2) イエス・キリストの十字架;
十字架は、肉体的にも、精神的にも、霊的にも、神の子として、また、人としてのすべてにおいて、苦しみの極みであった。極刑の激しい苦痛だけではなく、神の子がその創った選びの民によって罪人として罵倒され、嘲笑される不条理の苦しみ、そして、永遠に一体だった御父と切り離され、他の人々の罪を一身に背負って捨てられることの激しい苦しみがあった。
@ 聖書にある出来事:
以下、順に起こった事柄と聖句を列挙する。
@) ゲッセマネの祈り・捕縛; ・・・ マコ14−32〜、ルカ22−39〜
A) 審判;
・ 安息日の前日、大祭司カヤパの義父アンナスによる聴取 ・・・ ヨハ18−12〜14
・ 夜ふけ、カヤパの家でサンヘドリン議会開会 ・・・ マタ26−57〜68、マコ14−53〜65、ルカ22−54〜65
・ 早朝の判決 ・・・ マタ27−1、マコ15−1、ルカ22−66〜71
・ ローマ総督ピラトの面前 ・・・ マタ27−2、マコ15−2〜5、ルカ23−1〜5、ヨハ18−28〜38
・ イエスがガリラヤ出身なのでピラトはイエスをヘロデのもとへ送る ・・・ ルカ23−6〜12
・ 再びピラトのもとへ ・・・ マタ27−15〜26、マコ15−6〜15、ルカ23−13〜25、ヨハ18−29〜19−16
(ピラトは当初イエスを釈放しようと考えていた)
・ ローマ兵士たちの嘲弄 〜 ・ いばらの冠、はでな衣
・ (イスラエルの王様万歳と言って)平手打ち
・ 葦の棒で頭を叩いてからかう
(ピラトはイスラエルの民衆に、『これがあなたがたの王です。』と言った。しかし、パリサイ人に扇動された民衆は十字架につけられるはずだった強盗バラバを釈放し、イエスを十字架につけるように叫んだ。そのため、叫び声に圧倒され、やむなくピラトはイエスを民衆に引き渡した。)
・ 十字架刑の判決
・ 鞭打ち(骨やとげの仕込まれた鞭で39回打たれたので、背中は裂け血だらけになった。(*))
・ ゴルゴダへ 〜 ・ イエスが自分で十字架を負いゴルゴダへ ・・・ ヨハ19−17
・ イエスが途中で倒れたので、民衆はクレネ人シモンに無理やり十字架を背負わせた ・・・ ルカ23−26
B) 十字架刑;
・ 午前9時、イエスは十字架につけられた ・・・ マコ15−25
・ パリサイ人や民衆の罵声、嘲笑、十字架から降りるようとのサタンの誘惑
( ・・・・・ 十字架上のイエスの7つの言葉 → 次ページへ )
・ 正午頃、天が暗くなり、3時頃まで続いた
・・・ マタ27−45、マコ15−33、ルカ23−44 (**)
・ 午後3時頃、イエスは息を引き取った。
この時、神殿の幕が上から下まで真っ二つに裂けた。
(律法の時代の終了) ・・・ マコ15−38
〜 あまりにもイエスが傷ついていた為、十字架上で6時間でイエスは死んだのである。
C) 埋葬; ・・・ マタ27−57〜66、ルカ23−50〜56
D) 復活; ・・・ マタ28−1〜、マコ16−1〜、ルカ24−1〜、ヨハ20−1〜
→ イエス・キリストの復活については、信仰の項参照
* この十字架刑の前の鞭打ちは非常に悪意に満ちたものである。背中の筋肉は使い物にならなくなり、十字架を背負ったときイエスは倒れた。そして、背を伸ばす姿勢を保つ事ができないので、手足が釘によって裂け、初めから十字架の激しい苦痛が続いたのである。さらに、筋肉がボロボロになって骨が見える背中に、荒削りの木が当ってさらに苦痛が増し加わったのである。そして、パリサイ人や律法学者やローマ兵が酸いぶどう酒(のどの渇きを潤す清涼飲料)を飲みながらやじを飛ばして見物する中、激しい手足の痛みと渇きによる火で焼かれるような苦痛の為に気絶する事も許されず、さらし者にされたのである。
** 現在、正確にこの時刻の地球と月の位置の計算がなされているが、この時、日食などの空を暗くする天体現象は起こり得ない結果になっている。