーオマイ behold、look upon、view attentively、  プセラーファオー handle、touch and feel、  トゥー ログー <ロゴス(単・男) the Word、ことば (ヨハネ文書において =キリスト)  § ただし、1−3節は一つの文で、「ことば」にではなく、「いのち」に焦点を置いている。
   *2  ゾーエー(ギ、単・女) (永遠の)いのち
   *3  コイノニーア(ギ) 交わり、交流; 共通のものを所有し分かち合うこと  § 御父と御子との交わりなしに、兄弟間の交わりはあり得ない
   *5  § 1−4節の序文で、福音を伝える目的はコイノニアにあることを述べ、5節から、コイノニアの条件として、「光の中を歩む」ことが語られる
   *6  プセウドマイ(ギ) lie、 to speak deliberate falsehoods、故意にうそを言う   § @ 罪を隠そうとするにせ教師たちについて。 特権意識を持つ閉鎖的なグノーシスのグループへ
   *8  プラナーオー(ギ) lead astray、lead away from the truth、(真理から、誤りへ)迷わせる、  § サタンが惑わすことを自分ですること。どんな人でも、原罪は持っていて、無意識に犯す罪もある、 A グノーシスの中には、光を得て罪が根絶され、また、罪は肉の問題でたましいに触れない、と説くグループがあった
   *8、10  § 罪の存在を否定する態度の者 =偽り者、  → しかし罪は普遍的に存在する(3:4−)
   *9  ホモロゲーオ(ギ) agree with、not to refuse、not to deny、confess、declare、profess、同意する、否定しない、告白する、公言する、  アディキア injustice、unrighteousness、不正、不義
   *10  プセーステス(ギ) liar、false and faithless man、うそつき、偽り者   § B (罪の性質は認めても、)自分が実際に犯した罪を否定すること。 神はすべてをご存じである、  § 神との交わりは、光を受け、自分の罪を日々告白して、赦しときよめを受け続けることによって、継続される



  第2章


 1 私の子供たち。これらのことを書き送るのは、あなたがたが罪を犯さないようになるためです。もし、罪を犯す者があれば、父のみもとには私たちの弁護人、すなわち、義なるイエス・キリストがおられます。
 2 彼は、私たちの罪のための、なだめの供え物です。ただ、私たちの罪のためだけではなく、全世界の罪のためにもです。
 3 もし、私たちが神の命令をいま守っているならば、それによって、私たちは、私たちが神をすでに知っていることが分かるのです。
 4 「神をすでに知っている。」と言いながら、その命令を守っていない者は、偽り者であり、真理はその人のうちにありません。
 5 しかし、みことばを守っている者なら、その人のうちには、確かに神の愛が完成されているのです。それによって、私たちが神のうちにいることが分かります。
 6 「キリストのうちにとどまっている。」と言う者は、自分でも、キリストが歩まれたように歩むべきです。

 7 兄弟たち。私はあなたがたに、新しい命令を書いているのではなく、むしろ、あなたがたが初めから持ち続けている古い命令です。その古い命令とは、あなたがたが初めから聞いている、みことばのことです。
 8 しかし、私は新しい命令として、あなたがたに書き送ります。そして、これは、キリストにあって真理であり、あなたがたにとっても真理です。なぜなら、やみは過ぎ去り、まことの光がすでに輝いているからです。
 9 「光の中にいる。」と言いながら、その兄弟を憎む者は、今に至るまでやみの中にいるのです。
10 兄弟を愛する者は、光の中にいるので、つまずくことがありません。
11 兄弟を憎む者は、やみの中にいて、やみの中を歩くので、自分ではどこへ行くのか知りません。やみが彼の目を見えなくしたからです。


12 子供たちよ。あなたがたに書き送るのは、主の御名のゆえに、あなたがたの数々の罪が赦されたからです。
13 父たちよ。あなたがたに書き送るのは、あなたがたが、初めからおられる方を知ったからです。若い者たちよ。あなたがたに書き送るのは、あなたがたが、悪い者に打ち勝ったからです。
14 子供たちよ。あなたがたに書き送ったのは、あなたがたが父を知ったからです。父たちよ。あなたがたに書き送ったのは、あなたがたが、初めからおられる方を知ったからです。若い者たちよ。あなたがたに書き送ったのは、あなたがたが強い者であり、神のみことばが、あなたがたのうちに留まっていて、そして、あなたがたが悪い者に打ち勝ったからです。


15 世も、世にあるものをも、愛してはいけません。もし、誰でも世を愛するならば、その人のうちに父への愛はありません。
16 すべて世にあるもの、すなわち、肉の欲、目の欲持ち物の誇りは、父から出たものではなく、この世から出たものだからです。

17 世と世の欲とは過ぎ去ります。しかし、神のみこころを行う者は、永遠に至るまであり続けます


18 小さい者たちよ。今は最後の期間です。あなたがたが反キリストが来ると聞いていたように、今や多くの反キリスト**が現われています。それによって今が最後の期間であることをが分かります。
19 彼らは私たちから出て行きました。しかし、彼らは私たちの仲間ではなかったのです。もし私たちの仲間であったなら、私たちと一緒にとどまっていたことでしょう。しかし、出て行ったのは、彼らが皆、私たちの仲間でないことが明らかにされるためなのです。
20 しかし、あなたがたは聖なる方からの注ぎの油を受けているので、あなたがたのすべてが知識を持っています。
21 私が書き送ったのは、あなたがたが真理を知らないからではなく、それを知っているからであり、また、すべての偽りは真理から出たものではないからです。
22 偽り者とは、イエスがキリストであることを否定する者ではなくて、いったい誰でしょう。御父と御子を否認する者、それが反キリストです。
23 誰でも御子を否認する者は御父を持たず、御子を告白する者は、御父をも持っているのです。
24 初めから聞いたことを、あなたがたのうちに、とどまらせなさい。初めから聞いたことが、あなたがたのうちにとどまっているなら、あなたがたも御子と御父とのうちにとどまるのです。
25 これが、キリストご自身が私たちに与えてくださった約束であり、すなわち、永遠のいのちです。

26 私は、あなたがたを惑わす者たちについて、以上のことを書きました。
27 あなたがたのうちには、キリストから受けた注ぎの油がとどまっているので、誰からも教えてもらう必要はありません。この油が、すべてのことをあなたがたに教えるからです。 ・・・ その教えは真理であって、偽りではありません。 ・・・ その油があなたがたに教えたように、あなたがたはキリストのうちにとどまっていなさい。
28 そこで、子供たちよ。キリストのうちにとどまっていなさい。それは、キリストの現われの時に大胆さを持ち、その来臨に際して、御前に恥じ入ることのないためです。
29 もしあなたがたが、神は義なる方であると知っているなら、義を行なう者は皆、神から生まれた者であることが分かります。


   *1  パラクレトス(ギ) 弁護人、助け主(聖霊)
   *3  エグノーカメン(ギ、完了、1・複) <ギノースコー (私たちは、すでに)知った
   *5  テテレイオータイ(ギ、完了、受動、3・単) <テレイオオー make perfect、complete、accomplish、finish、完了する、成し遂げる
   *6  メノー(ギ) remain、tarry、continue to be、wait for、留まる、(キリストとの交わりが)継続する
   *8  パラーゴー(ギ) pass by、go away、disappear、過ぎ去る
   *9  ヘオース アルティ till at present、現在の時まで
   *10  詩篇119:105、130、 ヨハ11:9、10
   *12、13、14  § ヨハネによる「子供たち」とは一般の信徒たちを指すが、ここでは信徒の霊的状態の区分により、子供たち(新生したばかり)、若い者たち(成長して強くなった)、父たち(円熟し、深い安定した信仰生活)のように分け、それぞれ2回言って彼らの立場を再認識させている。 赦された、知った、打ち勝ったはすべて完了形、  § 2回も繰り返し言っているのは、特にこれらの文章に、主の臨在が強くなるため (間違えて2回書いたのではない)
   *13  ポネロース(ギ、単数) wicked one、悪い者(サタンの事)
   *16  § 目に見えることが肉の欲を増長する。人は目に見える外見的なものに弱い(エバ、アカン、ダビデ(バテ・シェバに対し))、  ビオス(ギ) いのち; 所有、持ち物、  アラゾネイア 中身のない自慢話、大言壮語、虚しい確証(ヤコ4:16)
   *17  パラーゴー(ギ) pass by、過ぎ去る、  メノー(ギ) remain、tarry、continue to be、not to perish、wait for、留まる、あり続ける
   *18  小さい者たち: ここでは信徒全体に対し、  エスカテー <エスカトス ホーラ(ギ、単・女) last hour、the last season、最後に来る(ある特定の)時、最後の期間 (ここだけの言葉) = キリスト昇天から再臨までの「終わりの時」は、困難で不信仰の時代(Uテモ3:1、Uペテ3:3)、偽の教えが惑わす時(Tテモ4:1、ユダ:18)、   反キリスト: *は単数、**は複数、  cf. 主の再臨直前は、「終末の時」(マタ24章)
   *19  エクス ヘーモン(ギ、属格、1・複) out of us、私たちからの、私たちに属する、私たちの仲間、  § 救われていない(不信仰な、聖くない)状態で、初期に形の上で共にいたこと。しかし彼らには、真理、いのち、愛、主との交わりも無く、神の命令を守ることもなかった。 もし最後まで踏みとどまるならば、本物であることが証明される(マコ13:13)
   *20  クリスマ(ギ) anointing、anything smeared on、注ぎの油 = 聖霊 (ヨエ2:28−31、使2:39) (キリスト: 油注がれた者 の語源)、  § 彼らの”グノーシス(知識)”に対抗する、(すでに知っている)神からの真の知識
   *22  御子を否認する者: イエスが神の御子(=神)であることを否定する者、イエスの神性を否定する者 の意 (§ 現在の各種異端にも多い)
   *23  § 御子によらなければ誰も御父の所へ行くことはできない (2:1、2、ヨハ14:6)
   *24  初めから聞いたこと(ホ エークーサテ アプ アルケース which you hear from beginning): 最初に語られた福音の基本メッセージ ((参) 預言的捉えについても、第一印象が真理である可能性が高い。人間的思いは後から入ってくる)
   *27  アレセース(ギ、形容詞) true、speaking the truth、真理の、本当の、真理を語る、  プセウドス(名詞) lie、falsehood、うそ、偽り
   *28  大胆さ(パレーシア、パーリッシア)を持ち: 主の御前に恐れることなく立ち、信仰の報告をすること
   *29  マタ7:16−20 木は実によって知られる、 愛された子は親の性質を表す(エペ5:1)



  第3章


 1 私たちが神の子と呼ばれるために、御父はどのような類(たぐい)愛を与えてくださったか、よく考えてみなさい。 ・・・ 事実、私たちは今、神の子供です。 ・・・ 世が私たちを知らないのは、御父を知らないからです。

 2 愛する者たち。私たちは今や神の子供ですが、私たちがどうなるのかまだ明らかになっていません。しかし、キリストが現れる時、私たちは、自分たちがキリストに似るものとなることを知っています。なぜなら、キリストが本来の御姿でおられるのを見るからです。
 3 キリストに対するこの望みをいだいている者は皆、キリストがきよくあられるように、自らをきよくします。

 4 誰でも罪を犯す者は、律法違反を行なう者です。罪とは律法に違反することです。
 5 あなたがたも知っているように、キリストは罪を取り除くために現われたのです。彼には何の罪もありません。
 6 誰でもキリストのうちにとどまる者は、罪を犯しません。 誰でも罪を犯す者はキリストをを見たこともなく、知ったこともない者です。
 7 子供たちよ。誰にも惑わされてはいけません。義を行う者は、キリストが義であるのと同じ程度に、義なのです。
 8 罪を行なう者は、悪魔から出た者です。悪魔は初めから罪を犯しているからです。神の御子が現われたのは、悪魔の働きから人々を解放するためです。
 9 誰でも神から生れた者は、罪を犯しません 神の種が、その人のうちにとどまっているからです。また、その人は、神から生まれたので、罪を犯すことができないのです。
10 このことから、神の子供と悪魔の子供の区別は明らかです。すなわち、誰でも義を行なわない者は、神から出た者ではありません。 兄弟を愛さない者も、そうです。

11 私たちは互いに愛し合うべきです。これが、あなたがたが初めから聞いている命令です。
12 カインのようであってはいけません。彼は悪い者から出た者で、その兄弟を殺しました。なぜ兄弟を殺したのでしょうか。彼の行ないは悪く、兄弟の行ないは正しかったからです。
13 兄弟たち。世があなたがたを憎んでも、驚いてはいけません。
14 私たちは、すでに死からいのちへ移っていることを知っています。それは、兄弟を愛しているからです。兄弟を愛さない者は、死のうちにとどまっています。
15 あなたがたが知っているとおり、誰でも兄弟を憎む者は人殺しです。ご存じの通り、すべての人殺しのうちには、永遠のいのちはとどまっていません。

16 主は、私たちの身代わりに、ご自分のいのちを捨てて下さいました。それによって、私たちは愛がわかったのです。それゆえ、私たちもまた、兄弟のためにいのちを捨てるべきです。

17 世の富を持っていながら、兄弟が困っているのを見た上で、あわれみの心を閉ざす者に、どうして神の愛がとどまっているでしょう。
18 子供たちよ。私たちは言葉や口先だけで愛するのではなく、行ないと真理とをもって愛し合おうではありませんか。
19 それによって、私たちが真理から出たものであることが分かり、神の御前で心に確信があるのです。
20 たとい、いつどこで私たちの心に責められるようなことがあっても、です。なぜなら、神の心は私たちの心よりも偉大であり、またすべてをご存じだからです

21 愛する者たち。もし私たちの心が責めなければ、私たちは神の御前で何でも話すことができ
22 そして、願い求めるものは、何でもいただけるのです。それは、私たちが神の命令を守り、神の目に喜ばれることを行なっているからです。
23 神の命令とは、神の御子イエス・キリストの御名を信じ、キリストが私たちに命じられたように、互いに愛し合うことです。
24 神の命令を守る者は、神のうちにおり、神もまたその人のうちにおられます。そして、神が私たちのうちにおられることは、神が私たちに与えてくださった御霊によって知るのです。


   *1  ポタペーン(ギ) what manner of、どのような類の、どこの国の、(この世には無い の意)
   *2  アガペートイ(ギ、形容詞、複・男) 愛する者たち § この呼びかけの後には非常に重要なことが語られる(3:2、21、4:1、7、11)
   *3  ハグニゾー(ギ) 品性にしみのないようにする、純粋にする、きれいにする、  § 御子の十字架により霊は聖とされたが、たましいのきよめは、自分からも継続的に(現在形)していかなければならない
   *4  アノミーア(ギ) 不法、律法に違反すること (どちらも同じ言葉)、 § 律法には、自然の律法(ロマ2:14)、キリストの律法(ロマ8:2、Tコリ9:21)も含む
   *5  § ここでは、贖いではなく、聖化の働きのため
   *6  メノー(ギ) remain、tarry、continue to be、wait for、留まる、(キリストとの交わりが)継続する、   § ここでは、特に「反キリスト」の事を言っている
   *7  § にせ教師のある者は、たましいがきよければ肉体は何をしてもよいという詭弁を説き、不道徳を行なった (弱さによる罪でなく、故意に犯す罪)
   *9  § 故意に犯す罪(=赦されない罪)を犯さない の意
   *10  § 人は、キリストを受け入れ、聖霊による新生体験を持たないならば、相変わらず悪魔の支配下にある の意 (エペ2:3、ヨハ8:44、マタ13:38)
   *12  創世4:8、  スファゾー(ギ) のどをかき切る、屠る; 暴力をもって殺す

   *13  § カインが世の原型であり、世は彼の子孫だから。 カインは、ねたみによってアベルを殺した
   *14  メタベベーカメン(ギ、完了、1・複) <メタバイノー pass over from one place to another、remove、すでに全く別の場所に移っている
   *15  cf. マタ5:22 (兄弟に対して、理由なしに、怒る者)
   *18、19  アレセイア(ギ、名詞) truth、真理; 誠実 (真実△)、   ペイーソー persuade、確信、説得、納得、(平安)
   *20 (最初のホティ(that、なぜなら)を ホ ティ と分けて、)いつ、どこで・・・しても と訳す (第2のホティ(that)は なぜなら)  § 神のあわれみ(感情の座)が私たちよりも大きい の意、  神の全知: 詩篇103:14、ヨハ21:17、ヘブ4:13
   *21  アガペートイ(ギ、形容詞、複・男) 愛する者たち § この呼びかけの後には非常に重要なことが語られる(3:2、21、4:1、7、11)、  パレーシア(パーリッシア)(ギ) 語る自由、何でも話す備えがあること、大胆さ ・・・ (子が父親に対して語るように)自由に話すことができること の意
   *22  ヨハ15:7、16、  § 主のみこころ、主の喜ばれることを願いとするから聞かれる (5:14、15、ヨハ11:41、42、ヨハ8:29)
   *23  ヨハ13:34、15:12、17
   *24  ヨハ14:21、23




  第4章


 1 愛する者たち。すべての霊をそのまま信用しないで、それらの霊が神から出たものかどうかを、ためしなさい。それは、多くのにせ預言者が世に出てきているからです。
 2 あなたがたは、このようにして神の霊を知りなさい。イエス・キリストが肉体をとって来られたことを告白する霊は、すべて神から出ているものです。
 3 イエスを告白しない霊は、どれ一つとして神から出ていません。それらは、反キリストの霊です。あなたがたは、それが来ると聞いていたのですが、今すでに世に来ているのです。
 4 子供たちよ。あなたがたは神から出た者であり、彼らに打ち勝ったのです。あなたがたのうちにおられる方は、世にいるあの者よりも偉大な方だからです。
 5 彼らはこの世から出たものです。ですから、彼らはこの世のことを語り、この世も彼らの言うことを聞くのです。
 6 しかし、私たちは神から出たものです。神を知っている者は、私たちの言うことを聞き入れ、神から出ていない者は、私たちの言うことを聞き入れません。これによって、私たちは、真理の霊と惑わしの霊とを知ります


 7 愛する者たち。私たちは互いに愛し合おうではありませんか。愛は、神から出ているのです。愛を行なうすべての者は、神から生まれた者であり、神を知っています。
 8 愛していない者は、神を知りません。 なぜなら、神は愛だからです。
 9 神はそのひとり子を世に遣わされ、その方を通して私たちがいのちを受けるようにしてくださいました。このように、私たちの間に神の愛が明らかにされたのです。
10 私たちが神を愛したのではなく、神が私たちを愛して下さって、私たちの罪についての、なだめの供え物として、御子を遣わされました。 ここに愛があるのです。

11 愛する者たち。神がこのように私たちを愛して下さったのだから、私たちも互いに愛し合うべきです。
12 いまだかつて、誰一人、神をよく見た者はいません。もし私たちが互いに愛し合うなら、神は私たちのうちにとどまられ、神からの愛が私たちのうちに全うされるのです

13 このことによって、私たちが神にとどまり、神が私たちにとどまられることを知ります。なぜなら、神は御霊を私たちに与えてくださったからです。
14 そして私たちは、父が御子を世の救い主としてお遣わしになったのをこの目で見た上で、そのあかしをしているのです。
15 もし人が、イエスを神の子と告白するなら、神はその人のうちにとどまられ、その人も神のうちにとどまります
16 私たちは、神が私たちに対して持っておられる愛を知り、また信じています。 神は愛です。 愛のうちにとどまる者は、神にとどまり、神もその人にとどまります
17 このことによって、私たちと共にある愛が、完全なものになりました。それは、私たちもさばきの日にも大胆さを持つことができるためです。私たちがこの世にあって、キリストと同じような者だからです。

18 愛のうちには恐れがありません。完全な愛は恐れを締め出します。なぜなら、恐れには懲らしめが伴い、また恐れる者の愛は、全きものとなっていないからです。
19 私たちは、神を愛しています。 神が最初に、私たちを愛して下さったからです。
20 「神を愛している。」と言いながら兄弟を憎んでいる者は、偽り者です。 目に見える兄弟を愛していない者に、目に見えない神を愛することができるでしょうか
21 神を愛する者は、兄弟をも愛するべきです。私たちはこの命令を、キリストから受けています。


   *1  アガペートイ(ギ、形容詞、複・男) 愛する者たち § この呼びかけの後には非常に重要なことが語られる(3:2、21、4:1、7、11)、  ドキマーゾー(ギ) test、examine、prove、recognise as genuine after examination、試験の後に本物であるとわかる
   *2  エン サルキ(ギ) in flesh、肉において
   *2、3  § ケリントス主義の教えでは、キリストはイエスの洗礼の時来て十字架の直前に去った、であるが、ヨハネはこれに反駁して、イエスがキリスト(救い主、神の子)であり、(「来られた」は完了形より)降誕から十字架まで継続して受肉された方であると言っている  (「反キリスト」は、 2章では、イエスの神性を否定する者、 4章では、受肉の事実を否定する者、として警告されている)
   *4  ホ(ギ、単・男) the one、あの者(単数)、  メイゾーン(比較) より大いなる、より偉大な
   *6  プラーネ(ギ、名詞) wandering、straying about、さ迷うこと、惑わし
   *10  § 十字架によるなだめの供え物をご自身で用意され、御怒りの対象であった罪人(エペ2:3)を、神の愛の対象(ロマ5:8)としてくださったこと。 神がそのようにしてくださった唯一の理由は、神が愛だからである
   *12  ウーデイース(ギ) no one、nothing、  セアーオマイ behold、look upon、view、よく見る、観測する、  メノー(ギ) とどまる、住む、  テテレイオーメネー(完了、受動、単・女) <テレイオーオ make perfect、complete、accomplish、完全にする、成し遂げる  § 神からの愛が聖徒たちの中に見える形で再現されること。 愛のうちに神を見ることができる
   *15  ホモロゲー(ギ) 同じことを言う、自分以外のある権威に同意する、告白する、神に同意して言う
   *17  パレーシア(パーリッシア)(ギ) 何でも言うことができること、大胆さ (→ 3:21)
   *18  § 恐れ: 神への恐れ の意。  (特に前節から、)さばきの日にさえも、完全な愛の中にとどまっているならば、神を恐れる必要がないこと
   *20  § 偽り者: 信仰と実践における言行相反 (やみの中を歩く 1:6、 命令を守らない 2:4、 御子を否認 2:22、23、 兄弟を憎む 4:20)
   *21  マタ22:37−40、(申6:5、レビ19:18)、  3:23、ヨハ13:34、15:12、17



  第5章


 1 誰でもイエスがキリストであることを信じる者は、神から生まれた者です。誰でも生んで下さった方を愛する者は、その方から生れた者をも愛します。
 2 神を愛してその命令を守るならば、それによって私たちは、神の子供たちを愛していることを知るのです。
 3 神を愛するとは、すなわち、その命令を守ることです。そして、その命令は、耐えがたい重荷とはなりません。
 4 なぜなら、すべて神から生れた者は、世に打ち勝つからです。そして、私たちの信仰、これこそ世に打ち勝った勝利です。
 5 世に打ち勝つ者は誰でしょうか。イエスを神の子と信じる者ではありませんか。

 6 この方は、水と血とを通って来られました。イエス・キリストは、ただ水のうちだけではなく、水と血とのうちに来られたのです。 そのあかしをする方は御霊です。御霊は真理そのものだからです。
 7 において、あかしするものが三つあります。 御父、ことば、聖霊であり、これらの三つが、一つの存在です
 8 また、地において、あかしするものが三つあります。 御霊と、水と、血です。その三つが、一つになるのです

 9 もし、私たちが人間のあかしを受け入れるならば、神のあかしはさらに優れたものです。神のあかしとは、すなわち、神の御子についてのあかしだからです。
10 神の御子を信じる者は、自分の中にこのあかしを持っています。神を信じない者は、神を偽り者とするのです。それは、神が御子についてあかしされたことを、信じなかったからです。
11 そのあかしとは、神が永遠のいのちを私たちに与えてくださり、また、そのいのちが神の御子のうちにあるということです。
12 御子を持つ者はいのちを持ち、神の御子を持たない者はいのちを持っていません。
13 これらのことを、神の御子の御名を信じるあなたがたに書き送ったのは、あなたがたが永遠のいのちを持ち続けていることを、よく分からせるためです。

14 私たちが神に対して持っている大胆な信頼は、こうです。すなわち、私たちが何でも、神のみこころに従って願い求めるなら、神はそれを聞いて下さるということです。
15 そして、私たちが願い求めることは何でも、聞いて下さると分かったならば、神に願い求めたことはすでに持っていると、分かるのです。

16 もし誰かが、死に至らない罪を犯している兄弟を見たなら、神に願い求めるようにしなさい。そうすれば神は、死に至ることのない罪を犯している人々に、いのちを与えられます。 死に至る罪というものがあります。これについては、願い求めるようにとは言いません。
17 不義はすべて、罪です。しかし、死に至らない罪もあるのです。


18 神から生まれた者は誰も罪を犯さないことを、私たちは知っています。神からのひとり子なる方が彼を守っていて下さるので、悪しき者が触れることはありません。
19 また、私たちは神から出た者であり、全世界は悪しき者の支配下にあることを、知っています。
20 さらに、神の御子が来られ、真実なる方を知る理解力を私たちに与えて下さったことも、知っています。そして、私たちは、神の御子イエス・キリストのうちにいることによって、真実なる方のうちにいるのです。この方はまことの神であり、永遠のいのちです。
21 子供たちよ。偶像から自分たちの身を守りなさい アーメン


   *1、4  ピステヴォー(ギ、動詞) (ピスティス(名詞)) think to be true、credit、believe、trust、信じる、信頼する  § 「信じる」は、5:1−13で6回出てくる。5章では「信仰」にポイントを移している。 今まで述べてきた「愛」は、正確なあかしを土台とした「信仰」の中で確認されるべきもの。 信仰の歩みを歩み切ることが勝利の秘訣 (5:4)
   *3  バリュース(ギ、形容詞) (苦役の)重荷の、わずらわしい (マタ23:4、ルカ11:46)  § 神を愛することは簡単ではないが、疲れさせる重荷、耐えがたいほどの重荷とはならない (「主のくびきは快適」、マタ11:30)
   *6  § 信仰は、あかし(=イエスが神の御子であること)を土台(根拠)とする。  § ここではケリントス主義(イエスはただの人間で、洗礼の時キリストが臨み、キリストは十字架の直前にイエスから離れ去った)に対抗して、イエスが水の洗礼で公生涯に入られ、血という十字架の死によって贖いを全うされたこと、   ヘー アレーセイア(ギ) the truth、(冠詞があるので)聖霊は、真理そのものである の意
   *7、8  (§ 大きく改ざんを受けた個所:  7節は、直接的に、「神の三位一体」のことを述べた個所。  8節はそのうちの一つの、受肉された御子についてのあかし)
   *7  エン トー ウーラノー(ギ) in the heaven、天(単数)において、  マルテューレオー be a witness、bear witness、あかしをする、あかしを生み出す、  フーティー(複・男) ホイ(複・男) トゥレイス(複・男) エン(形容詞、単・中) エイシン(現在、3・複) these the three one are、これら3つのものは 一つ(である、の存在である)
    § 神の三位一体が、直接的に、ここに記されている。 「ことば」なる神として、イエスの神性があかしされている、
      ((参考) ※ 数学・物理の自然啓示:  被造物なる天地万物とその法則には、ことごとく創造主の性質が刻まれ、貫かれている。 数学定数は基本的に三つ(円周率π、自然対数の底e、虚数単位i)であり、オイラーの恒等式(eiπ=−1)において一つになる。(これは歴代の数学者も驚愕した事実)  形而上学的に、円周率を御父に、自然対数の底を御子に、虚数単位を聖霊に、それぞれ充てると、−1(=愛)という形で一つになり、虚数(聖霊)の入った指数関数は、減衰せずいつまでも続き、永遠のいのちとなる。 虚数の無い指数関数は減衰して、死の形象。 御子(自然対数の底)は、生と死をさばく方である)

   *8  フィードール(ギ) water、水、  § イエスの洗礼の事。 イエスが公生涯の初めに洗礼と御霊を受けられ、十字架によって全うされたこと。 この三つとも、地上に来られた御子イエスのあかし、   ホイ(複・男) トゥレイス(複・男) エイス ト(単・中) エン(形容詞、単・中) エイシン(現在、3・複) the three into the one are、3つのものは 一つになる
   *11  ゾーエーン アイオーニオン(ギ) life eonian (eternal)、永遠のいのち
   *14  パレーシア(パーリッシア)(ギ) 語る自由、何でも言うことができること、自由で恐れのない信頼、大胆さ、  アイテオー ask、beg、call for、求める、声を上げて呼び求める、  § 神のみこころに沿った祈りは、制限なく何でも聞かれる
   *15  オイダメン(ギ、完了、1・複) 知った、分かった、認識した、  エコーメン(ギ、現在、1・複) we have、(今、すでに)持っている、  § 神が求めを「聞かれた」(ヨハ9:31)ということは、それはすでに私たちにかなえられている((直訳)「持っている」)ことの確信が与えられること。 あとは実現まで主の納期を待つ (= マコ11:24)
   *16  § 願い求めの一例として、  プロス(ギ) toward、に向かって、  アイテーセイ(未来、3・単) (命令ではなく未来形で)願い求めるでしょう、  § 死に至る罪: @ (にせ教師や異端者のように、)(弱さではなく)故意に犯す罪、 A 聖霊を汚す罪(はっきり起こっている聖霊のみわざに対し、悪霊呼ばわりすること。不信仰な愚鈍さ、あるいは、ねたみによる)(マタ12:22−32、マコ3:29、ルカ12:10)
   *18  ホ ゲゲンネーメノス(ギ、完了、受動、単・男) the one-having-been-generated、生まれた者、  § 故意に罪を犯さない の意、  ホ ゲンネーセイス(アオ過去、受動、単・男) the one-having-been-begotten、ひとり子なる方、   ポネーロス wicked one、悪しき者(単数) サタンのこと
   *20  ホ アレシノース(ギ、形容詞) (架空の、にせの、想像上の、に対する)本当の、本物の、まことの、真の; 事実に基づく、真実の
   *21  トーン エイドーローン(ギ、複・中) the idols、偶像(複数): にせものの神々、 (冠詞付きなので、偽りの教えを含む、特定の、)神の立場をとるもの、キリストから離れさせるもの、  フューラソー(ギ) guard、watch、protect、(陣地を)防御する、(羊の群れを)守る







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