4.  諜報活動・スパイの実態について:




  (1) 佐藤 優(まさる)氏 スパイ学の集大成: リアルなスパイの実情を語る!2015年4月25日


  * 佐藤優氏は、同志社大・神学修士を経て、在ロシア日本大使館書記官(1988年から7年間)という変わった経歴。 帰国後、外務省総務課、2002年 鈴木宗男氏に関係する疑惑で、”国策捜査”で無理やり有罪にさせられ、2009年に外務省を失職、現在 作家、同志社大客員教授(神学)。 (クリスチャン、見分け ○)


  インターネットに時代にもかかわらず、正しい情報を得るために今もスパイは存在します。 スパイは国家公務員。趣味ではなく、国のためにやっています。 スパイは、インテリジェンス・オフィサーのうち 非合法なことをする人たちのことを言いますが、一般的にはスパイに全部含めてしまっても良いでしょう。 そうすると東京でも、各国の、アメリカとかロシアとかドイツ、イギリスのスパイもいます。 それは、外交官になっています。参事官や一等書記官などです。 それで日本の外務省と警察庁には この人がスパイ組織の人ですよ、ということをひそかに連絡しているのです。 そして、絶対に日本の法律に触れるような悪さはしません。しかし本当の外交官ではない、ということを今は連絡しているのです。 そして何かトラブルがあったときはその人を通じて話をつける、こういう約束になっています。 アメリカ対ロシアもそうです。

  在ロシア(ソ連)日本大使館の書記官時代には、ロビー活動、すなわち 日本の友達を増やす、日本が嫌いで日本にマイナスのことをしている人をできるだけ静かにしてもらう、このような仕事をしていました。 情報を取る仕事もその中にあります。それには2つの条件があります。
  1) その人がこちらが必要な情報を知る立場にあるかどうか、たとえばオバマ大統領の健康状態を知りたいなら、その主治医や大統領の奥さんという、オバマさんの健康状態を知っている人をターゲットにする必要があります。
  2) その人が本当のことを教えてくれるかどうか。
  直接コンタクトが無理な場合は、その友人とか、ワンクッションを置いて、人脈を作っていくのです。 トップとの人脈は、各国の首脳や補佐官などの側近、その周辺など、必要に応じて色々な人と会えるようにする、というのが仕事でした。 それは秘書官だけではなく、愛人でも良い。 ・・・ とにかく教えてくれる人がいればよいのです。

  危険な目に合うことはありますが、双方仕事なので、段階的にシグナルが来ます。 こういうことはやめたほうが良いですよ、と。
  たとえば夜、どこかの外交官と会ったとします。 この最初の段階では、マンションに住んでいれば、帰ってきたらたばこの吸い殻がある。 部屋にかかっている絵の位置が入れ替わっている、ということが起こります。 それでも会い続けていると、たとえば1週間の旅行から帰ってくると、冷蔵庫の線が切られて中味が腐っている、さらには、自動車のファンの線が切られて運転中に突然 オーバーヒートする、その次は すれ違い際に蹴とばされて、一言耳打ちされる、次が 殴られる、というレベルまで行きます。 私はここまでは経験しています。
  あるいは、ある日 壁からラジオの音が流れてきます。 マイクは同時にスピーカーになるので、ここに盗聴器を仕掛けているぞ、と逆に知らせてきます。 ソ連時代はこのようにひどいものでしたが、ロシアになって無くなりましたが ソ連崩壊後3年も経てば また戻ってきました。 もし、置手紙が書かれてあれば、かなり最終段階に近く、もう出国したほうが良い、という感じです。
  そのようなことがあれば、必ず 本国、大使館あるいは外務本署と相談しながら決めますが、やられるのは原因があります。東京からの指示で、誰と友達になりなさいとか、こういうことをロシアがやっているのを止めるようにしなさい、と言われてやっているわけですから。 これ以上進むか、退くかは、東京と相談しながら決めます。

  鈴木宗男さんをめぐる大事件があったとき、私も、東京地方検察庁 特別捜査部に捕まってしまいました。 それで512日ほど東京拘置所の独房に入っていました。 日本での話です。 それが終わって出てきた後、裁判が続いている時、(幾つかの国から、)何人か来て、自分の国で働かないか、という誘いを受けましたが、全部丁寧に断りました。 そういうことをしても良いことはないですから。 ただ使い捨てにされるだけです。 働く条件は大体決まっていて、仕事で使えるお金が3000万円、給料が2000万円くらいです。 情報の仕事の世界ではこのくらいが相場です。

  その国が何を知りたがっているかは、国によって違います。 イスラエルであれば、イランが核兵器をどれくらいのペースで作りいつごろ完成するのか、ということに一番関心があるでしょう。 アメリカは世界中で起こっているすべてのことを知りたいと思っている。 中国はアメリカのことを知りたいでしょう。中国が今後経済的に大きくなってきた場合、アメリカがどのように動いてくるかに関心があります。
  国によって強い領域と弱い領域があります。 だからそれをお互いに情報交換します。 例えば日本は、北朝鮮のことはよく知っています。中国の事も。 ところが例えばフィンランドはロシアのことをよく知っています。 そこでフィンランドにロシアのことを教えてもらって、こちらからは北朝鮮や中国のことを教える、ということはあります。 また、日本と北朝鮮は国交がありませんが、オーストラリアと北朝鮮は国交があり、外交官がよくいくので生活の様子などが分かり、また北朝鮮について一番詳しいのがモンゴルです。

  ドローンは今一番使われているテクノロジーです。 今回、首相官邸に飛んだドローンは、おもちゃに毛の生えたレベルです。 これを普通の人が買えるということは、テクノロジーが最先端なものはものすごく進んでいるということです。 業界では、これは殺人をむしろ専門とする無人飛行機のことを指します。 アフガニスタンやシリア、イラクなどのイスラム国で戦闘するときに無人飛行機を使って、標的とするデータベースがあって 顔写真が入っているとすると、ターゲットの顔認証をして攻撃してよいかを本部に聞いてくるので、小型ミサイル発射の指示を出すと それを実行します。
  あるいはストーカーの道具として、マンションの高い階にいつも無人飛行機が止まっていて 家の中の様子をいつも見ている、このようなことにも使えます。 このような技術が民間活用されてすそ野が広がってきたということです。 たとえば中国は今、航空母艦を造っていますが、これが使えるようになるのは10−15年後であり、その時日本はものすごく優秀なドローンを持っています。 そして航空母艦は ドローンのただの標的にしかなりません。 人が乗っている戦闘機は無くなります。 そのような無駄なことに中国が軍事費を使っていることは結構なことです。 航空母艦は15年使ったら使い物にならなくなるからです。 世界の戦争のやり方、安全保証、ものの考え方が変わってくることになります。 顔かたちのみならず、一人一人の歩き方にも特徴があります。 それをドローンに覚えさせておくと、いつまでも後をついて来るドローンになります。



   (ここで、日本にいた国際スパイとおつきあいしていた アンミカさん(モデル、タレント、韓国系)に電話がつながっています)

  それは運が悪かったですね。 ――  35歳くらいの時、7−8年前(2015年よりも)のことです。 疑いもしませんでした。 ―― 疑わせたらプロではありません。 ――  彼は、美男子ではなく、今でも顔が思い出せないような普通の人でした。 出会いは、とある大きなパーティーで司会の仕事をしていたとき、そこから彼のほうからお付き合いをしたいと猛プッシュされ、私は慎重な性格なので、一か月毎日電話をして それからデートに行くようになりました。 結婚を前提に、彼の家族に会わせてもらい その家族に会うところから始まったのです。 初めは、彼は 日本語が上手なアジア人の外人で、そのほかに7か国語を話せて、中国語3種類、英語と韓国語はネイティブで、イタリア語とスペイン語とロシア語を話せました。 私とのお話は主に、日本語(カタコト)と韓国語(ネイティブ)でした。
  付き合って変だと感じたことは、今思えばたくさんありますが、日本に来たときは ホテルは必ず非常口近くの角部屋をとりました。何台かのパソコンで色々な国の言葉ですごいスピードでやり取りをしていて、できる男性と思っていました。 ある国への出張でお土産を頼んでおいたら、その国で転んでけがをしたと言って 会うとそれは刺し傷のようなひどいけがで、しかも日本の病院に行かないと言っていました。
  結婚を前提にしていたので自分の家族の妹に会ってもらうことにして、彼がフィリピンで仕事を始めるためにタガログ語を話せる人を探していて、妹がタガログ語を話せたので 彼に妹と仕事の話をしてもらっていました。 すると妹が、人が人を紹介するときは徹底的に身元を洗うと言って、調査する所に行って、彼が実在するかどうかわからない人物であることが判明しました。 確かに、クレジットカードのあるものが名前が違っていたりしたので、結局、彼を電話で問い詰めました。 すると、最後の最後に、他人に電話を替わったように、(今まで片言だったのに、)大阪弁のような流ちょうな日本語で激しくまくしたてられ、今は彼がどこの国の人物であるのか分かりません。 どうして彼がスパイだったのが分かったかというと、初めにパーティーを主催した団体から問い合わせがあって、国際指名手配するのに協力してほしいと言われ、数々の持ち出された情報の話も聞いたからです。 彼に会っていた最後の方で、セドナ(アリゾナ州)に一緒に旅行に行こうと何度も誘われていましたが、スケジュールが合わないで ずっと行けませんでした。 後で ある人に聞いたら、そこは崖から落ちる事故ということで一緒に死んだことにして 彼自身は第二の人生を歩む、という計画だったらしいです。
  事務所とも相談して、この話を公にして、皆に語ることが、身を守る最善の方法だと思っています。



  スパイの条件として、 たとえば このアンミカさんの相手のように、容姿は、記憶に残らないような容姿で、中肉中背の目立たない人。 スパイ大作戦のようなハンサムな人ではありません。  気質では、まじめな人、汚い仕事も多いので正義感だけではだめ、 ずるさも必要。  能力では、何かに偽装するため、他の職業が2つくらいできること。(ジャーナリスト、学者、絵描き、医者)
  スパイを養成する機関では、 まず語学、 対象とする国の言葉は完全にしゃべれなければいけない。 歴史や地理の勉強。 護身術、(国にもよるが、)素手で人を殺す技術、逃げだし方、など。 にせの履歴を作ること。 (短期即成もあるが、本格的な所では10年かける ・・・ なかなか発覚しない)

  ハニートラップは、よく言われているように、 ホテルに帰ってきて ベッドの中に金髪の美女がいて抱きついてきた、そして 誰かが入ってきて写真を撮ってばらすと脅して従わせる、 このようなことは絶対ありません。 なぜかというと、脅されたら人は言うことを聞かないからです。 もし聞くとしてもぎりぎりの事しかしないのです。(ものすごいレベルの低い人に、ワンポイントだけ使うときはこうします。)
  むしろ、外交官が不倫して女性とトラブルになった、酒を飲んで運転して人身事故を起こした、その時に、尾行している秘密警察が助けてくれるのです。 しかも何も要求せず、ただ 一か月に一回会って話をしてください、と言うのです。 つまり恩を売って、自発的に協力させる、というものです。これに引っ掛かったことに気づかない人が多いです。 これが本物のハニートラップです。
  また確実に仕掛けるために、女性問題以外にマリファナを吸わせて、それで内緒にしてあげると言って恩を着せる。 また梅毒に感染させて医者を紹介してくれる。 このように協力者を作るときは 助けてくれるのです。 人間は、3か月もいると必ずミスを犯します。 そのような所から抜け出す方法は一つで、日本の警察に相談することです。 モスクワや中国で そのような目に遭ったら、国際電話で相談すると、向こうは仕事で味方に取り込むためにやっているので、日本の警察に知れてしまうと、あるいは会社の上司にきちんと相談するならば、隠して操ることはできなくなり すぐに止まります。

  スパイのテクニックは、まず 話術です。 巧みに嘘をつくことです。 本当のことは全部は言わない。 よくスパイたちが使うやり方です。
  次に、誠実なふりをすることです。 約束は守る。 家にはきちんと帰ってくる。 しかしどこか途中で”浮気”している。
  旦那の浮気を暴く方法としては、つじつまが合わなくなることがあるので 細かく詰めていくことです。 あるいは、簡単に、スマホやガラケーでも着信履歴を見て、あるいは着信履歴が全部消えている、電話が来ると外に出るなど普段と違う挙動が出てきた時、などは 要注意です。 もっと簡単なのはお金の流れです。クレジットカード等で訳の分からないお金が出ていないか、ポケットの中のお金では足りなくなるので、デートに行くため必ずどこかで。 普通のサラリーマンだとすると、昼間に2人で1万2千円のランチを食べたらこれは怪しいと思うでしょう。 大体3000円以上(?)の支出がある場合は要注意でしょう。

  スパイにとって最も重要なことは、最終的には、愛国心です。 こいつは汚い奴だと言われても、国のために泥をかぶることができるか ということです。 名誉やお金に関心があるのではなく 国のためです。
  だから、良くできるスパイの人たちは、ストレスのため アルコール依存症になる人たちが多いです。 誰にも相談できない悩みを抱えるので。 奥さんにも話せない。結婚しても 仕事の内容は言いません。また特に子供は、情報機関でなくて、国防省に勤めている と。普通の軍人と思っていたそうです。 したがって、ストレスに強い ということがすごく重要です。

  松任谷由実の”時の無いホテル”の歌詞に、スパイの実際に用いられる小道具の用語が入っています。 発信機の入った口紅。 かつら。ポケットにかつらを入れて、角を曲がったときにかつらをかぶると、あとリバーシブルのコートを裏返して着ると、全く分からなくなります。

  病院には健康保険証などの個人情報が出ないように、医者は自前で用意していて、あるいは外国に出て行って、あるいは本国に戻って、そこで治療します。 医療情報を蓄積されることをすごく嫌がります。



  * 別のテーマで(佐藤優氏): 日本では考えられないことですが、アメリカのCIAは よく、たとえばテキサス州の新聞一面で募集をかけて、幅広い人材を確保しようとしていました。 だからスノーデンのような(CIAにとっての)裏切り者、(我々にとっては)正義の告発者 のような人物が出てきました。 英国やイスラエルでは、そのような募集をかけても、そこから採用することはありません。どういう人が応募するかを見ているだけです。
  * またアメリカ連邦警察も、日々進展するインターネット犯罪に対処するために、罪を改めていないハッカーをスカウトして失敗するケースがあります。(→ 次ページ)





  (2) 内閣中枢部の人間がロシア・スパイによって落ちるまで:  by. 現代・公安vsスパイ 諜報全史 第1回(竹内 明)



  これは割と最近起こった、ロシア・スパイによる籠絡事件です。(2007年検挙)  内閣情報調査室(首相官邸直属の情報機関で、内閣総理大臣が政策立案するための国内外の情報収集を行う = 日本のCIA とも呼ばれる)のある職員 M が、GRU(ロシア軍 参謀本部 情報総局)の巧みな手によって ”モグラ”(自国の組織内部にいる敵のスパイ)にされてしまった漏洩事件について述べます。(心理戦


  1996年夏に、虎ノ門で開かれた中国関係のセミナーで、K通信社のO記者(中国、ロシアに精通、日本人のベテラン記者)に ロシア大使館一等書記官 リモノフ氏を紹介されました。 (O記者とは数回の関わりの後なので、リモノフとの出会いは最初から仕組まれていた可能性があります。)
  当時は、内閣情報官から”外部の人間と積極的に食事に付き合え”と勧められていました。 Mは、リモノフが日本語が上手で、立ち振る舞いも洗練されていたので、彼と付き合うことにしました。 これが これから8年間も続く罠であるとも知らずに。

  1か月後、Mの携帯にリモノフから電話がかかってきました。 ここで携帯画面には、職場の固定電話でも携帯でもなく、”公衆電話”と表示されていました。
  そして食事に案内され、普通のテーブル席で軽く酒を飲みながら食事をして(リモノフは飲まない)、1時間ほどで切り上げました。 話の内容はひたすら雑談で、どこの部署でどんな仕事をしているのか、家族、趣味の話などで、会話の主導権は 常にリモノフが握り、Mが聞きたい 中国の話にはなりませんでした。

  リモノフの任期が来てモスクワに帰るということで、虎ノ門のレストランで後任のグリベンコ一等書記官を紹介されました。 同様にグリベンコに食事を誘われ、帰りには”次はここで”と店のパンフレットをMに渡し、次に会う日時を指定しました。店はリーゾナブルなチェーン店ばかりでした。 そのうち、彼が手土産を持ってくるようになり、最初はハンカチセットで、それから ハイウェイカード1万円分になり、商品券1万円分、そして ついに一線を超えてしまい現金5万円をもらうようになりました。 Mは全く金には困っていませんでしたが、いつか突き返してやろうと思っても、ついつい 競馬や酒、海外旅行などに使ってしまいました。
  接触したロシア大使館員たちは、”個人的な関係だから”という理由で、ロシア大使館への電話での連絡を極度に嫌いました。 それは、日本の公安警察による盗聴を警戒してです。
  店内では普通のテーブル席で、会話は世間話ばかりでした。 他愛もない雑談なので、むしろ安心感を醸成していきました。


  ところが、それから Mは、国際部の中国担当から、内閣衛星情報センター(”ホシ”と呼ばれる極秘部署、 日本独自の偵察衛星により各国の軍事動向を監視する)に異動になりました。Mが5年ほどいたこの部署は、衛星から他国を見て、道路事情、建物の動き、軍事基地の動向など、通常の情報活動では得られない動きが見えます。
  しかし、Mは、研修で パソコンが苦手なのに衛星画像の解析ソフトの使い方を叩き込まれ、調査室への不満を持っていました。 そして、このことをグリベンコの前で吐露してしまいました。
  ・・・・ カネ、異性、組織への不満、こういったものから、諜報機関は協力者を籠絡して獲得します。 スパイたちは、協力者になりうる相手と長年交際を続け、信頼や安心感を醸成しながら、弱点を探します。 ( 注) これは公安でも、作業玉(協力者)を獲得する常套手段です)

  2001年9月、偵察衛星の運用が軌道に乗った時、まさに狙ったようなタイミングで、再び リモノフが、階級が2つ上の参事官の立場でロシア大使館に赴任してきました。 以前のように食事に誘われ、土産の箱に下の封筒に10万円が入っていました。 そして 会ってから5年、ここで初めて要求があり、”衛星情報センターの座席表”、 次はもっと露骨に、”日本の衛星が撮像している所”を聞いてきました。
  このとき、入っている金額が9万円に減ったり、11万円に増えたりの まるでボーナスの査定のような”揺さぶり”をかけられ、Mは ついに、職場から持ち出せるもの、とりあえず 海外メディアの翻訳記事を リモノフに渡しました。 ・・・ 二人の対等な関係が崩れ、上下関係が明確になった瞬間でした。 Mに リモノフの機嫌を取りたいと思う気持ちが芽生えました。

  この時期、研修中に、自衛隊OBによる”秘密保全”の講義を受け、”ロシア人からお金を受け取ったらアウトです。 お金を受け取る瞬間を別のロシア人が撮影し、後で脅されます。”という話を聞いたときでも、彼らがロシアのスパイ( ・・・ 外交官ではなく、対外諜報部KGBと並ぶ、軍の諜報機関 GRU所属のスパイ)であるという事実を Mの心は拒絶していました。 Mが後で語ったには、”彼らは何時も洗練されて紳士だったので、心の中に深刻な感覚は無く、この時はスパイだとは思ってもみなかった。”ということでした。 リモノフはまるで部下にでも言うように、”もっと私を喜ばせる話をしてくれ”とMに言ってきました。
  それから リモノフは帰国し、次の 二等書記官ドゥボビも毎回10万円をMに渡し、さらに次の 二等書記官ベラノフに同様に引き継がれました。


  ある時、ベラノフが約束をすっぽかし、Mが大森のホテルでの待ち合わせに2時間も来ず、あとで ”次回からは日曜日に会いましょう”と連絡が来ました。  ・・・ ベラノフに付き添う GRUの防衛(諜報員が尾行されていないかチェックする安全確保の要員、危険があれば車で離脱させる)がそうさせました。
  Mが 豊洲駅の階段で、渡されたお金を数える所を ある男が隠しカメラで撮影していました。 この時すでに、Mとベラノフは、10人近い男女(広場の若いカップル、サラリーマン、など)に取り囲まれて監視されていました。 彼らは、警視庁公安部 外事一課(通称”ソトイチ”)で、ロシア・スパイの摘発を行う”四係”、さらににその中に精鋭”ウラ”と呼ばれる4つの班の一つでした。 彼らは スパイと エージェント(協力者)との接触を掴むために、行確(行動確認)の技術を研ぎ澄ませた特殊チームであり、会話は 高性能集音マイクで秘聴し、携帯では架電先を見ることができ、暗闇で金を数えるとその全額を読み取ります。 ”ウラ”は ドゥボビ尾行の際、Mと接触していることを把握し、監視を続け、宴会帰りのサラリーマン、デート中のカップル、駅前のホームレス、レストランの店員などを装い、機密資料の受け渡し、金銭のやり取りなどの証拠をつかもうとしていました。

  そしてついに、2007年12月9日、日曜日、Mは 指定された待ち合わせの川崎の店(初めて都内以外の店)に向かい、店の入り口に来た時、警視庁公安部たちの3冊の警察手帳を見せられ、身体捜検を受けました。 その中に見覚えのある 内閣情報調査室に出向してきた元公安のS氏の顔がありました。 カバンを開けられ、いつもの海外ニュースレポートのほかに、情報調査室 研究部の 有識者の意見聴衆の議事録(公文書扱い)が中に入っているのが見つけられました。 ベラノフはすでに帰国したといい、公安は、1年間 Mを監視してきたそうです。
  結局、ベラノフやドゥボビがスパイとは知らなかったということで、Mは逮捕は免れました。 しかし、収賄、および 国家公務員法違反で、書類送検され、懲戒免職となりました。
  押収品(43点)は、 身分証明書、ノート(西アジア研究)、リモノフの名刺、預金通帳12通、パスポート、パソコン など。


  ここで新たな問題として浮上したのが、ベラノフ側が察知していた、すなわち 捜査情報が漏れていた、ということです。 捜査が極秘に行われたにもかかわらず漏れたということは、現場から上層部までの意思決定プロセスのどこかに入っている ということになります。
  また、今回の事件がもし英国や米国で起こったのなら、Mを ”二重スパイ”として利用し、逆にロシアの諜報員を取り込む作戦がとられたと思われます。 諜報の分野で日本はかなり遅れています。




  (その他のスパイ事件)

   黒羽一郎事件: KGBによる背乗り(はいのり)

   イギリスにおける元ロシア二重スパイ暗殺未遂事件: 英南部で2018年3月4日、露軍参謀本部情報総局(GRU)のスクリパリ元大佐(66)と娘のユリアさん(33)が、神経剤「ノビチョク」による攻撃で重体となった事件。(彼らは現在意識を取り戻し、回復している) 米欧を中心とする約30カ国・機関が150人以上の露外交官の追放を発表した。 一方、ロシア外務省は30日までに、米国の外交官60人をはじめ、欧米諸国の外交官を報復追放した。  露外務省は29日、米国のハンツマン駐露大使を呼び出し、米外交官60人を報復追放するほか、サンクトペテルブルクの米総領事館を閉鎖させると伝えた。30日には、チェコやオランダ、ベルギーなど欧州諸国の大使に対し、追放される露外交官と同数を国外退去にすると通告した。
  英国については、先に外交官23人を追放したのに加え、英国の在露公館員を、ロシアの在英公館員と同数まで減らすよう要求した。具体的な削減数は不明。

   ・・・・ 「ゴグ・マゴグ」に備え、ロシア国内の諜報活動やロビー活動を規制している



  (公安関係)

   オウム真理教: 平田信の協力者 尾行:  尾行のイロハ:

   連続企業爆破事件 佐々木則夫の行動確認(ザ・世界仰天ニュース)

   日本赤軍: 重信房子の尾行(アンビリーバボー)

  ・ 公安部が常時監視しているのは10団体: (公安警察)



   (おまけ) 別に事件じゃないけれど MHK(某国営放送?)への苦情   ・・・・ 芸能プロの金と女の汚い世界、 黎明期〜初期には良い番組が多かったのに ( ”明るい農村”とか、”働くおじさんこんにちは”とか ・・・




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