2. 最近行われた2つの実験結果
(1) 2光子偏光実験
偏光はその振動面と偏光子のスリットとのなす角θにより、(0≦θ≦90°)分だけ透過する。
では、光源の出力を絞って、一個の偏光が出るようにした場合どうなるだろうか。この場合、一個一個の光子が透過するかどうかは予想がつかない。ただ、統計的に、透過の確率がであると言えるだけである。
次に、互いに別々の測定器に入る2個の光子(光子対)ではどうだろうか。
実験結果では、光子1,2が偏光子を両方とも通るか、両方とも通らないかのどちらかであり、片方が通り片方が通らないということはなかった。
つまり、光子が偏光子を通ることが確定する事には厳密な量子力学的な相関がある事がわかった。
しかし、この時点ではまだ、量子と測定装置との光速以下の情報のやりとり、すなわち隠れた変数が存在する可能性がある。そこで、超光速の切り替えとなる切り替えスイッチを付けて、光速以下の情報のやりとりの可能性を無くした実験が行われた。
(* アスペAspectら、仏、パリ大、1982)
* 実験の詳細;
切り替えスイッチ ・・・
超音波を当てた水面によって作られる定在波を回折格子として用いる。
切り替え時間 ・・ 10nsec
スイッチ間の距離 ・・ 13m(光速で40nsかかる)
光源 ・・・・・
カルシウムまたは水銀のエネルギー遷移による光子対による。(2価の原子)
20ns以内に光検出器に入る2個の光子は同じ原子から放出されたものと見てよい。
結果は、光子1と光子2はそれでも量子力学による相関を示した。
したがって、EPR問題における量子どおしの情報のやりとりにおいて、光速以下で伝わる(すなわち、局所的な)隠れた作用機構は存在せず、実在論は完全に否定された。
物質は真の不定性を現し、コペンハーゲン解釈は少なくとも実験観測の範囲において正しいと言えるのである。