【 参考 】       町田・並木理論;


 (1) 統計作用素の基本的な性質

 @ 定義;

 混合状態 ・・・ 干渉し合わない部分を含むいくつかの部分系の集合。
 純粋状態 ・・・ 完全に干渉している状態で、状態ベクトルで表現できる。

* 統計作用素(密度行列) 
       

 これは、状態のあらゆる可能性を含ませた形式で、純粋・混合の両方を記述できる。

          

 これは、純粋か混合かの評価方法になる。
 統計作用素を用いた運動方程式は、
          


 A 統計作用素のユニタリ変換;

 時刻 t より未来 t' ( > t )において、
          
 とすると、
          

 ゆえに、閉じた系が、純粋状態ならばいつまでも純粋状態、混合状態ならばいつまでも混合状態


 B 全系と部分系の違い;

 1) スピン1/2 の2つの粒子(2つの部分系)の場合、全系の任意の状態ベクトルは、
     
の、一次結合で表される。(重ね合わせの原理の一例)
 ただし、α、βは粒子のスピンの状態(スピンの向き、上、下)、1、2は粒子1、2

 統計作用素は、
       

 2) 1)の設定で、全系のスピンが相殺して0である場合、スピンに関する状態ベクトルは、

       

 この部分系1(粒子1)の状態を表わす統計作用素は、

          

 ∴ 全系が一つの純粋状態であっても、一般に、その部分系は混合状態である。


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