4) 十字架刑の苦しみ;

 ・ 多くの医師が証言するように、十字架刑こそあらゆる死刑の中で最も残酷な刑の方法であると言われている。なぜなら、知覚がはっきりしている状態で、死に至るまでの時間が長いからである。(通常2〜3日)
 受刑者は手足を太い無骨な釘で十字架に打ち付けられさらし者にされる。手のひらと足の甲とは感覚神経の集まっている所なので、少しでも動かすと激痛が走る。そのため、釘を打ち付けられた時の姿勢を何とか保っていかなければならない。しかし、腕が疲れ、体力が消耗し、その姿勢が少しでもくずれるたびに激しい痛みが走るのである。
 さらに、ブヨが血を吸いに集まり、猛禽類やカラスなとが十字架の横木にとまって肉をむしり取るのである。そして、出血と脱水と、大声を上げつづけた事による衰弱とによって死ぬまで、この激痛と苦しみと渇きが続くのである。
 ほとんどの受刑者は、あまりの苦痛の為、発狂してしまったそうである。
 苦痛がひどいので、それを和らげる為に没薬を混ぜたぶどう酒を受刑者に飲ませるのが通例だった。(イエス・キリストはこれを拒否して十字架にかかった。)
 また、ローマ中期以降は、この十字架刑があまりにも残酷である為、死刑の方法として廃止されてしまったのである。
 (十字架刑の事を、ローマでは”愚か”、ユダヤでは”恥”と言った。激しい苦痛によって、気を失う事もできず、たましいまでもさらし者にされるからである。)

 ・ エルサレム滅亡の時、兵糧責めによる飢えの為、城壁を脱出することを試みた者たちがいたが、ほとんどがローマ兵に捕まり、大勢が十字架につけられた。それは、この時点でエルサレムが降伏する事をローマ軍が期待していたからである。たくさんの十字架を作るために一つの山が丸坊主になってしまったというから、さぞかし彼らの絶叫の音が凄まじく鳴り響いた事だろう。

 


                 次へ