5. アダムとエバの実証? ・・・ 人の起源の話


 遺伝子の解析技術の著しい進歩や考古学上の新しい発見によって、生物進化論の分野も変わりつつある。
 つまり、遺伝子進化は、ダーウィンの言うような有利な突然変異が自然淘汰によって広まったのではなく、淘汰に有利でも不利でもない偶然による突然変異に基づいて起こる、と考えられるようになり、その後の研究で裏付けられていった。(中立突然変異、1968”分子進化の中立説・国遺研・木村)

 遺伝子の配列の違いを詳細に調べる事によって、それぞれの種間の間隔がわかる。(進化論に立った場合、これは進化の過程の時間的な間隔として解釈される。(これを分子時計と呼ぶ))
 例えば、ヘモグロビンのアミノ酸配列(間接的な遺伝子配列情報の一部になる)を種間で比較すると、ヒトとイヌで16%の相違、ヒトと鳥では25%、ヒトと魚では53%も違ってくる。これらのアミノ酸の置換数が、進化の途上で分かれた時期に比例する、と解釈されている。

 さて、核に含まれているDNAの他に、細胞の酸素呼吸をつかさどっているミトコンドリアにもDNAが含まれている。このミトコンドリアDNAは母親からしか受け継がれない性質があるので、父方と母方の入り混じった遺伝的な系統関係や比較的近い種内変異を調べるのに適している。 宝来聡(国遺研)は、ミトコンドリアDNAを用いて、日本人を含む、世界3大人種(ヨーロッパ人、アフリカ人、アジア人)の系統樹を作成した。 その結果、アフリカ人集団の塩基の多様性が、他と比べ2倍も大きい、すなわち、かなり長い世代に渡ってミトコンドリアDNAの多様化がアフリカで起こったことを意味している。
 (ミトコンドリアDNAは、かなり昔の人骨からも取り出す事ができる。→ 日本人のルーツ:T.大陸からの弥生人、U.先住民の縄文人の2グループ)
  
 ウィルソン(米・カリフォルニア大)らは、世界中のさまざまな人種のミトコンドリアDNAの変異を調べ、系統樹を作ってそれらの分岐時期を調べてみたところ、次のような驚くべき結果が示された。

 すなわち、現代人のすべては、20万年前にアフリカに登場した1人の女性 ・・・ 「ミトコンドリア・イヴ」 ・・・を共通の祖先に持ち、現代ヨーロッパ人の祖先とされるクロマニヨン人(新人・1万年前と言われる)は、アフリカから渡ってきたイヴの子孫ということになる。
 したがって、ネアンデルタール人(旧人)や北京原人などは血縁関係を持たないまったく別の系統(絶滅種)ということになる。 
 また、これを裏付けるように、1995年フランス南部で3万年前と言われるネアンデルタール人の化石が発見された。さらに、現代人が使っていた最古の石器としては、スペイン北部からの約4万年前のものが出ている。 これらから、ヨーロッパでは、ネアンデルタール人が、現代人と少なくとも1万年ほど共存していたらしい、ということになる。


 (創世記には、神様がアダムとエバ(イヴ)を造ってエデンの園に置いた、と書いてありますね。これは、ひょっとして聖書に近いところまで来ているんではないですかね?。)

 そうですね。非常に素晴らしい結果ですね。 ただ、時間的な設定が今一つ違いますね。 「ノアの洪水」という要素が欠けていると思います。ノアの洪水の後から、ハム(黒色人種)、セム(黄色人種)、ヤペテ(白色人種)の3種類の人種が出てきたのですから。 また、地層の年代決定法は、それだけでも非常に誤差が大きいんですよ。岩石中に取りこまれているアルゴン・ガスの量がちょっとでも多ければ、すぐ何億年も昔のものになってしまう。ですから、創造(約6000年前)からノアの洪水(約4000年前)までの間の年代決定については、この今のやり方ではどこまでいっても全く合わないはずです。もっとも、今の所この方法しかないのですが。 また、ノアの洪水の前までは、変わった人種、ネフィリムという巨人とか、が生存していたことになっています。そのうち、大柄な人骨が見つかるかもしれませんね。

        → (参考) 生物学的証拠 


                       次へ