光の量子力学 ・・・ 【今までの量子解釈】;


 光は粒子としての性質(光量子として位置・運動量・エネルギ−・スピンのように一個づつの単位で扱える)と波としての性質(回折・干渉など)を併せ持つ素粒子のうちの一つである。
 そして、粒子と波との間の関係式は、

                   E = hν = hc/λ

であり、波長λの短い光ほど一個当りのエネルギ−Eが大きい。(ここで、h(プランク定数)=6.626×10**-34(J・S)、c(光速度)=3.00×10**8(m/s))
 遷移元素の励起されたイオンは、その電子軌道がエネルギ−準位の高い(E2)状態から低い(E1)状態へ落ちる時、エネルギ−の差分の光を放射する。この波長が可視光の領域にある場合、それぞれ遷移元素特有の色が見られるわけである。

                 λ = hc/凾d、   凾d = E2 ― E1 

 さて、素粒子には奇妙な性質があって、その運動量pと位置xとを同時に正確に測定することはできず、ある特定の限界値が存在する。たとえばガンマ線顕微鏡で電子を見ることを考えると、ガンマ線が電子に当たった瞬間電子の位置も運動量も乱されてしまい電子の位置を示す像がぼやけてしまう。

                 凾吹E凾 ≧ h

 これが有名なハイゼンベルグの不確定性関係である。
 この不確定性関係は運動量-位置の関係にとどまらず、エネルギ−-時間、粒子性-波動性、スピンの向き、そして、偏光の振動方向にも及ぶ。

 また、電子対が放射されるときのスピンの向きは、初めは不定(不確定)の状態(Ψ0)であるが、一方のスピンの向きが確定すると(状態Ψ1)もう一方の電子のスピンの向きは、たといどんなに電子対どおしの距離が離れていても超光速で情報伝達がなされ自動的に確定する(遠隔作用)と解釈されている。すなわち、観測するという行為そのものが物質の状態を瞬間的に決定してしまう!、という解釈がなされてきたのである。(ボ−アのコペンハ−ゲン解釈)
 そして、この二つの奇妙な性質、1.不確定性関係と2.遠隔作用は、物質から放射される偏光にも適用される。
        
        

 励起した2価の金属元素(Ca、Hgなど)から放射される光は、同時に放射される一対の互いに直交した偏光である。                    
            

 そして、この一方の偏光の振動方向が測定によって確定したならば、もう一方のそれもたといどんなに距離が離れていても直交したものとして確定する(遠隔作用)はずなのである。


                  戻る