3. 感覚神経 のメカニズム:



  ニューロンの種類:  ニューロンは、 細胞体に樹状突起があり、そこに別のニューロンの末端からのシナプス結合部で 伝達物質が受け渡される。 途中の軸索では 活動電位の逆転部が伝わる。(脱分極の伝達)  感覚神経として、次の3つが重要。

    Aδ線維: 鋭い温痛覚の求心性線維(体性感覚)    ・・・・ シナプス伝達物質: グルタミン酸
    線維:  鈍い温痛覚の求心線維(無髄・遅い、 体性感覚、内臓痛、ガン痛など) ・・・・ シナプス伝達物質: グルタミン酸、サブスタンスP
           髄鞘がないので枝分かれしやすい
    Aβ 線維: 触圧覚の求心線維(体性感覚)

分類 髄鞘 平均直径(μm) 平均伝導速度(m/s) 役割
  15    100 骨格筋や腱からの感覚、骨格筋の運動
   8     50 皮膚の触圧覚
   8     20 筋紡錘の錘内筋運動
   3     15 部位が比較的明瞭な皮膚の温痛覚
B    3      7 交感神経の節前線維
C   0.5      1 交感神経の節後線維、皮膚の温痛覚


  感覚ニューロンの上行経路

  皮膚からの温痛覚一次ニューロンの Aδ、C 線維は、脊髄の後角で、視床へ向かう二次ニューロンへ伝達される。 一部は脊髄側角で体性運動ニューロンへ引き継がれ 脊髄反射運動となる。(熱いものに手を触れたら 手を引っ込める) 膝蓋腱反射も中枢は脊髄にあり、 Aα、β、γ線維による。

  Aδ線維(新脊髄‐視床路、 系統発生が新しい)はまっすぐに視床(VPL核)へ向かい、そこから三次ニューロンによって大脳皮質感覚野の第W層へ投射して、鋭い明確な温痛覚を与える。

  一方、C線維(旧脊髄‐視床路、 系統発生が古い、髄鞘も無い 最も原始的な線維)は 延髄で大部分が分かれ、新脊髄‐視床路の内側を通り、 中脳網様体(意識をはっきりさせる)・中脳中心灰白質を通り、次のニューロンで視床の髄板内核群に一旦集められ、ここから 次のニューロンで、 体性感覚野(鈍い温痛覚)、前頭葉(覚醒させる)、島皮質(情動的な痛み)、に投射される。
  また 視床を通らずに、視床下部から辺縁系(不快な情動)、血圧などを調節する自律神経系 などへも、広く投射する。
  また体性感覚野に入ったものの一部は 運動野に入り、別の感覚を与える。
  C線維の上行途中でシナプスが多く集っている延髄や中枢の網様体に一部が枝を出して刺激し、下行性の疼痛抑制系(↓ 下図の下の図・左)が働く。

  三叉神経系も、一旦下行して 脊髄路核(脊髄と同じ構造、下ほど痛覚)で次の二次ニューロンに乗り換え、同様に 視床(VPM核)へ行く。 中脳路核(歯髄の神経など)も、組織的に 一部分離した脊髄路核とみなすことができる。 前2/3部の知覚(三叉神経・下顎からの線維)。 cf. 舌前2/3部の味覚(鼓索神経からの線維)



  ● 脳の内部を侵害したからといって痛みなどの感覚を生じるわけではなく、あくまでも 感覚ニューロンからの信号が感覚野に伝達されることによる。 (頭痛は、周りの硬膜や血管に付随する神経の圧迫、侵害等による。)

  ● 一般に、痛みは他の感覚とは違い、「慣れ」「順応」(反復刺激を与えたときに生じる刺激受容または反応の減退)はないとされている。 もし、疼痛刺激に対する慣れがあるとすれば、(下記のような)疼痛抑制系の一部が働くことによる。

  ● 痛みの感受性の遺伝的な差:  COMT というドーパミン代謝(分解)酵素の量が、遺伝子の val−val、met−val、met−met 型によって差がある。 val多型の場合、ドーパミンがより多く分解(COMT活性はmetの3−4倍)して 前頭葉におけるドーパミン量が低下し、例えば WCST(ウィスコンシン・カード分類テスト)等の前頭葉課題で成績が低い。 ドーパミン過剰消費のため、統合失調症のリスク(幻聴、幻覚、妄想)が高い。 そして、ドーパミン量低下のため、βエンドルフィンが放出され、痛みの感受性が低い傾向がある。 met多型はその逆で、敏感。 (by. 京大・霊長類研、 痛みの感受性

  ● 稀に痛みを感じない人(先天性無痛症)がいる。100万人に一人。 一見、うらやましそうに見えるが、痛みによる身の安全を守るための”学習”ができないので、大ケガ(転んでも大けが)や火傷等で 大体 20歳までに死亡するという。 痛覚以外は正常であることが多い。(嗅覚により体の焦げるにおいを感じるまで気が付かない。) 原因は、遺伝子の突然変異による、ナトリウム・チャネルにかかわるたんぱく質の異常。

  ● 神経原性ショックとは、 一時的な強い痛み、精神的衝撃、歯の痛みなどから、一度 交感神経が活発化し血圧、脈拍が上がり、次にその反動として 迷走神経反射、あるいは、三叉・迷走神経反射(頭部)により、全身の末梢血管の拡張、徐脈、血圧低下により失神し、時には死亡する。 外傷性一次ショックもこれに含まれる。 (迷走神経: 内臓から延髄下部まで(内臓の平滑筋運動・副交感性の知覚)、脊髄を通らない。 反射は内蔵の防衛反応)

  ● カプサイシン(辛い=温痛覚)を含むトウガラシを、それぞれラット幼体と成体に多量に与えると、 幼体はAδとC線維が無くなり、成体はC線維からのサブスタンスPが枯渇した。 C線維からの不快な痛みは緩和するから、幼い時から野菜としてトウガラシを多食するブータンの人は”幸せな国民”なのかもしれない。(特に発がんや肝臓等に影響しない。辛いもの食べても禿げない? ♪楽しいブータン、愉快なブータン) ただし、トウガラシの辛さに強い人も、ワサビには弱かった。(カラシ、ワサビに含まれるアリル イソチオシアネートはイオンチャネルが異なる)


 

  視床は、体性感覚が大脳皮質感覚野に投射する最終ニューロンの中継点で、VPL、VPM核が担う。 視床の感覚ニューロン末端には μ1受容体が多く分布し、鎮痛の重要なポイントの一つとなる。  cf. 全身麻酔は、大脳皮質 → 間脳(視床、視床下部) → 中脳 ・・・ のように、上から下の順に、意識消失する。

    視床核              入力              出力               関連している機能
    前腹側核 VA          淡蒼球             前頭葉運動前野         運動系と関連
    後外側腹側核 VPL     体性感覚(下肢〜上肢)    頭頂葉の感覚野
    後内側腹側核 VPM     体性感覚(頭部)        頭頂葉の感覚野
    視床後核         上丘、側頭葉、頭頂葉、後頭葉  側頭葉、頭頂葉、後頭葉   視覚、聴覚、体性感





  4. 備えられた内在鎮痛系:         参考:内因性疼痛抑制系



  あわれみ深い神様は、過酷な温痛覚と合わせて、それを緩和する内在鎮痛系をも備えておられます。 ランナーズ・ハイでは βエンドルフィンが分泌されることがよく知られています。 針灸では、外部からの薬物を用いないで、神経節への刺激だけでこの鎮痛作用を引き出すこと(あるいは自律神経の神経節の場合は内臓運動の不調を治すこと)がよく用いられています。


   下行性の疼痛抑制系  ある程度働く内在鎮痛系として、 ノルアドレナリン、セロトニン ・・・ 青斑核と 脳幹網様体は、本来 レム睡眠、ノンレム睡眠にかかわるところ。

   (1) C線維の上行途中で延髄や中枢の網様体枝を出して、下行性の疼痛抑制系が働く。
   (2) 間脳後部(視床下部 背髄路)(A11(ドーパミン性))から (A13(脳質周囲核・不確帯)、A14(不確帯)と共に、)視床下部に投射し、ここから下行して脊髄後角三叉神経脊髄路核の温痛覚ニューロンに対する抑制に関与する可能性がある。
  GABAの脱抑制によって、下行性疼痛抑制系が活性化する。

  (1)、(2)により、橋の青斑核からのノルアドレナリン性ニューロンが、延髄の大縫線核からのセロトニン性ニューロンが作用して、脊髄後角の一次ニューロンのシナプス末端の受容体に結合してカルシウム・イオンチャネルを閉じ、疼痛伝達物質(グルタミン酸、C線維は + サブスタンスP)の遊離を抑制して(シナプス前抑制)痛み信号をブロックする。(↓ 左図)


   内因性オピオイドペプチド  βエンドルフィン、 エンケファリン、ダイノルフィン

  (起源)  侵害刺激(ストレス)により(経路は不明、帯状回(脳梁の周りの 24野、32野等 ← 体性感覚野からの入力)が関与するという説がある)、 おそらくA11、A13、A14から 視床下部に投射する。 視床下部から CRH(副腎皮質ホルモン 放出因子)が分泌し、脳下垂体・前葉(+中葉、 脳)に作用し、ここで βPOMC(βプロピオ メラノコルチン)から、 ACTH(副腎皮質刺激ホルモン) と βエンドルフィン が 1:1で切り分けられる。
  ・ α、および γエンドルフィンは、βエンドルフィンの代謝物と考えられ、鎮痛効果は低い。

  ・ ACTHは、副腎皮質でコレステロールからのコルチゾールを分泌し、炭水化物、脂肪、たんぱく質を代謝する。また、同様にストレスによって分泌されるアドレナリンと共に、血圧上昇、闘争または逃避を備えさせる。 長期間のストレスによるコルチゾールの過剰分泌は 海馬を委縮させる。(PTSDの一つ、短期記憶力の低下
  脳は、身体的痛みと 情動的な痛みとを区別できないので、精神的ストレスや悲しみ、催眠術による痛み なども、同様に処理してPTSDになり得る。

  ・ また、PAG(中脳中心灰白質)に投射する視床下部弓状核漏斗核 A12 の一部、前葉ホルモンの調整)のニューロンがPOMCを生産し、ここでもエンドルフィンを分泌する。(A12(ドーパミン性)は後葉のプロラクチンの制御がメイン)
  ・ 味覚で甘いもの(人工甘味料含む)を取るとき、エンドルフィンを分泌するといわれる。 ただし、嫌悪条件を付けたショ糖水や サッカリン水をラットに与えた結果 βエンドルフィンは上昇しなかったので、単なる味覚でなく、甘味による”おいしさの情動によると判断される。


  (鎮痛作用)  βエンドルフィンは、モルヒネと同様に、
  @ μ1 受容体(青斑核、側坐核、腹側被蓋野、視床(・・・温痛覚ニューロンの中継点)、扁桃体、大脳皮質など に分布)に優先的に結合して 鎮痛作用を現す。
  A 腹側被蓋野にも結合し、GABA脱抑制 → A10神経のドーパミン過剰分泌 となり、多幸感をもたらす。
  B 弓状核から中脳中心灰白質(PAG)に作用すると、GABAの脱抑制によって、下行性疼痛抑制系が活性化する。
  C 情動的な痛みは、視床の 髄板内核群を通るC線維の μ受容体に作用して緩和される。

  μ2受容体は 一次感覚神経、脊髄後角 などの、脊髄から下方に分布し、結合の優先順位はμ1よりも低い。 またμ2受容体には 痒みや 呼吸抑制便秘の弊害がある。

  βエンドルフィンは、モルヒネの6.5倍(一説には100倍)の鎮痛効果があるといわれる。分泌量は少ない。 モルヒネと同様に、前シナプス末端部のカリウム・イオンチャネルを開き カルシウム・イオンチャネルを閉じて 疼痛伝達物質(NMDA(グルタミン酸))の放出を止める。 また、上記の下行性疼痛抑制系(脊髄後角・μ2受容体)の作用を増強する。


  (その他の内因性オピオイド)  エンケファリンは δ受容体に結合し、 鎮痛(μより弱い)、多幸感。   ダイノルフィンは κ(カッパ)受容体(側坐核に高密度に分布)に結合し、鎮痛に働く。
  κ受容体は女性に多い(性差)。側坐核に多いので、κ受容体が活性化すると ドパミン遊離が減少し 薬物を嫌悪することから、疼痛下のモルヒネ使用で依存性が起きない理由になっている。


 


  ● 内在鎮痛系が発現された実例:

  条件が揃った場合(最初の痛み以外は)痛みを全く感じなくなることがある。戦闘中運動競技中に受傷しても痛みを感じないという。 ただし、慢性痛や衰弱している条件では 内在性鎮痛は効かなくなる。慢性痛・末期がんのガン性疼痛ではモルヒネの効きも悪い。


   リビングストン(アフリカ横断のキリスト教宣教師・探検家)のあかし:

  1840年12月出発した第1回目のアフリカ宣教の時、蒸気船でケープタウン経由で宣教地のボツワナのクルマンに居を構えた。ロンドンの監督官からの指示を待つ間、布教の拠点となる地方を探し、アフリカ内陸部を北上し、クルマンから北東方向へ200マイルの地点にあるマボツァを第一の拠点にした。
  その直後、リビングストンは夜間に野生ライオンに襲われて大怪我をした。 このとき、左腕に噛みつかれ、振り回されているうちに、痛さも恐ろしさも感じなくなった。(その腕の傷(11の歯の跡)は彼を識別する身体的な証拠となった。) ・・・・ (彼の手記より、)『それは一種の夢見心地を引き起こす。 痛みも恐怖もない。 ちょうどクロロフォルムを嗅がされた患者が、手術の様子を全部見ながらメスの感覚がない、と言っているのに似ている ・・・ こうした状態は、おそらく肉食獣に殺される動物がみな感じると思われる。もしそうなら、それは死の苦痛をなくすために、慈悲深い創造主が与えてくれたものだろう。』  参考・滋賀大・ストレス鎮痛)


   日航123便墜落事故(1985 8/12)の 4人の生存者(/524人中)の一人・落合由美さんの証言:
                       (* 日航機123便墜落を検証する ・・・ ”オレンジエア”の誤射による撃墜、当局の隠蔽の事実!)
     (抜粋)
  
・・・・・・・ 衝撃は一度感じただけです。いっぺんにいろんなことが起きた、という印象しか残っていません。
  
・・・・・・・ 体は、ちょうど座席に座っているような姿勢です。左手と両脚は何か固いものにはさまれていて、動かせません。足裏は何かに触っていました(・・・触覚は脊髄後角を通らない)それほどの痛みはなく、もうぐったりしているという感じです。
  
呼吸は苦しいというよりも、ただ、はあはあ、とするだけです。死んでいく直前なのだ、とぼんやり思っていました。ぐったりして、そのとき考えたのは、早く楽になりたいな、ということです。死んだほうがましだな、思って、私は舌を強く噛みました。苦しみたくない、という一心でした。しかし、痛くて、強くは噛めないのです。(・・・舌・三叉下顎、そこまで効いていない?) 墜落の直後に、「はあはあ」という荒い息遣いが聞こえました。ひとりではなく、何人もの息遣いです。そこらじゅうから聞こえてきました。まわりの全体からです。
  
・・・・・・・ 次に気がついたときは、あたりはもう暗くなっていました。どのくらい時間がたったのか、わかりません。 ・・・・ シート・ベルトはしたままだったので、それがだんだんくいこんできて、苦しかった。右手を使って、ベルトをはずしました。動かせたのは右手だけです。
  
・・・・・・・ 墜落のあのすごい感じは、もうだれにもさせたくないな。そんなことも考えていました。そして、また意識が薄れていきました。 気がつくと、あたりはあかるかった。物音は何も聞こえません。まったく静かになっていました。生きているのは私だけかな、と思いました。
  
・・・・・・・ 体の痛みも、空腹も感じませんでした。ただ、喉が渇いたのを覚えています。(・・・「渇き」を感じるニューロンは別にある * ネイチャー2015 1月) カラカラでした。お水が飲みたい、お水が飲みたい、と言っていたというのですが、私は記憶していないのです。
  
・・・・・・・ 目を開けたら、病院でした。お医者さんから「ここはどこだか、わかりますか」と聞かれて、奇妙な返事をしました。「はい、二、三回きたことがあります」って。そんな馬鹿な、と自分では思っているのですが、わかっていながら、そんなふうに答えていました。頭がおかしいんです。(・・・ドーパミン過剰?) でも、電話番号は正確に答えていました。
  
・・・・・・・ 百幾針も縫ったのに、痛みは感じません。麻酔をしていたせいだと思いますが、でも、あとで看護婦さんに聞くと、「痛い、痛い」と言っていたようです。(・・・ストレスによるPTSD?海馬(短期記憶)に影響)


   イタリア前線(1943 7月−1945 5月 の連合軍のイタリアにおける戦い):

  第二次世界大戦中にイタリア前線で、著しく負傷した兵士150人のうち、鎮痛のためのモルヒネを要求したのは わずか32%。 軽症の兵士ほど強い痛みを訴えた。 cf. 当時、平時外傷150例では83%がモルヒネを必要とした。  by. ヘンリー・K・ビ−チャー(米国、1904−1976、ハーバード大学麻酔学教授)
  ただし、ストレス鎮痛の考え方から、 著しく負傷したがもう戦線で戦う必要がない、治療すれば家に帰ることができるかもしれない、という安心感や幸福感により、痛みに苦しまなかったことも考えられている。(心理社会的要因も一部ある)


  ・ 熊に食われている自分を実況した少女(当時19歳)の件(内容・閲覧注意): 2011 8/18、ロシア・カムチャッカ、子連れのヒグマ(イギリス報道のツキノワグマは間違い)に食われ 携帯で母親に実況を連絡した。この時点では、痛い と報告。 その母熊はすでに殺された父親の所に行き、約1時間後、今度は3頭の子熊に食われるが、この時は もう痛くなく、母親に死ぬ前のお礼を言うほど 落ち着いて、鎮痛・鎮静が効いていたと思われる。 その30分後に6人のハンターが到着したときは死亡していたので、その連絡のすぐ後に失血死したことになる。

  ・ 日本の死刑囚が絞首台から落とされる時、若い死刑囚の場合 失禁ではなく、射精するそうである(?)。(元 刑務官の話。 これは、落下の衝撃で延髄が切れるので 単なる脊髄反射?ろくろ首のように首が伸びる)



   古代ローマの十字架刑や、中国の清朝まであった凌遅刑(りょうちけい、身体を多数の傷を入れて切り刻む残酷な刑)では、どちらも極刑だったが、多くの受刑者が激しい痛みと共に、脳内麻薬が効いて、両方の効果で発狂した状態になったそうである。 十字架刑は、このように たましいも晒し者にされるので、ユダヤでは”恥”、ローマでは”愚か”と呼んだ。




   ***  御子イエス様の十字架の様子は、(諸説あるが)大体次のようだったと推測される:

   ゲッセマネの祈り(史上最大の霊の戦いの場)・直前に 十字架上での御父との分離を示され、非常に「重く」なる(マルコ14:33、KJV)
   →  捕縛、 様々な「懲らしめ」(イザヤ53:5)(いばらの冠、平手打ち、葦の棒で嘲弄、つばき) → 「鞭打ち(39回)」(イザヤ53:5)(鞭の先に、鉛の球に骨やガラスを入れたものを付け、引っ張る。体中の皮膚が裂けて傷だらけで、痛みと出血と呼吸困難) ・・・ ヘブライ語の新約聖書には 十字架の時「生肉がぶら下がっているようだ」と表現するほど
   →  十字架の横棒を担いで「どくろ」の場所へ行く途中で、貧血・痛みのショックによる低血圧で、意識を失って倒れられた
   →  十字架につけられた(ロープで手足首を縛り付け、物理的に姿勢を固定した後、) 両手の平と、両足の甲に太い釘を打ち込む、 手首でなく手のひら(ヨハネ20:27) → 少しでも動かすと非常に痛い → しばらくすると手の血流が少なくなり 手の感覚は麻痺する、 しかし 足のほうは(下にあるので)最後まで痛みを出し続け、覚醒に寄与した (「彼のかかとにかみつく」(創世記3:15)) 
   →  「エリ、エリ、レマ、サバクタニ。(わが神、わが神、どうしてわたしをお見捨てになったのですか。)」 (マタイ27:46、 マルコ15:34) 全世界・全歴史の人々の罪を背負って、父なる神から切り離された瞬間。 肉体的苦痛は耐えられたが、この「いのちの激しい苦しみ」(イザヤ53:11)は、永遠の昔から御父と共におられた御子にとっては到底 耐えられなかったので、このように「我がよ(エリ)」と叫ばれた。 ・・・・ もし信じないで死ぬとき、守護天使が離れ去り、非常な孤独を感じ、あなたがこのように叫ぶことになる ・・・・・ 
   →  「わたしは渇く。」(ヨハネ19:28) 渇きを感じるニューロンは、内在鎮痛系とは別で、しっかりと残っている。
   →  御父との関係が回復した後、比較的早めに死なれた。(「父よ、わが霊を御手にゆだねます。」(ルカ23:46)) (通常 十字架刑の死に至る時間は2−3日で、御子イエス様は6時間なので、かなり衰弱しておられたと思われる。)




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