6. ノアの洪水はあったのか? ・・・ 天変地異の話


 1936年、ガンサーと彼の指導教官アーノルド・ハイムはヒマラヤの中央地帯を横断する調査を行ない、はじめてインド亜大陸とアジア大陸が衝突・合体した傷跡である”縫合帯”を発見した。その後も彼らは調査を続け、1964年にはヒマラヤ全域の地質調査結果を出版した。その結果、なんと、エベレストの頂上部は、生物が豊かに生息していた海底だったということがわかった。
 山頂部のチョモランマ層は、4億6千万年前とされるオルドビス紀の石灰岩から成り、ウミユリや三葉虫の化石が含まれている。そのすぐ下のイエローバンドと呼ばれる地層は、約5億年前とされるカンブリア紀(?)の大理石(結晶質石灰岩)から成り、熱による変成作用を受けておリ、ウミユリの痕跡が発見されている。

 

 ウェーゲナーの大陸移動説によると、地下のマントル対流によってインド・オーストラリアプレートがユーラシアプレートに衝突してヒマラヤ山脈などの造山運動が起こり、インドシナや中国南部が海に押し出された、と解釈する。これを裏付ける証拠としては、地質や化石の分布、断層や地震の分布、海嶺から海溝までの地磁気の分布など非常に多く挙げられ、大陸移動説はもはや定説となっている。
 インド亜大陸が、化石からジュラ紀(1億5千年前)の時代にアフリカやオーストラリアから分離して、白亜紀(1億4500万年〜6500万年前の長い間)に火山活動がさかんに起こり気温が上昇して、大量の生物の死骸などの有機物が海底に沈積した。この、生物化石の含まれている地層の年代決定に基づいて、大陸の移動速度が計算され、現在のインド洋の海底では、5200万年前までは年間15〜20cm、それ以降は年間約10cm北上し、現在では年間5.5cmと見積もられている。


 さて、聖書にあるノアの洪水の記述は、それが直接、大陸移動や造山運動に関与したかどうかは不明であるが、パレスチナやカルディヤ(バビロニア)の他の神話などからも、かなり広い範囲に渡って大洪水があったことが記録されている。その結果、ある地域においては、きわめて短い期間に大量の土砂が侵食され、また堆積していったと考えられる。 海底に大量に生成し風化を受けず堆積して地層を形成するような石灰岩・白亜質のものを除いて、一般に、土砂によって瞬間的に閉じ込められない限り、地上や浅い海などに散在する生物の殻や骨などは化石に成る事はない。さもなければ、すみやかに腐敗・風化してしまい、決して形をとどめる事はできない。三葉虫や恐竜の骨や魚の骨などの化石は、中国やロシアやアメリカ大陸など世界中の地層から発見されている。

 また、何度も引き合いに出される地層の年代決定法”の根本的な問題が、進化論と共に、ここでも大きく学説に影響を与えている。そして、これは、自然の流れはそんなに大きく変化することはなくほぼ一定であり、時間さえかければ、すべて解決するという論法である。(これはちょっと計算しても間違いだとわかる。たとい地球の年齢が46億年あったとしても、原始生物の構成物質であるたんぱく質が、偶然によって自然発生的に合成される事は、絶対にありえないと言えるほどの低い確率である。)
 さらに、大量の岩石全体が圧力の変化によって大規模な熱変成を受ける為には、かなり急激に移動しなければならないのではないだろうか?。

 聖書には近い将来、世界中に大地震が起こることが予告されている。そして、この際、急激に山や島が移動する事が伴うと書いてある。(さらに、太陽や月や星が暗くなり、天が巻物が巻かれるように無くなるという現象が見られるという。 今の常識からすると、まったく信じられないような現象が書かれてあるので、クリスチャンであってさえもこれらを別の意味で解釈する人たちもいるほどである。)
 確かに、未来に起こることは、今のあやふやな科学では充分予測することはできない。自然科学は人間の頭の中で作り上げられたものに過ぎないからである。 かつて起こった天変地異が近い将来起こらないとどうして言えようか?。


 (ヒマラヤの山頂が、以前は海底だったとはすごいですね。 いや、それよりもっとすごいのは、聖書のノアの洪水と世の終わりの天変地異ですよ。 本当に起こるんですか?。)

 それは知的にはわかりません。だた、聖書は神の言葉であって、そこに書いてある予告が、必ず、そのように成就すると信じるだけです。 でも、科学的に作り上げられたいくつかの学説が、それほど確固たるものではないということはわかりますよね。


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