6. 奇跡の存在の意義


 冒頭で述べたように、キリスト教界(特にカリスマ系)においてしばしば明らかに通常の物理法則を越えた現象、すなわち、”奇跡”が起こる。これは、明らかに、質量、エネルギー、運動量などの保存則を破る現象である。

 何も無い所にいきなり物質が生成するという事はどういうことなのだろうか?。聖書には、奇跡がどのようなメカニズムで起こるかを詮索することは愚かなことであると書いてあるので、それはやめる事にする。そのかわり、奇跡が実際に起こると、周りにどのような影響を及ぼすかについて考える事にする。

 @) 古典論的影響;

 奇跡の与える古典物理学的影響を考えても、かなりの範囲にわずかながらも影響する。光速以下で伝わる通常の物理法則による作用 ・・・ 重力場、電磁場、核力、ファンデルワールス力、・・・などの力場の作用により、奇跡が起こった所から時間の経過にしたがって、わずかずつ光の速さで変化が広がって行く。

                  奇跡の古典論的影響の図

 A) 量子論的影響;

 量子論的な相互作用は、今まで長々と論じてきたように、
    1.超光速の遠隔作用である
    2.物質は宇宙に対し分離不可能
    3.量子力学は個々の粒子の状態を予言できないが、初めから確定している事はわかる
である。
 ここに、たとえば物質が生成したとすると、

    1.全宇宙のすべての所にある物質に、一瞬にして、
    2.量子力学的な相互作用をもたらし、
    3.そのすべての状態を今までずっとそうであったかのように正当化してしまう、

という作用を伴わなければならない。これは、たとい小さな奇跡であっても、きわめて大規模な・・・宇宙全体を刷新するような作用を伴う事になる。

                  奇跡の量子論的影響の図

 このように、全宇宙のすでに確定しているものを、瞬間的にことごとく変更し、新たなる確定された状態に刷新してしまう働きは、決して自然的に起こるのではなく、非常に”力の要る仕事”で、全宇宙を創造してしまう働きと本質的に大差は無いと考えられる。

 ここで、もし奇跡を起こす者が”人格”を持っているとするならば、それは”創造主”あるいは””と言うべき者である事になる。そして、前述の通りに、奇跡の大部分は”イエスの名”に伴って起こされるのである!。
        

 したがって、聖書にあるように、キリスト教の神が天地万物を6日間で創造したということは、同じ神が奇跡すなわち再創造を今も行う事から、きわめて妥当な事であると言えるのである。


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