2. アミシャブによる10部族の調査結果との比較



  失われたイスラエル10部族は、今から約2700年前に、アッシリア捕囚の民となって以来、歴史から忽然と消えてしまった。しかし、その痕跡から、エルサレムには、『アミシャブ』(1975年設立、著者ラビ・アビハイル氏はその幹部)という名の、世界に離散しているイスラエルの10部族を帰還させるために調査する特務機関がある。

  アミシャブが認める、”失われた10支族”とは、

  1) ユダヤ教を信じていること
  2) ユダヤ教を信じていない場合は、ユダヤ独特の習慣(割礼、安息日(サバト)など)を維持しているかどうか、になり、
  その他、身体的特徴、服装、語り継がれてきた伝承、などがチェックポイントとなる。

  こうして、アフガニスタン、パキスタン、カシミール、中国、ミャンマーなど各地に、10部族の末裔が現在も住んでいることが明らかになったと報告している。

  * 10支族とは、ルベン(レアの子)、シメオン(レアの子)、レビ(レアの子)、ユダ(レアの子)、ダン(ビルハの子)、ナフタリ(ビルハの子)、ガド(ジルパの子)、アシェル(ジルパの子)、イッサカル(レアの子)、ゼブルン(レアの子)、ヨセフ(ラケルの子)、ベニヤミン(ラケルの子)であったが、モーセの時代にレビ族が祭司一族として除外され、代わりにヨセフ族がマナセ族とエフライム族に分けられた。

  ** レビ族には、
コーヘン(祭司職、アロンの子孫)の特徴あるDNA配列がY染色体上にあり、アフリカ南部のレンバ族(外見上は完全な黒人、割礼、安息日、豚肉とカバの肉は食べない)にはこれがあることが発見された。(1997年、スコレスキー・イスラエル工科大、ハマー・アリゾナ大) それは、9つの部位においてある特定の遺伝子の突然変異がコーヘンでは非常に多く起こっているが、普通のユダヤ人(ユダ族+ベニヤミン族の一部)の間ではそれほど一般的でなく、ユダヤ人でない集団の間では稀であり、アシュケナージ系コーヘンで45%、スファラディー系コーヘンで56%、一般のユダヤ人では全体の3〜5%であることが分かった。
  レビ族の大部分は、南ユダと北イスラエルの分裂の時、ヤロブアムから職を解かれ、南ユダへ移動した。(U歴11:13−15) したがって、このDNA配列によっては、イスラエル10部族の手がかりを知ることはできない。また、その後、ダン族はエチオピアへ移動し、ベト・イスラエルとなった。最終的には、レビ族が一つの族に数えられ、ダン族が除かれ、12部族となる。(黙7:4−8、これは、9節の異邦人クリスチャンと区別されている。)

  アッシリア捕囚(BC721)の時、一部は、ペルシア北部(現在のクルディスタン)のメディアの諸都市に捕囚され、代わりにクト人がイスラエルに移入させられた。残りは「ゴザン川、ハボル、ヘラ、ハラ」(U列17、18、T歴5)であるが、この「ゴザン川」とは、アフガニスタン北部の都市ベラの北を流れる川(現在のアム・ダリア川)である説が有力である。アフガニスタンの伝承により、ハボルとは現在のペシャワール、ハラとは現在のハラトであり、いずれもアフガニスタンの都市である。
  また、「シニムの地」(イザ49:12、43:5)とは、東の国々(パキスタン、カシミール、チベット、中国、(日本)など)を意味し、終わりの時にこれらの地から帰還することが預言されている。



  (1) シンルン族(ブネイ・メナシェ、メナシュ族):

  シンルン族は人口100〜200万人で、インド-ビルマ国境の山岳付近(インド側はミゾラム州、マニプール州、ナガランド州、アッサム州、トリプラ州、ビルマ側はチン州のティディム地域)に住んでいる。彼らの伝承によれば、中国からタイとビルマを通って逃亡してきたのであり、途中で持っていた聖典の巻物も奪われてしまったという。シンルン族は、ビルマでは「ルシ(=10の支族)」と呼ばれ、歌や祈りのことばには「マナセ」という名前が出てくる。これは、彼らがマナセ族の末裔であることを物語っており、シンルン族はユダヤ教に回帰し、イスラエルに帰還することを望んでいる。(すでに一部はイスラエルに移住し、ユダヤ教に改宗している。)

  * マナセ族は、BC457年に再びペルシャに捕囚され、ペルシャ王ダイレオスとクセルクセス(アハシュエロス)の支配下に置かれた。BC331年にアレクサンドロス大王がペルシャ、アフガニスタン、インドを征服すると、10支族はアフガニスタンなどに離散し、そのころから彼らは偶像崇拝者になった。(その後、イスラム教の支配により強制的にイスラム教に改宗させられたが、長老や祭司はトーラーを隠し持っていたといわれる。)
  一部は中国中央部まで行き、BC231年に現在の中国の開封(河南省)にユダヤ人居留区を作った。中国においてユダヤ人は奴隷同然の扱いだったので、同化を嫌い山岳地帯へ”洞人”や”山人”として洞窟生活を送った人々もいた。(陸のシルクロード時代が廃れる18cまでは、開封はユダヤ人交易商人で栄えた) 18世紀にはこの中国からの難民はインドのマニプル州とミゾラム州へ移動した。

  (2) カレン族:

  カレン族は人口600〜800万人で、ビルマに住んでいる。この地域にユダヤ教やキリスト教が伝来する以前から聖書に関する知識を有し、シンルン族と同様に中国から逃亡する際、聖典の巻物を失うなどの伝承を持っている。彼らの信仰する神は、「ユィワ(Yiwa)(すなわち、ヤーウエ(YHWH)」)」と呼ばれる。カレン族には”白い人が再び聖なる巻物を持って尋ねてくる”という預言が伝承されていたが、1810年アドニラム・ジャドソンがビルマ宣教を行い、カレン族は彼が示した聖書を見てこれが失われた巻物であると信じ、すべてバプテスト派キリスト教に改宗した。改宗者はビルマのエリート層を形成した。

  (3) 羌岷(チャンミン)族:

  チャンミン族は人口約25万人で、中国四川省中国-チベット国境のミンコウ付近に住んでいる。彼らは一神教を信仰し、部分的に戒律に従い、ユダヤ起源の伝承も多い。第一神殿の時代の犠牲を捧げる習慣がある。ただし、セム系の外見的な特徴はほとんど残っていない。

  * このチベット系民族の羌(タングート、蔵人)は、384年(−417)後秦を建国し、その末裔が朝鮮半島から「秦氏」として日本にやって来た説がある。すると、秦氏はマナセ族のイスラエルという可能性がある。( → 4.(2) 秦氏について

  

  (4) パタン族(パシュトゥン人):

  パタン族の人口は約1500万人で、大部分はアフガニスタン(800万人)とパキスタン(1000万人、国境付近の200万人は遊牧民)に住んでいるが、一部はイラン、インドなどにもいる。外見上ユダヤ人に似ていて、アミシャブもこのパタン族について特に重要視している。アフガニスタンにおけるパタン人の居住地域はアフガニスタンの国土の半分にも及ぶ。
  パタン族は、ルベン、ナフタリ、ガド、アシェル、ヨセフの息子など、失われた支族の部族名を持っている。(ラバニ族=ルベン、シンワリ族=シメオン、レヴァニ族=レビ(レヴィ)、ダフタニ族=ナフタリ、ジャジ族=ガド、アシュリ族=アシェル、ユスフ・ザイ族=ヨセフ、アフィリディ族=エフライム)
  また、彼らの伝承によれば、彼ら自身が「バニ・イスラエル(イスラエルの子ら)」であるという。パタン族は、イスラム教徒(スンニ派)に改宗しているが、旧約聖書を持ち、生後8日目の割礼(cf.イスラムは8日目ではない)、フリンジ(ふさ)のついて衣類、サバト(安息日)、ヘブライ語の名前(イスラエル、サムエル、ガブリエルなど)、食物の清浄・不浄の区別、門柱に血を塗る、贖罪の山羊などの、典型的なユダヤの慣習を持っている。
  またその言語にもヘブライ語起因の単語が数多く含まれている。
  (* 同時多発テロの首謀者、サウジアラビアの大富豪の息子ビンラディンをかくまったアフガニスタンの支配者層”タリバン”を構成した主要民族が、このパタン人であり、06年になって再びイスラム原理主義者らによるテロが始まっている。)

  (5) カシミール族:

  カシミール族の人口は500〜700万人で、インド北部とインド-アフガニスタン国境に住んでいる。地名(ピスガ、ネボ山、ベイト・ペオールなど)、人名、宗派名などはイスラエルにあったものがそのまま用いられている。彼らは外見上ユダヤ人と酷似し、言語、習慣も共通点が多い。


  (6) エチオピアのベト・イスラエル:

  エチオピアのベト・イスラエルは、王国が分裂した時ダン族が自ら捕囚となってエチオピアに向かった民であり、ユダヤ教の”賢人”もカバラに通じた者もいなく、成文化されたトーラーだけを守って暮らしている。(ミカ書の「足の萎えた者」(ミカ4:6)とは、口伝のトーラーをもたない彼らのことを言う) エチオピアのユダヤ人はイスラエルへの移民を開始し、すでに8万人に達している。

  * 彼らのY染色体のDNAには、普通のアフリカ人と変らないほど、A、E系統が入っている。(A3b2:40%、E3:50%、J2:5%、K2:5%、検体数22人)


  (7) 日本:

  日本-イスラエル同祖論(親戚論)を支持してきたユダヤ人の研究者(ラビ・マーヴィン・トケイヤー、ヨセフ・アイデルバーグなど)は多い。アミシャブのラビ・アビハイル氏は、短期間日本に滞在して日本古来の文化や習慣を調査した(滞在中、三笠宮殿下とも会談した)だけであるが、彼の結論として、
  ”これらの証拠は充分に根拠のあるものであり、日本人と失われた10支族の間に何らかのつながりがあることは否定できないであろう
  、と書いている。
  彼が挙げた日本の中のユダヤ性の特徴は、(* 全体の一部に過ぎないが)
  ・ 割礼(三笠宮殿下の友人のモラウカ・ダ・ソーカ氏によれば、皇室・天皇の子息は生後8日目に割礼を施される)
  ・ 月経の規定、 ・ 清浄と不浄の規定、 ・ 葬式と埋葬、 ・ 服喪、 ・ 日本の暦(太陰暦)、 ・ 仮庵祭
  ・ フラクテリ(経札)と山伏のトキン、 ・ フリンジ(房)、 ・ 初子の贖罪、 ・ 血族による復讐、 ・ 両親の尊重、
  などを挙げている。


  (8) その他、アミシャブでは、ユダの離散ユダヤ人について、クルディスタンのベニヤミン族の末裔、インド・ケララのクナン族、スペインとポルトガルのマラーノ、ペルーのブネイ・モシェ、ウガンダのバユダヤ、メキシコのデレホ・レイェルシャライムなどを挙げている。



  今後、アミシャブは、遺伝子調査中心のイスラエルの末裔探しをする予定になっている。エフライムを名乗る民はかなりいるが、ごく一部アフガニスタンのアフィリディー族を除いて、Y染色体DNAがD系統でないマナセ族、エフライム族は、世界のどこにいるか現在まで確認されていない


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