3. 宗教は麻薬中毒か? ・・・ 脳と宗教の話
人間は考えてから行動でき、また言葉でコミュニケーションをとれるほとんど唯一の動物である。他の動物との決定的な違いは、大脳が大きく発達し、それによって知的な生産活動ができることである。
脳の部位とそれぞれの働きとは、多くの研究によって対応付けられている。
動物の発生の順に従って、脊髄・延髄、間脳・中脳、小脳、大脳、 大脳はさらに後頭葉、側頭葉、頂頭葉、前頭葉の機能が明らかになっている。下等動物ほど生命維持の為の脳の割合が大きく、高等動物になるに従って運動や思索のための小脳・大脳の割合が増えてくる。
さて、聖書には、人を他の動物とは区別して、「神はこのように、人をご自身のかたちに創造された。」(創世記1章27節)とあるように、神に似せて造られたとある。これはどういう意味だろう?。
サルもイヌも感情らしきものを表すし、イルカは賢いし、イヌは主人に信頼する。また、人も、腹が減るし、セックスをするし、喧嘩もする。 人と動物のどこが違うか?。
それは、人が神と同じ、”霊的な存在”である事である。 神は目に見えない、しかし、確かに存在する霊的存在である。(少なくともクリスチャンはそう信じている。 霊は永遠不滅の存在で、死んでも続くものだから、天国と地獄の思想が意味を持ってくる。)
【 脳の発生と機能 】;
心すなわち私たちの意識・無意識は、確かに目に見えないものであるが、私たちはその存在をはっきりと感じる。そして、心が脳の働きと深くかかわっているのは確かである。また、脳内で分泌される各種ホルモンとも関係が深い。中脳を取り去るか機能しないようにすると意識を失う。
一般に脊椎動物の脳の発生は、原始の脳とも言うべき前脳、中脳、後脳の発達から始まる。その後、前脳は終脳(大脳)と間脳に分かれ、後脳からは小脳と橋が形成され、脊髄の先端が肥大化して延髄となる。
延髄・橋・中脳・間脳までを”脳幹”と呼び、脊椎動物(魚類、両生類、爬虫類、鳥類、哺乳類)に共通の最も原始的な脳で、呼吸、循環、消化、睡眠などの生命活動にかかわる。間脳の視床下部には食欲、性欲の中枢があり、その付近に攻撃性(防衛本能)の中枢がある。(本能的な欲求の中枢)
魚類では水中での運動機能や平衡感覚をつかさどる後脳(小脳)が発達している。
両生類・爬虫類では小脳がやや小さく、脳幹と大脳基底核(動物脳:無意識な体の運動や原始的な感情をつかさどる)が大きくなる。
鳥類はこのほかに小脳(体の自動安定装置の役割)がよく発達している。
大脳の一番内側は大脳辺縁系と呼ばれ、きわめて原始的な無意識(闘争本能、縄張り意識など)をつかさどる部分で、”爬虫類の脳”とも呼ばれている。(情動: 原始的な恐怖、怒り、好意、嫌悪、愛着、喜び、悲しみなど)
大脳皮質は、最も高等な精神活動に関連していて、前頭葉が言語や意志、頂頭葉が運動や体性感覚、側頭葉が記憶や聴覚、後頭葉が認識、視覚のようになっている。
【 情報から行動へのメカニズム 】;
恋愛やすべての人間関係において、私たちは無意識のうちに相手の好き嫌いを判断している。 環境からの情報は、まず大脳皮質のそれぞれの感覚野(5感: 視覚野、聴覚野、味覚野、触覚野、嗅覚野)を経由(ただし、嗅覚は直接)し、扁桃体に集められる。扁桃体で分析・価値判断された情報は、視床下部へ送られ、快・不快の情動を生じ、そこから内分泌系、中枢神経系、感覚神経系、体性運動神経系へとつながり、具体的な行動となっていく。
快感は、視床下部→大脳辺縁系(海馬、扁桃体など)→大脳新皮質→側頭葉→前頭葉を通る”A10神経(快感神経)”が、ドーパミンという神経伝達物質の一つを分泌し、それが扁桃体で快感として感じさせる。
神経伝達物質(エンドルフィン、ドーパミン、アドレナリン、ノルアドレナリン、アセチルコリン、ガンマアミノ酸、グルタミン酸など)は脳の各部位によって分泌や作用が異なるが、特に、ドーパミンとエンドルフィンは同時に分泌されると、相乗効果で、人間は非常に興奮して恍惚した状態になる。 逆に、快感中枢と隣り合って存在する不快中枢は、アセチルコリンが関係していると言われている。ニコチンはアセチルコリンの代わりに作用する。
【 宗教と脳の関係 】;
1) 人の基本的な肉の性質;
どんなに頭で(大脳新皮質で)理路整然と考え、宗教的にきよい行動しようとしても、自分の中にあるヘビやワニの脳で発生する情動が行動に大きく影響してしまう。だから、どんなに頑張っても、自分の力ではきよくはなれない。
2) 薬物の影響;
モルヒネはエンドルフィンに、覚せい剤はドーパミンに化学構造が似ていて、脳に著しい影響をもたらす。アルコール、ニコチン、カフェインも各分野の神経伝達物質の代用となる。
宗教的神秘体験のあるものは、単なる麻薬による作用の結果である。・・・仏教のうちの”密教”では護摩を焚く際、けしの実(アヘン・アルカロイドを含む)を入れて、幻覚を見せる。いろいろな宗教儀式の時焚く香も。
3) ジョギング・ハイの状態:
マラソンや宗教上の難行・苦行に対して、その苦痛がかえって大脳内にエンドルフィンを分泌し、A10神経を興奮させ、いわゆる宗教的快感をもたらす。(要するに、”悟りの境地”というものは”肉的な”メカニズムに過ぎない)
4) 洗脳・マインドコントロールの影響;
人は、宗教的洗脳やマインドコントロールや催眠術を受けると、外部からの情報が正しいかどうかを脳内にフィードバックできなくなる。そのため、言われたことがそのまま正しいと判断し入信してしまう。これは、薬物依存者が、その快感のゆえ薬物をやめられないのと同じ原理である。 難行・苦行によって生き生きとするが、強度のマインドコントロールは脳に多大なストレスをかけ、自主性を失って、教祖の妄想に巻き込まれたり、集団自殺や反社会的行為もあえてすることさえある。
(宗教は怖いなー。だから、宗教は嫌いなんだ。結局、麻薬中毒と同じじゃないか!。)
実は私も宗教は嫌いなんですよ。 でも、誤解を受けていると思うんだけれど、キリスト教は”宗教”ではありません。それは、救い主イエスキリストが共にいることですよ。
(難行・苦行が必要なんでしょう?)
いいえ、何も行ないは必要ありません。 そのままの状態で、ただ信じるだけです。
(やっぱり、きよくなるためには、没我の境地に達しないとだめかね-。)
いいえ、神様は私たち個人の人格を大切にして扱ってくれますよ。
脳神経や脳内麻薬だって神様が造ったものだから、丁度良いように適度に調整してくれますよ。